戦略コンサルタントと経営コンサルタントの具体的な違いとは?
2022年2月17日 / 資金調達
企業経営のアドバイザーとして活躍する専門家には、「戦略コンサルタント」と呼ばれる人もいれば「経営コンサルタント」もいますが、両者の違いは何なのでしょう。
実はコンサルタントにはいろいろな仕事がありますが、企業経営に関するアドバイザーとして代表的な役割を担うのが「戦略コンサルタント」と「経営コンサルタント」であり、明確な違いについて定義などもありません。
ただ、業務や仕事内容・クライアントなどによって「戦略コンサルタント」か「経営コンサルタント」か違いがあることが多いといえるため、その区別について説明していきます。
経営コンサルタントの主な仕事とは
「経営コンサルタント」とは、クライアントが競争で生き抜くための経営戦略などをコンサルティングしていく専門家です。
クライアントが抱える経営上の問題全般について、まずは経営者からヒアリングを行い、問題点を分析して解決策を提示します。
経営コンサルタントの場合、専門とする分野は「経営」や「経済」に関することなので、たとえば次のようなときに相談する相手といえます。
- ・新年度から新たに事業を立ち上げたい
- ・業績を向上させるため既存の事業を整理したい
- ・海外進出する上での事業拡大計画を立てたい
- ・他企業とM&A(買収・合併)する際のアドバイスが欲しい
- ・コスト削減に向けたリストラや減給などを検討したい
そのため経営コンサルタントとして活躍できる人材とは、社会経済に精通し、経営・雇用・法律などについて幅広い知識を保有する方といえます。
経営コンサルタントが取引する相手は、主に中小企業や個人事業主などであり、経営・人事・財務などに総合的にアドバイスすることが可能な知識がなければ務まりません。
経営コンサルタントの専門分野は主に4つ
経営コンサルタントに明確な定義はないものの、聞き取った問題について分析し、解決策を提示できる能力が求められます。
ただ専門的な部分に違いがあり、次の4つの経営コンサルタントに分けられることもあります。
「経営戦略」の経営コンサルタント
企業の経営戦略に関するコンサルティングを専門として行うのが「経営戦略」の経営コンサルタントです。
「戦略コンサルタント」として、採用や育成ルートを分類していることもありますが、仕事内容は同じといえます。
社会経済・景気変動・企業の経営に関する知識などが必要とされ、他の会社とのM&A(買収・合併)や海外進出などの事業計画に関するアドバイスができる能力も求められます。
「財務」の経営コンサルタント
企業の「財務」を専門としてアドバイスする経営コンサルタントであり、税金・法律に関して豊富な知識を有していることが求められます。
節税対策や補助金・助成金、その他の資金調達などを提案することも主な仕事です。
「人事」の経営コンサルタント
企業の「人事」を専門としてアドバイスする経営コンサルタントで、労務・雇用などに関する専門的な知識が求められます。
採用活動におけるアドバイスや就業規則の見直し、残業削減に向けた提案などを行います。
「マネジメント」の経営コンサルタント
「マネジメント」分野を専門とする経営コンサルタントで、会社の業務の流れを確認し、コスト削減しながら業績を向上させることに向けたアドバイスができる知識が求められます。
経営コンサルタントの業務の5つの流れ
経営コンサルタントは、クライアントの実態や問題点を把握し、改善させるための最善策を検討します。
そして問題解決に導いていくことを役割としますが、主に次のような業務の5つの流れとなっています。
①ヒアリング
まずはクライアントから直接話を聞いて、今どのような問題を抱えているかヒアリングします。
経営者からヒアリングする以外にも、社員などから話を聞くこともあります。
②診断
業務効率化や合理化などを目指す企業に対し、実態の調査と問題点を診断します。提供された情報だけで診断が難しいときには、独自に調査を行うことも行います。
③分析・提案
ヒアリングで情報を得て会社の実態を確認後、問題点を洗い出してその解決に向けた提案や改善案を検討します。
さまざまな仮説を立てながら、最も効果的な方法は何か検討し、クライアントとともに問題解決に向けて動いていきます。
④評価
問題の解決策を提案するだけにとどまらず、実績向上に向けて効果があったのか、対策実行後に振り返り評価していきます。
もしも結果を得ていなければ、再度、新たな対策を検討・提案・計画の見直しを行います。
⑤情報提供
国内外の情勢や業界の動向だけでなく、法改定や規制の見直しに関することなど、知識として得た情報を提供し、今後の企業経営に役立ててもらうことも必要です。
戦略コンサルタントとは
戦略コンサルタントと呼ばれる専門家は、コンサルティング事業会社(コンサルティングファーム)に所属していることが多いといえます。
企業から受けた相談に対し、課題解決や事業発展に向けたサポートを行います。
コンサルティングにも事業領域や得意分野など違いがあるといえますが、戦略コンサルタントの場合は企業の経営戦略を練る専門家として仕事をすることが特徴です。
経営コンサルタントのクライアントは中小企業や個人事業主であるのに対し、戦略コンサルタントの場合は取引先が大企業となることも違いといえます。
他企業とのM&A(買収・合併)のサポートや海外進出に向けた事業計画に関してのアドバイスなども、経営コンサルタントより多いといえます。
まずは経営コンサルタントで経験を積み、その後、戦略コンサルタントとして働く方もいます。
経営に関する最高峰の資格といえる「MBA(経営学修士号)」を取得している戦略コンサルタントもいるなど、高い専門的知識を保有する人材でなければ務まりません。
企業課題を解決する提案を行う専門家
戦略コンサルタントは、企業の経営層が抱える課題解決に向けた対策や方法を提案することが主な仕事です。
中長期で事業計画を立てたり新規事業を立案したり、マーケティング戦略や海外進出に向けた取り組み、人材や会計などの相談まで多岐に渡り様々な支援を行います。
業界での立ち位置や客観的評価も含め、調査やヒアリングを行いますが、経営陣だけでなく従業員やステークホルダーまでインタビューを行っていきます。
調査により内外で得た情報を統合・分析・検証し、企業にとって最もよい対策や方法を提案することになります。
戦略コンサルタントと経営コンサルタントの違い
戦略コンサルタントと経営コンサルタントは、似ているものの厳密には違いがたくさんあります。
戦略コンサルタントの場合、クライアントの要望に対して、目的達成に向けた取り組みやその手順・期間など具体的なソリューションで提案を行います。
まずは枠組みを作ってから、セットアップしていくプロデューサーのような存在といえるでしょう。
経営者と協力しながら、企業の「戦略」を決定していくコンサルタントといえます。
それに対し経営コンサルタントは、計画の大枠といえる戦略を実行できる段階まで具体化し、システム構築と運用に向けた戦術を決定していきます。
企業の内側に入り込み、社内で戦略を浸透させていき、実際に実行するまで指揮・サポートするディレクターのような存在といえるでしょう。
どちらも企業経営を改善させるための専門家であることに違いはありませんが、対象となるクライアントや役割など異なる部分があると理解しておいてください、