債務超過を解消させる対策と倒産リスク回避の方法

2021/07/12
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総資産額を負債額が上回っている状態を債務超過といいますが、この場合には何らかの対策が必要です。

債務超過のままで何も対策せずに放置していると、金融機関から融資を受けることも難しくなり、資金を調達できず倒産してしまうリスクを高めます。

そこで、債務超過を解消させるにはどのような対策を行えばよいのか、その方法についてご説明します。

 

債務超過はリスクの高い状態

債務超過の場合、保有する資産をすべて売って現金に換えたとしても、負債をまかないきれない状態です。

損益計算書で赤字が続くことも会社経営ではリスクが高い状態といえますが、損失が出ているだけでは会社は倒産しません。

確かに利益が出ていない状態は会社経営の本来の目的を達することができていないといえますが、債務超過は会社が恒常的に不健全な経営を続けていることを示し、よりリスクが高い状況と判断できます。

債務超過が少額だからと安心しきってしまい、特に対策もせず放置していれば、いずれ負債が雪ダルマ式に増え手の施しようがなくなることもあると留意しておくべきでしょう。

 

債務超過では融資を受けることは不可

債務超過は会社経営で危機的な状態といえますが、特に銀行などから融資を受けて資金調達できなくなることは問題です。

負債額が大きく、資産をすべて売っても借金を返すことができない状態の会社に、銀行がスムーズに資金を貸し付けてくれることはありません。

そもそも債務超過である場合、資金繰りがかなり厳しい状態であるため、借金を増やしたところで期日どおりに返済できるとは判断しにくいからです。

債務超過を理由に貸し渋りとなるだけでなく、すでに融資を受けた借入金も早期に回収しようとする貸し剥がしに遭う可能性さえあります。

 

対策として考えられるのは貸借対照表の分析

借金総額が資産総額を上回ることのないように、そして早期に債務超過の芽を摘み取るためにも、対策として考えられるのは貸借対照表の分析です。

そこで貸借対照表を分析する前に、どのようなことが記載されているか先におさらいしておきましょう。

まず貸借対照表の左側には資産、右側には負債と純資産(資本)が表示されます。

 

資産の部

左側全体を「資産の部」とし、大きく次の3つの資産に分けることができます。

  • ・流動資産
  • ・固定資産
  • ・繰延資産

 

流動資産

流動資産は、

  • ・現金及び預金
  • ・受取手形
  • ・売掛金
  • ・商品

などが該当します。

 

固定資産

固定資産は、

  • ・有形固定資産(土地・建物・機械・備品など)
  • ・無形固定資産(特許権・商標権・意匠権・地上権など)
  • ・投資その他の資産(長期貸付金・投資有価証券など)

といった項目に分かれます。

 

繰延資産

繰延資産として計上するのは、開業費・株式交付費・社債発行費・開発費などです。

 

負債の部

貸借対照表の右側は上部と下部の2段に分けられますが、負債の部は上部に表示されます。

負債の部は、

  • ・流動負債(1年以内に支払の期限が到来する債務・1年以内に使用される短期負債性引当金・未払費用・前受収益・買掛金・支払手形など)
  • ・固定負債(返済期日が1年以内に到来しない債務=長期借入金・通常1年を超えて使用される長期負債性引当金・退職給付引当金など)

に分類されます。

 

純資産の部

会社法の施行に伴って、「資本」は「純資産」に名称変更されており、以前までは「資本の部」とされていましたが現在は「純資産の部」と表示されています。

貸借対照表の右側下部に表示されるのが純資産の部です。

純資産の部の合計=資産の部の合計-負債の部の合計

となっています。

表示される項目は、

  • ・資本金
  • ・資本準備金
  • ・利益剰余金

などです。

累積赤字があり、総資産額を負債額が上回っているときには、利益剰余金はマイナスとなります。

 

貸借対照表から債務超過を確認する方法

現在、債務超過の状態なのか知りたいなら、貸借対照表のうち「純資産の部」を確認しましょう。

債務超過とは負債が資産を上回り、さらに純資産と自己資本比率がマイナスである状態です。

純資産には資本金や利益剰余金など表示され、純資産が増えれば会社の規模も大きくなっていると考えられます。

自己資本比率は、貸借対照表の右側に記載される負債の部と純資産の部の合計(総資本)と、純資産の部のみ(自己資本)の比率のことです。会社の財務の安全性の指標といえますが、比率が高い方が抱えている負債は少なく、健全性が高いと判断できます。

自己資本比率=自己資本÷総資本(負債の部+純資産の部)×100(%)

で計算できます。

  • ・負債を返済する原資となる純資産がマイナスか確認する
  • ・自己資本比率がマイナスに転じていないか確認する

ことで債務超過か判断しましょう。

 

なぜ債務超過になってしまうのか

仮に自社が債務超過という場合、そもそもなぜ負債が大きくなってしまったのか、その原因を把握しなければ解消することはできません。

債務超過の原因として考えられるのは、

  • ・赤字経営の恒常化
  • ・会社設立から間もない

などです。

 

赤字経営の恒常化

債務超過となってしまうその背景には、業績が悪化し赤字続きで利益を生みだすことができていないからです。

会社の資金繰り悪化の状態が続き、赤字経営から黒字化させることができなければ、だんだんと純資産が減少していくこととなり債務超過に陥ってしまいます。

累積赤字が増えてしまうと単年度で利益が出ても負債を返すばかりですぐに消えてしまいます。累積赤字が膨らむ前に対策を講じ、赤字から脱却することが必要です。

 

会社設立から間もない

まだ会社を設立して間もないという場合には、比較的、債務超過に陥りやすくなってしまいます。

特に少額の資本金で会社を設立しているときなど、純資産の規模が小さいのに設備投資などで出費がかさみ、債務超過となっているケースもめずらしくないといえます。

中小企業の場合、少額の債務超過であれば経営者個人の資金を補てんし解決させるといったことが多く見られます。

ただし経営者個人の資金を充てるにも限界があり、実績が十分でないため銀行融資による資金調達は期待できないことも踏まえると、十分な自己資本を準備した上での会社設立が望ましいといえます。

 

債務超過を解消するときの対策

もしも自社が債務超過という場合、早期に対策を立てて解消させていくことが必要となりますので、その方法をいくつかご紹介します。

会社の実情やなぜ債務超過になっているか原因に合った対策で、できるだけ早めに解消させていくようにしましょう。

 

利益を出せるように経営戦略を見直す

利益を出すことは会社を経営する上での本来の目的です。

債務超過解消の対策として、まず根本的な要因ともいえる赤字を解消することが必要となります。

毎月利益を出せるように、コスト削減を行うと同時に、売上拡大に向けた営業戦略なども変更しなければならないと考えられます。

安定して収益をあげることができるようになれば、生み出した利益で負債を返済し、純資産を増やすことが可能となります。

経営者1人だけで戦略の策定やコスト削減に向けた対策を考えることは困難な場合もあるため、コンサルタントなど専門家に相談してみると、よりスムーズに債務超過から脱出できるはずです。

 

増資により純資産額を増やす

債務超過をすぐに解消させたいというときには、増資により純資産を増やすという方法を検討するとよいでしょう。

増資で資本金を増額することにより、純資産を増やし負債の超過を解消できます。

経営者の自己資金に余裕があるのなら、会社に対して貸し付けするより財務健全化への近道です。

即効性の高い方法ですが、経営者の自己資金の余裕がなければ、投資ファンドや投資家など第三者からの増資も視野に入れることとなります。

その場合、株主の構成や保有する株式の割合に注意しておかなければ、経営権を揺るがす問題になりかねません。出資候補者がいる場合でも、慎重に検討するようにしましょう。

増資に成功すれば、銀行など金融機関への融資相談も、担当者が積極的な姿勢を見せてくれる可能性も高まります。

 

役員借入金などの債務免除で対策

経営者や役員などが会社に対し資金を貸し付けている場合において、会社の借入金残高が相当額あるのなら、返済してもらうことをあきらめ債務免除することで債務超過が解消されやすくなります。

免除するのは全額でなくてもよいですが、免除した金額分だけ負債は減少し純資産額は増えます。

会計上の対策でとどまるため、根本的に債務超過を解消させる対策としては向きませんが、貸借対照表を改善させることができるため銀行からの融資は受けやすくなると考えられます。

 

債務と株式を交換する

DES(デット・エクイティ・スワップ)とは、債務と株式を交換することです。

融資を受けている会社が経営不振による債務超過に陥ったとき、資金を貸し付けている金融機関が救済措置として行うことが多い方法といえます。

借入金の返済は実質免除となるのに対し、負債が株式に置き換わることになります。

金融機関も会社が倒産し貸したお金が回収できなくなるよりも、債務免除で株式を取得したほうが、業績向上の際には配当を受け取ることができますし株式売却なども検討できるといえます。

さらに会社の経営に直接関与して経営改革を促すことも可能となるため、金融機関にとってもメリットはあると考えられるでしょう。

DESによって負債は減少させ純資産が増やすことが可能となり、貸借対照表上の債務超過は軽減されます。ただ、DESも債務超過を根本から解消させる方法ではないため、その点は留意しておいてください。

 

事業または会社を売却する

第三者からの増資は債務超過を早期に解消できる方法といえますが、簡単に出資者を見つけることはできません。

この場合、事業または会社を売却するM&Aを検討しましょう。

会社や事業を売却すると耳にすると、どうしてもネガディブなマイナスイメージを抱きやすいといえますが、昨今ではM&Aは一般化しています。

経営不振に陥った会社が事業を続け、会社を存続させるために、会社売却・事業譲渡・合併などM&Aを検討する経営者も多くなっているといえます。

第三者からの増資では経営権をゆるがされる可能性があるものの、M&Aなら事業や会社を売却して得た収入で新しくビジネスを始めることも可能となります。

 

債務超過の対策で解決できないときは法的手続も検討が必要に

債務超過を解消させる対策を講じたものの改善されないときや、そもそもすでに脱出不可能な局面まで事態が悪化しているときには、最終的に民事再生法会社更生法の適用を受けることも検討しなければなりません。

民事再生と会社更生はどちらも会社を存続させるための法的な手続であり、再生・更生計画案を策定して承認が得て、計画に基づき経営再生・更生を図ります。

なお、民事再生では経営陣は留任し経営に関わることが可能ですが、会社更生を選ぶと経営陣は退任しなければなりません。

また、会社更生は手続が複雑で難易度も高めのため、中小企業で適用されるケースはほぼないといえるでしょう。

破産手続などもありますが、この場合には会社を存続させることはできませんので、実質倒産という形となります。

 

赤字や債務超過だけでは会社は倒産しない

債務超過の状態から脱出することは大切ですし、常態化している赤字経営も黒字化させていく必要があります。

ただ、債務超過や赤字で会社が倒産するわけではなく、問題は資金繰りにあります。

黒字の会社でも倒産することがあるように、会社が倒産するのは手元の現金が枯渇することが原因です。

もし債務超過でこれから経営を立て直したいという場合、手元の資金だけは枯渇させないように注意しましょう。

 

債務超過で資金調達する方法

債務超過や赤字では銀行から融資を受けて資金を調達することはまず不可能です。

しかしたとえ融資を受けることができなくても、ファクタリングであれば資金を調達することはできます。

ファクタリングとは、保有する売掛金を売却し、回収する期日よりも先に現金化させて資金を調達する方法です。

利用する際にはファクタリング会社で審査が行われますが、債務超過や赤字でも受け付けてもらえます。

早ければ即日現金化できるファクタリング会社もありますので、会社を倒産させないためにも検討するとよいでしょう。

 

まとめ

会社が債務超過の状態にあるのなら、早急に解消させる対策を検討しましょう。

銀行から融資を受けて資金調達したくても、赤字続きで倒産リスクの高い債務超過の会社に積極的に貸し付けを行うとは考えられません。

債務超過を解消させる方法はいろいろありますが、会社の現状に合った方法を選ぶことが大切です。

また会社の立て直しを図る上で、手元の資金が枯渇し倒産してしまわないように、ファクタリングによる資金調達も合わせて検討することをオススメします。

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