銀行融資で資金調達するときに知っておきたい「証書貸付」とはどのような方法?

2019/10/24
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資金が必要という場面で、もし銀行からの融資を用いた資金調達を検討する場合、証書貸付による貸し付けを提案されたとします。

証書貸付とは、金融機関が行う融資形態の種類の1つで、借用証書を差し出すことによって融資が行われる貸し付け方法ですが、具体的にどのような形で融資を受けることができるのかご存知でしょうか。

銀行融資には色々な形がありますが、その中でも最も一般的といわれるのが証書貸付です。

そこで、資金調達に銀行から証書貸付を利用する場合、どのような点に注意すればよいのか、そもそも証書貸付とはどのような融資方法なのかご説明します。

 

証書貸付とは?

事実を証明する文書や契約書となる証書を借主と金融機関などが交わすことで、金銭の貸し付けが行われるのが証書貸付です。

証書とは金銭消費賃借契約書のことですが、銀行など金融機関側が融資内容を記載した契約書を作成しますので、その内容に従って契約を締結することになります。

 

金銭消費賃借契約書に記載される項目

金銭消費貸借契約書とは、銀行などから借りるお金の金額と同等の金額を返すこと条件として、金銭を借り入れる契約の内容を記した書類です。

たとえばマイホームを購入する際に住宅ローンを利用したことがある方もいるでしょうが、この場合に作成される証書も金銭消費貸借契約書です。購入するマイホームは銀行に担保として差し入れることになるので、銀行は対象となる不動産に抵当権を設定した上で金銭の貸し付けが行われます。

 

金銭消費貸借契約書に記載される項目は以下の通りです。

  • ・貸主と借主
  • ・契約日
  • ・金額
  • ・融資方法
  • ・返済時期と方法・返済期間
  • ・借入利率
  • ・遅延損害金
  • ・期限の利益喪失自由
  • ・保証人・連帯保証人

などです。

契約する方の署名と押印(実印)、連帯保証人の署名と押印(実印)などを行い、さらに銀行から要求された添付書類などを添えて提出します。

 

証書貸付の期間

証書貸付は主に1年以上の貸付期間で適用されることが多いですが、期間が長期に渡ればその分、銀行が抱えるリスクは高くなるので連帯保証人を準備するように求められることもあると理解しておきましょう。

また、いくら資金を必要とするかによっても担保や連帯保証人の必要性は変わってきますので、融資金額が少額の場合や条件次第では無担保・保証人不要で融資を受けることができる可能性もあります。

 

金銭消費貸借契約は差入方式での契約

たとえば下請業者に秘密情報を開示する場合などは、開示する秘密情報の範囲や下請業者が負うことになる義務の範囲などを秘密保持契約書で定めることになるでしょう。

もの秘密保持契約書には、当事者の双方が署名・捺印する契約書方式のものもあれば、当事者の一方のみが相手の当事者に対し差し入れる形となる差入方式という2種類があります。

金銭消費貸借契約書は、借主と銀行の双方が署名・捺印するのではなく、融資を受ける借主のみが差し入れる差入方式の契約であることが一般的です。

融資を受ける借主が負う義務を、金銭の貸し付けを行う銀行側に約束するのみとなり、銀行の義務の記載はされない状態で返済を約束することになります。

 

証書貸付で融資が行われる金融商品

銀行が貸し付けを行う方法は多岐に渡りますが、プロパー融資の証書貸付、信用保証協会保証付融資の証書貸付、ビジネスローンの証書貸付などいろいろです。

また、多目的ローンのフリーローン、先に述べた住宅ローンやマイカーローン、教育ローンなどのように、融資目的が明確になっている目的別ローンも証書貸付です。

さらに複数の借り入れを1つにまとめるおまとめローンなども証書貸付として扱われています。

 

借用書と金銭消費貸借契約書との違い

借用書とは金銭消費貸借契約書とほぼ同じものですが、借用書のほうが身近で馴染みのある単語です。

金銭消費貸借契約書は契約書を二通作成し、互いが手元に保管しておくことになります。

しかし借用書の場合は、借主が貸主に差し入れるために一通しか作成されないことが大きな違いといえるでしょう。

記載される内容に大きな違いはありませんし、もし紛争や裁判になったときに証拠となる能力としても差はありません。

 

証書貸付と手形貸付などの違い

証書を交わし融資を受けるため証書貸付といいますが、手続きが煩雑となるので利用頻度が高くなる短期融資には向かず、返済期間が1年を超える長期融資で利用されます。

他にも銀行が行う融資には、商業手形割引や手形貸付、当座貸越などがありますが、それぞれ証書貸付とどのような違いがあるのか、特徴などは以下のとおりです。

 

手形割引

企業が売上の決済代金として受けといった受取手形銀行に売却し、資金調達する方法が手形割引です。手形の売却という形ではありますが、銀行では融資として扱われています。

銀行は買い取った手形を期日に取り立てなくても資金回収が可能となりますし、不渡りにさえならなければ貸し倒れリスクを回避できるので、一般的な融資よりはリスクを抑えた融資が可能となります。

 

手形貸付

約束手形担保にして融資を受ける方法ですが、手形を利用していない企業などは貸付用の手形を振り出します。手形貸付は手続きが容易なため短期融資として頻繁に利用されている方法です。

 

当座貸越

事前に設定された極度枠まで自由に資金を借りることも返済することも可能とする融資形態です。契約期間内なら完済させることなく、借りたままにすることもできるので利用する側にはメリットが大きいですが、融資を行う銀行にとってはリスクが高い方法です。

そのためよほど財務内容がよく業績が好調という優良企業でなければ、利用したくても審査が通らず融資を受けることはできないことが多いでしょう。

契約期間として設定されるのはほとんどが1年で、期間満了後には更新手続きを行うこととなりますが、更新のタイミングで財務内容などが悪化していれば、銀行から更新を断られる可能性もあるので注意が必要です。

万一更新できないと判断された場合には、借り入れていた資金は一括返済することが必要になりますが、難しい場合は長期融資に変更した上で分割弁済を行っていくなどの方法にシフトされます。

 

証書貸付の特徴

銀行が行う貸し付けの中でも、手形貸付当座貸越などは原則、1年以内という短期で行う融資です。

しかし証書貸付1年を超える期間で利用されるため、事業者などが融資を受ける場合には設備投資資金や長期運転資金などの資金調達に用いられることが多いといえるでしょう。

5年や10年、20年など長期的に資金を借りたい場合には、証書貸付による融資を受けることになると理解しておきましょう。

 

証書貸付の返済方法

証書貸付の返済方法は元利均等分割返済元金均等分割返済の2種類のうち、いずれかが採用されることになりますが、それぞれの返済方式の内容を知っておくようにしましょう。

 

元利均等分割返済

個人ローンなどで多く採用される返済方式で、毎月の返済金額は変わらないことが特徴です。

そのため返済計画が立てやすいことがメリットですが、返済当初は返済金額に占める元金の割合が利息が圧倒的に小さいため、なかなか元金部分が減りにくく、支払利息を多く負担しなければなりません。

 

元金均等分割返済

法人や個人事業者向けに行う融資で採用されやすい返済方式で、毎月の元金の返済金額が固定されます。そのため毎月一定額の元金は確実に減っていくため、借入金額が減少しやすいことがメリットです。

ただし毎月の返済額が一定とならないため、返済計画が立てにくいことがデメリットといえるでしょう。

 

多くは元金均等返済が一般的

証書貸付の返済方式は元利均等返済と元金均等返済の2種類ですが、事業者向けの貸し付けの場合は元金均等返済が一般的です。

元金均等返済では元金部分の返済額が変わらないので、返済を重ねていくごとに利息部分が減少していきます。

だんだんと毎月の返済額が少なくなっていくことが特徴ですが、返済しにくいと感じる場合などは銀行に相談し合意を得ることができれば返済方法を変えてもらうことも可能です。

 

極度枠の設定は可能か

融資を可能とする範囲を示す極度枠。その枠範囲であれば自由に資金を借り入れたり返済したりということが可能であれば大変便利ですが、証書貸付で極度枠の設定はまずできません

高度成長時代には定期預金を担保に極度枠を設け、長期で融資を行う銀行も存在していたようですが、現在ではまず不可能であると理解しておいてください。

 

証書貸付の審査基準

事業用に資金調達する目的は商用車を購入するのか、それとも機械や設備の買い替えなのかなど、使途はいろいろでしょう。

ただ、証書貸付によって融資を受ける場合には、長期に渡り返済を続けることになるため、借主の返済余力や返済原資を確認されることになります。

返済余力や返済原資を何で判断するのかというと、最終利益である当期利益と減価償却費を合わせた金額です。

 

鍵となるのは減価償却費

当期利益は事業を営んだ上で最終的に残ったものであり、減価償却費は経費として計上できるのに現金の支出を伴わない費用です。

この減価償却費が長期で融資を受ける上での大きな鍵となるといっても過言ではなく、たとえば当期利益がマイナスでも減価償却費が当期損失を上回っていればプラスとみなされます。

 

証書貸付の審査で重要視される部分

長期に渡り金銭を貸し付けることになる銀行としては、途中で返済がされなくなり貸し倒れになるリスクは避けたいと考えるものです。

そのため、借主が長期的に安定した返済が可能なのか厳しく確認していくことになるので、事業歴や過去の売上、利益の推移などを重要視した審査が行われることになるでしょう。

 

証書貸付で追加融資は不可

証書貸付で融資を受ける場合には、契約を結ぶときに融資金額や返済期間、返済方法といった様々な条件が定められた証書を用いて行います。

そのため、融資が実行された後、追加で借り入れをしたいと思っても証書に記載されていないので契約違反となってしまうことから、追加融資は不可となっています。

さらに銀行から融資を受けたいという場合には、再度契約を結び直すことになるでしょう。

 

証書貸付で銀行から融資を受けるなら

銀行などから証書貸付で融資を受けて資金調達することを考えている場合には、契約において作成される金銭消費賃借契約書の内容をしっかり確認するようにしてください。

金銭消費賃借契約を結んだ上での融資実行となるため、後でその内容を変更することはできないからです。

まずは金銭消費貸借契約書に記載されている基本的な項目に不足はないか、細かい条項などに明らかに借主に不利になる条件などが含まれていないかなどを確認します。もし不明な点や不安を感じる部分がある場合には、担当者に質問をして理解・納得した上で契約を結ぶようにしてください。

 

金銭消費貸借契約書に記入するときの注意点

もし独自で金銭消費貸借契約書を作成することになった場合には、間違いがないように記入していくことが必要です。特に次に挙げる項目はミスのないよう慎重に記入するようにしてください。

 

作成の日付

契約書を作成するときの日付を記入することになります。また、先にお金を受け取り契約書の作成をするときには債務承認弁済契約書を作成することになります。

 

借主・貸主と連帯保証人の氏名・住所

契約を結ぶ借主と貸主、連帯保証人の氏名、住所、連絡先、そして押印など、本人確認が可能となる情報の記入が必要になります。また、印鑑より本人が契約したことが証明できる署名を行うほうがよいですし、書面に押印する印鑑は実印の方が信頼されやすくなるでしょう。

 

金額

金額を記載するときに用いる数字は、漢数字でも算用数字でも問題ありませんが改ざんされるリスクが高くなるので、数字の大字(壱、弐など)を用いて記入することが望ましいといえます。また、桁を付け足されないようにするために頭に円マークなどを用いることも必要です。

 

お金を渡した日付

金銭消費貸借契約はお金の受け渡したタイミングで契約が成立しますので、その日付を記入することが重要です。また、手渡しよりは受け渡した日が通帳などに記録される銀行振り込みを利用したほうがよいでしょう。

 

返済方法

契約する際にはどのように融資したお金を返済するのか、振込手数料も考慮した上で銀行振り込みなど返済しやすい方法を選ぶことが必要となります。なお、債務者である借主が返済の際の振込手数料も負担することが一般的です。

 

返済期日

トラブルを避けるためにいつまでに返済する必要があるのか記載しておくようにしましょう

 

証書貸付のメリット

証書貸付は融資金額、金利、期間、返済方法など、金銭の融資が行われる上での具体的な詳細が記載された書面を作成した上で行われる貸し付けの方法です。

1年を超える長期の返済期間で融資による資金を受け取ることができ、決められた返済期間や返済額で計画を立てやすいことも魅力です。

 

まとめ

銀行から証書貸付による貸し付けで資金調達を検討している方もいるでしょうが、銀行融資の中でも最も基本的な方法です。

ただし、証書貸付で資金調達する際には銀行が作成した金銭消費貸借契約書の内容をしっかり確認しておかないと、その内容は銀行によって異なることがあるため、後々想定していた内容と違っていたというトラブルが起きることもあります。

必ず契約の際には証書の内容を確認し、後でトラブルにならないように納得した上で契約を結ぶようにしましょう。

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