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「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」を解説!今活用したい銀行融資制度

2022年3月16日 / 融資

令和4年3月4日、「中小企業の事業再生等に関する研究会(一般社団法人全国銀行協会)」は、「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」を取りまとめました。

ガイドラインは、中小企業者が「平時」や「有事」などそれぞれの段階で迅速に事業再生に取り組むことができるように、銀行などに協力を求めることを目的としています。

銀行などが中小企業者の維持・発展や、事業再生の後押しするきっかけとなることが期待されますが、その内容と今活用したい銀行融資制度について解説していきます。

「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」の目的とその対象

新型コロナウイルス感染拡大の影響や、ロシア・ウクライナの問題により、事業にも影響が出ている中小企業者は少なくありません。

そこで、「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」は主に以下の目的で策定されました。

  • ・中小企業者の「平時」「有事」「事業再生計画成立後のフォローアップ」など、それぞれの段階で中小企業者と金融機関が果たすべき役割を明確化し、事業再生などに関する基本的な考え方を示すこと
  • ・新型コロナウイルス感染症の影響から中小企業が脱却し、迅速・柔軟に事業再生などに取り組むこと(事業再生のための私的整理手続を含む)

ガイドラインで対象となる「中小企業者」とは、資本金額または出資総額が3億円以下の会社・常時使用する従業員の数が300人以下の会社・個人などです。

「小規模企業者」とは、おおむね常時使用する従業員数が20人(商業・サービス業は5人)以下の事業者を指しています。

詳しくは、中小企業庁の「中小企業の定義について」に記載があります。

「金融機関」は、中小企業者に対し融資を行っている銀行・信用金庫・信用組合・労働金庫・農業協同組合・漁業協同組合・政府系金融機関です。

「対象債権者」は、「金融機関」と銀行などからの債権譲渡を受けているサービサー・貸金業者を指します。なお、私的整理が必要な場合には、その他債権者も含みます。

ガイドラインに示されている「有事における中小企業者の対応」

新型コロナウイルス感染拡大の影響は、まさに中小企業者にとって「有事」といえます。

売上激減に収益力低下、過剰債務などで財務内容は悪化し、資金繰りが立ちいかなくなっている企業は少なくありません。

経営に支障が生じるときには、置かれた状況により早期に経営改善を図り、事業再生など検討・実行することが望ましいといえます。

そして円滑に事業再生など図るためにも、中小企業者と銀行など金融機関がそれぞれの立場を認識・理解しあい、一体となって取り組んでいなければなりません。

そこで、中小企業者の迅速・円滑な事業再生などを図るために、ガイドラインでは中小企業者と金融機関が事業再生などに取り組むときの基本的な考え方を示しています。

「有事」のときに求められる中小企業者の対応

ガイドラインでは中小企業者が有事に至ったとき、事業再生などを図るためには、原則として次の対応を行うことが求められるとしています。

  1. 銀行など金融機関に対し、正確・丁寧に経営状況と財務状況の適時・適切な開示を行う
  2. 自律的・持続的な成長に向けて、本源的な収益力回復に向けた取り組みを行う
  3. 必要に応じて専門家などに相談し、自力で事業再生計画を策定する
  4. 段階によって必要とされる以下の対応を行う
  • ・銀行など金融機関に対し返済猶予など条件緩和の要請
  • ・銀行など金融機関に対し債務減免など抜本的な金融債務の減免やその他債務の資本化の要請
  • ・銀行など金融機関や専門家の支援・助言を得ながら透明性のある手続でスポンサーを選定する
  • ・事業廃止(廃業)を検討する

「有事」のときに求められる銀行など金融機関の対応

中小企業者に対し、銀行など金融機関・保証協会・サービサー・貸金業者・リース債権者は、原則として次の対応を行うことが求められます。

  • ・事業再生計画の策定支援
  • ・条件緩和・債務減免・スポンサー支援の探索・取引先対応を含めた円滑な処理等への協力の要請について誠実に検討

政府系金融機関の事業再生に向けた融資制度

政府系金融機関のうち「日本政策金融公庫」では、中小企業者の事業再生を支援する制度として、次の融資制度で企業をサポートしています。

  • ・事業再生支援資金(民事再生法の規定による再生手続開始申立てなど行った方が対象)
  • ・企業再建資金(経営改善または経営再建などに取り組む方が対象)
  • ・挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)(事業再生に取り組むため財務体質を強化したい方が対象)
  • ・シンジケートローン特例(企業再建に取り組む方は民間金融機関と連携し合意した条件で融資)

それぞれどのような制度か確認し、活用できるものはうまく利用して事業再生につなげていきましょう。

事業再生支援資金

地域経済の産業活力維持に貢献することや、技術力などからみたときに経済的・社会的に有用と認められる事業再生を支援する制度です。

民事再生法の規定による再生手続開始の申立てなど行った場合に利用できます。

  • 資金の使いみち 事業再建のために必要な設備資金・長期運転資金(長期運転資金には建物などの更新に伴って一時的に施設など賃借するとき必要となる資金を含む)
  • 融資限度額 直接貸付7億2千万円(内運転資金2億5千万円)
  • 利率(年) 基準利率(上限3%)※信用リスク・融資期間などにより所定の利率が適用
  • 返済期間 1年(据置期間1年以内)ただし一定要件を満たす場合は設備資金10年以内(据置期間2年以内)・運転資金5年以内(据置期間2年以内)
  • 担保・保証人 担保設定の有無・担保の種類などは満たす要件や相談の上決定(直接貸付で一定要件に該当する場合は経営責任者の個人保証が必要)

企業再建資金

地域経済の産業活力維持に資する事業などを行う中小企業者が、経営改善・経営再建などに取り組む必要があるとき、その自助努力による企業再建を支援するための制度です。

経営改善、経営再建等に取り組む中小企業で、早急に企業再建を行う必要がある場合に利用できます。

  • 資金の使い道 企業再建を行う上で必要となる設備資金および長期運転資金
  • 融資限度額 直接貸付7億2千万円(別枠)
  • 利率(年) 基準利率(上限3%)
  • 返済期間 設備資金20年以内(据置期間2年以内)・運転資金15年以内(一定要件を満たす場合20年以内)(据置期間2年以内)
  • 担保・保証人 担保設定の有無・担保の種類などは相談の上決定(直接貸付で一定要件に該当する場合は経営責任者の個人保証が必要)

挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)

新規事業や企業再建などに取り組む中小企業の財務体質強化を目的とし、資本性資金を供給するための制度です。

直接貸付で、

  • ・新企業育成貸付
  • ・企業活力強化貸付(一部制度除く)
  • ・企業再生貸付(一部制度除く)

を利用し、

  • ・地域経済活性化のため一定の雇用効果(新たな雇用・雇用の維持)が認められる事業
  • ・地域社会にとって不可欠とされる事業
  • ・技術力の高い事業

などに取り組む場合に利用できます。

  • 融資限度額 1社あたり3億円(ただし事業承継・集約・活性化支援資金(企業活力強化貸付)は1社あたり別枠3億円)
  • 利率(年) 適用した貸付制度に基づいて貸付後1年ごとに直近決算の業績に応じ3区分の利率を適用
  • 返済期間 15年・10年・7年・5年1か月(期限一括償還)
  • 担保・保証人 不要

シンジケートローン特例

企業再建・経営改善などに取り組む方に対し、民間金融機関と連携し資金供給する特例制度です。

企業再建資金(企業再生貸付)を利用する場合に適用されます。

  • 資金の使い道 設備資金・長期運転資金(長期運転資金には建物などの更新に伴って一時的に施設など賃借するための資金を含む)
  • 融資限度額 1社あたり別枠7億2千万円
  • 利率(年) シンジケートローンに参加する金融機関が合意した利率(固定利率の場合は一定の制約有)
  • 返済期間 シンジケートローンに参加する金融機関が合意した期間(設備資金は30年以内・運転資金は20年以内)
  • 返済方法 シンジケートローンに参加する金融機関が合意した方法(ただし割賦期間は1・2・3・6・12か月のいずれか)

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