銀行から受けた融資の返済ができないときどうすればよい?

2021/05/10
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数年前までは緩やかな景気の拡大傾向を受け、企業の内部留保も増大傾向にあったものの、一般的な中小企業の中には銀行融資の返済ができない状態で悩んでいます。

運転資金や設備費など銀行から融資を受けたものの、新型コロナウイルスの世界的なパンデミックで経営が傾きかけ返済できない状況に陥ってしまったといえるでしょう。

中小企業向けのコロナ関連融資も利用したものの、返済猶予の据置期間を過ぎてしまい、早くも本格的に返済が始まった企業も少なくありません。

そこで倒産しないためにどうするべきか、返済できないまま銀行から融資を受けた状態にしておくべきなのかなど、今後の資金繰り改善策について解説していきます。

 

中小企業向けコロナ関連融資の返済がいよいよ本格化

新型コロナウイルス感染拡大はいまだに収束せず、緊急事態宣言の再発出・延長といった状況で、見えない出口に先行きへの不安を抱えている企業は少なくありません。

新たな年度を迎えても、回復することのない売上に資金繰りも厳しい状況が続いている中で、運転資金として融資を受けた借入の返済が開始されるなどさらに追い込まれているともいえるでしょう。

中でも中小企業向けコロナ関連融資の返済が本格化し始めていますが、この背景には返済猶予の据置期間1年以内で定めていた企業が全体の過半を占めていることが関係しています。

制度上の据置期間は5年までであれば認められ、金融機関も返済の条件変更にも柔軟な対応をする構えを取っていました。

しかし、据置期間を長く設定すれば時間が経過するほど返済負担が重くなるため、できるだけ早く返済を開始し財務を健全化させたいと考える企業が多かったといえます。

結果、多くの企業が1年以内で据置期間を定めていたものの、期間を決めた当初はここまで新型コロナウイルス感染拡大の影響が長引くとは考えていなかったのでしょう。

当初の見込みが甘かったと言われればそれまでかもしれません。しかしコロナの影響が1年以上続くとは誰もが想像しておらず、上がらない売上に代金の入金予定もなく、このまま返済が始まっても厳しくなるだけといった企業も少なくないといえます。

 

返済開始時期を先延ばしするといった相談も可能

中小企業庁によると、2021年1月末までに実質無利子・無担保の融資を受けることとなった中小企業・個人事業主の中で、元本返済の据置期間を1年以内で設定しているのは日本政策金融公庫で66%・民間の銀行などで57%のようです。

新年度に元本の返済が開始する企業が多いものの、まだまだ資金繰りが厳しい状態で負担が重くなりがちです。

そのため金融庁でも、それぞれの金融機関に対して返済開始時期を先延ばしするといった要望に対し、柔軟な対応を求めています。

さらに中小企業庁でも新事業や業態転換などに取り組む中小企業をサポートする「事業再構築補助金」を設け、2021年5月12日ごろから二次公募が開始される予定です。

7月上旬まで申請が受付される予定なので、要件に該当する場合には活用するとよいでしょう。

 

事業再構築補助金

新型コロナウイルス感染拡大の影響が長期化したことで、当面の需要や売上回復が期待しにくくなっています。

そのような中で、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会が変化していくことに対応するため、中小企業等の事業再構築を支援する目的で支給されるのが事業再構築補助金です。

新分野展開・事業転換・業種転換・業態転換・事業再編など、思い切った事業再構築に意欲的に取り組む中小企業などの挑戦をサポートする制度といえます。

申請するには、

 

  1. 売上が減っている(直近6か月間のうち任意の3か月の合計売上高がコロナ以前の同3か月の合計売上高と比較し10%以上減少していることが必要)
  2. 新分野展開・業態転換・事業・業種転換・事業再編に取り組むこと
  3. 認定経営革新等支援機関と事業計画を策定すること

 

などの要件を満たすことが必要です。

中小企業の通常枠での補助額は100万円~6,000万円卒業枠では6,000万円超~1億円までとなっており、いずれも補助率は2/3とされています。

 

新型コロナで借金返済状況にもたらした変化とは

新型コロナウイルス感染拡大よりも前に、金融機関から融資を受けている企業などの場合、新型コロナの影響により借金返済にどのような変化があったのでしょう。

実は7割以上が借入額の増加と返済が厳しくなったことに不安を感じているようです。

飲食業などは時短営業で売上が減少し、旅行・観光業なども緊急事態宣言による外出自粛や時短営業で客足が途絶え、働く時間も減り収入が少なくなっています。

さらに自粛により取引先の業績悪化で、受注が減少したことから収入が低下したというケースも少なくないでしょう。

収入は減っても固定費や従業員に対する給料などは支払わなければならず、取引先の倒産や廃業などの影響で入金も途絶え、借入金の返済が厳しくなったり借入額が増加したりといった影響を与えているようです。

2021年現在もコロナ禍で市況は好転しておらず、新型コロナ融資の元本返済が開始されることをきっかけに資金繰りが悪化する事業者が急増する恐れがあると考えられます。

 

貸したくても貸しにくい金融機関も多い

金融機関も1度目の緊急事態宣言下では、救済的措置として審査を簡易的に進めるしかありませんでした。

しかし事業者の負債ばかり増やすこともできず、事業再建の見込みがあることや既存債務の返済フォローも必要になっているため、追加で融資したくてもしにくい状況になっているといえます。

国も条件変更の相談に積極的に取り組むよう方向性が示されているため、返済負担を軽減させることに留まってしまっているようです。

それでも2度目の新型コロナ融資を受けたいという中小企業や個人事業主もいるはずですが、複数の金融機関を利用することが求められています。

そのため同一の金融機関だけで同じ新型コロナ融資制度の利用は避けて、政府系金融機関である日本政策金融公庫と民間金融機関の融資制度を併用することなどが必要です。

 

2度目のコロナ関連融資を申請する時に注意しておきたいこと

すでに政府系金融機関と民間金融機関、両方の融資制度を活用しているものの、追加融資も申請したいという場合もあるでしょう。

この場合、同一の金融機関に対し2度目のコロナ関連融資の申請を行うことになるため、次のようなケースは融資を断られる可能性があると留意しておくべきです。

 

  • ・1度目のコロナ関連融資で正確ではない売上の申告をしてしまった
  • ・1度目のコロナ関連融資で申告した数字を忘れた
  • ・すでに手元に資金は残っていないものの、お金に困っているため追加融資を相談したい

 

このような場合、融資を断られるだけでなく、初回の融資申請の内容を理由として一括返金を求められてしまう可能性もあると注意しておいたほうがよいでしょう。

 

コロナ関連融資を追加申請するときのポイント

コロナ関連融資を追加で申請したいという場合、予期せぬトラブルを未然に防ぐだけでなく、審査を通過するために追加融資用の事前対策が重要になります。

審査のハードルが低いことへ期待するのではなく、まずは次のことを確認しておくようにしましょう。

 

前回の資金使途は適切だったか

前回にコロナ融資を受けたとき、資金使途違反を行っていると、原則一括返金を求められる可能性が高いといえます。たとえば設備資金でコロナ融資を受けたものの、設備は購入せず運転資金に充ててしまっていたケースなどです。

 

前回の融資残高は残っているか

すでに前回受けた融資の残高がなくなっている場合、事業再建や返済見込みが立てにくいと判断され、審査を通過することは厳しくなると考えられます。キャッシュフローを整理し、改善策を見極めることが必要といえます。

 

前回の申請で申告した数字は正確か

対象期間の売上減少率は自己申告することとなりますが、前回の申請の申告内容と直近に集計した売上の数字にがあるとき、審査でその指摘を受ければ適切な説明が必要になります。

もし前回の申告が悪質な虚偽と認められれば、一括返金するように求められる可能性もあると留意しておくべきでしょう。

 

経済産業省中小企業庁の新型コロナ特例リスケジュール

都道府県ごとに設置された中小企業再生支援協議会では、中小企業の事業再生支援のために窓口相談を行い、債権者調整など含む再生計画の策定をサポートしています。

協議会での窓口相談や金融機関との調整を含めた特例リスケジュール計画策定支援は、令和2年4月から資金繰りに窮する中小企業支援のために開始されていました。

ただ、いまだ収束しない新型コロナの影響の長期化に対応するため、ポストコロナに向けた取り組みを後押しするためにも、一部改定しつつ令和3年度以降も継続して支援を実施するようです。

資金繰りに悩む事業者が再生計画策定支援を受けたいと考えても、事業改善の見通しがなければ支援してもらえません。

しかし特定リスク計画策定支援の場合、コロナの影響により業況が悪化した事業者の当面の資金繰りを確保してくれます。

短期間で元金支払いを停止でき、複数の金融機関でも対応してもらえるので、新型コロナの先行きが見えない中での資金繰りに不安があるのなら相談してみるとよいでしょう。

金融機関の支援姿勢確認後、特例リスケジュールが要請されます。すでにリスケジュール中の中小企業も支援対象です。

 

返済できないならまずは相談を

新型コロナ特例リスケジュールは、

 

  1. 急激な資金繰り悪化でとにかく早急に借入返済をリスケジュールしたい場合
  2. 複数の金融機関などから融資を受けており、資金繰りを改善させたいものの関係者間の調整が難航している場合
  3. 資金繰りを保つことが精一杯の状況で、ポストコロナに向けて何をすればよいか不安を抱えている場合

 

などの場合にまずは相談してみることをおすすめします。

 

新型コロナ特例リスケジュールでできること

新型コロナ特例リスケジュールでは、

 

  • 主要債権者の支援姿勢を確認した上で、中小企業に代わって協議会が一括し最長1年間の既存債務の元金返済猶予を要請する
  • 専門家による助言を受けつつ資金繰り計画の作成が可能(希望に応じて専門家の助言を受けながらポストコロナに向けた具体的な行動計画(=事業継続アクションプラン) の作成も可能)
  • 特例リスケ支援後の事業改善までサポート

 

といったことが支援として行われます。

 

新型コロナ特例リスケジュールで支援される流れ

新型コロナ特例リスケジュールでは、次のような流れでサポートが行われます。

 

  1. 近隣の再生支援協議会に電話する
  2. 必要書類を窓口に提出する(相談申込書・売上減の実態がわかる資料・借入についてわかる資料)※売上減の実態がわかる資料については柔軟な対応が可能
  3. 専門家によるヒアリングの実施(現状の売上高減少と向こう6か月の資金繰りについてヒアリング)
  4. 専門家が金融機関(複数銀行可)に電話し、支援姿勢を確認する
  5. 複数行一括して元金返済猶予を要請することで、既存債務の元金払いがストップ
  6. 資金繰り計画・ポストコロナに向けた行動計画を策定し、特例リスケジュール計画が成立される
  7. その後、毎月資金繰りを確認し、希望者にはコロナ終息後の事業再生までサポートする

 

対象となる事業者は、開業届提出済の中小企業・個人事業者であり、職種問わず相談可能となっています。

スピーディな対応と専門家によるアドバイスで資金繰り見直しにつながったなど、複数の債権者に対しリスケ要請ができたなど満足できている事業者が多いようです。

もし受けている融資の返済ができないほど厳しい状況にあるのなら、相談してみるとよいでしょう。

 

まとめ

新型コロナはいまだ収束せず、先行きの見通しが立たない中で、このまま事業を続けるべきか悩む経営者も少なくありません。

売上が伸びず、借りていたお金の返済ができないまま、追加融資も受けなければ資金繰りが厳しいという事業者もいます。

ただ、コロナ関連融資を追加で申請するときにはいくつか注意しておくべきことがありますし、新型コロナ特例リスケジュールなど利用できる制度は検討していくことが必要です。

なお、お金を借りなくても保有する売掛金を売却し、現金化させるファクタリングという資金調達方法もあります。

今より資金繰りが悪化することに不安を感じるのなら、ファクタリングを活用した資金調達もあわせて検討してみてはいかがでしょう。

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