法人になると掛取引をよく行うようになります。売掛金や買掛金を用いて取引をするわけですが、現金を出し入れする機会が減るので、経理の業務が楽になる、といったメリットがあるのです。取引のたびに現金を出し入れするのを面倒に感じてしまうケースも珍しくありません。
掛取引で用いられる売掛金ですが、売上に付随して発生するものとなっています。売上があり、しかも掛取引であれば売掛金が発生するわけです。
その売掛金が減少している、ということもあるでしょう。経営者の方の中には不安に思っている方もいるかもしれません。
こちらでは売掛金が減少する理由について明らかにします。
目次
売掛金が減少する理由その1~売上の減少~
・売上が少なければ獲得できる売掛金も少なくなる
売掛金ですが、売上によって発生するもの、といった理解をしてください。未入金であるものの総称ではありません。あくまで掛取引によって売り上げたもののうち、まだ入金されていないもののことを売掛金と呼んでいるのです。
だからこそ売上が減っている状態であれば、売掛金の額が少なくなります。
毎月500万円を売上、全額売掛金で受け取っているとします。売掛金の入金は60日後ということであれば、基本的に会社には1,000万円の売掛金がある状態となっているわけです。
しかし売上が300万円しかない月があったらどうなるでしょうか?通常よりも売掛金の額が200万円少なくなってしまうわけです。
売上と売掛金は連動しているので、売上の減少は売掛金の減少に直結します。売上も減っているのであれば売掛金も減って当然なので、販売戦略などの見直しを実施しなければなりません。
売掛金が減少する理由その2~回収がうまくいっている~
・売掛金は回収されると減少する
売掛金は月に1回程度のスパンで、期日が来たものが回収されるシステムとなっています。取引先から入金があるはずなのです。入金がされると、売掛金は減少します。
売掛金がいつもよりも減っている場合には、回収がうまくいっている、という証拠にもなります。実は売掛金が減っている、ということは悪いことばかりではありません。実は資金繰りの改善にも関わってくるのです。
売掛金が減少しているということは、より多くの債権が現金に変わっている、ということになります。代わりに現金が増えていることになるので、会社としての資金繰りが良くなるわけです。
・入金が遅れていた売掛金の回収ができた可能性もあり
売掛金が一時期増加しており、そこから減ったケースもあるでしょう。
そのようなケースは、まずは売掛金の入金が遅れていると考えられます。売掛金には期日がありますが、必ずしも取引先が守ってくれるとは限りません。入金が遅れてしまうことも少なからずあるわけです。
入金が遅れていると通常よりも売掛金が増えることになってしまいます。例えば期日が来ている売掛金300万円の入金がなければ、通常よりも300万円塗り掛け金が増えているはずです。
しかし遅れて入金されれば増えていた段階から一気に売掛金が減少する事になります。要は回収活動が成功したことにより、売掛金が減っているわけです。
入金が遅れている、といったマイナスから通常に戻る段階でも売掛金の減少がおこるのです。
売掛金が減少する理由その3~取引先の支払い方法の変化~
①取引先が現金決済を選ぶ
②取引先が約束手形での取引を選ぶ
企業間取引のすべてが掛け取引ではありません。もちろん、企業間取引のほとんどが掛け取引であることは間違いありません。しかし現金取引であったり、約束手形を振り出したり、といったこともあるのです。
他の決済方法を選択されることで、売掛金が減る、といったこともあるのです。こちらの売掛金の減少の理由に関しては、マイナスだけではありません。
以下に返金取引と手形取引について詳しく解説します。
【①現金取引について】
企業の中には現金取引を中心に行っているケースも珍しくありません。例えばあなたの会社が「現金決済であれば、商品代金を5%オフにします」といったことであれば、取引先の中には掛取引ではなく現金決済を選択してくるところも現れてくるでしょう。
現金取引であれば、即座に資金繰りが改善する、といったメリットもあります。売掛金については発生から入金までにはタイムラグが発生してしまいます。1カ月後であるとか2カ月後になってやっと入金がされるわけです。その間の資金繰りについて頭を悩ませてしまうかもしれません。
しかし現金取引であれば売上と同時に会社にキャッシュが入ってきます。入金までのスパンが全く異なるわけです。
現金取引に切り替わったことで売掛金が減少しているのであれば特に問題はありません。資金繰りとしてはかえって良くなると考えられるのです。そもそも現金決済が売上と同時に行われるのであれば、貸し倒れが発生することもなくなります。
【②約束手形による取引について】
企業では約束手形を振り出して取引を行うケースもあります。こちらも掛取引から手形による取引に切り替わることで、売掛金が減少するケースに該当するわけです。
しかし現金取引とは大きく異なる部分があります。実は資金繰りという観点から見ると、あまり良くない状況になってくるのです。
売掛金は大まかに「60日以内」といった期限が設定されています。要は基本的には2カ月間以内には入金されるものなのです。しかし約束手形に関しては、そのような期間設定はありません。売上発生から3カ月後や6カ月後の入金でも問題がないのです。
資金繰りが悪化している企業が約束手形による取引を望むことが多くなっています。自社としても資金が入ってくるまでに時間がかかるので気をつけなければなりません。
一方で約束手形に関しては貸し倒れが発生しにくい、といったメリットもあります。約束手形ですが、仮に支払いができない場合には大きな問題として取扱いされてしまいます。実は不渡りを出してしまうと銀行からペナルティを受けてしまうのです。6カ月以内に2回以上の不渡りを出してしまうと、銀行から取引停止にされてしまいます。銀行から取引停止処分を受けてしまえば、事実上の倒産となります。最悪の事態は招きたくないので、手形に関しては優先的に支払う、といった特徴があるわけです。
売掛金が減少する理由その4~貸し倒れ損失を計上した~
・回収不能状態になったことで損失計上を行うと売掛金は減る
売掛金のすべてが入金されるわけではありません。取引中に取引先が倒産してしまうことも考えられるわけです。仮に倒産しまうなど回収不能状態に落ってしまったときには損失計上しなければなりません。その損失計上時に売掛金を減らすわけです。
売掛金が入ってきたときには以下のように仕訳します。
※売掛金が100万円であるケース
(借り方)売掛金 100万円 (貸し方)売上 100万円
その100万円の売掛金が全て貸し倒れになった場合には以下のように処理します。
(借り方)貸し倒れ損失 100万円 (貸し方)売掛金 100万円
売掛金を減少させる処理をしなければならないわけです。もちろん損失計上したということは、入金は期待できません。ですからその分を減少させます。貸し倒れ損失を計上すると、売掛金は一気に減少することもあるのです。
企業として貸し倒れ損失は避けたい部分でもあります。当初予定していた入金がない、ということになってしまいます。予定していたキャッシュが入ってこないことになるので、資金繰りの悪化に直結してしまうのです。
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