事業者ローンとビジネスローンの違い|資金調達に活用するのなら

2019/12/24
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資金調達にお金を借りる方法を選んだとき、一般的な銀行融資では審査が厳しいので事業者ローンやビジネスローンを利用したいという方もいるかもしれません。

ここで気になるのは、事業者ローンとビジネスローンは違いがあるのか?という点ですが、それぞれどのような特徴があるのか、その内容を把握しておくとよりよい資金調達に繋がります。

そこで、事業者ローンとビジネスローンの違いを知る上で必要な、それぞれの内容と特徴、利用する上でのメリットやデメリットなどをご説明します。

 

「事業者」とは?

事業者ローンとビジネスローン、どちらも金融業者が貸し付けの対象としているのは事業者です。

事業者とは、対価を得て行われる資産の譲渡などを繰り返し、継続、独立して行う、事業としての行為を行う個人事業者と法人のことです。

個人事業者の対象となるのは、小売業や卸売業を行う方、賃貸業や取引の仲介、運送、請負、加工、修繕、清掃、クリーニング、理美容などを営む方、医師、弁護士、公認会計士、税理士なども含まれます。

法人の場合は、株式会社など会社を設立している場合、医療法人や医療法人などの公益法人などの法人はすべて事業者ですし、法人でない社団や財団で代表者や管理人の定めがある場合も法人とみなれ事業者になります。

さらに独立禁止法第二条でも、事業者とは、商業、工業、金融業、その他の事業を行う方とされています。

仮にサラリーマンが副業で不動産投資を行っている場合も、対価を得て行われる資産の譲渡などを繰り返し、継続、独立して行うことである事業としての行為を行っているのなら、事業者となります。

その事業者を対象としている貸し付け事業者ローンビジネスローンですが、呼び方がそれぞれ異なるだけでなく、金融商品として生まれた経緯も少し異なります。

 

もともと消費者金融が提供する金融商品はキャッシングだった?

事業者ローンやビジネスローンは、銀行やノンバンクなどの金融業者が提供する融資サービスです。

現在、大手消費者金融が提供する金融商品は、現在のようなカードローンという呼び方ではなく、キャッシングと呼ばれていました。

ただ、返済しきれないほど借金を抱えてしまう多重債務者や自己破産者が増えてしまったことが深刻な社会問題となり、平成18年に従来の法律が改正されて貸金業法が制定されました。

貸金業法により、個人の借入残高は年収の3分の1までとし、法律上の上限金利も引下げられ、さらに貸金業者に対する規制も強化されました。

それまで、出資法の上限金利と利息制限法の間にあるグレーゾーン金利を利用して、違法な金利を取っていた金融業者に対し、払い過ぎている金利を戻してもらう過払い金請求も多く発生するなど、すっかりキャッシングという言葉のイメージは悪化してしまったのです。

銀行も通常の融資とは別に、審査のハードルを下げたカードローン個人向けの融資サービスとして提供しはじめたのですが、大手消費者金融も印象を回復させるためにこの銀行の融資サービスの名称に似せるよう、キャッシングからカードローンとしてサービスを提供するようになったのです。

事業者ローンやビジネスローンは対象が個人ではなく事業者ですが、消費者金融では同様の動きを見せます。

銀行が事業者に行う融資サービスは一般的に銀行融資と呼ばれ、消費者金融などノンバンクが事業者に向けた融資サービスは、商工ローンや事業者ローンと分けられていました。

しかし、銀行も事業者を対象に、一般的な融資を受けることが難しい中小企業などを対象として審査のハードルを下げたビジネスローンという融資サービスを始めたので、ノンバンクでもビジネスローンという金融商品で貸し付けを行うようになったという流れです。

そのため、事業者ローンとビジネスローンはその内容に違いはなく一般的に同じ融資サービスを示す言葉として使用されています。

 

銀行がビジネスローンを始めた理由

銀行が自行の責任で貸付を行うプロパー融資は、銀行の融資担当者が借り入れの相談・申し込みを受けた後、稟議書を作成して融資部、その上の上司、支店長などへ稟議書を回覧し、さらに支店長もしくは本部の役員が稟議書の決済を行うという形を経て融資が実行されます。

融資を行うまでの調査にも時間や手間だけでなく人件費など経費が発生しますので、融資の案件が1億円という1件を扱ったほうが、100万円の案件を100社扱うよりコストパフォーマンスがよいといえます。

そのため、大口ではなく小口の借り入れを希望することの多い中小企業よりも、大口融資を希望する規模の大企業の案件のほうが優先されるようになってしまいました。

しかし、日本の企業の99%以上は大企業ではなく中小企業であり、その中小企業が融資を受けたいという案件を取りこぼすことは、銀行にとしてももったいないと考えるようになったのです。

そこで、時間や人件費などコストがかかる審査を、時間や手間、費用をかけずにスムーズに行えるようにスコアリングシステムを使った自動審査で行うようにすることを検討しました。

スコアリングシステムとはクレジットスコアリングとも呼ばれていますが、統計的モデルに基づき、個人や企業などの信用度を点数化させ、与信における可否を中立的に、そして迅速に判断できるシステムのことです。

スコアリングシステムを導入すれば、審査業務においてのコスト削減や効率化に役立ち、さらに予想貸し倒れ率を算出できるので、その割合より金利を高く設定した融資を行えば、万一、返済がされなくなり貸し倒れが発生したとしてもそのリスクに備えることができます。

このスコアリングシステムを活用した融資サービスがビジネスローンであり、一般的な銀行融資により借り入れが難しい中小企業などを対象とした金融商品として多く利用されるようになりました。

 

現在、銀行ではビジネスローンを積極的に提供しなくなった?

テレビのコマーシャルなどでも芸能人などを採用し、積極的にビジネスローンの販売を広げていた銀行ですが、実際にはこの予想貸し倒れ率があたらない結果となりました。

その背景には2008年に起きたリーマンショックなど、中小・零細企業の経営悪化による倒産増加などで、スコアリングシステムで算出した予想貸し倒れ率を大きく上回る不良債権が発生してしまったのです。

また、銀行カードローンはそれまで即日融資を可能としていたのですが、反社会的勢力との取り引きが行われないよう厳しく確認するため、申込者を警察庁のデータベースで照会・確認することが必須となったため不可能となりました。

 

現在の事業者ビジネスローンやビジネスローンの形

現在、銀行ではビジネスローンや事業者ローンなどを積極的に提供することは行われなくなりましたが、希望すれば申し込みは可能です。

ただ、ノンバンクなどのほうがより積極的で審査のハードルも低めに設定されており、融資が実行されるまでの時間もかからないので急いで資金調達したいというニーズにも対応可能です。

ただ、ノンバンクのほうが銀行より金利は高めに設定されますので、一時的な資金の調達に留まらないようにその後の返済計画や資金繰りを見越した上で利用することが大切といえます。

 

事業者ローンやビジネスローンは担保や保証人は必要か

事業者ローンやビジネスローンと呼ばれる借り入れは、担保や保証人が必要ない無担保ローン、そしてそれらを必要とする有担保ローンがあります。

融資を受けて資金調達したくても、不動産など価値の見込める資産を保有していないことで融資を利用できない事業者も少なくありません。

しかし無担保で利用できる事業者ローンであれば、不動産など資産を保有していなくても融資を受けることができます。

ただ、担保や保証人を準備せず融資を受けることができる分、担保を差し入れたり保証人を付ける場合より金利は高めに設定されることになるでしょうし、融資可能となる金額も少なくなります

その一方で有担保の事業者ローンであれば、希望する事業資金の金額が大きい場合でも担保として差し入れる資産価値に見合う金額で借り入れが可能となるでしょうし、金融業者が抱えることになる貸し倒れリスクも低減されるので金利も低く抑えることが可能となります。

ただ、審査にかかる時間は無担保の場合より長くなるので、急いで資金調達が必要というニーズには対応できない可能性がある点は理解しておきましょう。

 

一般的な事業者ローンの金利は?

事業者ローンは個人の借入総額は年収の3分の1に制限する総量規制の対象にはなりません。

ただ、利息制限法の範囲で貸し付けを行うことは必要なので、下限金利は6.0~10.0%、上限金利は18.0%となっていることが多いようです。

利息制限法では、

  • ・元本が10万円未満の場合は年率20%
  • ・元本が10万円以上100万円未満の場合は年率18%
  • ・元本が100万円以上の場合は年率15%

と上限金利が設定されています。

融資を行う元本の金額によって設定できる上限の金利が決まるのですが、いずれにしても一般的な銀行融資より金利が高めになります。

そもそも中小企業などに対して融資を行うことは、貸し倒れリスクが極めて大きい取引と判断されやすいため、リスクが高い分、金利を高く設定させておくことが必要だからです。

 

事業者ローンで即日融資を受けたいなら

銀行で事業者向けのビジネスローンの申し込みを行っても、融資まで一定時間がかかるので即日、融資が実行されることはありません。

しかしノンバンクなどの事業者ローンであれば、そのような急な資金調達ニーズに対応できるよう、即日融資を可能としています。

今日、明日中には資金を準備しなければならないというニーズにも対応できることがノンバンクの事業者ローンの大きな強みともいえますが、先にも述べたとおり銀行で資金を借り入れるよりも金利は高めに設定される点は理解しておきましょう。

また、最短で即日融資を可能とするノンバンクに申し込みを行ったとしても、金融機関の営業時間外に申し込みを行った場合や、その時間までに審査が間に合わない場合には翌営業日に融資実行されることになりますので注意してください。

 

事業者ローンの審査で重視されることとは?

いくら審査のハードルが低いといっても、赤字の企業や倒産寸前の企業にまで貸し付けを行ってしまえば、融資を行う金融業者側の損失が膨れ上がり倒産してしまいます。

そのため、貸し倒れ率や貸し倒れ損失を一定範囲に抑えるため、許容できるリスクの範囲を判定するため審査を行うことになりますが、その中で重視されるのはやはり返済能力です。

過去の借入履歴や他社での借入件数とその金額、金融事故歴、事業の実績、決算書の数値など、様々な項目を審査します。

過去の膨大な融資データを基準として、どのような条件の事業者に融資を行えばどのくらいの貸し倒れが発生するか判断していきます。

融資可能と判断された場合には、

融資金利>貸し倒れ率+α(利益や企業の運営コスト)

という公式にあてはめて金利を設定します。

設定する金利を貸し倒れ率より多く設定しておけば、万一貸し倒れが発生したときにも損失を抑えることができるからです。

この公式を自動的に計算するのが、先に述べたスコアリングシステムであり、算出された予想貸し倒れ率が一定の基準を超えれば融資不可という判断をされる形です。

 

事業者ローンで融資可能となる金額は?

事業者ローンで融資可能となる金額は、銀行やノンバンクによって異なります。

一般的にはどちらも最大で500万円や1,000万円というケースが多いですが、銀行によっては最大1億円以内という場合もあるので、調達したい資金の金額によって選ぶことになるでしょう。

 

個人事業主が利用しても総量規制の対象にはならない?

事業者ローンは総量規制の対象にはなりません。貸金業法の総量規制とは、個人への貸し付けを対象としており、法人に対する貸し付けは対象にならないからです。

また、法人ではなく個人事業主が事業者ローンを利用する場合でも、事業資金としての借り入れは対象外とされています。

除外貸付けや例外貸付けという、総量規制になじまない貸付けとされる場合には、個人が借り入れる場合に年収3分の1を超えていたとしても、返済能力が認められれば貸金業者から融資を受けることができます。

日本貸金業協会のホームページには、この総量規制の除外貸付けと例外貸付けについて、どのような契約が該当するのか記載されていますので確認しておくとよいでしょう。

なお、個人事業者に対する貸付けは例外貸付けに分類されていますので、総量規制に縛られることなく融資を受けることが可能です。

 

まとめ

事業者ローンやビジネスローンと呼ばれる借り入れは、一般的な銀行融資を受けることが難しい中小企業などにとって借りやすいことが大きなメリットです。

ただ、審査のハードルが低く設定される分、金利は高めに設定されることになりますので、資金を調達した後で計画的に返済を行わなければ資金繰りが悪化してしまう可能性もあります。

事業者ローンなどで資金調達をするのなら、まずは資金を調達した後にどのように返済していくのか、その後の資金繰りを見越した上で計画を立てておくようにしましょう。

また、繰り返し利用してしまうと元本が減らず、なかなか完済できなくなる可能性がありますので、入金前の一時的な資金ニーズにのみ利用を留めておくなど、過度に依存したり利用し続けないことをおすすめします。

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