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経営成績を示す「経常利益」が減少したときの原因を追及する方法とは?

事業資金2022/01/13

利益には「営業利益」「経常利益」「純利益」などいくつか種類がありますが、減少しているときには何が原因か分析することが必要です。

減少の原因を追及する上でも、「営業利益」「経常利益」「純利益」の違いを理解しておくことは重要といえます。

特に「経常利益」は経営成績を最も把握しやすいため、減少したときには注意が必要です。

そこで、「営業利益」「経常利益」「純利益」はそれぞれどのような意味があるのか、減少したときの原因を追及する方法について解説していきます。

「営業利益」「経常利益」「純利益」それぞれの意味

利益には次の3つの種類があります。

  • ・営業利
  • ・経常利益
  • ・純利益

それぞれ何を意味するのかその内容から把握しておきましょう。

営業利益

「営業利益」本業で稼いだ利益であり、まさに本業の成績をあらわしているといえます。

「売上高」から販売する商品など仕入れ分の「売上原価」を差し引いて「売上総利益」を計算し、「売上総利益」から「販売費及び一般管理費」を差し引けば求めることができます。

営業利益=売上高-売上原価-販売費及び一般管理費

「販売費及び一般管理費」とは、本業に関連する費用のうち、仕入れ以外の商品販売にかかった費用です。

経常利益

通常業務において得た利益「経常利益」であり、本業の儲けは「営業利益」、それ以外の利益を「営業外利益」といいます。

本業がたとえば製造業の場合でも、保有している不動産を活用し家賃収入など得ていれば、利益に本業の利益以外の家賃収入なども含まれることになります。

そこで、「営業利益」に本業の活動以外の収益である「営業外収益」を加え、本業の活動以外の財務活動などで発生する「営業外費用」を差し引いて求めれば、企業の経営成績を把握しやすくなります。

経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 – 営業外費用

仮に本業で「営業利益」を出している場合でも、借入金返済や利息負担が大きければ、「経常利益」は少なくなるといえます。

純利益

一会計期間の活動結果の全体の収益から、かかったすべての費用や法人税などを差し引いた純粋に残る最終的な利益「純利益」です。

「経常利益」から通常の経営活動に含まない「特別収益」や「特別損失」などを加算・減算して計算します。

さらに税金分を差し引けば、「純利益」を算出できます。

税引前当期純利益=経常利益+特別利益-特別損失
当期純利益=税引前当期純利益-法人税等±法人税等調整額

「特別利益」とは、土地など不動産を売却し得た利益や臨時的な補助金収入などです。

「特別損失」は、不動産を売却したものの損失が出たときや災害による損失などが該当します。

「法人税等」には法人税・住民税・事業税を含み、「法人税等調整額」は会計と法人税などの計算で発生した差を調整するために加算または減算します。

経営状態を確認する指標に適しているのは「経常利益」である理由

「営業利益」「経常利益」「純利益」はどれも重要な利益ではあるものの、最終的な「純利益」を注視すべきでは?と考えがちです。

しかし「純利益」は「特別収益」や「特別損失」などの事業に継続して関係しない例外といえる損益も加味された利益のため、経常的な業績判断においては指標になりにくいといえます。

本業の成績を確認するのなら「営業利益」を指標としたほうがよいですが、本業以外の収益は加味されておらず、やはり経常的な業績判断には適していません。

「経常利益」であれば資産運用益や借金利息など加味されるため、事業全体の数字を把握でき、実際の収益力を判断するための指標として用いることができます。

「経常利益」と2つの利益の関係

「経常利益」を経営状態の判断指標に用いることがベターといえますが、その他2つの利益との関係を知っておくことで、より分析がしやすくなります。

そこで、

  • ・「経常利益」と「営業利益」の関係
  • ・「経常利益」と「純利益」の関係

の2つについて説明していきます。

「経常利益」と「営業利益」の関係

たとえば、

「営業利益」=赤字
「経常利益」=黒字

というケースで考えられるのは、

「営業利益」=赤字=本業の業績悪化
「経常利益」=黒字=本業以外の収益が発生

という状態です。

そのため、

  • ・多角化した別事業で利益を生むことができている
  • ・資産運用が順調
  • ・貸付金の受取利息が大きい

といった状況によるものと考えられます。

本業では課題を抱えているけれど、事業全体では黒字になっている状態です。

反対に、

「営業利益」=黒字
「経常利益」=赤字

というケースでは、

本業による業績は好調でも、資産運用で損失が出ていたり借入金利息の負担が大きかったという可能性があるといえるでしょう。

「経常利益」と「純利益」の関係

「経常利益」=赤字
「純利益」=黒字

というケースでは、最終的には利益が出ているのに「経常利益」はマイナスという状態です。

これは、事業全体の収益が悪化していることを示します。

ただ、一時的に収益があったために「純利益」がプラスになっているといえるでしょう。

そのためこのようなケースでは、赤字体質になっている可能性があると考えられるため、利益を生み出すことのできるよう企業努力が必要です。

反対に、

「経常利益」=黒字
「純利益」=赤字

というケースでは、一時的な損失が発生したことで最終的にマイナスになっただけであり、事業自体は利益を生み出すことができる体質であると考えられます。

「売上高経常利益率」が減少している原因を分析する方法

「営業利益」「経常利益」「純利益」という3つの利益を分析することで、経営状態を細かく把握することにつながります。

特に業績や財務状況を把握できる「経常利益」を意識した経営を続けたいですが、経営状態を見直すだけでなく取引先の経営状態を確認するときも「経常利益」を注視したほうがよいと考えられます。

そして経営状態を見直す指標として「売上高経常利益率」も参考にしましょう。

「売上高経常利益率」とは、「売上高」に対する「経常利益」の割合です。

売上高経常利益率 = 経常利益 ÷ 売上高 × 100%

企業の収益性を計る尺度として用いられているため、「売上高経常利益率」が高いければ資産売却損益などを除く通常の経営活動での収益力が高いことを意味します。減少しているときには注意が必要です。

「経常利益」を算出するには、

  • ・売上総利益=売上高-売上原価
  • ・営業利益=売上総利益-販売費及び一般管理費
  • ・経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用

という計算式を使います。

そのため「売上総利益」が悪化していれば、

「売上高売上総利益率」(売上高に占める売上総利益の比率)=売上総利益÷売上高
「売上高営業利益率」(売上高に占める営業利益の比率)=営業利益÷売上高

の2つを確認することが必要です。

「限界利益」を踏まえた収益改善ポイント

「限界利益」とは、事業存続の見込みの有無を判断する指標であり。「売上」から「変動費」を差し引いたときに残った利益です。

経営において重要な利益の元となる指標であり、多いほど固定費を賄う原資が多く、利益が出やすい体質であると判断できます。

事業で儲けを出すことができているか知る上で、「売上高」を確認するよりもわかりやすい指標ともいえます。

「限界利益」は、

限界利益=売上高-変動費

で計算します。

まとめ

企業経営において分析することは重要ですが、利益が減少している原因を知るためには、収益性悪化の要因として考えられる次を確認しましょう。

・経常利益が減少している原因として考えられること…支払利息増加・固定費増加・変動費率上昇・売上高減少
・営業利益が減少している原因として考えられること…固定費増加・変動費率上昇・売上高減少
・限界利益が減少している原因として考えられること…変動費率上昇・売上高減少
・売上高が減少している原因として考えられること…販売数量減少・販売単価低下

収益を改善させるには、

・固定費削減
・変動費削減
・売上高増加

が大きなポイントとなることを踏まえ、適切に改善させていくようにしましょう。

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