【2020.10】売上債権を示す勘定科目の1つ売掛金と未収入金との違いとは?

2019/06/26
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簿記で会計処理を行うときの仕訳において、売上債権は売掛金や受取手形という勘定科目を用いて処理します。どちらも資産であり、まだ回収できていない代金を示す勘定科目です。そしてまだ回収できていないことを示す勘定科目は、他にも未収入金などがあります。

では、売掛金と未収入金、これらの勘定科目にはどのような違いがあるのか、それぞれの意味についてご説明します。

 

そもそも売掛債権とは何なのか

商品を販売したりサービスを提供したり、取引が発生するごとに現金の受け渡しが行われると、常に現金を保有していなければなりません。請求書や領収書など取引ごとに発行することになるので手間はかかる上にミスも発生しやすくなってしまいます。

そこで事務的な作業の手間を軽減するためにも、商品やサービスを納品・提供したときに現金ですぐ代金を受け取るのではなく、後日まとめて請求書を発行し期日に入金してもらう掛け取引が一般的に扱われています。

この掛け取引により発生するのが売上債権であり、取引で支払われるお金を請求する権利のことを指しています。

 

売上債権に含まれる勘定科目の種類

売上債権を仕訳処理する場合に用いる勘定科目は売掛金と約束手形に分類されます。

売掛金掛け取引により発生した未回収の売上代金を仕訳処理する場合に用いる資産の勘定科目で、口約束で突然発生したツケ払いも売掛金で処理します。

もう一方の約束手形は、取引先が売掛金の支払いを一定期日後に行うことを約束するための証書です。

会計処理において売上債権として使用される勘定科目は、委託販売や割賦販売など特殊商品売買を合わせると、

  • ・売掛金(商品の販売やサービスの提供などで、通常の営業取引により発生した対価を処理するとき使用)
  • ・受取手形(商品売買など営業取引の決済で受け取った約束手形や為替手形などの手形債権を処理するときに使用)
  • ・取立て手形(保有する手形を金融機関に取り立て依頼した場合、他の受取手形と区別するために使用)
  • ・積送売掛金(積送未収金ともいい、委託販売で売上債権を処理するときに使用)
  • ・割賦売掛金(割賦販売の収益を認識する基準に販売基準を用いた場合において、売掛債権を処理するために使用)

に分けることができます。

 

売上債権と未収入金は同じではない

回収していない代金をあらわす勘定科目は、売掛金や受取手形などの売上債権以外にも、未収入金という資産の勘定科目が用いられることもあります。

売掛金と未収入金、仕訳処理でどちらの勘定科目で処理すればよいか迷うこともあるでしょう。

売上債権である売掛金、そして未収入金は意味が異なるため、仕訳処理で間違った資産の勘定科目を用いてしまわないようにしてください。間違ってしまうと経営指標にズレが生じ、銀行審査などに通りにくくなってしまう可能性があります。

 

会社の営業取引で発生した未回収は売掛金

売掛金と未収入金。どちらも未回収の代金を計上するために用いる勘定科目ですが、会社の営業取引で生じたのか営業取引外で発生したのかに分けることができます。

営業取引で生じた場合は借方に売掛金という勘定科目を用いて仕訳処理を行います。たとえば、販売店に商品をおろしたときの売上代金がまだ回収できていないときなどが【売掛金/売上】という仕訳処理です。

その後、売掛金を現金で受け取った場合には【現金/売掛金】という仕訳で相殺する形で売掛金が残らないように仕訳処理を行います。

もし売上代金を現金ではなく約束手形で受け取った場合には、受取手形という勘定科目を使うようにしてください。

また、前もって販売する商品代金の一部や全部を受け取ったときの勘定科目には前受金を使います。

 

営業取引以外の未回収は未収入金

では未収入金はどのような仕訳処理において登場する勘定科目なのかというと、営業取引ではなく固定資産や有価証券を売却することで発生した未回収分を処理するときに使います。

たとえば会社の備品を中古で売ったものの、まだその代金を受け取っていないという場合は未収入金という勘定科目で仕訳処理をします。

会計処理上、未収入金は営業取引以外の取引で資産を売ったときなどに生じる債権であり、売上債権には含まれないと認識しておきましょう。

 

なぜ未収入金という勘定科目と区別する必要があるのか

ではなぜ売掛金と未収入金という勘定科目を分けて使う必要があるのでしょうか。

その理由は、企業経営において、営業利益はいくらなのか正確に把握することが必要だからです。

仮に会社の資産を売って利益を得たとしても、それは本業による活動で出た売上や利益ではありません。そのため仕訳処理において未収入金に振り分けられるはずの未回収代金を売掛金に含めてしまった場合、実際にどのくらいの金額を本業で稼ぐことができているか把握できなくなってしまうからです。

営業利益の数字は経営戦略の指標を知る上で重要な部分ですし、税務処理などにも影響します。売掛金と未収入金、それぞれの勘定科目に振り分けるなど、経理上の未回収分処理を正しく行うことが求められるといえます。

 

未収入金は回収までの期間で扱いが変わる

売掛金や約束手形などの勘定科目は、貸借対照表の流動資産に分類されます。

一方の未収入金という勘定科目は、回収できるまでどのくらいの期間があるかによって流動資産か固定資産に区分される点にも注意してください。

仮に会社が所有している不動産を売却して出た利益が出たとします。この場合、仕訳処理において用いる勘定科目は未収入金です。

ただし簿記では、売却代金を回収できるまでの期間が直近の決算日から1年以内なら流動資産に、1年を超える場合には固定資産の勘定科目として分類します。

帳簿上、流動資産と固定資産のどちらの勘定科目として区分されるかによって、貸借対照表そのものも計算も変わってしまいますので注意しましょう。

 

未回収のまま残ると資金繰りは悪化する

保有する売上債権の割合が多いということは、売上は計上されているのにその代金が回収できないまま多く残っていることを示します。手元の資金不足などで経営難に陥らないためにも、できるかぎり発生した売掛金は短期で回収することを心掛けてください。

取引先との契約を結ぶとき、いつ売上代金として発生した売掛金を支払ってもらうことになるのか期日を設定することになります。そのとき、2か月や3か月という支払いサイトで設定してしまうと、手元に現金として回収できるまで時間がかかり資金繰りは悪化しやすくなってしまうことが予想されます。

反対に売掛金の期日を早めて設定していたのに、取引先によって支払いの遅れが常習化することも考えられます。定期的に取引先の財務状況や経営状態について情報を収集し、取引量や取引形態は現状のままで問題ないか与信管理も行うようにしましょう。

 

回収できておらず売掛金の勘定科目で残っているなら

もし期日を守ってもらえていない売上債権があるのなら、取引先にその債務を早く支払ってもらうように連絡や訪問をすること、督促状など内容証明郵便で送るといった回収作業も必要です。

いずれ支払ってもらえるだろうと放置していれば、回収を忘れた状態のままになってしまい時効が成立してしまう可能性も出てきます。

いくら催促しても代金を振込んでもらえない場合には、支払督促・民事調停・少額訴訟・差押えなどの法的手段が必要になってしまいます。

法的手続きを行えば、その後の取引先との関係にヒビが入ることになるので、早めに入金してもらえるように交渉していきましょう。

また、取引先から受け取る売掛金だけでなく、自社が支払わなければならない買掛金があるのなら相殺することで回収できる場合もありますのであわせて交渉することをおすすめします。

ファクタリングで売掛金を現金化してみては?

もし売掛金の回収が長引いてしまい精算手続きが進まなければ、会社の手元のお金は増えず資金繰りが悪化することが予測されます。そのような事態を防ぐために、回収方法としてファクタリングの活用も検討してみましょう。

ファクタリングとは、売掛金回収の権利をファクタリング会社に売り、先に代金を受け取ることで資金調達できるサービスのことで、法人だけでなく個人事業主も活用可能です。

万一、取引先が倒産してしまい、売掛金が支払われなくなったとしても現金化した売掛代金を返す必要もありませんし、そのような貸し倒れリスクはファクタリング会社が負う形で契約が結ばれます。

利用するときには手数料が発生しますが、それでも資金繰りが悪化してしまい事業が継続できなくなることを考えると、やはり資金を調達することは重要です。

負債を増やさずに資金を調達できる方法のため、資金繰りを改善させやすいことがメリットです。もし長期化している未回収の売掛金を保有していたり、資金が必要なときにはファクタリングを活用することを検討してみてはいかがでしょう。

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