銀行融資の種類の1つである手形貸付とはどのような資金調達の方法?

2019/10/31
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手形を利用して資金調達する方法と耳にすると、真っ先に手形割引を思い浮かべる方が多いかもしれません。

確かに手形割引も手形を用いた資金調達の方法ですが、多く資金が必要という場合には手形割引よりも手形貸付が有効です。

手形貸付は手形割引の内容は大きく異なるものとなっており、借入条件や融資までの流れなどに違いがあるので混同しないようにしましょう。

銀行融資の中でも手形貸付を利用してみたいという方のために、手形貸付とはどのような資金調達の方法なのか、その内容や特徴をご説明します。

 

手形貸付とは?

手形貸付とは、借入用の手形を銀行に差し入れることで融資を受けて資金調達する方法のことです。

手形とは、手形の振出人(支払人)が、所定の期日に決められた金額を支払うことを約束する証書のことです。

手形貸付は1年以内の短期借入で資金調達する際に利用されることが多く、銀行などに自社で手形を振り出し、その手形を担保として融資を受けます。

手形割引の場合、他の企業からの受取手形を担保にして融資を受けることになりますが、手形貸付では自社が手形の振出人となります。

融資を受けるときには金銭消費貸借契約証書が必要になりますが、手形貸付では担保として差し入れた手形が証書の代わりになります。

手形貸付を利用する前に銀行と契約を結び、その内容に従って手形を振り出す形となるので、利用する都度契約書を交わす必要もありません

手形に融資を受ける企業の署名と捺印があれば利用することができるため、手続きが面倒でないこともメリットといえるでしょう。

 

手形貸付を利用できる場所

手形貸付を利用することができるのは主に銀行などの金融機関です。他にも手形貸付を専門とする業者でも利用を受け付けています。

  • ・都市銀行
  • ・地方銀行
  • ・信用金庫
  • ・手形貸付業者

などに相談してみるとよいでしょう。

一般的な銀行融資などは、どの金融機関を利用するかによって商品の特徴に違いがありますが、手形貸付も同じく利用する銀行などよって特徴が異なります。

 

銀行からの資金調達方法はいろいろ

資金調達の方法として銀行から融資を受けることを選ぶとき、商業手形割引、手形貸付、証書貸付、当座貸越などの種類があります。

もし融資を受けて資金調達することを検討する場合、それぞれの融資形態はどのような特徴があるのか知っておくとよいので、その内容をご説明します。

 

商業手形割引

企業が売上の決済代金として受け取った受取手形を銀行などに売却し、割引料を差し引かれた金額を買取金額として受け取る資金調達の方法です。

手形を買い取ってもらう方法ではありますが、銀行などでは融資として扱われます。

銀行としては買い取った手形を期日に取り立てせずに資金回収することができるので、不渡りさえ出なければ貸し倒れになることもなく、通常の融資を実行するよりもリスクが低い融資形態とみなされます。

ただし、割り引いた手形の振出人が不渡りを出してしまった場合、現金は弁済することが必要になりますので注意しましょう。

 

手形貸付

約束手形を振り出し担保にして銀行などから融資を受ける方法です。手形を普段使用していない場合には、貸付用の手形を利用することが可能です。

頻繁に短期融資を受けたいという場合に利用しやすく、売上金が入金されるまでの間に発生する材料仕入れや外注費などの支払いに充てる運転資金として使うことができます。

 

証書貸付

証書貸付は、金銭消費貸借契約書に署名・押印し、銀行から融資を受けて資金調達する方法です。証書を交わし融資を受ける形態のため、証書貸付といいます。

ただ、書類が多く手続きも煩雑なため、繰り返し短期的な融資を受けたいという場合には向いておらず、1年以上の長期的な借り入れで資金調達する際に用いられることが一般的です。

 

当座貸越

設定された限度額まで、繰り返し資金の借り入れや返済ができる融資形態です。

契約期間内なら借り入れたままにしておくと、返済負担に苦しむこともないかもしれません。

ただ、使い勝手のよさから限度額いっぱいまで借り入れてしまうと、契約期間が終了したタイミングで一括返済を求められることになってしまいます。

契約期間も多くは1年とされ、更新の手続きを行えば引き続き利用可能ですが、財務状況が悪いと更新を断られることもあります。

そもそも銀行にとって最もリスクが高い融資形態とされているため、よほど経営状況が良好で財務内容もよい企業でなければ、利用する上での審査には通らないといえます。

なお、一括で返済しなければならなくなったとき、返済が難しい場合には貸越残高を長期融資などに変更して分割弁済で対応することが一般的のようです。

 

手形貸付の特徴

手形貸付は1年以内の短期的な借り入れで利用されることが多い資金調達の方法です。

利用する上でも当初の契約で融資条件を決めておくことで、後は手形を振り出すだけでよいという形になるので、証書貸付を利用するよりも手間や時間がかからず、手続きも簡単でしかも何度でも繰り返し利用することができます。

設備投資などで資金調達が必要になった場合は、長期で融資を受けることが必要になりますし、金額も大きくなるので証書貸付を利用したほうがよいでしょう。

しかし、一時的なつなぎ資金や経常運転資金が必要という場合には、返済の裏付けが明確で短期に利用しやすいので手形貸付のほうが適しているといえます。

たとえば売掛金や受取手形など、将来入金される予定があるけれど、入金までの間に発生する支払いに充てる運転資金が必要という場合もあるでしょう。この場合、予定されている入金を見込んで、先に手形貸付で資金調達する方法が利用できます。

商品を仕入れ販売するまでの間に必要な仕入れ代金の支払い、受け取った手形が現金化されるまでの資金不足など、一定期間において資金が不足してしまうケースで資金調達の方法として利用しやすいことが特徴です。

 

手形貸付で資金調達したときに発生する利息

手形貸付は融資を受けることになるので、手形に記載された金額をそのまま銀行から借り入れることが可能というわけではありません。

一般的な銀行融資では、返済するときに元金と利息を支払うことになりますが、手形貸付で発生する利息は先払いであることが原則です。

融資が実行されるときに、手形の額面の金額から利息分を差し引いた金額を融資による資金として受け取ることができます。

先払いで利息分が徴収されるのはイヤだ!という場合には、利息を毎月支払う形にすることもできますが、利息分割の特約という書類を提出することになります。

 

手形貸付による利息の計算方法

手形貸付でかかる利息は、

利息=借入金額×金利×借入期間÷365日

という計算式で算出することができます。

融資を受ける金額が大きく、借入期間が長期化すればその分、利息も増えてしまいます。そしてどの金融機関を利用するかによって、設定される金利も3~20%と幅も大きいので、事前に確認した上で利用する銀行などを決めることが必要です。

 

手形貸付で受けた融資に対する返済方法

手形貸付は銀行などを受取人として手形を振り出して担保とし、手形額面の金額に対する融資を受ける方法です。

主に、短期間に必要となる資金を調達することを目的に利用されますので、返済方法も半年から1年以内で分割返済するのか、それとも一括返済するのかで選ぶことになります。

一括返済なら融資が実行されるときに利息全額が差し引かれ、残りを返済するという形になります。分割返済なら事前に定められた毎月の返済日に、1か月分の利息を支払うことにが必要です。

一括返済と分割返済のどちらを選ぶべきかについては、資金調達後の資金使途や資金計画により変わってきます。

資金調達後の数か月間は、余裕資金として手元に少しでも多くの現金を残しておきたい場合などは、分割返済のほうがよいでしょう。

 

手形貸付で資金調達するメリット

手形貸付を資金調達の方法として利用する上で、やはり気になるのはメリットのある方法なのかという部分でしょう。

そこで、手形貸付で資金調達することのメリットをご説明します。

 

融資が実行されるまでがはやい

手形貸付は融資が実行されるまでがはやく、多くの金融機関や専門業者で即日融資に対応しています。

すぐに資金調達しなければならないという場面でも対応できる資金調達の方法であることが大きなメリットです。

 

金利は低めに設定されることが多い

即日融資が可能な資金調達の方法にビジネスローンなどがありますが、金利が高いので利用しにくいという場合もあるでしょう。

しかし手形貸付は、手形割引やビジネスローンなどよりも金利が低く、どの金融機関を利用するのか、利用する企業の信用力によって3%未満の金利で融資を受けることができる場合もあります。

 

経営状況に合わせた返済方法の選択が可能

どの金融機関などを利用するかによりますが、状況に合わせて返済方法を選べるのもメリットです。

先に述べた一括返済や分割返済だけでなく、中途返済を可能とするケースもあります。

売上代金が入金されたときに一括返済をしたいという場合や、余裕がでたとき早く返済して返済総額を抑えたいという場合にも有効なので、返済方法の自由度が高いという点もメリットといえます。

 

繰り返し利用可能

繰り返し利用できることも大きいメリットです。継続して利用できる資金調達手段を確保しておくことで、万一資金繰りが悪化したり急な資金調達が必要になったときでも対応しやすくなるでしょう。

 

手形割引よりリスクを抑えた融資が可能

手形割引の場合、割り引いた手形が不渡りになってしまうと金融機関に手形の額面金額を支払わなければなりません。

自社の経営より他社の財務状況を気にしたまま資金調達することとなり、貸し倒れリスクを抱えた上で融資を受けることになってしまいます。

しかし手形貸付は自社と金融機関だけで取引が行われるため、他社など第三者の財務状況に惑わされることなく資金調達が可能です。

 

手形貸付で資金調達するデメリット

手形貸付はメリットが大きい資金調達の方法だと感じるかもしれませんが、利用する上でデメリットがないわけではありません。

 

信用力が高くなければ利用できない

手形貸付を利用する上で必要なのは、金融機関から信用力が高いと認められることです。一般的な証書貸付とは異なり、手形だけで融資を受けることが可能となるので、信用力が高くなければ利用は断られてしまうでしょう。

 

手形貸付の審査のハードルや難易度

手形貸付は返済の裏付けが存在するものに対して融資を受けることになるので、本来、銀行側の貸し倒れリスクは低く、証書貸付より利用しやすいといえるでしょう。

ただし、一般的に融資を受けるときと同じく、審査で重視されるのは財務状況です。

1年以内に完済させることが必要なので、短期間で返済する能力が十分あるかという部分がポイントになりますので、将来の事業計画まで重視されるわけではないかもしれません。

そこで、

  • ・直近の業績が安定している時期を狙って申し込みを行う
  • ・資金使途は従業員への賞与など銀行が納得できる内容で明確に伝えるようにする

といったことを行うようにしてください。

特に信用性が重視される傾向にあるので、初めて取引を行う金融機関にいきなり申し込みを行っても利用を断られてしまう可能性が高いので注意してください。

 

手形貸付でも別途担保を求められることもある

手形貸付は振り出した手形そのものが担保となるので、別途担保を用意しなくてもよいしい金調達の方法です。ただ、審査状況によって売掛債権などを担保として要求されるケースもあるようです。

 

手形貸付で必要になる書類

なお、手形貸付では申し込みの際、2期分や3気分の決算書、取引先通帳写し、商業登記簿謄本、代表者の本人確認書類、当座照合表などが必要なることが一般的です。

証書貸付よりは審査が通りやすいことが特徴ではありますが、審査ではやはり信用力が重視されますので、利用を断られることもありますので、その点は理解しておきましょう。

 

返済期間が短期

返済期間が1年程度という短期である点もデメリットになることがあります。余裕を持って返済することができず、短い期間で借りて返すという流れを繰り返すことになってしまうことで、資金繰りがさらに悪化する可能性も考えられるのです。

 

不渡りを出してしまうと事実上の倒産

もし約束した期日に返済ができないと不渡りになってしまいます。1度不渡りを出し、その後、半年以内にまた不渡りを出すと、銀行は取引を停止する事実上の倒産という事態に陥ります。

 

まとめ

利用できることになっても、もし資金繰りが悪化してしまい不渡りを出してしまうと、銀行取引が停止されることとなり事実上の倒産扱いとなって事業を続けることができなくなります。

ただ、簡単に繰り返し手形を振り出すだけで資金調達が可能になり、即日融資も可能であるなど急な資金需要にも対応することができます。

多くのメリットがある資金調達の手法でもあり、その反面、デメリットも抱える資金調達の方法ですので、資金を調達する目的や資金用途などを踏まえた上で利用するか決断するようにしましょう。

なお、資金を調達する方法は融資以外にもいろいろあります。たとえば手形ではなく売掛金を資金化させるファクタリングなどもあり、こちらも即日現金化を可能とし、しかも融資ではない部分でもメリットが大きい資金調達の方法です。

融資という方法に執着しすぎることなく、色々な方法に目を向けた上で選ぶことをおすすめします。

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