経営者なら、事業を続ける上で資金を調達することは欠かすことができない作業です。資金を調達する手段として、銀行からの融資を検討する場合、銀行で実施される審査により融資が可能となる金額や金利などの借入条件は違ってきます。
よい条件で融資を受けるためには、事前に準備をした上で借り入れの申し込みを行うことが求められます。
目次
中小企業が利用できる融資の種類
融資を受ける場合、調達先の候補として考えることが多いのは銀行や信用金庫などの金融機関でしょうが、数が多く存在する機関のため選択肢も豊富にあります。
仮に中小企業が金融機関から融資を受けると考えた場合、利用できる金融機関とそれぞれの特徴は次のとおりです。
銀行や信用金庫からの融資
銀行には、都市銀行、地方銀行、信託銀行など種類がいろいろあり、支店数も多いことが特徴です。ただ、銀行に借り入れの申し込みを行った場合、厳しい審査を通過できず資金の調達を断念する中小企業も少なくありません。
ただ、同じ銀行というくくりでも、メガバンクと呼ばれる都市銀行よりは、地域に根差した地方銀行のほうが親身に対応してくれる可能性があります。
また、信用金庫は地域の活性化や貢献を目的としているため、銀行よりも地元の中小企業への融資に対する姿勢は積極的です。
●銀行や信用金庫で利用できる融資の種類
銀行や信用金庫では、銀行独自で貸し付けを行うプロパー融資や、プロパー融資では貸し付けは難しい企業などに対し、実施する審査はハードルが低めだけれど金利は高めに設定して貸し付けを行うビジネスローンなどが取り扱われています。
政府系金融機関からの融資
政府系金融機関である日本政策金融公庫は、営利を目的とせず貸し付けを行うため、金利設定も低めであり、中小企業の融資相談にも積極的な姿勢をみせてくれます。
「創業融資」などがそのひとつで、銀行から融資を受けるときよりも審査のハードルは低く、低金利です。
ただ、自己資金をある程度準備しておく必要があり、目安としては自己資金の約3倍までの借り入れが可能と認識しておきましょう。
信用保証協会の保証を付けた融資
もし銀行から融資を受けた後で、万一、返済不能状態に陥ってしまった場合、保証人としての機能を発揮してくれる機関です。銀行など金融機関で融資の申し込みをする際、銀行などを経由して信用保証協会に申し込みを行うことになります。
仮に信用保証協会が債務者である企業に代わり弁済を行った場合は、返済する相手は銀行から信用保証協会に変更されるので、返済義務を免れるわけではありません。
ビジネスローン専門の金融業者からの融資
銀行が貸し付けを行うビジネスローンより審査のハードルが低く、金利も高めの設定です。
そのため、返済負担が重くなりがちであることから、長期間の借り入れには向かないと理解しておきましょう。
一時的な資金不足を解消させることを目的に融資を受けたいけれど、後にすぐ売上代金の入金が予定されているので返済できるといったつなぎ資金として使用する分には問題ありません。
審査結果や条件は、コンピューターシステムにより、自動的に算出されることも特徴です。
融資の申し込みをスムーズに進めるために
どの金融機関や金融業者から融資を受けるにしても、事前に必要な準備は揃えておいたほうが申し込みから審査、融資の実行までがスムーズに運びます。
書類に不備のないよう、揃えておくことが必要ですが、融資を受ける際の申し込みに必要な書類が次のとおりです。
決算書3期分の写し
決算書には、貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書など種類がありますがすべて準備しておきましょう。
借入申込書
希望する借入金額、金利、返済期間などの条件、実際に融資が実行された後の資金の使い道(資金使途)、支払い条件、売上目標、今期や来期の業績見通しなどを記載し、提出します。
資金繰り表
短期間での融資を希望する場合に必要な書類ですが、資金使途や返済財源となるものを伝えるための資料としても有効です。
試算表
決算後、すでに6か月以上が経過している場なら、現在の財務状況を把握することが困難になるので、試算表を参考資料として求められます。
借入残高表
融資の申し込みを行う金融機関以外からも借り入れを行っている場合、借り入れごとに借入残高表が必要です。
返済計画表
長期に渡り融資を利用する場合には、借りた資金をしっかり返済できることをアピールするためにその計画を提出します。万一、事業が円滑に進まなかった場合でも、返済が可能であることを証明する返済計画表を作成しておくとより信頼性が高まります。
納税証明書
もし税金を滞納していたり、未納分がある場合には借り入れが難しくなります。しっかり納税していることを証明するための書類として、納税証明書の提出を求められることが多いといえます。
また、商業登記簿謄本、担保明細、見積書、印鑑証明書などを必要とする場合もあるので、事前に融資の申し込みを行う金融機関に確認しておくと安心です。
事業計画書
どこから資金の融資を受けるかは関係なく、必ず必要になる書類と理解し作成しておきましょう。今後、事業をどのような戦略で進めて行くのか、資金の使い方なども含め、3年分の計画を書面に落とし込むことが必要です。
また、金融機関の印象を上げようと、無理な計画や到底実現できない内容を記載しても意味がありません。遂行が可能となる根拠を示した上で、実行できる計画書を作成してください。
根拠を示すことができ、その内容に信憑性があると判断されれば、融資により資金を調達できる可能性は高まるでしょう。
なお、事業計画書の作成方法は、インターネットなどにテンプレートなどダウンロードできるようになっていますが、慣れていない状態で作成すると失敗する可能性があります。
専門家などと相談しながら適切な内容のものを作成するようにしたほうが効率的ですし、金融機関の審査によい影響を与えやすくなるはずです。
もし融資の審査に通らなかったときにも備えておく
万一、融資の申し込みを行い、審査に通過できず資金が調達できなくなったら…。しかし、資金の調達方法は融資以外にもいろいろあります。
たとえば取引先との間で発生した売掛金。この売掛金をファクタリング会社に売却し、入金期日よりも前に現金化させるファクタリングという方法なら、負債を増やすことなく資金の調達が可能です。
ファクタリングは融資ではないので、実施される審査の内容や重視される項目も、融資の審査とは異なります。
もし、融資による資金調達ができず、資金に不足が生じて困っているという場合には、ファクタリングも方法の1つとして検討してみるとよいでしょう。
必要書類を準備しておけば、最短で即日現金化できる場合もあるため、急な資金の需要にも対応できる手法です。
まとめ
中小企業が資金を調達する方法はいろいろありますが、その中で融資を受けることを選ぶ場合、何のために資金を調達するのか、その目的や返済計画、その後の事業計画などをしっかりと示すことができるようにしておきましょう。
融資における審査に通過しなければ、借り入れによる資金の調達は叶いません。
もし資金調達の方法に迷いがある場合や、どの方法を選ぶことが適切かわからないという場合、専門家などに相談してみることも検討してみてください。
今後、倒産の危機に直面することなく、安定した資金繰りのもとでスムーズな経営が行える状況を目指しましょう。
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