事業資金は会社にとって非常に重要なものです。事業する資金が足りなくなってしまえば、会社経営も立ち行かなくなってしまいます。倒産へまっしぐら、となってしまうわけです。
そこで倒産をしないようにするためにも、損益計算を定期的に行っている、という会社も多いのではありませんか?損益計算をすることは間違いではありません。しかし損益計算だけでは事業資金が足りなくなることに気づかないおそれもあるのです。
そこで注目すべきはキャッシュフローです。お金の流れを中心に把握することで、事業資金が足りなくいなることを前もって確認できるわけです。
こちらでは損益計算書とは何か、さらになぜ損益計算書だけではダメでキャッシュフロー計算書が必要になってくるのか、ということを詳しくお伝えします。
目次
損益計算書とは?
・経営成績を表したものである
損益計算書は決算書の一つです。一定期間の経営成績を表したもので、会社として利益を上げているのか、それても損失を出しているのかを把握するための大事な書類となっているのです。
損益計算書には売上を記します。さらに、売上を上げるためにかかった様々な費用もあわせて記載されます。「売上-経費」によって利益が表示されることになるのです。簡単に言ってしまえば会社の収益力を把握するための書類というわけです。
・損益計算書で重視すべき項目とは?
「当期純利益」です。
当期純利益は会社の経営成績を表したものとなっています。当期純利益の金額によって、黒字なのか赤字なのかを把握できるようになるわけです。
当期純利益が出ているということは、会社に利益が出ているということになります。黒字経営をしているということになるんですね。
一方で当期純利益が出ていないということは、赤字経営をしている、ということになります。結果的には資本金を減らすような状況になってしまっているわけです。
企業の目標は「当期純利益」を出すことです。いかに売上を多く出し、経費を少なくするかが重要になってきます。
・損益計算書で忘れてはならない営業利益率
営業利益率とは、メインの営業活動でどれだけ稼いだかを表しているものです。パーセンテージで表しているものであり、もちろんパーセンテージが高くなればなるほど優秀、ということになります。メインの営業で結果が出ているわけですからね。
A社とB社があるとして、双方ともに5,000万円の営業利益が出ているとします。
一方でA社の売上高は10億円です。一方でB社の売上高は100億円です。
・A社の営業利益・・・5%(5,000万円÷10億円)
・B社の営業利益・・・0.5%(5,000万円÷100億円)
営業利益率をみることで、いかに効率的な経営を行っているかが分かるわけです。営業利益率が高ければ高いほど、売上にかかる経費が少ないことを表しています。
損益計算書だけではなくキャッシュフロー計算書が必要になってくる理由
・損益計算書だけでは資金のショートに気づけない
損益計算書には盲点があります。それは「お金の流れを把握できない」というものです。
損益計算書は前述したように、利益が出ているのか、それとも利益が出ていないかをあらわすものです。「利益があるということは現金が増えていることにもなるので、キャッシュフロー計算書はいらないのでは?」と思ってしまう方もいるかもしれません。
たしかに利益が出ていないよりは出ている方が良いに決まっています。しかし損益計算書では、資金のショートに気づけません。会社の現金がなくなっていることに気づくのが遅れ、対応が後手後手に回ってしまう恐れも有るのです。
損益計算書は売上と様々な経費が記されます。一定期間の売上と経費を計上していくのですが、その売上の入金と経費の支払いはすべて現金払いでその都度行っているでしょうか?会社の取引については、多くが「ツケ」ですよね。売掛金や売掛金によって取引を行っているわけです。
売掛金の入金はいつ行われるのでしょうか?
買掛金の支払いはいつ行われるのでしょうか?
売掛金や買掛金については1ヶ月から2ヶ月先の対応になることが多いわけです。その場で現金が増えたり減ったりしているわけではないので、損益計算書だけでは手持ちの現金の正確な額を計算できるわけではありません。
・必ずしも売上と現金が連動しているわけではない
損益計算書を作成する時に念頭に置いてほしいのが「売上」と「現金」の関係性です。
売上と現金は必ずしも連動しているわけではありません。売上が増えたからといって、入ってくる現金が確実に増えるとは限らないのです。
売上の多くは売掛金になるでしょう。その売掛金にしても、1ヶ月先に入金するものもあれば2ヶ月先に入金になるものもあります。さらにそれ以上の期間がかかってしまう可能性もあるのです。中には売掛先が倒産するなどして回収できないものが発生するかもしれません。
支払いについても同じことがいえます。買掛金の支払期日はバラバラなので、仮に支払いが多くなるとの結果が損益計算書で出ていたとしても、すぐに現金がなくなるわけではありません。一定期間の猶予が発生することもあるのです。
一定期間の猶予があるのであれば、その間に様々な対策を立てることも可能です。
キャッシュフロー計算書を徹底解説
・キャッシュフロー計算書とは?
一定の会計期間における企業の現金の出入りを表すものです。キャッシュインしたものとキャッシュアウトしたものを表示し、さらにキャッシュの期首残高を記します。そして最終的なキャッシュの期末残高を計算するのです。
キャッシュの残高が増えていれば、資金のショートは起こりません。一方で期末残高がマイナスになっていたりゼロに近い数字を出してたりする場合には、資金ショートの可能性が出てくるわけです。
ちなみにキャッシュが減っていたとしても期末残高に余裕がある場合には、資金ショートは発生しません。あくまで残高がどれくらいになるのかが重要になってくるのです。
・キャッシュフロー計算書はどのように活用すべきか?
あくまで現金の流れを掴むものとして活用すべきです。
キャッシュフロー計算書では現金の流れはつかめますが、利益は把握できません。損失が出ていたとしても、気づけないのです。
例えば銀行から借り入れを行ったとします。そうすると借り入れした分の現金が増えるわけです。しかしその増えた現金は売上があったから増えたのではありません。借り入れしたから増えたのです。負債を抱えたことになり、毎月返済をしていかなければなりません。
キャッシュフロー計算書だけでは、負債によって現金が増えたとしてもプラスになってしまうわけです。
・キャッシュフロー計算書と損益計算書を併用しよう
キャッシュフロー計算書だけでは会社の利益を掴むことは出来ません。
損益計算書だけでは会社の現金の流れを掴むことは出来ません。
要はキャッシュフロー計算書と損益計算書の両方を併用していく、ということが極めて重要になってくるわけです。どちらか片方だけを重要視しては肝心なところを見落としてしまうかもしれません。会社にとっての将来的なリスクを把握するためにもキャッシュフロー計算書と損益計算書を定期的に作成し、2つを見ながら今後の会社の経営方針を立てていくことが重要です。
キャッシュフロー計算書を作成しない経営者の方も多いですが、経営を続けていれば大切さに気づくはずです。事業資金がショートする兆候をいち早く掴むためにも、キャッシュフロー計算書の作成を実施しましょう。
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