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売掛金が回収できない!損金処理の条件とその方法

事業資金2018/07/18

売掛金が回収できない時には適切な処理をしなければなりません。適切な処理ができなければ、損失として計上無くなる恐れもあるのです。

こちらでは売掛金が貸し倒れたケースの損金処理のための条件についてお伝えします。さらに損金処理の方法(仕訳)についてもお伝えします。

 

売掛金を貸し倒れ損失として処理するための条件とは

条件は3つあります。
3つのうちいずれかでも当てはまれば貸し倒れ損失として損金処理をすることが可能になります。

【貸し倒れ損失の条件】
・一定期間取引停止後に弁済がないケース
・金銭債権の全額が回収不能であるケース
・法律的に金銭債権が消滅するケース

それでは一つ一つの条件を詳しく解説していきます。

【一定期間取引停止後に弁済がないケースとは】

売掛金が残っており、すでに取引を停止していることが条件となっています。取引停止になっている期間も条件に入ってきます。1年間以上取引停止をしてから経っている場合には、貸し倒れ損失として計上してもOKとなるのです。

もう一つ貸し倒れ損失として計上できるケースとして、取り立て費用が高額になる場合が挙げられます。仮に売掛金よりも改修費用のほうが高く付く場合には、貸し倒れ損失として計上してもOKとされているのです。

【金銭債権の全額が回収不能であるケースとは】

売掛先の資産状況や支払能力が判定基準になります。
資産状況や支払能力から見て売掛金の全額が回収不能であると見られるケースは貸し倒れ損失として損金処理ができるのです。

ただし資産状況や支払能力を判断するのは容易ではありません。資産がまったくない、といった状況などを説明できなければなないこともあるのです。支払能力に関しても、取引先が営業を続けている場合には証明が難しいでしょう。

一方で営業停止中など売掛先に返済できる資金が入ってくる可能性が少ないと考えられる場合には、損金算入が認められることもあります。

【法律的に金銭債権が消滅するケースとは】

売掛金を含める金銭債権ですが、法律的に回収できなくなることがあります。その法律的に回収できなくなることがあれば、売掛金を損金処理できるようになるのです。

法律的に回収できなくなるケースには以下のものがあります。

・再掲計画認可の決定がされたケース
・更生計画認可の決定がされたケース
・特別清算に係る協定の認可の決定がされたケース
・債権者集会の協議の決定がされたケース
・債務超過の状態が長期化しており、弁済が受けられておらず債務免除を書面によって通知されたケース

上記のうち一つでも該当する場合には、法律的に金銭債権が消滅するケースとされます。貸し倒れ損失と処理してもOKとなるわけです。

 

売掛金の損金処理の方法とは?

まずは3つの損金処理の条件ごとに取り扱いがどうなるのかを確認していきましょう。

【一定期間取引停止後に弁済がないケースの損金処理の取り扱い】

備忘価格として1円を残さなければなりません。それ以外は貸し倒れ損失として計上できるのです。
例えば100万円の売掛金があり、1年以上取引停止になっている場合には、99万9,999円を貸し倒れ損失として計上するのです。1円だけを売掛金として残しておきます。

【金銭債権の全額が回収不能であるケースの損金処理の取り扱い】

全額が回収不能であると判断された場合には、全額を貸し倒れ損失として計上できます。1,000万円の売掛金があり、その全額が回収不能であるとされれば1,000万円を損金処理できるわけです。

こちらのケースでは全額が回収不能であると判定されているので、一部のみを貸し倒れ損失として計上することができません。1,000万円の全額が回収不能であるのに、損金処理を500万円しかしない、ということは認められていないのです。必ず全額を貸し倒れ損失として計上してください。

【法律的に金銭債権が消滅するケースの損金処理の取り扱い】

こちらのケースは、場合によっては売掛金全額が回収できないケースもあれば一部が回収できるケースもあるでしょう。その状況に合わせて、損金処理をしていくことになります。

売掛金全額が回収できないケースであれば、全額を損金処理するのです。一方で一部回収できる場合は回収できなかった額のみを損金処理することになります。

・仕訳の方法について

仕訳は特に難しいわけではありません。
貸し倒れ損失として損金を計上し、持っている売掛金を減らせばよいのです。

では仮に売掛金が1,000万円あり、その全額が貸し倒れた、という条件で仕訳をしてみましょう。

(借方)貸し倒れ損失 10,000,000円 (貸方)売掛金 10,000,000円

以上のようにシンプルな仕訳をすればよいだけです。
ちなみに消費税はどうなるのか気になる方もいるでしょう。消費税に関しては処理をしないと課題に計上されてしまうので、税額を控除する処理が必要になります。

税込み処理をしている場合には、消費税を含んだ貸し倒れ損失をそのまま計上すればよいのです。

例えば10,800円の売掛金が貸し倒れたケースで税込み処理をしている場合は以下の通りになります.

(借方)貸し倒れ損失 10,800円 (貸方)貸し倒れ損失 10,800円

ちなみに貸付金が貸倒れる可能性もありますが、貸付金には消費税は関係してきません。よって貸付金が貸し倒れた場合には、消費税の処理が必要ないのです。

 

貸し倒れ損失の準備!?貸し倒れ引当金って何だ?

・貸し倒れの事実が発生していないケースで計上するもの

売掛金が貸倒れる可能性があるケースで計上されることもあります。貸し倒れの予測に基づいて計上されるケースもあるのです。

貸し倒れ損失の準備と言っても過言ではありません。

貸し倒れ引当金の計上方法には2つあり、一括評価と個別評価があります。

・貸し倒れ引当金の計上方法~一括評価とは~

貸し倒れになる可能性が小さい売掛金などの債権の計上方法となっています。

貸し倒れの実績率というものがあります。会社ごとに貸し倒れの実績率は大きく異なっています。そのパーセンテージを売掛金にかけて貸し倒れ引当金を設定するのです。
仮に売掛金が1,000万円あり、貸し倒れ実績率が3%であれば30万円を貸し倒れ引当金として設定します。

・貸し倒れ引当金の計上方法~個別評価とは~

個別評価による貸し倒れ引当金は個別に設定していくことになります。

個別評価は3つに分かれており、それぞれの区分によって計上額も異なってくるので注意してください。

【50%基準で貸し倒れ引当金を設定するケース】
・再生手続開始の申立て
・破産手続開始の申立て
・更正手続開始の申立て
・特別精算開始の申立て
・手形交換所の取引停止処分

上記が当てはまる場合には、50%の貸し倒れ引当金を計上できます。
ただし取り立て見込額がある場合や担保がある場合は、それらを除いて50%の設定となるので注意してください。

【取り立ての見込みが無い場合で貸し倒れ引当金を設定するケース】
・災害などにより損害が生じて対応できないケース
・債務超過の状況が長く続き、業績の好転も期待できないケース

上記に当てはまる場合には、回収不能と考えられる金額を貸し倒れ引当金として計上できます。

【弁済猶予などがある状況で貸し倒れ引当金を設定するケース】
・特別清算に係る協定の認可があった
・更正計画認可の決定があった
・再生計画認可の決定があった

上記に当てはまる場合には、一定額を貸し倒れ引当金に計上できます。
担保権などの実行により取り立てが見込まれる部分以外の金額を貸し倒れ引当金として計上できるのです。

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