資金を調達する手段に補助金を利用しようと考えている経営者もいることでしょうが、補助金や助成金は後払いで受け取ることができるお金のため、支給されるまで間はつなぎ資金を融資などで補うことが必要になります。
しかし補助金は返済不要の資金であるため、一時的なつなぎ資金に銀行融資など利用すれば、借りている期間中の利息が無駄なコストとなってしまうでしょう。
そこで、補助金を受け取るまでの間のつなぎ資金を準備するため、融資以外で利用できる方法を解説していきます。
目次
中小企業が注目したい「事業再構築補助金」
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化したことで、売上が減少したまま回復が期待しづらい状況に苦しんでいる中小企業は少なくありません。
そこで、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するため、中小企業などが事業を再構築することをサポートする制度として「事業再構築補助金」が設けられました。
事業再構築補助金では、
- ・新分野展開
- ・事業転換
- ・業種転換
- ・業態転換
- ・事業再編
など、思い切った事業再構築に対し意欲を持っている中小企業などを対象としています。
最大1億円・補助率2/3で、建築費・修繕費など事業再構築に必要な経費が補助対象となります。
再び会社を軌道に乗せたい事業者にはメリットの高い補助金と言えるでしょう。
事業再構築補助金にもリスクがある
事業再構築補助金を受け取ることができれば、返済不要の資金の調達に成功したことになります。
大変メリットが大きい資金調達方法といえますが、まったくリスクがないわけではありません。
リスクとして挙げられるのは、
- ・事業を失敗してしまうリスク
- ・後払いでしか受け取ることができないリスク
の2つです。
それぞれ詳しく説明していきます。
事業を失敗してしまうリスク
事業再構築補助金では思い切った事業転換が求められるため、これまでと異なる事業を新たにスタートさせることなどで、失敗するリスクも高くなります。
新規の事業をスタートさせたとき、必ず成功するとは限りません。
たとえ日本で屈指といわれる経営者だとしても、新たな取り組みで成功する確率は1割程度といわれるほどです。
事業再構築補助金をもとに事業を再構築していても、成功する可能性はけっして高くないと留意しておきましょう。
後払いでしか受け取ることができないリスク
事業再構築補助金に申請し、申請内容が認められ採択されたとしても、実際に新規事業を開始してから手元にお金を受け取ることができます。
事業の報告書など提出してから数か月後なので、目安としては採択後1年から1年半後に入金という流れです。
後払いで資金を受け取ることができるため、事業に必要な資金は立て替えなければならず、つなぎ資金を何らかの方法で準備しなければならないということです。
補助金で事業を成功させるポイント
事業を成功させる資金調達方法として補助金を活用するためには、
- ・ランニングコストはできるだけ低く抑える
- ・外部の専門家に相談する
という2つのポイントを押さえておきましょう。
ランニングコストはできるだけ低く抑える
イニシャルコストの多くは補助金により賄うことができますが、ランニングコストは補助の対象にならないケースが多いため低く抑えたほうがよいでしょう。
家賃や人件費などランニングコストの割合を小さくし、万一事業が失敗しても損失が大きくならないようにしておくことが必要です。
外部の専門家に相談する
事業の失敗を防ぐため、専門家に相談することをオススメします。
どれほど他社にはない強みを持っていたとしても、人材が不足していればその強みを活かすことはできません。
ただ、事業再構築補助金で自社の人件費を対象とすることはできませんが、外部の専門家などに支払う費用は補助対象です。
外部の専門家で人材を補てんし、事業成功率を高めることも検討が必要となるでしょう。
融資を受けてつなぎ資金の準備をする方法
一時的に資金繰りが苦しくなったとき、運転資金などを借入れで資金調達する方法がつなぎ融資です。
たとえば売掛先からの入金が遅れているときや、災害や経済的要因などで一時的に資金繰りが悪化したときなどに利用されることが多いといえます。
今回の新型コロナウイルス感染拡大により、2020年4月、金融庁は中小企業に対する支援策として民間金融機関につなぎ融資を要請しました。
一時的につなぎ資金を用意できるため、悪化した資金繰りを安定させ、倒産リスクを軽減させることができます。
つなぎ融資で資金を調達するには、
- ・金融機関につなぎ融資を依頼する
- ・新規の金融機関を見つける
という2種類の方法があります。
金融機関につなぎ融資を依頼する
つなぎ融資の相談は、もともと付き合いのある金融機関に相談しておくとスムーズなことが多いといえるでしょう。
補助金が支給されるまでの間はお金を借りて資金を調達して補い、実際に補助金を受け取ったら借入分を返済します。
つなぎ融資は一般の融資より審査が通りやすく、金融機関によっては公的補助金つなぎ融資などの制度も活用できます。
事業再構築補助金が採択される前に金融機関に相談しておくと、新規事業を開始した後も資金繰りが悪化しにくくなるといえます。
新規の金融機関を見つける
どの事業者でも銀行など金融機関と普段から親しく付き合いをしているわけではなく、中にはほとんど銀行と付き合いがない場合もあるでしょう。
そのような場合には、はやめに銀行・信用金庫・信用組合など金融機関を見つけておくことが必要ですが、取引のない銀行からお金を借りようとしても融資審査は厳しくなる傾向にあると留意しておくべきです。
なお万一のときのためにも、銀行など金融機関とは信頼関係を構築できる付き合いをしておいたほうが安心できます。
補助金を受給まで融資以外でつなぎ資金を準備する方法
融資を受けて資金を調達すること以外にも、つなぎ資金を用意できる方法はあります。
たとえば、
- ・出資してもらい資金を調達する方法
- ・ファクタリングで資金を調達する方法
などです。
それぞれ詳しく説明します。
出資してもらい資金を調達する方法
ベンチャー企業やスタートアップの場合であれば、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家に出資してもらう方法もあります。
また、クラウドファンディングから資金を調達する方法は、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家から資金を投入してもらうよりもハードルは低めです。
クラウドファンディングは、インターネットを通じて不特定多数の個人などから少額の資金を集める方法であり、コロナ禍でより注目されるようになりました。
公表したアイデアやビジネスプラン、商品などに対する反応をみることもできます。
お金を集めることができれば販売したとき収益につながる可能性が高いといえますが、反対に資金調達できなければ損失を抱えるリスクが高いといえます。
メリットが高い方法ではありますが、その反面、ネット上にビジネスプランやアイデアなどを公表することになるため、その内容を盗用されるリスクもあると留意しておくべきでしょう。
ファクタリングで資金を調達する方法
ファクタリングとは、保有する売掛金をファクタリング会社に売却し、現金化して資金を調達する方法です。
お金を借りず、将来受け取る予定の売掛金を前倒しで受け取ることができるため、補助金を受け取るまでの一時的なつなぎ資金準備にも適した方法といえるでしょう。
ただしファクタリングを利用するときには手数料が発生するため、手数料分は本来受け取る売掛金が減少してしまいますので注意してください。
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