事業を始める時だけでなく続ける上でもお金は必要ですが、銀行など金融機関から融資を受けて資金を準備したくても審査に落ちることもあります。
お金を借りることができれば、手元にお金がなくても事業を有利に進めることができるのに…というタイミングでも、融資審査に落ちると資金は調達できません。
審査に落ちることで、融資を受けることができないだけでなく、事業そのものを否定されているような気持ちになってしまうこともあるでしょう。
そこで、これから銀行からお金を借りて資金調達する上で融資審査に落ちる理由は何なのか、もし落ちた場合はどうすればよいか解説していきます。
目次
融資審査に落ちるケースとは?
中小企業の場合、民間銀行から融資を受けることは難しいこともあるため、政府系金融機関である日本政策金融公庫からお金を借りようと考えることもあるでしょう。
銀行など金融機関の融資審査に落ちるケースには、具体的に次のような特徴が見られますので確認しておいてください。
信用情報に問題を抱えているため落ちる
中小企業が融資を受ける場合、代表者が連帯保証人になることを求められることがありますが、個人の信用情報に問題があれば融資審査に落ちる可能性が高くなります。
民間銀行や日本政策金融公庫から融資を受けるときの審査でも、借入れなどの利用実績は信用情報機関で情報が照会されることとなりますが、返済が遅れたことがあれば審査に落ちる原因になります。
ローンやキャッシング、クレジットカードの他、スマートフォンの割賦販売代金なども滞納中という場合は審査に通りにくくなるでしょう。
特に日本政策金融公庫は借り換え目的の貸付制度は設けていないため、住宅や自動車などのローンの支払いが滞納している場合に申し込んでも、これらの返済や借り換え目的とみなされてしまうと審査に落ちる原因になります。
信用情報機関の種類
信用情報機関では借りているお金などの返済が滞っていないか、債務整理などの履歴がないか確認されます。
数日程度や1~2度忘れていた場合にはそれほど大きなダメージにならないことはあっても、長く滞納している場合や過去に自己破産している場合などは事故情報として記録されてしまうため、新規で融資を受けることは難しくなるでしょう。
不安がある場合には、次の信用情報機関から信用情報を収集してみると安心です。
- ・クレジットカードやカードローン「CIC(株式会社シー・アイ・シー)」
- ・消費者金融系「JICC(日本信用情報機関)」
- ・銀行系「全国銀行個人信用情報センター」
情報が保管される期間は原則2年間ですが、返済状況の項目への「異動」という情報は5年間記録されます。
「異動」は、
- ・返済日より61日以上または3か月以上の支払い遅延がある、またはあった
- ・返済できなくなったことで保証履行が行われた
- ・裁判所が破産を宣告した(破産手続開始が決定された)
という場合に登録されます。
異動と登録されている場合には、金融機関から融資を受けたくても審査に落ちることになると留意しておいてください。
税金などを滞納している
融資を受けるときには納税証明書を提出し、税金を滞納していないか、すべて納めているか確認されます。
特に日本政策金融公庫の審査においては、税金だけでなく公共料金の支払いも遅延していれば審査に落ちる原因になるため注意してください。
審査で確認される税金は、所得税・住民税・法人税・事業税・消費税で、これに加え電気・ガス・水道など公共料金の支払い状況も確認の対象です。
融資審査では源泉徴収票・確定申告書の他、約半年程度の銀行口座の記録からこれらを確認されることとなるため注意してください。
国民年金や国民健康保険の保険料も税金に該当しますが、これらの納付状況を確認する書類の提出は求められません。しかし審査の確認項目が変更される可能性も十分に考えられるため、未納や滞納はなくしておくことが必要です。
十分な自己資金を保有していない
たとえば日本政策金融公庫で創業融資制度を利用し資金を調達する場合、10分の1の自己資金割合が要件になっています。
その自己資金もどのように貯めてきたお金か確認されますが、これは創業に向けた経営者の思いや熱意を確認するためにも必要なことです。
そもそも自己資金が準備できていないのに、思い付きで創業しようとしてもうまくいかないと考えられます。
余剰資金の確保や事業への計画性などを判断する上でも、自己資金はできるだけ多く準備しておくことが必要です。
そして半年分の銀行口座履歴から、自己資金を少しずつ貯めた状況が確認できることが理想といえます。
一時的に家族や知人からお金を借り、銀行に入金した見せ金は通用しないので、もし支援を受けた場合には支援してくれた相手との関係性など説明できるようにしておきましょう。
事業計画が適切と判断されない
これから起業する場合には創業計画、既に事業を行ってるのなら新規で立ち上げる事業の事業計画などを書面化し、金融機関の担当者に提出します。
事業計画書の内容から、これから始める事業は実現できるのか、利益を生み返済資金を捻出していけるのか担当者は判断することとなるでしょう。
過去の事例や計画書に記載された内容から、厳しいと判断されてしまえば融資審査には落ちることになってしまいます。
一度審査に落ちるとその理由が解消するまで、再度借り入れの申し込みは受け付けてもらえません。
半年~1年程度、日本政策金融公庫から融資を受けることが困難となるため、申し込み前には資金調達の専門家などに相談しておいたほうがスムーズで安心です。
審査に落ちたときはどうすればよい?
融資を受けようと申し込んだものの、審査に落ちてしまった場合には何が原因だったのかまず考えてみましょう。
再度申し込みを行う場合でも、そもそもの原因が解消されていなければまた同じように審査に落ちることになってしまいます。
そして審査に落ちれば、同じ金融機関には半年から1年程度、再度申し込みができなくなるため別の金融機関からお金を借りる段取りが必要です。
なお、民間銀行と政府系金融機関である日本政策金融公庫は審査の基準などが異なりますので、いずれか一方の審査に落ちた場合にはもう一方にすぐ申し込みを行っても問題ないと考えられます。
自己資金の準備や事業計画の見直しも必要
融資審査に落ちた原因が、自己資金不足や事業計画書の内容にあるのなら、資金準備や計画の見直しも必要となります。
事業計画書の作成は個人でも可能ですが、はじめて作る場合には専門家などを頼ったほうがより説得力のある内容で作成しやすくなります。
嘘は記載できませんが、金融機関の担当者など誰が見ても内容が把握しやすく、立案した計画が実現できる見込みが高いことを伝えるためにも専門家の力を頼ったほうがよいでしょう。
自己資金が不足している場合には、親族などから支援してもらえないか再度確認してみてください。
まとめ
民間銀行や日本政策金融公庫から融資を受けたくても、審査に落ちると資金は調達できません。
特に民間の銀行の場合は日本政策金融公庫よりも審査が厳しく、中小企業に対しても積極的に融資を行おうとするとは言い切れません。
日本政策金融公庫であれば、個人事業主や中小企業にも積極的な姿勢で融資相談を受け付けてくれますが、審査に通るには審査担当者を説得できる事業計画を立てておくことが必要です。
はじめてお金を借りて資金を調達する場合や、すでに融資を受けようと申し込みをしたものの審査に落ちてしまったという場合には、資金調達の専門家に相談してみることをおすすめします。
資金調達の専門家であれば、融資を受ける以外にも様々な資金調達の方法を把握しており、事業計画作成や面談準備など様々な部分で支援してくれるはずです。
特に融資に落ちた場合には、どこに問題があったのか、これから改善させていく部分を知るためにも一度相談してみるとよいでしょう。
事業計画から資金調達、経営支援まで・・・
事業支援Labは中小企業の経営者を総合的にサポートします。
- 事業を安定させたい方
- 新規事業を立ち上げたい方
- 経営に関する相談をしたい方
- 資金繰りにお困りの方
- 保険として資金調達先を知っておきたい方
コロナウィルスの影響や世界情勢の不安、急激な円安進行..
大きく環境が変化する中で、なかなか経営が安定しなかったり、新規事業の立ち上げに苦慮する企業が多くなっています。
事業支援Labは日本を支える中小企業の経営者を総合的にサポートし、多種多様な専門家を無料でご紹介しています。
事業計画から資金繰りまで経営に関する問題解決に取り組むパートナーとして、経営者の皆様のビジョンの実現を支援いたします。
まずはお気軽にご相談ください。