商工会が行う「経営改善普及事業」で支援してもらえることとは?
2022年4月14日 / 資金調達
地域の事業者が業種の隔たりを越え会員となり、互いの事業や地域の発展に向けて創業的に活動を行うのが「商工会」ですが、小規模事業者の経営改善普及に向けた事業も行っています。
商工会の「経営改善普及事業」は、小規模事業者の経営や技術も改善・発達を図ることを目的とした事業であり、資格を保有する経営支援員などが金融・税務・経営・労務など多岐に渡る相談・指導を行い地域活性化に向けた取り組みを実施していることが特徴です。
他にも商工会では、経営計画策定の支援を行い、売上増進をサポートする経営発達支援事業なども行っていますが、どちらも国と都道府県の補助金交付により秘密厳守・無料で支援されます。
そこで、商工会が行う「経営改善普及事業」ではどのようなことを支援してもらえるのか、その内容について紹介していきます。
商工会なら安心して相談できる理由
商工会の「経営改善普及事業」の対象となるのは小規模事業者ですが、「小規模事業者」とは商工会法で定めのある商工業者であり、常時使用している従業員数が20人(商業またはサービス業は5人)以下の事業者です。
経営について悩みを抱え、改善させるためにどうすればよいか相談したいけれど、相談料などが発生してしまうのでは…と不安を抱える小規模事業者も少なくないことでしょう。
大企業と異なり、資金力も大きくない小規模事業者にとって、できるだけ費用をかけずに相談したいと考えるのは当然のことです。
そのような場合でも、商工会の「経営改善普及事業」によるサポートであれば、無料で相談することができます。
商工会が行う「経営改善普及事業」の中で注目したい支援
商工会が行う「経営改善普及事業」であれば、無料で経営の専門家に相談することができます。
状況により企業訪問なども行われますが、対象となるのは各地域の商工会のあるエリアの事業者です。
確定申告や年末調整など、税務に関するアドバイスを受けることもでき、IT導入によるシステム化なども支援してもらえます。
また、会社経営では欠かすことのできない資金調達についての相談や、公的融資制度の紹介などにも対応しています。
サポートしてもらえる内容は、項目ごとに分けると主に次のとおりとなります。
- ・税務…確定申告・年末調整・企業などの税務対策・複雑でわかりにくい税務に関するアドバイス
- ・経理…IT財務会計システムによる効率化・元帳作成・記帳業務代行・「ネットde記帳」のサポート
- ・融資…経営安定・向上に向けた資金調達に関する相談・融資の斡旋
- ・労務…従業員の福利厚生など企業の労務面のサポート・労働保険の業務委託
- ・創業・経営革新…起業や新事業を開拓する方に向けた専門家の派遣等支援
- ・販路開拓…販路開拓・新分野進出を目的とした企業マッチング
- ・情報化推進…経理のIT化・パソコンやインターネット活用による事業相談・アドバイス
- ・講習会・研修会…必要な知識や技術を提供する講演会や研修会など各種開催
商工会が行う経営改善に向けた支援事業の内容
商工会が行う「経営改善普及事業」は、小規模事業者の経営改善や発達が主な目的です。
具体的に次のようなことを経営改善支援事業として行っています。
- 主任経営支援員の経営支援
- 講習会・研修会の開催
- 公的融資などの金融支援
- 税理士による税務・経理支援
- IT導入など活用支援
- 従業員の福利厚生を目的とした労働支援
それぞれどのような支援か、その内容を説明します。
主任経営支援員の経営支援
経営のことで悩んでいる小規模事業者に対し、商工会窓口で主任経営支援員などが相談を受け付け、適切なアドバイスを行っています。
定期的に地域の事業者を回る巡回支援も行い、専門分野ごとに上席専門経営支援員が支援に回るといった対応も行っているようです。
また、経営発達支援事業では、経営計画の策定支援に基づいた伴走型支援・売上増進をサポートしています。
今後は企業力をアップさせていきたいと考える事業者には、小規模事業者持続化補助金など積極的に実施するなど、様々な支援を行っているといえるでしょう。
講習会・研修会の開催
経営における必要な知識・技術など、様々な情報提供に向けて講習会や研修会などを開催しています。
公的融資などの金融支援
資金調達は事業を続ける上で欠かせないことですが、金利が安く担保や保証人など不要の公的融資など、金融支援やあっ旋も行っています。
たとえば「マル経融資(小規模事業者経営改善資金融資制度)」は、金融面でいろいろな制約のある小規模事業者に対し、商工会が推薦することで、無担保・無保証・低利の融資を受けることができる制度です。
常時使用する従業員が商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)なら5人以下、製造業などは20人以下であることに加え、商工会の経営指導を原則6か月以上受けることが必要ですが、運転・設備資金どちらも2千万円まで借りることができます。
また、マル経融資以外にも、小規模事業者に有利と考えられる融資制度を紹介してくれます。
たとえば日本政策金融公庫の次のような融資制度のあっ旋を行っているので、民間の銀行には相談しにくいという場合には問い合わせてみるとよいでしょう。
- ・普通貸付
- ・小規模事業者経営改善資金貸付
- ・小規模事業者経営発達支援資金
- ・セーフティネット貸付
- ・新企業育成貸付
- ・企業活力強化貸付
- ・環境・エネルギー対策貸付
- ・企業再生貸付
- ・災害貸付・食品貸付
- ・生活衛生貸付
など。
税理士による税務・経理支援
経営者の中には、簿記や財務の知識が豊富という方もいれば、営業活動は得意だけれど決算書の読み方すらわからないという方もいます。
税金の各種控除など知らない方や、そもそも白色申告や青色申告の違いがわからないなど、税務に関するいろいろな悩みを抱えていることもめずらしくありません。
そこで商工会では、帳簿の記帳方法や決算・申告の方法まで、適切にアドバイスを行っています。
決算や申告期になると税理士が専門相談員として無料の税務相談に応じるなど、専門家からアドバイスを受けることができるのもメリットです。
IT導入など活用支援
どのような業種でもIT化が進んでいますが、地域情報を発信し地域の活性化を目指すためにも、インターネットの導入やIT化、SNSの活用支援などを行っています。
従業員の福利厚生を目的とした労働支援
小規模事業者に雇用されて働いている従業員の福利厚生のために、
- ・社会保険
- ・労働保険
- ・退職金
などの相談にも適切にアドバイスをしてもらえます。
たとえば社会保険は、すべての法人事業所と、常時5人以上の従業員を雇用する一般の個人事業所(飲食・サービス・農・林・漁業などは除く)が加入を義務付けられています。
従業員が5人未満の個人事業所の場合でも、一定の手続で認可を受ければ、健康保険・厚生年金を適用させることが可能です。
そして従業員を1人でも雇用する場合には、業種に関係なく労働保険に加入しなければならないとされています。
しかし労働保険の事務手続が面倒に感じることや、人手不足で事務処理にまで手が回らないというケースもめずらしくありませんが、商工会が運営指導する労働保険事務組合に事務委託し、代行してもらえます。
事務委託により事務処理が軽減されれば、労災保険に加入できない事業主や家族従事者も労災保険に特別加入できることもメリットです。
まとめ
商工会では小規模事業者を対象とした経営改善の普及事業を行っていますが、無料で相談できることがメリットです。
ただ、商工会だけでなく、たとえば資金調達の悩みを相談するファクタリング会社などでも、コンサルティング業務も行い事業者の様々な悩みに対応しているケースがあります。
相談も無料ででき、公的融資に限らず適切な資金の調達方法も提案してもらえるため、困ったときには相談してみてはいかがでしょう。