建築・建設会社が活用したい業界に特化した補助金・助成金制度とは?
2022年3月18日 / 資金調達
補助金や助成金などの制度は多種多様にありますが、建築・建設関係の会社などは業界に特化したものを選ぶとよいでしょう。
そこで、建築・建設関係の事業者が活用できる補助金・助成金制度について紹介していきます。
補助金・助成金・給付金の違い
返済不要の資金を調達できる制度には、
- 補助金
- 助成金
- 給付金
と種類があり、それぞれ次のような違いがあります。
補助金
補助金は国や自治体の政策目標に合わせていろいろな分野で募集がされている制度であり、事業者の取り組みを支援するため資金の一部を給付します。
使用用途は制限されており、政策に沿った事業を開始するなど目的に一致していなければ、サポートされませんので注意しましょう。
予算や交付件数など決められているため、先着順で応募期間内に認定を受けることが必要になるなど、補助金により異なります。
ただ、申請書だけでなく事業計画書や複数の書類提出を求められるなど、審査のハードルも高めと認識しておいたほうがよいでしょう。
また、補助金は申請者が必要な費用を立て替え、後で領収書や支払い内容の確認できる書類を提出すれば、後払いで振り込まれる仕組みとなっています。
助成金
助成金は、
- ・雇用関係(厚生労働省)
- ・研究開発型(経済産業省)
に分類されますが、労働環境改善や人材育成などを目的としてお金が給付される制度です。
補助金のように厳しい審査はなく、要件に合致すれば受け取ることができますが、厚生労働省の助成金は社会保険に加盟していなければ支給されないため注意しましょう。
給付金
給付金とは、提示される条件を満たすときに国や自治体から支給されるお金で、要件を満たせば受給できます。
建設業に特化している補助金や助成金
返済不要の資金を調達するときには補助金や給付金がおススメですが、建設業に特化したタイプのものであればより活用しやすいといえます。
建設業に限らず利用できるものもありますが、特に建築会社や建設会社などが使いやすいように業界に特化した制度は次のとおりです。
- 人材開発支援助成金
- 人材確保等支援助成金
- 職場環境改善計画助成金(建設現場コース)
それぞれ詳しく説明していきます。
人材開発支援助成金
労働者に対して職業訓練を行ったときの賃金の一部を助成する制度が「人材開発支援助成金」です。
人材採用難で、自社内で人材育成することが必要となっていますが、職務に関係する専門知識や技能習得に向けた研修を行ったときの経費が助成されます。
令和3年度には建設事業主に向けた「建設労働者認定訓練コース(経費助成)」と「建設労働者認定訓練コース(賃金助成)」が設けられたため、建設業界に特化した制度といえます。
さらに令和4年度には、「特定訓練コース」「一般訓練コース」「特別育成訓練コース」などにコースに見直しが行われており、助成額や訓練施設など要件についても変更される予定なので注意しましょう。
- ・特定訓練コース…正規雇用労働者を対象に生産性向上に資する訓練などを実施する場合
- ・一般訓練コース…正規雇用労働者を対象に訓練を行う場合
- ・特別育成訓練コース…非正規雇用労働者を対象に訓練を行う場合
助成額は従来まで時給制でしたが、以下のように定額制に変更されます。
- ・特定訓練コース(認定実習併用職業訓練)…見直し前OJT1時間あたり665円(380円)→見直し後(令和4年度)1訓練あたり20万円(11万円)
- ・特別育成訓練コース(有期実習型訓練)…見直し前OJT1時間当たり760円(665円)→見直し後(令和4年度)1訓練あたり10万円(9万円)
なお、OJT訓練指導者が1日に指導できる受講者は3名までです。
人材確保等支援助成金
従業員を定着させるために雇用管理改善や生産性向上などに取り組む企業に対し支給されるのが「人材確保等支援助成金」です。
今現場で働いている従業員に、退職することなくこれからも働き続けてもらうため、職場環境を改善させるときに活用できます。
人材確保等支援助成金には、
- ・雇用管理制度助成コース(建設分野)
- ・若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース
- ・作業員宿舎等設置助成コース
の3つがあります。
このうち雇用管理制度助成コース(建設分野)は令和4年3月31日をもって廃止されることが予定されていますので、早めの申請が必要です。
ただ、新たに「建設キャリアアップシステム等普及促進コース(仮称)」が設置されることが予定されています。
新コースでは、
- ・建設事業主団体のCCUS技能者登録料などの補助
- ・CCUS登録など各種申請手続の支援
- ・就業履歴を蓄積するカードリーダー導入などの支援
などが行われます。
新コースは建設労働者の入職促進と処遇改善を図るために取り組みを行う事業が対象です。
主な取り組みとして、
- ・キャリアアップシステム(CCUS)
- ・建設技能者の能力評価制度
- ・専門工事企業の施工能力など見える化評価制度
などの普及・促進が挙げられます。
最大3千万円助成される制度なので、積極的に活用するとよいでしょう。
職場環境改善計画助成金(建設現場コース)
現在、従業員数50人以上の事業場にはストレスチェックと面接指導実施などが義務付けられています。
そこで、建設業の元方事業者がストレスチェック実施後の集団分析結果に応じて、専門家による指導に基づいた職場環境改善計画の作成・実施にかかった指導費用を助成するのが「職場環境改善計画助成金(建設現場コース)」です。
厚生労働省の産業保健活動総合支援事業の一環として実施されている制度で、専門家の指導費用として助成されます。
建設現場コースでは1建設現場あたり10万円が助成されますが、申請・受給は1度のみに限られますので、毎年要件を満たしていても再受給はできないので注意してください。
助成対象として満たす必要のある要件
職場環境改善計画助成金(建設現場コース)では、
- ・労災保険の適用事業である
- ・元方事業者および関係請負人の労働者数が常時50人以上の建設現場である
といった要件を満たすことが必要です。
対象となる取り組みの要件
職場環境改善計画助成金(建設現場コース)では、以下の取り組みが助成対象となります。
- ・元方事業者の場合、ストレスチェック実施後の集団分析を実施している
- ・元方事業者の場合、令和元年 10 月以降に専門家と職場環境改善に係る契約を締結している
- ・令和元年 10 月以降、新しく建設現場を訪問した専門家から、ストレスチェック実施後の集団分析結果を踏まえた職場環境改善方法について指導を受けている
- ・専門家の指導に基づいて職場環境改善計画を作成・実施している
- ・専門家から職場環境改善計画に基づいた改善が実施されていることを確認してもらっている
まとめ
新型コロナウイルス感染拡大の影響などで、コロナ倒産してしまう建築会社や建設会社が少なくありません。
コロナ関連の補助金や助成金なども有効活用するとよいですが、コロナが収束した後のことも考え、建設業界に特化した支援制度も検討することをおススメします。
なお、補助金や助成金はどちらも後払いで支給される制度のため、一時的に手元の資金が必要です。
もしも補助金や助成金が支給されるまでの間、資金を調達しなければならないものの、負債を増やすことは避けたいというのならファクタリングを有効活用してみることをおススメします。
ファクタリングは売掛金を現金化する方法のため、借金を増やすことなく、決算書を汚さずにスムーズな資金調達が可能です。