確定申告に向けて知っておきたい税理士をつける5つのメリットとは?
2022年1月24日 / 資金調達
税金の専門家である「税理士」を顧問としてつけると、税務署に提出する申告書や書類を作成してもらうことができるなどいろいろなメリットがあります。
ただ、会社規模がそれほど大きくないため、費用を払って税理士をつけるほどではないと考える経営者もいるようですが、メリットのほうが大きい場合もあると考えられます。
そこで、具体的に税理士とはどのような業務を担当するのか、依頼できる業務や顧問としてつけるメリットについて説明していきます。
税理士とはどのような専門家か
「税理士」とは、納税者が自身の所得を計算し、納税額を算出する申告納税制度推進の役割を担う税の専門家です。
納税者に代わり、税務署に提出する書類や申告書の作成を行います。
税理士になるためには、国家資格である税理士試験に合格する、または税務署に23年以上勤務し指定された条件を満たすことが必要です。
また、弁護士や公認会計士の試験に合格し、一定要件を満たせば税理士として働くことができます。
そのような厳しい条件をクリアした方のみが税理士として活躍できるため、税務代理・税務書類作成・税務相談は税理士の独占業務であり、有償・無償を問わず税理士または税理士法人以外の者が行うことはできないと決められています。
税理士に依頼できる業務は2種類
税理士業務を大きく分けると、
- ・税理士の独占業務
- ・独占業務に付随する業務
の2種類です。
税理士の独占業務に該当するのは、
- ・税務代理
- ・税務書類作成
- ・税務相談
と税理士法に規定されています。
さらに日本税理士会の公式サイトには、税理士に依頼できる業務として次の例を挙げています。
- ・税務代理業務
- ・税務書類の作成業務
- ・税務相談業務
- ・e-Tax代理送信業務
- ・会計業務
- ・補佐人としての業務
- ・会計参与としての業務
- ・租税教育業務
- ・高齢化社会に向けた業務
- ・適正な申告支援業務
- ・税制を国に提言する業務
- ・行政・司法支援業務
- ・中小企業支援業務
- ・会社法における業務
- ・地方自治法における業務
- ・政治資金規正法における業務
- ・地方独立行政法人法における業務
税理士を顧問につける5つのメリット
税理士は税金の専門家のため、税務相談や税務代理業務を依頼できます。
税理士を顧問につけるメリットは、税金に関することで困ったときに、気軽に相談する相手ができることです。
早めに相談することにより、納めなくてもよい税金を回避することなど、適切な節税対策を提案してもらえ、決算や税務申告も円滑に進みます。
具体的に税理士をつけるメリットは次の5つです。
- ・経理業務を効率化できる
- ・税務調査に対応してもらえる
- ・決算・税務申告を円滑化できる
- ・資金調達の支援を依頼できる
- ・経営相談も可能
それぞれ説明していきます。
経理業務を効率化できる
税金や経理の専門家である「税理士」に依頼できる業務は、
- ・会計ソフトへのデータ入力
- ・試算表作成
- ・貸借対照表・損益計算書作成
- ・給与計算・給与明細書作成
- ・決算申告
などの業務です。
簿記や税務の知識がない方が、これらの業務を行うには時間や手間がかかり、ミスも発生することが予測されます。
しかし専門家であれば、数時間程度で終わらせることが可能です。
時間や労力を大幅に削減し、ミスなく手続を済ませることが可能となり、節税面でもサポートしてもらえることは大きなメリットといえます。
税務調査に対応してもらえる
税務署の税務調査を受ける可能性はどの事業者にもあるといえますが、決算書に税理士の印鑑が押印されている場合、顧問税理士がついていれば正しい申告書だろうという印象を与えることができます。
さらに税務調査の対象になった場合でも、顧問税理士がついていれば事前準備や対応方法などアドバイスを受けることができ安心です。
決算・税務申告を円滑化できる
非常に煩雑といえる決算・税務申告の準備では、帳簿の確認や在庫数など問題なく確認することが必要です。
それらをもとに決算書を作成し、申告書類を作っていきますが、税理士に依頼すれば税務に関する様々な書類を作成してもらえます。
適切でない税務申告を行ってしまうと、税務調査の対象となりペナルティの対象となる可能性が高くなるため、税理士をつけることのメリットは大きいと考えられます。
資金調達の支援を依頼できる
税理士に依頼できる業務は会計処理以外業務以外にも、
- ・各種補助金・助成金申請のサポート
- ・銀行から融資を受けるときの支援
などが挙げられます。
特に補助金や助成金は、申請まで期限が決められているため、タイミングを間違えば資金調達につながらなくなってしまうでしょう。
さらに補助金や助成金、銀行など金融機関から融資を受けるときには、事業計画書を作成し提出することが必要です。
事業計画書とは、ビジネスの内容を理解してもらうために作成する書類ですが、中長期で目標とする数値の計画や実行・管理態勢の表明などを記載しなければなりません。
事業計画書が適切な内容でない場合や、記載されている数値を示す根拠などが証明できなければ、資金を調達することはできなくなるでしょう。
しかし資金調達に精通している税理士なら、事業計画書のどこを重視するのか熟知しているため、資金を引き出しやすい内容による作成をサポートしてもらえます。
特に最近は税理士が金融機関から経営計画策定を依頼されるケースも増えているため、債務超過や2期連続赤字などの企業の場合には、追加融資を受けるときや返済条件を変更してもらうことを目的に税理士を頼った方がよいでしょう。
経営相談も可能
経理の専門家といえる税理士は、損益計算書や資金繰りから、企業が潜在的にどのようなリスクを抱えているのか早期発見が可能です。
もしもリスクが顕在化すれば、たちまち事業を続けることができなくなる可能性もあります。
そこで、リスクが顕在化する前に、予防するための改善策を提示してもらう上でも税理士は必要です。
税理士に経営相談したほうがよいのは、次のいずれかに該当するケースといえるため、事前に確認しておきましょう。
- 2期連続で赤字が発生している
- 手元の資金が平均月商1か月分を下回っている
- 「実態債務超過÷(直前の決算時の税引後利益+減価償却)<5」に該当する
税理士を顧問につける2つのデメリット
税理士を顧問につけることはいろいろなメリットがありますが、次の2つのデメリットを踏まえた上での検討が必要です。
- ・顧問料が発生する
- ・適切なアドバイスを受けることができると限らない
それぞれ説明していきます。
顧問料が発生する
税理士に顧問になってもらうと、顧問料が発生します。
どのような内容を依頼するのかなどによって顧問料の金額は異なりますが、一般的には月数万円というケースが多いといえます。
適切なアドバイスを受けることができると限らない
税理士を顧問につければ、どのようなことでも気軽に相談が可能となるわけではありません。
やはり人と人とのつながりのため、中には依頼した税理士と相性が合わないと感じることや、得意とする分野がニーズと異なり適切なアドバイスをもらえないといったケースもあります。
そのため税理士を選ぶときには、ニーズと担当してくれる業務や対応が合致するか事前に確認し、会社のことを包み隠さず相談できる相手かよく見極めることが大切です。
税理士に依頼することができる6つの業務
税理士を顧問につけるときには、どのような業務を依頼できるのか、多くの税理士と実際に会ってたずねてみることをおすすめします。
- ・適切な助言をしてくれるか
- ・契約内容や報酬体系は明確化されているか
- ・業界の事情に詳しいか
- ・自分と相性の合う専門家か
など、さまざまな視点で経営のパートナーとなってくれる税理士か判断することが大切です。
税理士に依頼できる業務は主に次の6つですが、税理士によって異なります。
- ・会社設立・起業のサポート
- ・決算・年末調整のサポート
- ・経理・記帳のサポート
- ・融資・資金調達のサポート
- ・税務調査への対応
- ・相続税など個人の税金相談
それぞれ説明していきます。
会社設立・起業のサポート
会社を設立するときには後に納めることになる税金のことまで考えられないという方もいますが、設立するときだからこそできる節税対策もあります。
さらに創業のときでなければ利用できない補助金や融資制度もあるため、節税対策や資金調達の制度に詳しい税理士を探し顧問につけるとよいでしょう。
決算・年末調整のサポート
法人決算は会社など法人格で事業を営む場合に行う、法人税等の確定申告です。
スムーズに法人決算を行うためには、事前準備を計画して行うことが必要といえるでしょう。
また、従業員の年末調整などもミスがあれば、従業員から受け取る税金や還付する税金が多すぎたり少なすぎたりしてしまいます。
ただしく税金を納めるためにも、決算や年末調整を税理士にサポートしてもらうとよいでしょう。
顧問につけた税理士なら、日々の経理や記帳業務から決算まで、トータルしてサポートしてもらえます。
経理・記帳のサポート
事業資金の流れ、人間の身体で例えると血液の流れと同じといわれます。
もしも血液の流れが途絶えてしまえば、人は様々な疾患を引き起こすこととなり、最悪の場合には命さえ落としてしまいます。
事業においても同様に、人の血液と同じ役割を担う「資金」の流れが止まれば、あっという間に倒産する可能性が高くなってしまうでしょう。
お金の流れを止めてしまわないためにも、経理業務において手元のお金の入金・出金をしっかりと管理することが必要です。
ただ、書面上の売上や利益ばかりを気にして、実際の手元のお金の流れを把握できていなければ、どれほど売上が上がっても会社にお金が残らない状態を作ってしまいます。
税理士を顧問につけることで、経理・記帳業務を依頼することができ、どのように支出を減らして手元にお金を多く残すことができるのか施策を提案してもらえます。
融資・資金調達のサポート
税理士には、先にも述べたとおり銀行から融資を受けるときや補助金・助成金を申請するなど、資金調達のサポートも依頼できます。
銀行から融資を受けるときには、決算書や事業計画書などいろいろな書類を提出することが必要となりますが、書類の内容次第で資金調達が可能になるか変わってくるといえます。
ただし注意したいのは、どの税理士でも資金調達のサポート業務を行っているわけではないということです。
事前に資金調達に精通している税理士か確認しておくことが必要といえるでしょう。
税務調査への対応
もしも税務署の税務調査が入ることになれば、調査官が何を確認するのか事前に把握しておいたほうが安心です。
万全の対応策を事前に取っておくことにより、税務調査も特に恐れるものではなくなるといえます。
税務署から説明を求められたとき、すぐに適切といえる証拠を提出できるような準備や、こたえにくいことの質問に対する支援などがあればより安心です。
これらの問題も、税理士を顧問につけることで解決されるでしょう。
顧問になっていない場合でも、税務調査のみ対応してくれる税理士もいるため、もし不安があるのなら対応可能な税理士を探してみることをオススメします。
相続税など個人の税金相談
税理士がサポートするのは法人だけでなく、個人も同じです。
個人の確定申告・相続税申告・相続税対策などにも対応してくれることがメリットであり、相続税対策なども正しく手続を行うことが必要となります。
特に相続税で悩みを抱えているときには、税理士に節税対策の相談をしてみるとよいでしょう。
まとめ
税理士は税金や経理の専門家ですが、顧問としてつけることにより、税務署に提出する申告書や書類を作成してもらうことができます。
もしも会社の規模がそれほど大きくないため、わざわざ報酬を支払ってまで税理士をつけることにメリットはないと考える経営者もいるでしょうが、メリットのほうが大きい場合もあります。
ただし具体的にどの税理士に依頼するのかが重要なので、対応してほしい業務と依頼できる内容を比較しながら選ぶようにしましょう。
また、税理士でなくても経営相談などは可能です。コンサルティング業務も行っているファクタリング会社なら、専門家と連携しながら資金調達も含めた相談が可能となるため、抱える悩みに応じて誰に相談するべきかしっかり見極め選ぶことが必要といえるでしょ「」