プロパー融資と保証付き融資の違いとは?銀行が自己責任で貸し付けを行う審査をクリアする基準を徹底解説!

2019/09/09
Share on FacebookShare on Google+Tweet about this on Twitter

銀行から融資を受けて資金調達するとき、間に信用保証協会を挟むことなく、100%銀行の自己責任で貸し付けてもらう方法がプロパー融資です。

信用保証協会が保証人になる保証付き融資とは異なり、銀行独自の信用貸しともいえるプロパー融資を受けることは簡単なことではありませんが、けっして不可能なことでもありません。

そこで、資金調達の方法として銀行のプロパー融資で借り入れをしたい!という場合、どのような審査基準をクリアすればよいのか徹底解説していきます。

 

銀行が行うプロパー融資とは?

銀行が直接貸し付けを行うことをプロパー融資といいますが、このプロパー融資とは金融機関で金融用語として使用されている言葉であり、金融商品名ではありません。

保証協会などの保証を受けることなく、銀行がリスクを負担する上で貸し付けを行うことなので、制度融資や提携ローンなど以外の一般的な融資を指して使われています。

ただ、中小企業が資金調達の際に銀行から借り入れをするときには、信用保証協会保証付き融資であることが多いようです。

 

信用保証協会の役割

信用保証協会は信用保証協会法により認可された公益法人のことで、中小企業などが民間の金融機関からお金を借りる場合、保証人として保証を行います。

中小企業がスムーズに資金調達を行い、資金繰りを改善させる上で欠かすことのできない存在となっているといえるでしょう。

 

銀行のプロパー融資のほうが保証付き融資よりメリットが高い?

信用保証協会の保証付き融資であれば、万一返済に遅れが生じたり、返済不能な状況に陥ったとしても信用保証協会が保証人としての役割を担います。

そのため、資金を貸し付ける銀行は融資を実行しやすいでしょうが、資金を借り入れる側としては希望する資金が調達できない可能性があります。

なぜなら信用保証協会の保証付き融資には上限があり、中小企業・小規模事業者1人に係る保証限度額は2億8,000万円までとされているからです。

だんだんと事業規模が拡大していき、設備投資や運転資金の金額も大きくなってくると、この限度額を超える融資を受けたいと思うかもしれません。

ただ、プロパー融資なら銀行が独自に貸し付けることになるため、上限による縛りを受けることなく借り入れが可能になります。

 

信用保証協会の信用保証はコストもかかる

信用保証協会の保証付き融資で借り入れを行う場合、保証を委託する対価として信用保証協会に信用保証料を負担することになります。

信用保証料は借り入れた金額、信用保証料率、保証期間、分割係数などで決まりますが、たとえば1,200万円を借りた場合で保証料率1.15%、保証期間2年、分割係数0.60だとしると、

信用保証料=貸付金額×保証料率×保証期間(月数)/12×分割係数

という計算式にあてはめた場合、165,600円になります。

借り入れる金額が高くなればその分、保証料も高くなりますので、保証料の必要ないプロパー融資のほうがお得です。

 

ただし銀行のプロパー融資は簡単に利用できない

信用保証協会に保証してもらうのと、保証のない状態では、保証付き融資のほうが銀行の審査のハードルは当然、低くなります。

その一方、プロパー融資は何の保証もなく銀行が貸し付けを行う形となるため、審査のハードルは高くなってしまいます厳しい審査を通過しなければ、プロパー融資による借り入れはできないと理解しておきましょう。

銀行が100%自己責任で資金を貸し付けるということは、万一融資を受けた企業が倒産に至ったとき、その貸し付けた融資残高はすべて銀行の損失となることを意味します。

簡単に損失を抱えるリスクの高い融資を実行するわけにはいかず、銀行もプロパー融資による貸し付けは慎重にならざるを得ないといえるでしょう。高い信用力と返済力があると判断した企業にのみ、プロパー融資による貸し付けを実行することになります。

開業して実績が十分でない中小企業がプロパー融資を希望したとしても、まず審査を通過することは難しいでしょう。まずは信用保証協会の保証付き融資などで銀行と取引を行い、数年実績を積み上げて信用力を高めることから始めるべきといえるでしょう。

 

銀行のプロパー融資で行われる審査で重視される部分とは?

プロパー融資をしてもらう企業からすれば、リスクが低い方法で資金調達が可能となるため、是非とも利用したい借り入れ方法であるはずです。

しかし審査のハードルが高いのなら、中小企業では利用できないのでは…と考えてしまうものでしょう。ただ、中小企業でもプロパー融資による借り入れは無理というわけではありません。

銀行がプロパー融資を行う対象となる企業かを審査する場合、提出された書類の内容、面談などをもとに判断していきます。

資金を貸し付けた後で滞りなく返済してもらえるかを見るため、確実に返すことができると認められることが必要です。

 

審査で重視される項目

プロパー融資は銀行独自の判断で行う融資のため、審査基準は銀行により異なりますが、一般的には次の項目に沿った総合的な判断がなされることになるでしょう。

主には、

  • ・財務状況(現在の健全性と、今後好転する材料の有無など)
  • ・希望する融資金額と資金使途の妥当性など
  • ・返済の原資となるもの(見込める売上や利益、資産の資金化など)
  • ・返済の見通し(返済の確実性の見通し)

などを確認していくことになります。

これらの項目で頼りないと判断されてしまうと、担保の差し入れや保証人を求められることになるかもしれません。

反対に担保や保証人が不足していた場合でも、事業計画の内容や交渉次第で借り入れが可能となる場合もあります。

 

プロパー融資で重要になるのは返済能力

プロパー融資で最も重要なのは確実に返済できるかですので、財務状況で不安があると判断されると審査を通過することは難しくなってしまいます。そこで、財務状況を把握するために損益計算書と貸借対照表のどこを確認するのか知っておきましょう。

 

損益計算書

融資審査の担当者が損益計算書の中身を確認するとき、融資審査を申し込んだのが法人であれば、当期純利益、経常利益、営業利益、減価償却費、役員報酬、その他の金額という順で見ることが多いようです。

個人事業者の場合は、所得金額、青色申告特別控除額、専従者給与、減価償却費、その他の金額を確認することになるでしょう。

損益計算書はその年度の儲けをあらわすため、直近に儲けが出ているかを確認します。そのため、当期純利益は黒字だとしても、役員報酬があまりに低く設定されている場合は数字がおかしいと判断される可能性があります。この場合、役員報酬は低く設定していたとしても、他に定期的な収入があるといった理由があるのなら、その内容を伝えるようにしましょう。

もし返済が厳しくなっても、役員報酬を減額することが可能であり、それでも経営者は困らないことをアピールできるかということです。

また、減価償却費を計上してしまうと赤字になってしまうので償却していない企業の場合、償却負担力がないとみなされてしまいます。なら一部だけ減価償却費を計上するということを考える場合もあるようですが、よい方法とはいえないものの、完全に償却してしまうと赤字になってしまうのなら方法の1つかもしれません。

 

貸借対照表

資本の部、または純資産の部の合計が資本金を上回っているか確認してください。もし資本金を下回ってしまっている場合、毎年少しずつ赤字が続いていたのか、大幅な赤字が出たのかということです。

 

●資本の部で確認しておきたいこと

資本の部の当期未処分利益の下部分の表示される「(内、当期純利益)」からその期は黒字だったのか、それとも赤字だったのか確認できます。

もし資本の部の合計が資本金を下回っている場合でも、その期の当期純利益が黒字なら状況は回復しており、将来性が見込めると判断されるかもしれません。

 

●負債の部で確認しておきたいこと

負債の部に役員借入の計上がある場合には、資本の部の合計がマイナスだとしても、その金額を上回る役員借入があるなら、経営者自身が個人の資金を投入しているのでプラス材料として検討してもらえる可能性があります。

また、役員借入を除いた長期借入金を月商で割ってみましょう。その数値が4を超え、長期借入金と同じ金額程度の固定資産が計上されていない場合、借り入れにより調達した資金のほとんどは運転資金に充てていると判断されてしまうかもしれません。

また、長期借入金を損益計算書の当期純利益と減価償却費を足した数字で割ったとき、その数値が10を超える場合は金融機関からの印象が悪くなってしまいます。

純資産の部では表向きの数値だけでなく、本物の資産を探す作業が行われると考えておきましょう。

 

プロパー融資の審査でマイナスとなる要素

決算書の資産の部から換金性の乏しいものは差し引いて本物の資産を探しだす作業を行いますので、次の要素はマイナスと判断されます。

  • ・売掛金に回収不能な不良債権が含まれていないか
  • ・在庫は水増しなどなく、適正な水準となっているか
  • ・無駄な固定資産は含まれていないか
  • ・開発費や権利金など繰り延べ資産
  • ・役員貸付の有無

 

プロパー融資の審査でプラスとなる要素

固定負債の部に計上される長期の役員借入金が該当します。経営者に返済しない借入金は自己資本の一部とみなした上で資産を精査し、加減していくことになると考えておきましょう。その結果、資産を減らした分、自己資本も減らしバランスを調整するという形です。

 

プロパー融資の審査で重要とされる部分

まず税引き後当期利益を確認されるので、利益は多いほうが審査に有利になります。そして自己資本の充実性も評価の基準となりますが、反対に無駄な資産が多いとマイナス評価になってしまうこともあります。

本来の自己資本により審査されるので、仮に融資は行うと判断された場合でも、設定される金利まではどうなるかわかりません。銀行が抱えるリスクが低いと判断されれば金利も低く設定されるでしょう。

他にも確認される部分はいろいろですが、意外にも経営者本人の人柄や善意なども大切です。

経営者の人柄や性格などで融資の可否を決めることはまったくないともいい切れません。ただ、決算書の数値が悪いのに人柄だけで審査が通るということはありませんので、まずは銀行に自身を持って提出できる決算書であることが必要であるといえるでしょう。

 

信用保証協会の保証付き融資とプロパー融資の使い分けを

まだ創業して間もないという場合に、いきなり銀行のプロパー融資から借り入れを行うとしても審査を通過することは困難です。

銀行も実績がない企業と直接取引を行うことは抱えるリスクが高すぎるので、仮に起業してから順調で利益を出し続けていたとしても、一時的なものなのか継続できるのか短い期間では判断がつきません。

そのため、まずは信用保証協会の保証付き融資を利用し、銀行との取引により信頼関係や実績を築くことをおすすめします。

十分に取引の実績を積んだ後で、プロパー融資に切り替えたいと提案してみるとよいでしょう。ただ保証付き融資を繰り返し利用し、十分に実績を積んだからと億単位の融資を申し込んで、それでプロパー融資が可能となるとは言い切れません。

いきなり高い金額でプロパー融資を受けようとせず、まずは少額から申し込み、そこからさらに実績を作ったほうが銀行も審査を通しやすいはずです。

 

まとめ

資金調達が必要になったという場面では、中小企業などの場合、銀行からの融資は信用保証協会の保証付き融資が定番となっているはずです。しかしいつかは銀行に信用力を認められ、プロパー融資で資金調達を検討したいと考える起業もあることでしょう。

この場合、銀行がどのような項目を重視して審査を行っているのか事前に把握しておき、銀行を納得させることができるような決算書と事業計画書などを提出できるように準備しておくことが求められます。

資産の中でもマイナス要素となる売掛金の不良債権などを作らないように、早めに回収することも必要ですし、回収不能状態に陥る前に予防策を講じておくことも必要です。

また、無駄な固定資産や在庫などが含まれていないか確認し、特に過剰に在庫が増えている場合などは早めに処分しておきましょう。

プロパー融資は実績がない時期に申し込んでも審査で断られてしまう可能性が高いため、まずは信用保証協会の保証付き融資で銀行との取引実績を積み、その後、プロパー融資に切り替えるといったことを検討してみてください。

Share on FacebookShare on Google+Tweet about this on Twitter