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商工会が行う「経営改善普及事業」で支援してもらえることとは?

2022年4月14日 / 資金調達

地域の事業者が業種の隔たりを越え会員となり、互いの事業や地域の発展に向けて創業的に活動を行うのが「商工会」ですが、小規模事業者の経営改善普及に向けた事業も行っています。

商工会の「経営改善普及事業」は、小規模事業者の経営や技術も改善・発達を図ることを目的とした事業であり、資格を保有する経営支援員などが金融・税務・経営・労務など多岐に渡る相談・指導を行い地域活性化に向けた取り組みを実施していることが特徴です。

他にも商工会では、経営計画策定の支援を行い、売上増進をサポートする経営発達支援事業なども行っていますが、どちらも国と都道府県の補助金交付により秘密厳守・無料で支援されます。

そこで、商工会が行う「経営改善普及事業」ではどのようなことを支援してもらえるのか、その内容について紹介していきます。

商工会なら安心して相談できる理由

商工会の「経営改善普及事業」の対象となるのは小規模事業者ですが、「小規模事業者」とは商工会法で定めのある商工業者であり、常時使用している従業員数が20人(商業またはサービス業は5人)以下の事業者です。

経営について悩みを抱え、改善させるためにどうすればよいか相談したいけれど、相談料などが発生してしまうのでは…と不安を抱える小規模事業者も少なくないことでしょう。

大企業と異なり、資金力も大きくない小規模事業者にとって、できるだけ費用をかけずに相談したいと考えるのは当然のことです。

そのような場合でも、商工会の「経営改善普及事業」によるサポートであれば、無料で相談することができます。

商工会が行う「経営改善普及事業」の中で注目したい支援

商工会が行う「経営改善普及事業」であれば、無料で経営の専門家に相談することができます。

状況により企業訪問なども行われますが、対象となるのは各地域の商工会のあるエリアの事業者です。

確定申告や年末調整など、税務に関するアドバイスを受けることもでき、IT導入によるシステム化なども支援してもらえます。

また、会社経営では欠かすことのできない資金調達についての相談や、公的融資制度の紹介などにも対応しています。

サポートしてもらえる内容は、項目ごとに分けると主に次のとおりとなります。

  • ・税務…確定申告・年末調整・企業などの税務対策・複雑でわかりにくい税務に関するアドバイス
  • ・経理…IT財務会計システムによる効率化・元帳作成・記帳業務代行・「ネットde記帳」のサポート
  • ・融資…経営安定・向上に向けた資金調達に関する相談・融資の斡旋
  • ・労務…従業員の福利厚生など企業の労務面のサポート・労働保険の業務委託
  • ・創業・経営革新…起業や新事業を開拓する方に向けた専門家の派遣等支援
  • ・販路開拓…販路開拓・新分野進出を目的とした企業マッチング
  • ・情報化推進…経理のIT化・パソコンやインターネット活用による事業相談・アドバイス
  • ・講習会・研修会…必要な知識や技術を提供する講演会や研修会など各種開催

商工会が行う経営改善に向けた支援事業の内容

商工会が行う「経営改善普及事業」は、小規模事業者の経営改善や発達が主な目的です。

具体的に次のようなことを経営改善支援事業として行っています。

  1. 主任経営支援員の経営支援
  2. 講習会・研修会の開催
  3. 公的融資などの金融支援
  4. 税理士による税務・経理支援
  5. IT導入など活用支援
  6. 従業員の福利厚生を目的とした労働支援

それぞれどのような支援か、その内容を説明します。

主任経営支援員の経営支援

経営のことで悩んでいる小規模事業者に対し、商工会窓口で主任経営支援員などが相談を受け付け、適切なアドバイスを行っています。

定期的に地域の事業者を回る巡回支援も行い、専門分野ごとに上席専門経営支援員が支援に回るといった対応も行っているようです。

また、経営発達支援事業では、経営計画の策定支援に基づいた伴走型支援・売上増進をサポートしています。

今後は企業力をアップさせていきたいと考える事業者には、小規模事業者持続化補助金など積極的に実施するなど、様々な支援を行っているといえるでしょう。

講習会・研修会の開催

経営における必要な知識・技術など、様々な情報提供に向けて講習会や研修会などを開催しています。

公的融資などの金融支援

資金調達は事業を続ける上で欠かせないことですが、金利が安く担保や保証人など不要の公的融資など、金融支援やあっ旋も行っています。

たとえば「マル経融資(小規模事業者経営改善資金融資制度)」は、金融面でいろいろな制約のある小規模事業者に対し、商工会が推薦することで、無担保・無保証・低利の融資を受けることができる制度です。

常時使用する従業員が商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)なら5人以下、製造業などは20人以下であることに加え、商工会の経営指導を原則6か月以上受けることが必要ですが、運転・設備資金どちらも2千万円まで借りることができます。

また、マル経融資以外にも、小規模事業者に有利と考えられる融資制度を紹介してくれます。

たとえば日本政策金融公庫の次のような融資制度のあっ旋を行っているので、民間の銀行には相談しにくいという場合には問い合わせてみるとよいでしょう。

  • ・普通貸付
  • ・小規模事業者経営改善資金貸付
  • ・小規模事業者経営発達支援資金
  • ・セーフティネット貸付
  • ・新企業育成貸付
  • ・企業活力強化貸付
  • ・環境・エネルギー対策貸付
  • ・企業再生貸付
  • ・災害貸付・食品貸付
  • ・生活衛生貸付

など。

税理士による税務・経理支援

経営者の中には、簿記や財務の知識が豊富という方もいれば、営業活動は得意だけれど決算書の読み方すらわからないという方もいます。

税金の各種控除など知らない方や、そもそも白色申告や青色申告の違いがわからないなど、税務に関するいろいろな悩みを抱えていることもめずらしくありません。

そこで商工会では、帳簿の記帳方法や決算・申告の方法まで、適切にアドバイスを行っています。

決算や申告期になると税理士が専門相談員として無料の税務相談に応じるなど、専門家からアドバイスを受けることができるのもメリットです。

IT導入など活用支援

どのような業種でもIT化が進んでいますが、地域情報を発信し地域の活性化を目指すためにも、インターネットの導入やIT化、SNSの活用支援などを行っています。

従業員の福利厚生を目的とした労働支援

小規模事業者に雇用されて働いている従業員の福利厚生のために、

  • ・社会保険
  • ・労働保険
  • ・退職金

などの相談にも適切にアドバイスをしてもらえます。

たとえば社会保険は、すべての法人事業所と、常時5人以上の従業員を雇用する一般の個人事業所(飲食・サービス・農・林・漁業などは除く)が加入を義務付けられています。

従業員が5人未満の個人事業所の場合でも、一定の手続で認可を受ければ、健康保険・厚生年金を適用させることが可能です。

そして従業員を1人でも雇用する場合には、業種に関係なく労働保険に加入しなければならないとされています。

しかし労働保険の事務手続が面倒に感じることや、人手不足で事務処理にまで手が回らないというケースもめずらしくありませんが、商工会が運営指導する労働保険事務組合に事務委託し、代行してもらえます。

事務委託により事務処理が軽減されれば、労災保険に加入できない事業主や家族従事者も労災保険に特別加入できることもメリットです。

まとめ

商工会では小規模事業者を対象とした経営改善の普及事業を行っていますが、無料で相談できることがメリットです。

ただ、商工会だけでなく、たとえば資金調達の悩みを相談するファクタリング会社などでも、コンサルティング業務も行い事業者の様々な悩みに対応しているケースがあります。

相談も無料ででき、公的融資に限らず適切な資金の調達方法も提案してもらえるため、困ったときには相談してみてはいかがでしょう。

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「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」を解説!今活用したい銀行融資制度

2022年3月16日 / 融資

令和4年3月4日、「中小企業の事業再生等に関する研究会(一般社団法人全国銀行協会)」は、「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」を取りまとめました。

ガイドラインは、中小企業者が「平時」や「有事」などそれぞれの段階で迅速に事業再生に取り組むことができるように、銀行などに協力を求めることを目的としています。

銀行などが中小企業者の維持・発展や、事業再生の後押しするきっかけとなることが期待されますが、その内容と今活用したい銀行融資制度について解説していきます。

「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」の目的とその対象

新型コロナウイルス感染拡大の影響や、ロシア・ウクライナの問題により、事業にも影響が出ている中小企業者は少なくありません。

そこで、「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」は主に以下の目的で策定されました。

  • ・中小企業者の「平時」「有事」「事業再生計画成立後のフォローアップ」など、それぞれの段階で中小企業者と金融機関が果たすべき役割を明確化し、事業再生などに関する基本的な考え方を示すこと
  • ・新型コロナウイルス感染症の影響から中小企業が脱却し、迅速・柔軟に事業再生などに取り組むこと(事業再生のための私的整理手続を含む)

ガイドラインで対象となる「中小企業者」とは、資本金額または出資総額が3億円以下の会社・常時使用する従業員の数が300人以下の会社・個人などです。

「小規模企業者」とは、おおむね常時使用する従業員数が20人(商業・サービス業は5人)以下の事業者を指しています。

詳しくは、中小企業庁の「中小企業の定義について」に記載があります。

「金融機関」は、中小企業者に対し融資を行っている銀行・信用金庫・信用組合・労働金庫・農業協同組合・漁業協同組合・政府系金融機関です。

「対象債権者」は、「金融機関」と銀行などからの債権譲渡を受けているサービサー・貸金業者を指します。なお、私的整理が必要な場合には、その他債権者も含みます。

ガイドラインに示されている「有事における中小企業者の対応」

新型コロナウイルス感染拡大の影響は、まさに中小企業者にとって「有事」といえます。

売上激減に収益力低下、過剰債務などで財務内容は悪化し、資金繰りが立ちいかなくなっている企業は少なくありません。

経営に支障が生じるときには、置かれた状況により早期に経営改善を図り、事業再生など検討・実行することが望ましいといえます。

そして円滑に事業再生など図るためにも、中小企業者と銀行など金融機関がそれぞれの立場を認識・理解しあい、一体となって取り組んでいなければなりません。

そこで、中小企業者の迅速・円滑な事業再生などを図るために、ガイドラインでは中小企業者と金融機関が事業再生などに取り組むときの基本的な考え方を示しています。

「有事」のときに求められる中小企業者の対応

ガイドラインでは中小企業者が有事に至ったとき、事業再生などを図るためには、原則として次の対応を行うことが求められるとしています。

  1. 銀行など金融機関に対し、正確・丁寧に経営状況と財務状況の適時・適切な開示を行う
  2. 自律的・持続的な成長に向けて、本源的な収益力回復に向けた取り組みを行う
  3. 必要に応じて専門家などに相談し、自力で事業再生計画を策定する
  4. 段階によって必要とされる以下の対応を行う
  • ・銀行など金融機関に対し返済猶予など条件緩和の要請
  • ・銀行など金融機関に対し債務減免など抜本的な金融債務の減免やその他債務の資本化の要請
  • ・銀行など金融機関や専門家の支援・助言を得ながら透明性のある手続でスポンサーを選定する
  • ・事業廃止(廃業)を検討する

「有事」のときに求められる銀行など金融機関の対応

中小企業者に対し、銀行など金融機関・保証協会・サービサー・貸金業者・リース債権者は、原則として次の対応を行うことが求められます。

  • ・事業再生計画の策定支援
  • ・条件緩和・債務減免・スポンサー支援の探索・取引先対応を含めた円滑な処理等への協力の要請について誠実に検討

政府系金融機関の事業再生に向けた融資制度

政府系金融機関のうち「日本政策金融公庫」では、中小企業者の事業再生を支援する制度として、次の融資制度で企業をサポートしています。

  • ・事業再生支援資金(民事再生法の規定による再生手続開始申立てなど行った方が対象)
  • ・企業再建資金(経営改善または経営再建などに取り組む方が対象)
  • ・挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)(事業再生に取り組むため財務体質を強化したい方が対象)
  • ・シンジケートローン特例(企業再建に取り組む方は民間金融機関と連携し合意した条件で融資)

それぞれどのような制度か確認し、活用できるものはうまく利用して事業再生につなげていきましょう。

事業再生支援資金

地域経済の産業活力維持に貢献することや、技術力などからみたときに経済的・社会的に有用と認められる事業再生を支援する制度です。

民事再生法の規定による再生手続開始の申立てなど行った場合に利用できます。

  • 資金の使いみち 事業再建のために必要な設備資金・長期運転資金(長期運転資金には建物などの更新に伴って一時的に施設など賃借するとき必要となる資金を含む)
  • 融資限度額 直接貸付7億2千万円(内運転資金2億5千万円)
  • 利率(年) 基準利率(上限3%)※信用リスク・融資期間などにより所定の利率が適用
  • 返済期間 1年(据置期間1年以内)ただし一定要件を満たす場合は設備資金10年以内(据置期間2年以内)・運転資金5年以内(据置期間2年以内)
  • 担保・保証人 担保設定の有無・担保の種類などは満たす要件や相談の上決定(直接貸付で一定要件に該当する場合は経営責任者の個人保証が必要)

企業再建資金

地域経済の産業活力維持に資する事業などを行う中小企業者が、経営改善・経営再建などに取り組む必要があるとき、その自助努力による企業再建を支援するための制度です。

経営改善、経営再建等に取り組む中小企業で、早急に企業再建を行う必要がある場合に利用できます。

  • 資金の使い道 企業再建を行う上で必要となる設備資金および長期運転資金
  • 融資限度額 直接貸付7億2千万円(別枠)
  • 利率(年) 基準利率(上限3%)
  • 返済期間 設備資金20年以内(据置期間2年以内)・運転資金15年以内(一定要件を満たす場合20年以内)(据置期間2年以内)
  • 担保・保証人 担保設定の有無・担保の種類などは相談の上決定(直接貸付で一定要件に該当する場合は経営責任者の個人保証が必要)

挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)

新規事業や企業再建などに取り組む中小企業の財務体質強化を目的とし、資本性資金を供給するための制度です。

直接貸付で、

  • ・新企業育成貸付
  • ・企業活力強化貸付(一部制度除く)
  • ・企業再生貸付(一部制度除く)

を利用し、

  • ・地域経済活性化のため一定の雇用効果(新たな雇用・雇用の維持)が認められる事業
  • ・地域社会にとって不可欠とされる事業
  • ・技術力の高い事業

などに取り組む場合に利用できます。

  • 融資限度額 1社あたり3億円(ただし事業承継・集約・活性化支援資金(企業活力強化貸付)は1社あたり別枠3億円)
  • 利率(年) 適用した貸付制度に基づいて貸付後1年ごとに直近決算の業績に応じ3区分の利率を適用
  • 返済期間 15年・10年・7年・5年1か月(期限一括償還)
  • 担保・保証人 不要

シンジケートローン特例

企業再建・経営改善などに取り組む方に対し、民間金融機関と連携し資金供給する特例制度です。

企業再建資金(企業再生貸付)を利用する場合に適用されます。

  • 資金の使い道 設備資金・長期運転資金(長期運転資金には建物などの更新に伴って一時的に施設など賃借するための資金を含む)
  • 融資限度額 1社あたり別枠7億2千万円
  • 利率(年) シンジケートローンに参加する金融機関が合意した利率(固定利率の場合は一定の制約有)
  • 返済期間 シンジケートローンに参加する金融機関が合意した期間(設備資金は30年以内・運転資金は20年以内)
  • 返済方法 シンジケートローンに参加する金融機関が合意した方法(ただし割賦期間は1・2・3・6・12か月のいずれか)

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新型コロナウイルスにロシア・ウクライナ問題で事業計画の見直しが急務!

2022年3月10日 / 資金繰り

新型コロナウイルス間瀬園拡大の影響により、事業継続に奔走する企業は少なくありませんが、本来の事業計画の見直しを余儀なくされている状況です。

緊急事態宣言やまん延防止措置などで景気後退が深刻化する中、年度事業計画や予算など経営計画の見直しは避けられないでしょう。

それに加え、ロシア・ウクライナ問題によりアフターコロナ・ウィズコロナの状況下だけで、事業計画の見直しを検討することは難しくなりました。

中小企業だけでなく大企業も同様ですが、今後何を踏まえて事業計画を見直すべきなのか、現状を把握しながら検討していくことが求められます。

新型コロナで事業計画の見直しが急務に

現在、新型コロナウイルス感染拡大により多くの企業が業績予測・事業計画・戦略について見直しを余儀なくされています。

多額の赤字計上や資金繰りに窮する企業も少なくありませんが、実際、コロナ禍はいつ収束するのか明確にはわかりません。

長期的な目線で事業計画を見直すことが求められる中で、ロシアがウクライナに侵攻を続けており、さらに先行きの見通しが不透明となっています。

ただ、コロナ禍や世界の情勢を理由に思考停止に陥るべきでなく、会社経営を続けるためには利益やキャッシュフローを追求しなければなりません。

当然、同業他社との競争もなくなったわけではないため、消費者の行動様式が変わっても人口は大きく変わらないことを認識しておくべきです。

市場縮小で他社との競争が激しくなり、消費者の行動様式が変化したことで業界構造も変わってきた状況も踏まえ、戦略を再構築し事業計画に落とし込んでいきましょう。

大企業でも事業計画や運営体制の見直しが進んでいる

新型コロナウイルス感染拡大を受けて事業継続に奔走する企業は少なくありません。

従業員や取引先で感染者や濃厚接触者が急増し、工場を稼働させることができないといった状況も相次いでいます。

大手企業でもその影響により、たとえばキリンホールディングスや住友電気工業は従業員の半数が欠勤した場合でも、事業に支障が出ない機動的な運営体制とするようです。

そもそも災害やシステム障害などが発生した場合でも、重要な業務は継続できるように事業継続計画(BCP)が策定されています。

コロナ禍により事業継続計画(BCP)を見直す、またはすでに見直しを行った企業は8割といわれているため、現状を乗り切るためにすでに多くの企業が舵を切っているといえるでしょう。

たとえば従業員の欠勤率を盛り込んで事業継続計画(BCP)を策定していれば緊急時には対応しやすくなります。

しかし欠勤が増える中で欠勤率を前提に事業計画を立てている企業は少なく、事業継続計画(BCP)は策定していても、欠勤率が一定水準を超えると工場の操業はできなくなるケースも見られます。

さらに無症状患者にはどのように対応するべきか検討も進んでおり、たとえば隔離を徹底した上でテレワークなど事業継続に不可欠な人材を勤務へ復帰させるといった方法も必要となるでしょう。

単独で事業継続に取り組むのではなく、サプライチェーン全体への目配りも必要となるため、従業員を取引先に派遣することや派遣従業員など紹介することも検討していかなければなりません。

人的資源が不足するリスクが懸念されますが、最低限継続させなければならない製品やサービスを改めて点検しながら、どのように人的資源を配分するか見直さなければならないといえるでしょう。

ロシア・ウクライナ問題による企業の動き

日産自動車とホンダは、2022年の春季労使交渉で労働組合の要求に満額回答する方針を3月9日明らかにしました。

ロシアのウクライナ侵攻など、外部環境が不透明な状況ですが、労使一体で乗り越えるためにも早期決着することが狙いとされています。

ホンダもベアに相当する賃金改善分を組合の要求通りで回答する方針を明確にしており、やはり労使一体となって変革を加速させる姿勢を示すためのようです。

これらの満額回答が自動車業界全体の労使交渉へと前向きな影響を及ぼすことが期待されますが、今後は自動車業界の満額回答の流れが他産業にどのくらい広がるかでしょう。

日本企業の賃金は低迷が続いており、30年前から変わっていないとも言われています。

そのような中で賃金が増加に転じる可能性が期待されますが、実際には企業業績にばらつきがみられるため、他社の交渉に大きく影響があるとも言い切れません。

小麦需要を輸入に頼る日本では大打撃

ウクライナ情勢の緊迫化など小麦などは国際価格が上昇しており、国が輸入し製粉会社などに売り渡す小麦価格は4月から平均17.3%引き上げられます。

これにより、小麦粉を原料とするパンやパスタなどの食品は、値上げ圧力となるでしょう。

国内で食用に使用する小麦の約9割は米国・カナダなど海外から輸入に頼っていますが、米国やカナダの高温乾燥による不作に加えて、世界最大の小麦輸出国ロシアは輸出規制を実施しています。

ロシアとウクライナの小麦輸出は世界全体の約3割を占めているため、供給が縮小する懸念も強まっているといえます。

国際相場高が続くことで、10月期の売り渡し価格も上昇する可能性が高くなってしまいます。

国産小麦も値上がりすることが予想され、製粉会社などが年に1度入札するときの基準価格は、生産者団体などによる協議会が政府売り渡し価格変動を反映し決めます。

今回の改定で製粉会社がパンや菓子メーカーなどに対する小麦粉の販売価格を改定するのは、現在抱える在庫3か月分が消化される夏ごろと予想されるでしょう。

また、小麦粉だけでなく食用油や包装費など、食品に使用する原材料も上昇しているため、さらに小麦粉価格が上昇することで食品企業は価格転嫁しなければならなくなる可能性も出てきます。

賃金が上がらない中で生活に欠かせない食品が値上がりすることは消費者の家計に打撃を与えることとなりますが、個人消費が落ち込めば日本経済全体の足かせになることも予想されます。

原油価格の高騰などでさらに様々な産業が影響を受けることに

ロシアによるウクライナ侵攻により、エネルギー・穀物・金属など幅広いものの価格高騰が続いています。

それにより世界経済の先行きに影響すること懸念されますが、ロシアに対する経済制裁の影響でイギリスの石油大手「シェル」は、日本企業も参加する石油天然ガス開発事業「サハリン2」からの撤退を発表しています。

アメリカやEUなどによる制裁の強まりで、事業継続は難しいと判断したということです。

アメリカとイギリスがロシア産原油の輸入禁止措置などを打ち出したことで、1年前の2倍の水準まで原油価格が跳ね上がった状態といえますが、ニューヨーク原油市場でも高止まりが続いています。

さらにロシアはステンレスや電気自動車のバッテリーなどに使われるニッケルの生産国ですが、供給が滞ることが懸念され価格が高騰しています。

安全資産とされる金の先物価格も1年7か月ぶりに最高値を更新するなど、幅広いものの価格高騰が続くことにより、世界的なインフレ加速は避けられない状況です。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で世界の景気は変動しましたが、ロシアのウクライナ侵攻により、さらに景気に悪影響を及ぼすことが懸念されています。

事業計画の見直しは、価格高騰の影響を受ける産業などではこれらの状況も踏まえた上で検討が必要となるでしょう。

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事業計画書を構成する1つ資金計画の重要性と書き方で押さえておきたいポイント

2022年2月22日 / 事業資金

銀行から事業資金を調達するときには「事業計画書」を作成することが必要ですが、その中には資金計画なども含まれます。

創業するときにはとりあえず開始すればよいわけではなく、将来的な資金計画や見通しまで検討しながら、事業の計画を立てることが必要です。

そこで、事業計画書を作成する上で何に注意するべきか、資金計画の重要性と書き方のポイントなどを解説していきます。

「事業計画書」とは

「事業計画書」とは、どのような事業をどんな風に進めていくのか、戦略や収益の見込みなどの計画を立てて書面化したものです。

創業するときや新規で事業を始めるときには、

  • ・事業を行う理由
  • ・どのような層をターゲットとし何をどのように提供するか
  • ・誰と事業を行うのか
  • ・事業の強み
  • ・開業資金はどのように調達するか
  • ・競合の存在
  • ・今後の収益

など、将来的な見通しを立てた上で計画を立てておくことが必要になります。

具体的な行動を記載し、内外に示すため整理した書類が事業計画書といえるでしょう。

「事業計画書」を作成する理由

「事業計画書」を作成する理由は資金調達の場面に限られません。

作成の理由として考えられるのは主に次の2つです。

  • ・事業プランを客観的に見直しするため
  • ・事業の概要・魅力・プランを第三者に伝えるため

それぞれについて説明します。

事業プランを客観的に見直しするため

経営者の頭の中には、創業した後にどのような事業をスタートさせるのか、新規で始める事業のプランなど描くことができているかもしれません。

しかし頭の中で描くだけでは、客観的な視点で考えることができず、楽観視してしまいがちです。

想定外の結果になったとき、一気に事業の雲行きが怪しくなるとも考えられます。

そこで、頭の中に描いている事業の構想やプラン書面化し、事業計画書として作成しておくことで客観的な見直しも可能となります。

実際に事業をスタートした後も、現実と比較し計画どおり進めることができているか、確認しやすくなるでしょう。

事業の概要・魅力・プランを第三者に伝えるため

銀行から融資を受けて資金調達の場面など、事業の概要や魅力、プランなどを担当者に伝えることが必要です。

さらに人を雇用するときや一緒に事業に協力してくれる人を募るときにも、第三者に事業内容を説明するため、目で見てわかる事業計画書が必要となります。

特に、金融機関から融資を受けるときには事業計画書の提出が必須となるため、担当者に資金を貸し付けてもよいと認めてもらえる事業計画書を作成しましょう。

起業するときの「事業計画書」を構成する10の項目

事業計画書を作成するとき、どのような様式で作ればよいか迷うこともあるでしょう。決められた様式などはありませんが、作成する目的に応じて書き方は変わってきます。

ただ、主に事業計画書を構成する項目は次の10個です。

  1. 企業概要
  2. 代表者の経歴・起業の動機
  3. 事業のコンセプト
  4. 市場環境の分析結果
  5. マーケティング・戦略
  6. 今後のスケジュール
  7. 事業を進める上での問題点・リスク
  8. 事業を営む上での協力者
  9. 資金計画
  10. 損益・収支計画

それぞれの項目について説明します。

①企業概要

法人形態・法人名称・所在地・資本金・設立日・従業員数など、企業の概要を記載します。

②代表者の経歴・起業の動機

代表者となる方の経歴や、これまでの経験などを踏まえながら、なぜ起業や新規事業をスタートさせようと考えたのか記載します。

③事業のコンセプト

これから始める事業はどのような内容なのか、主に事業の概念などを記載します。

④市場環境の分析結果

どのような市場環境にある事業をスタートさせるのか調査・分析し、競合に対する分析なども含めてその結果を記載します。

⑤マーケティング・戦略

ターゲットとする顧客・層や、販売する商品やサービス、その価格や販売方法など事業に対する戦略を記載していきます。

⑥今後のスケジュール

事業を開始するための今後のスケジュールを記載しますが、それにより何をいつまでに行うべきか、目で見て確認できるようになります。

⑦事業を進める上での問題点・リスク

事業を進めていく上で発生する問題やリスクなどについて記載します。

実際にリスクが発生したときの対策も検討し、その方法などを記載すれば対応能力も認められることとなるでしょう。

⑧事業を営む上での協力者

事業を営む上で協力してくれる人がいるときには、どの人とどのように知り合い、どのような関係なのか記載します。

そして何に対して協力してくれるのかも記載しましょう。

外部の協力者が多いほうが、人としての信頼がある人物とみなされやすいため、多くの人を挙げたほうがよいと考えられます。

⑨資金計画

創業するときや新規事業をスタートさせるときには資金が必要ですが、この先どのようなお金が必要となるのか記載していきます。

この資金計画では、事業をスタートさせるために一時的に必要となる設備資金と、日常的な経費など毎月発生する運転資金に分けて考えましょう。

⑩損益・収支計画

①~⑨までをまとめた内容を実践したとき、何がいつ・どのくらい販売でき、支払いを済ませたときにどの程度利益を生むことができるのか月単位で記載します。

具体的な数値を記載することで、たとえば資金調達するときには返済資金を生むことができるか伝えることができるでしょう。

日本政策金融公庫へ提出する事業計画書の注意点

日本政策金融公庫などから創業融資による資金調達するときにも事業計画書は必要ですが、記載するときに抑えておきたいことを上記の項目ごとに確認しておきましょう。

①企業概要

企業概要として記載するとき、

  • ・法人なら企業の名称・個人事業主なら屋号
  • ・代表者名
  • ・株式会社なら株主構成
  • ・本店や事業所の所在地
  • ・電話番号
  • ・ホームページのURL
  • ・メールアドレス

なども記載していきます。

②代表者の経歴・起業の動機

創業段階では事業の実績がないため、信用力も高いとはいえません。

そこで、代表者の経歴・スキル・人柄は、信用に直結する部分と考えておくべきです。

スタートする事業の業界で、豊富な経験や人脈があり、すでに実績があることを証明できれば信用力も高まるでしょう。

代表者自身を商品と置き換えて、相手にどのように売り込めば伝わるか検討し、代表者の経歴を記載していきます。

また、経歴につながる起業や事業スタートへの動機があったほうが、信頼されやすくなると考えられます。

③事業のコンセプト

将来的に、これから始める事業をどのように発展させていきたいかという目標や、社会の中でどのような役割を担う事業となるのか記載していきます。

将来性が見込める事業であると認められれば、融資を受けやすくなるでしょう。

公的な創業融資では、「ビジョン」や「理念」などに共感し、応援してくれることも少なくありません。

  • ・事業をスタートさせる理由
  • ・事業を通して社会に貢献できること
  • ・社会をどのように変えていきたいか

など、事業に対する情熱や思いを伝えることができる説得力のある内容で記載することが必要です。

④市場環境の分析結果

  • ・市場ニーズ
  • ・市場規模
  • ・競合他社

など今後、事業を始める上で取り巻く環境について、しっかり調査・分析してその結果を記載しましょう。

⑤マーケティング・戦略

事業をスタートさせても、同じような商品やサービスをすでに販売している他社が存在し、質や価格も劣っていれば自社商品・サービスが選ばれることはありません。

そこで、

  • ・自社だから提供できる商品やサービスの強みや特徴
  • ・競合他社と異なる部分やメリット

など、独自性をアピールしていきます。

なお、業界特有の専門用語など使用せず、だれが読んでも理解できる表現で記載することを意識してください。

⑥今後のスケジュール

  • ・何を(商品・サービス)
  • ・誰に(顧客・ターゲット層)
  • ・どのような方法で提供するのか(販売方法など)

などを踏まえつつ、仕入計画・販売計画・設備計画などを客観的に記載していきます。

たとえば仕入計画は、現金取引なのか掛取引なのか、取引条件などを書いておくようにしましょう。

⑦事業を進める上での問題点・リスク

事業を開始する上で、発生することが予想される問題やリスクなどを洗い出し、その危険レベルなどを分析します。

その上で、実際にリスクが発生したときにどのように対処するのか、解決に向けた対策などを先行して提示するようにしましょう。

⑧事業を営む上での協力者

新たに事業をスタートさせ継続するためには、これまでの経験だけでなく、それを超える幅広い知識や技能が求められることとなります。

経験やノウハウは重要視されるものの、協力してくれる人がどのくらいいるのか、その協力者の能力優秀な人材の支えがあるのかによって判断も違ってくるでしょう。

すべて代表者だけでクリアしようとせず、得意な分野に集中しながら、不得意分野はだれかに任せてビジネスを加速させていける環境も整備することが必要です。

⑨資金計画

創業・開業するときや新規事業を始めるときに必要な資金はどのように調達するのか、その方法や使い道など資金計画を作成していきます。

事業計画を立てても実行するためには資金が必要となりますが、単に予想するのではなく、見積もりなど実際に取得し根拠のある数字を示すようにしてください。

また、過剰な初期投資になっていないか、再度確認しておきましょう。

⑩損益・収支計画

創業または事業をスタートさせた初年度と、事業が軌道に乗ったときに分けた収支計画を記載していきます。

総額だけ記載すればよいのではなく、

1日の顧客数×平均客単価×30=月売上高

と、見積もりの根拠を示す内容でなければなりません。

売上高から、売上原価(仕入代など)・必要経費(家賃・水道光熱費・人件費など)・返済資金(毎月のリース代など)を差し引き、利益を計算します。

顧客数の見通しは、市場分析や競合他社の成績などを参考にしながら、多少厳しい内容で設定したほうがよいといえます。

事業計画・資金計画で押さえておきたいポイント

事業計画と資金計画を立てるとき、ポイントとなるのは「具体性」「一貫性」です。

たとえ老舗の日本料理店で長年勤めていた経験がある方が、独立開業して飲食店を始めたいという場合、単に「飲食店をスタートする」と記載するのと「老舗日本料理店で10年以上修業した経験を活かして新鮮な魚料理をメインにした和食創作ダイニング店を始める」と記載するのでは相手に対する印象が異なります。

単に何を始めるか記載するのではなく、どのようにスタートさせるのか「具体性」を持たせた書き方を意識しましょう。

そしてマーケティング・戦略・スケジュール・資金計画など、いずれも損益・収支計画に関係することを理解し、記載する数値の裏付けや根拠を示すことのできる「一貫性」のある内容であることが必要です。

資金計画書は精度の高さが求められる

資金計画書を作成するときには、「売上計画」と売上からどの程度の利益を得ることができるかられるかという「利益計画」、さらにそれらの数値に対し資金を増減させて記載していきます。

作成した売上計画のとおりに売上が順調に伸びた場合でも、手元の資金がショートしてしまえばたちまち行き詰ることとなり、「黒字倒産」するリスクを高めます。

仮に事業資金を銀行など金融機関から借入れるときには、どのように返済資金を生んで返済していくのか、いつ資金が足らなくなるのか計画段階で把握しておかなければ間に合いません。

そのため資金計画を立てるときには、正確な収支状況を相手に伝えることができる内容でなければならず、精度の高さが求められます。

資金繰りが事業継続の鍵を握る

創業するときや新規で事業を立ち上げるときには資金が必要になり、事業を継続させるときには資金繰りが重要です。

資金繰りは事業を続けるうえで必要となる資金を、どのような方法で調達するのかいつお金が必要になるのか事前に把握しておかなければなりません。

どれほど綿密に計画を立てていたとしても計画通りに資金繰りが進むとはいえないため、経済状況や有事で売上が返答することや、取引先の倒産などで未回収の売掛金が発生するリスクなども踏まえておく必要があります。

資金繰りがうまくいかずに、手元のお金がなくなれば倒産してしまうリスクも踏まえた資金計画書を作成し、余裕資金を保有できる経営を目指していきましょう。

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事業計画を立てる上で重要になる営業戦略の進め方とは?

2021年12月15日 / 事業資金

これから事業を開始するときや拡大させるときには、会社の将来を左右する施策として「営業戦略」を検討することが必要です。

しかし事業をこれからどのように発展させるべきか、営業戦略の立案やその先について計画することは簡単なことではありません。

そこで、事業計画を立てる上でどのように営業戦略を進めていけばよいのか、その方法について解説していきます。

そもそも営業戦略とは?

「営業戦略」とは、売上を向上させることや顧客数を増やすといった利益目標を達成するために計画を立てることであり、マーケットシェアを拡大させるためのブランディングなどが含まれます。

「経営戦略」「営業戦術」「マーケティング戦略」といった言葉が使われることもあります。

営業戦略を立てるときに必要になる5つのこと

「営業戦略」を立てるときに大切なのは、

  • ・市場を調査すること
  • ・現状を数値化すること
  • ・現状を分析すること
  • ・抱えている課題を把握し明確化すること
  • ・中枢・中核となる強み

の5つです。

市場を調査すること

営業戦略において市場調査は重要ですが、

  • 商品の販路
  • ニーズの動向
  • 他社の動向
  • ターゲット層を取り巻く環境

など市場の状況を把握するための情報調査のことです。

現状を数値化すること

現在、営業で抱える問題などを踏まえつつ、販売している売上高などを数値にし明確化することです。

現状を分析すること

営業の現状を数値化し、その結果をもとに客観視しつつ分析することですが、方法としてSWOT分析や3C分析などを活用するとスムーズです。

抱えている課題を把握し明確化すること

現状を分析した結果から何が課題なのか洗い出すことで、改善させなければならない部分を明確化します。

中枢・中核となる強みを把握すること

他社にはマネすることのできない強みは何なのか、そしてその強みを活用することによる差別化を実現させていくことが必要であるため、強みを生かすことのできる戦略を立案していきます。

営業戦略を進めるための3つの段階

営業戦略は、主に次の段階を踏みながら進めていきます。

  1. 作戦
  2. 戦術
  3. 計画

それぞれの段階について説明していきます。

①作戦

設定した目的を達成するために取り組み、実現するために「作戦」を立てましょう。単純な方法論を検討するのではなく、何をするべきか本質に迫った検討が必要となります。

見込み客を獲得するためには製品・サービス・自社について、

  • ・認知してもらう
  • ・興味をもってもらう
  • ・信頼性を構築する
  • ・見込み客の課題についてリサーチする
  • ・契約に結び付ける動機付けを行う

といったことが不可欠です。

その上で、見込み客に対し商品やサービスの売り込みをすることが必要となります。

見込み客の悩みを解消できる提案を意識したクロージングを行っていきましょう。

リピーターを獲得するためにも、実際に商品やサービスを購入した後の使用感や改善点など意見をヒアリングしながら、新たな課題発見に対する作戦を検討することも必要です。

②戦術

実際にどのような方法で作戦を実行するか、その手段や実行者などを考えていきます。

まず手段としては、アナログとデジタルの両面から行っていくことが必要です。

たとえば従来から行われているDMの発送やテレアポなどに加え、SNSなどITツールを活用した方法も組み合わせていきます。

実際に戦術を検討するときには、その手段による効果を確認できるように数値化し、目標とする指標を設定しておき結果を見える化していくようにします。

そして誰が戦術を実行する人をどのように選び、誰にするのか決めておけば、責任の所在も明確化しやすくなります。

③計画

手段・効果・実行者などを決めたら、

  1. いつまでに
  2. 誰が
  3. どのような結果を
  4. 出すために動くのか

について決めます。

その上で「PDCAサイクル」により見直ししながら、完成度の高い計画へ改善させていきましょう。

「PDCAサイクル」とは、

  1. Plan(計画)
  2. Do(実行)
  3. Check(測定・評価)
  4. Action(対策・改善)

について仮説・検証のプロセスを循環させてマネジメント品質を高める方法です。

事業計画に役立つ営業戦略の分析方法

営業戦略に役立つ分析方法は主に次の4つです。

  • ・SWOT分析
  • ・MECE
  • ・3C分析
  • ・4P分析

それぞれ詳しく説明します。

SWOT分析

「SWOT分析」とは、競合・法律・市場トレンドなど自社を取り巻く外部環境と、自社の保有する資産・ブランド力・価格・品質など内部環境について、プラスとマイナスの両面から分析することです。

戦略策定やマーケティングにおける意思決定や、経営資源を最適化するときのフレームワークとして用いられます。

「SWOT分析」では主に次の項目を使って分析していきます。

  • ・企業目標を実現させる内部的な特徴「強み(Strength)」
  • ・企業目標を実現するための妨げとなる内部的な特徴「弱み(Weakness)」
  • ・競合他社による脅威「機会(Opportunity)」
  • ・企業目標を実現するために障壁となる外部の特徴「脅威(Threat)」

これらの項目について、

  • ・コントロールできない外部要因
  • ・コントロールできる内的要因

にわけて分析します。

MECE

「MECE」とは、物事を考えるときに必要な要素を網羅しながら、その要素を重複させない考え方のことです。

「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の頭文字を名称であり、「モレなく」「ダブりなく」という意味があります。

モレがあれば全体像が見えにくくなり、ダブりがあれば無駄になるため、効率的に分析を行うための方法として用いられます。

3C分析

「3C分析」の3Cは、マーケティング環境分析のフレームワークです。

  • 「市場・顧客(Customer)」
  • 「競合(Competitor)」
  • 「自社(Company)」

の頭文字を取って「3C」と呼びますが、これら3つの「C」に沿って分析を行い、成功要因を見つけ出して「強み」と「弱み」を特定するフレームワークのことです。

4P分析

「4P分析」とは、

  • 「商品(Product)」
  • 「価格(Price)」
  • 「流通(Place)」
  • 「販売促進(Promotion)」

の4つの戦略領域を分析するマーケティング手法です。

4つの「P」を用いて、

  • ・どのような製品を
  • ・どのくらいの価格で
  • ・どのような流通経路で
  • ・どのような宣伝で
  • ・顧客に商品を届けるか

検討するマーケティング戦略のフレームワークのことです。

それぞれの項目について競合他社と比較することで、

  • ・自社の優位性
  • ・自社の劣る点

を分析します。

営業戦略を立案するときのポイント

営業戦略の立案の際には、

  • ・多角的な視点で分析する
  • ・PDCAサイクルを適切に回す

ことをポイントとして考えていくようにしましょう。

営業戦略を分析するときには、内部要因と外部要因を挙げ進めていきますが、このときに偏った視点で分析してしまうと問題の本質を見失いないます。

自社・顧客・競合他社・市況など、多角的な視点から幅広く問題を提起していくことが必要不可欠です。

そして営業戦略では、

  • ・数値化できる指標を用いる
  • ・物事の進行の妨げとなっている部分に改善施策を設ける
  • ・データを可視化しマネジメントしていく

ことが必要です。

そのためにも適切な「PDCAサイクル」の回し方が欠かせず、戦略の実行と修正のサイクルを確立させていくことが不可欠となります。

まとめ

事業開始や事業拡大のときには「営業戦略」の検討が欠かせませんが、売上向上や顧客数増加など利益目標を達成させる計画を立てブランディングしていける戦略を立案し実行しましょう。

数値化できる指標を用いながら、多角的な視点で幅広く問題を提起し、「PDCAサイクル」で戦略の実行と修正のサイクルを確立させていくことが不可欠です。

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ビジネスマッチングを利用する効果とは?知っておきたいメリット・デメリット

2021年12月1日 / 資金繰り

ビジネスマッチングを利用したいと考えているものの、具体的にどのようなメリットやデメリットがあるのか知りたい方は少なくないはずです。

事前にビジネスマッチングのメリット・デメリットを理解しておかなければ、最大限有効活用できず、その効果を見失うことにもなりかねません。

そこで、ビジネスマッチングを利用したい方に向け、活用する上でのメリット・デメリットや効果について解説していきます。

ビジネスマッチングの仕組み

「ビジネスマッチング」には、

「ビジネスパートナーを見つけるための場所」
「企業同士を結び付けるサービス」

などの意味がありますが、いずれにしてもパートナーとなる企業やクライアントを探し出し、売上向上や新商品開発など目的を達成するための商談機会を設けることといえます。

互いにビジネスで協力し合い、ビジネスチャンスを拡大させることができるため、多くの企業が利用し成功していることが特徴です。

互いのノウハウや強みなど、経営資源を利用することによって双方に利益がある関係を築くことができるのは、ビジネスマッチングの良さといえます。

事業拡大や利益向上などを狙い、ビジネスマッチングの仕組みを有効活用していきましょう。

ビジネスマッチングのメリット

ビジネスマッチングを最大限に利用するためには、まず活用することでどのようなメリットがあるのか知っておいたほうがよいでしょう。

ビジネスマッチングのメリットとして挙げられるのは、

  1. 取引量を増やすことができる
  2. 他社と差別化が可能になる
  3. 販路開拓を効率化できる
  4. 他社のノウハウを確保できる
  5. 他社のブランド力を活用できる

の5つです。

それぞれ詳しく説明していきます。

取引量を増やすことができる

ビジネスマッチングを利用することで、クライアントや取引先などを探すことができ、取引量を増やすことが可能となります。

特に設立したばかり企業などは、実績が十分でないため企業同士の繋がりも少ないことから、取引量を増やしたいときにはビジネスマッチングを利用するとよいでしょう。

取引先も増えれば、特定の取引先のみに依存する必要がなくなるため、連鎖倒産などのリスクを回避させることもできます。

他社と差別化が可能になる

いろいろな企業などとつながりを持つことができれば、市場ニーズや他社の技術・商品などを把握しやすくなり、自社商品などの開発で他社と差別化しやすくなるのもメリットです。

企業イメージの向上や、付加価値のある商品やサービスを提供することにつなげることができるでしょう。

販路開拓を効率化できる

販路や仕入の経路を見直したいときにも、ビジネスマッチングは有効です。

流通経路や方法などの変更においては、これまでであれば中間業者を通していたのに対し、直接取引先とつながることができるため中間業者に手数料を支払う必要がなくなります。

他社のノウハウを確保できる

ビジネスマッチングで企業同士が協業するようになれば、自社が保有していないノウハウを確保することが可能となるでしょう。

たとえば新システムを購入したものの、システムの保守管理がいないという場合でも、ビジネスマッチングでアウトソーシングが可能な企業を探すことができます。

他社のブランド力を活用できる

大手や有名企業とマッチングできれば、相手企業のブランド力やマーケティング力などを活かすことが可能となります。

ブランディング力を活用できれば、宣伝費用をかけることなく集客も可能となり、知名度を高め新規の顧客も獲得しやすくなるでしょう。

信頼も高まれば、長期取引につながりやすくなり、顧客離れも減少させることができます。

ビジネスマッチングのデメリット

ビジネスマッチングを利用するメリットは数多くあるものの、けっしてデメリットがないわけではありません。

事前にどのようなデメリットがあるか把握しておき、リスク分散するなど対策を取っておいたほうがよいでしょう。

ビジネスマッチングのデメリットとして挙げられるのは、

  1. マッチングまで手間や時間がかかる
  2. ビジネスパートナーを見つけることができない可能性もある
  3. 成果を生むまで一定の時間がかかる

などの3つです。

それぞれ詳しく説明していきます。

マッチングまで手間や時間がかかる

マッチングにより、相手企業がビジネスパートナーとして本当にふさわしいか、信頼してよい相手かは一定の調査が必要です。

本当に自社にとってメリットのある相手なのか知るためには、できるだけ時間や手間をかけて調査を行うことになります。

自社のブランド力や技術など、強みといえる部分も情報として相手に公開することになるため、その手間や時間も必要です。

ビジネスパートナーを見つけることができない可能性もある

ビジネスマッチングで必ずビジネスパートナーが見つかるとは限らず、見つかるまで時間がかかることもあります。

仮に妥協してビジネスパートナーを選んでしまうと、無駄なコストが発生し、目的とするビジネスを達成できなくなる可能性も考えられるでしょう。

場合によっては業績悪化につながるため、パートナー企業選びは慎重に行うことが必要です。

成果を生むまで一定の時間がかかる

ビジネスマッチングですぐにビジネスパートナーが見つかった場合でも、協業によりすぐに成果が出るわけではなく、出すためには一定の時間がかかります。

膨大な手間や時間がかかるケースや、多額の資金を必要とするケースもあるため、ビジネスプランや事業計画書の作成を入念に行い、早く成果を出せるように工夫も必要です。

ビジネスマッチングの効果を最大限に引き出すためのポイント

ビジネスマッチングを利用し、その効果を最大限に引き出すには、最良のビジネスパートナー見つけて顧客を獲得することが必要になります。

そのためには、

  1. 需要のあるジャンルを選択すること
  2. 自社の強みをしっかりアピールすること
  3. 相手企業のニーズを汲み取りこたえること

の3つが大きなポイントといえます。

それぞれ詳しく説明していきます。

需要のあるジャンルを選択すること

需要があるジャンルをどのように選ぶか迷ったときには、次の観点からジャンルの絞り込みを行いましょう。

  • 実現性
  • 市場性
  • 競合優位性
  • 収益性
  • 整合性

ジャンル選びの撤退基準など決めておけば、無駄なコストを発生させずにリスクの低減も可能となります。

自社の強みをしっかりアピールすること

自社の実績や強みなどを相手企業にアピールするため、

  • 保有する技術やノウハウ
  • 業務への取り組み

などを洗い出しておきましょう。

これまで開発した商品やシステムなどの実績などもアピールできるようにしておくと、ビジネスマッチングのときに関心や興味を示してもらいやすくなります。

相手企業のニーズを汲み取りこたえること

相手企業がどのようなニーズを持っているのか、自社をアピールするよりも前にしっかり調査しておき、その要望にこたえることのできるよう準備しておきましょう。

タッグを組むことでメリットがあると判断してもらえれば、

「パートナーとしてビジネスを進めていきたい」

と決断してもらいやすくなります。

相手企業のニーズを汲み取り、満足度を高めることのできるアピールをするように心がけましょう。

そのためにも相手企業の理解を深めておき、相手の立場に立って交渉することが必要です。

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