ファクタリングの相見積もりでトラブルが発生する理由とは?
相見積もりを求める際に、トラブルに発展するケースがあります。
原因は自分であったり相手であったりするものですが、いずれの場合もお互いに対する不信感が根底にあるのは疑いようのない事実です。
実は会社においても、これは例外ではありません。
自社で当たり前と考えているルールを相手にそのまま当てはめると、思わぬ反発を受けたり、トラブルに発展してしまうこともあるでしょう。
もちろん、こうした事態に直面した時に、「合わないから仕方ない」と切り捨ててしまうのは簡単です。しかしながら、トラブルの大半は、ちょっとした工夫で防げます。
今回は、ファクタリングの相見積もりがトラブルに発展する、いくつかの理由を解き明かそうと思います。
相見積もりでトラブルが起きる6つの理由
ファクタリングの相見積もりがトラブルに発展する原因は、大抵の場合、以下の6つの理由に分類されます。
企業同士の相性の問題もあるため必ず防げるとは言えませんが、以下の点に注意していれば大抵のトラブルは回避できるでしょう。
相見積もりのトラブル原因
・相見積もり自体を嫌う業者がある
・相見積もりを事前に伝えていなかった
・期限を切らずに契約を進めた
・あとになって条件が変わった
・情報漏洩が発生した
・マナー違反となる行為をした
相見積もりトラブル1:相見積もり自体を嫌う業者がある
ファクタリングにおいて、相見積もりによる比較検討は常識的な判断です。
しかし、ファクタリング業者の中には「相見積もりを嫌う業者」も存在します。
こうした業者に黙って相見積もりを取り、それが発覚した際にはほぼトラブルになると言って良いでしょう。
業者が相見積もりを嫌う理由は、自社のサービスに自信が無かったり、見積もりによる手間やコストを気にしたりと様々です。
いずれにせよ、こうした業者に黙って相見積もりを進める行為はオススメできません。事前に相見積もりを取ることを伝えるなどして、トラブル回避策を実施すべきです。
なお、蛇足と認識しつつ付け足しますと、理由なく相見積もりを拒否する業者については、利用そのものをあまりオススメできません。
この業界は相見積もりや乗り換えによる競争が当たり前の世界です。利用者側の選択性を理由なく奪う企業が、良いサービスを提供しているとは考えにくいからです。
相見積もりトラブル2:相見積もりを事前に伝えていなかった
相見積もりを取る場合、一般的には「相見積もりを取る」と業者に伝えます。
これは、多くの業者が「相見積もりならそうと伝えて欲しい」と願っているからです。
ファクタリングでは、「見積もり→即契約」とならず、交渉を挟むケースも少なくありません。また、いきなり自社の本音を出さず、交渉前提とした見積もりを提示する業者も存在します。
こうした業者の場合、第1回目の面談で提示される見積もり書の手数料額は、「限界の価格」ではありません。
そのため、「相見積もりならそうと伝えて欲しかった」と願う企業がいるのも事実。
自社側にとっても、相見積もりと伝えていればもっと魅力的な条件を引き出せたかもしれません。
いずれにせよ、相見積もりを取る場合は特段の事情がない限り、「事前に相見積もりを取ることを伝える」と良いでしょう。
相見積もりトラブル3:期限を切らずに契約を進めた
相見積もりを求める場合、原則として期限を切ることをオススメします。
資金調達の理由は様々ですが、皆さん「〇日までに入金して欲しい」という希望があるかと思います。また、業者側も「このお客さんはいつまでにお金が欲しいんだろう」と考えているものです。
もちろん単独交渉なら、双方が意見交換をすれば済む話です。
ところが、複数の業者から相見積もりを取る場合、「〇日までに発注してくれないと間に合わない」と要求する業者が存在します。
こうした企業の要求を無視して、見積もりが出揃うまで回答を渋ってしまうと、トラブルに発展してしまうことも。
また、当然ですが見積もりを求めておいて回答を出さない企業は、業者からもあまり良く見られません。
相見積もりを取る際は、各社の都合を聞き取り、自社側で期限の設定を行うべきです。
相見積もりトラブル4:あとになって条件が変わった
見積もり書で提示された条件が、契約段階になって変わったケースです。
原因は様々で、いくつも存在します。中には、業者が悪徳業者であるなど、自社側が全く対処できないケースも。
契約段階になって条件の大幅な変更が行われると、なんだか詐欺にあったような不満を感じてしまいますよね。
ただし、見積もり書の条件変更は、大抵の場合以下の2点に注意すれば防げます。
1、正確な情報を伝える
2、特約等を確認する
特に1は重要です。
業者は自社から提供された書類やヒアリングした情報を元に見積もり書を作成します。
しかし、本来の事情を異なる前提条件を伝えてしまうと、当然出てくる見積もりの精度は下がるでしょう。
もちろん、意図的に事実と異なる情報を伝える方は少数です。
ですが、話の流れなどの影響で、「これは審査に関係ないだろう」と勝手に判断して違う情報を伝えるケースは見られます。
こうして歪められた情報が実は審査に影響する場合、見積もりになって反映されることになるでしょう。
また、特約に関するチェックも忘れずに。
見積もり書は法律文章ではないので、各社書き方は自由です。
なかには、「費用一式」と省略したり、欄外に小さく「特約締結を前提」などと書かれているかもしれません。
これでは相見積もりの際に、他社と比べて高いのか安いのかわからず、困ってしまうでしょう。
自社に不利な特約やルールがないかは、見積もり請求時点で確認しておきたい部分です。
相見積もりトラブル5:情報漏洩が発生した
見積もり書の著作権は業者側にあります。
見積もり書そのものはクライアントである自社に提供した書類ですが、中に書いてある情報は業者のものです。
また、見積もり書には担当者の氏名や連絡先が書かれていることもあります。
そのため、黒線引きなどの加工を行うこと無く他社にその見積もりを見せてしまった結果、情報漏洩トラブルに発展するケースも存在します。
個人情報保護法の改正に伴い、中小企業にも個人情報の健全な管理が求められる時代です。
例えば、自社が外部に閲覧を許した見積もり書が原因で、業者の担当者にダイレクトメールやフィッシングメールが送付された場合、その責任の一端は自社にあります。
相見積もりは自社の利益を最大化する有益な手段ですが、情報管理だけは徹底して交渉に進みたいところです。
相見積もりトラブル6:マナー違反となる行為をした
相見積もりには、様々なマナーが存在します。
例えば、相見積もりを行う時に、比べている企業の具体名を挙げたり、他社の見積もり書をそのままあげつらって「安くしろ」と要求する行為です。
詳しくは相見積もりのマナーについて解説した別コラムに譲りますが、こうしたマナーの順守は交渉を円滑に進めるための必要知識。
本来なら非常に魅力的な見積もり書が得られるのに、ちょっとしたマナー違反で損なってしまっては、自社にとって大きな損失というしかありません。
資金調達によるトラブルは、貴重な時間を浪費するだけでなく、時として経営そのものに重大な影響を与えかねない一大事。
マナーやルールを守って相見積もりを進め、円滑なファクタリングを実現したいところです。