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もし取引において約束手形を受け取ったらどのように行動すればよい?

資金調達2019/09/10

商取引の場面において代金を支払ってもらう際に、現金ではなく約束手形を受け取った場合、どのように行動すればよいのでしょう。 そもそも約束手形を受け取ってよいものか、どのような使われ方をするものか知らないという方もいるかもしれませんので、取引において用いるメリットとデメリットも踏まえてご説明していきます。  

約束手形とは?

約束手形とは名称通り、所定の期日までには支払いを行うことを約束した有価証券のことです。有価証券とは財産権のある証券を指しており、商取引で用いられるものには約束手形だけでなく、為替手形や小切手なども含まれます。 現金の代わりに手形を発行して用いることにより、振出人は支払期日を先送りすることができることがメリットです。  

口座に資金がなくても発行可能

小切手も手形も銀行に当座預金口座を開設しなければ発行できませんし、小切手は口座に必要資金がなければ発行できません。しかし約束手形の場合は口座に必要な資金がなくても発行できるため、支払いを先に延ばし、一定期間において資金繰りに余裕を持たせることが可能となります。  

裏書により流用可能

約束手形は裏書という方法により、手形の持つ権利を譲渡することができます。裏書によって受取人を変えることで、指定された期日までの間において資金調達の場面などに流用させることが可能です。 なお、手形の支払期日が到来すると、受取人は取引を行う銀行に取立委任し、支払い期日以降に現金化することになります。  

銀行に裏書譲渡した場合

手形の裏書を利用して銀行に譲渡する手形割引も利用できます。この場合、支払期日までにかかる利息を割引料として差し引き、残りを現金で受け取ることができます。支払期日を待つことなく、先に現金化できるため資金調達の方法として利用されています。  

約束手形を扱うことになる方の呼び方

約束手形を受け取った方を受取人や名宛人、その手形を発行した方は振出人または支払人と呼びます。 商品を仕入れ、その支払いに充てるため手形を振り出せば、振出人(振り出す人)でもあり支払人(支払う人)でもあるからです。

もし商取引の場面で約束手形を受け取ったら?

  約束手形は商取引の場面で用いられる有価証券のため、実際に受け取った場合にはどのように扱い行動するべきか把握しておくことが必要です。現金が手元にないために手形で支払いを受けたものの、受取人も後に資金繰りが苦しくなり、はやく現金が欲しいという状況に陥ることもあるでしょう。ただしこのような場合、手形を資金調達の方法に活用する手形貸付や先に述べた手形割引を検討できます。  

手形割引とは

取引先から受け取った満期前の手形を銀行などに裏書譲渡し、期日までに発生する利息分などが差し引かれた金額で現金化することが手形割引です。  

手形貸付とは

資金を調達したい方が振出人として単独の約束手形を振り出し、その約束手形を担保に銀行などから融資を受ける方法が手形貸付です。受け取った手形を裏書して資金化する手形割引と異なり、お金を借りたい方自身が手形を振り出す形となります。  

約束手形を受け取ることにはメリットも!

手形と耳にするとどうしてもネガティブな印象を持ってしまいがちです。 そのため商取引に手形を受け取ることに難色を示す経営者も少なくないようですが、実際にはデメリットだけでなく次のようにメリットと考えられることもあります。  

口約束よりは支払ってもらえる可能性が高くなる

取引先から支払期日を延ばしてもらえないかと要請された場合、断りにくいものの何か確約がほしいと考えてしまうものでしょう。 口約束だけでは不安という場合、手形を差し入れてもらうことでその約束を形にすることができます。 延期した期日を守ってもらえない可能性がある場合、口約束だけなら取り立てが難しい場合もありますので、手形を発行してもらったほうが安全です。  

手形を資金調達に用いることが可能

先にも述べたとおり、手形割引で現金化が可能になるなど、手形は資金調達にも活用することもできます。  

取引先より優位な立場での交渉が可能

取引先は手形を振り出したことに対し、弱みとして意識する傾向があるため、商取引の交渉の場面では優位な立場で話を進めやすくなります。  

約束手形を受け取ることのデメリット

取引先からの支払いに約束手形を受け取ることについて、どのようなデメリットがあるかも確認しておきましょう。  

満期日までの期日は長め

まず、約束手形は満期日まで期間が長めに設定されていることが多いといえます。そもそも振出人は支払いを延期する目的で発行するため、2~3か月後というケースが一般的です。 どれほど長くても120日までであることが通常ですが、中には七夕手形や台風手形と呼ばれる120日を超える手形もあるため注意してください。このような期日の長い手形の場合、受取人側のキャッシュフローが悪化してしまうリスクを高めます。  

キャッシュフローが悪化する理由

キャッシュフローとはお金の流れのことですが、商品やサービスを販売・提供すると、まだ代金は回収できていなくても売上に計上されることになります。 決算書の損益計算書上の売上高や利益は向上しているのに、肝心の代金が回収できていないことで手元の資金は不足しがちになるのはめずらしいことではありません。 ただし利益が出ていて黒字なのに、手元の資金が枯渇してしまえば黒字倒産ということもありえるため、本来のお金の流れを示すキャッシュフローには常に注視しておくことが求められます。 約束手形で現金を受け取ることができる期日が延期されてしまうと、キャッシュフローに悪影響を及ぼすことになりかねないと留意しておきましょう。  

代金が支払われない可能性もある

仮に振出人が期日に支払いができない場合、不渡りという扱いになるため代金は回収できなくなります。 不渡りになった場合には、振出人に対し直接、代金を支払ってもらうように交渉するしかありません。二度の不渡りで銀行取引は停止されることとなり事実上の倒産として扱われます。 そのため手形の振出人も不渡りを出さないように努めなければならないため、回収できない可能性は否定できないにしても、単なる口約束で取引し支払期日を延期するよりは安全が担保されるでしょう。  

資金調達の場面で用いられるファクタリングと手形割引の違い

手形割引は手形を担保に差し入れて現金を得る資金調達の方法ですので、融資という扱いになります。 売掛金をファクタリング会社などに譲渡して現金化する資金調達の方法であるファクタリングも手形割引と似た取引と解釈されやすいですが、ファクタリングの場合は融資を受けるわけではなく売掛金の売買による取引です。 手形割引は振出人が不渡りとなった場合、代金を返済しなければならないため、貸し倒れリスクは利用する側が負うことになります。 それに対しファクタリングは、売掛先が倒産した場合でも利用する側が弁済義務を負うことはなく、そのリスクは売掛金を買い取ったファクタリング会社が負います。 リスクを抱えず円滑に資金調達を行いたいなら、手形割引よりもファクタリングの方が安心できるでしょう。  

まとめ

商取引の場面で約束手形を扱うことになった場合、マイナスイメージを抱いてしまいがちですがメリットとなる部分もあります。 ただ注意しておかなければ、現金に換金できるまでの間、資金繰りを悪化させる要因になるかもしれませんので、その場合にはどのような方法で資金調達するべきかしっかり検討するようにしてください。

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