債務不履行により取引が続けられない場合の対応方法

2019/08/02
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取引の相手に商品を引き渡したり金銭を支払ったりする義務を「債務」といいますが、この義務を果たさない場合には「債務不履行」という扱いになります。

債務不履行は3つに分類されますが、取引相手が債務不履行となった場合に備えて、それぞれどのような意味や特徴があるのか、対応可能となる内容などを把握しておきましょう。

 

債務不履行とは?

債務不履行とは、故意や過失で債務を履行しないことです。その種類は、履行遅滞、履行不能、不完全履行に分けることができますが、取引における契約に違反して支払いを怠った場合は、債権者が強制履行や契約解除、損害賠償請求といった対応を行うことができます。

 

債務や債権とはどのような意味か

ここで登場する「債務」や「債権」という言葉ですが、仮に商品を仕入れた時、その代金を支払う義務が「債務」であり、商品を受け取る権利が「債権」です。

仕入れ側からみれば、商品を引き渡す義務が「債務」となり、その代金を受け取る権利が「債権」ということになります。

仕入れにより発生した代金を支払う義務が発生しているのに、支払いを行わない場合は「債務不履行」となりますが、その理由がうっかり忘れていた過失であるのか、わざとである故意なのかは関係ありません。

 

債務不履行の種類は3つ

民法上、債務不履行として扱われる履行遅滞、履行不能、不完全履行という債務不履行の3つの種類ですが、どれに該当するのかは債務不履行の内容によって異なりますのでそれぞれ確認しておきましょう。

 

履行遅滞

履行できる状況なのに履行するべき期日を過ぎても履行しないケースが該当します。特に正当な理由もなく、商品の引き渡し日や代金の支払い期日を過ぎてしまった場合など、実行する能力があるのに行わず、約束した期日に遅れてしまうことを履行遅滞といいます。

 

●履行遅滞として扱われる条件

  • ・履行可能な状況であること
  • ・履行する時期が過ぎていること
  • ・故意や過失などによるもの
  • ・履行しないことは違法であること

 

●履行遅滞で請求可能となる対応

  • ・契約解除
  • ・損害賠償請求
  • ・強制履行

 

履行不能

債務を履行することができない状況の場合のうち、例えば火災などが発生して商品を引き渡すことができないなど、履行そのものが不可能になったケースが該当します。

ただ、金銭の支払いや借入金返済など金銭債務の扱いについては、金銭そのものがこの世からなくなることはないという考えから、履行遅滞として扱われると理解しておきましょう。

なお、地震や津波など天災により履行できなくなった場合で、商品の引き渡しが行われなくても、購入した側は代金の支払い義務を負うことになる点に注意してください。

 

●履行不能として扱われる条件

  • ・契約が成立した後で履行が不可能となった場合
  • ・故意や過失などの場合

 

●履行不能で請求可能となる対応

  • ・契約解除
  • ・損害賠償請求

 

不完全履行

債務を完全に履行することはできなかったものの、一部は履行されたという場合が該当します。

たとえば仕入れた商品の一部が破損していて売り物として扱うことができなかった場合などですが、借金などで支払いの一部が延滞している場合などは履行遅滞とみなされる点に注意してください。

 

●不完全履行で請求可能となる対応

  • ・契約解除
  • ・損害賠償請求

 

債務不履行で債権者が請求可能となる対応

債務不履行には種類があり、それぞれで請求可能となる対応の種類は異なります。

ただ、本来の期日を過ぎているのに商品が納品されなかったり、代金を支払ってもらえないという状況は同じです。そこで、債務不履行が発生することによる損害を取り戻すため、次のような対応が可能となっています。

 

契約解除

契約を締結している以上は、法的な拘束力があるため一方的に解除することはもちろんできません。ただ、債務不履行が発生している場合には、契約内で事前に合意した場合により契約を解除することも可能ですし、民法の規定により解除できる場合もあります。

 

損害賠償請求

債務が履行しない相手に損害賠償を請求することができますが、契約違反や不法行為などにおいて、損害の埋め合わせを求めるという形です。

損害賠償を請求可能となるのは、相手が契約を守らなかったことによって発生した実損害分です。取り決めをしていないなら、慰謝料や迷惑料を請求することはできないとされています。

 

強制執行

債務者に対して訴訟を起こして支払うように判決が出たのに、それでも債務が履行されないという場合には、強制的に債権を回収する強制執行手続を申し立てることが可能です。

債務者の財産を強制的に差し押さえ債権回収できますが、相手がどのような財産を所有しているのか債権者自身が見つけなければなりませんし、債権を全額回収することを保証する手続きではない点は理解しておきましょう。

 

借金・債務による債務不履行

お金を借りた状態で返済を行わない場合には「返還債務不履行」という扱いとなりますが、手元に資金がなくて返せないのか、理由はそれぞれでも借金そのものは履行遅滞になるので不完全履行とは判断されません

人はお金がなければ衣食住を奪われることになるので、生活が成り立たなくなります。そのため、生活している以上は何らかの方法で金銭を得ていると判断されることから、法的手続きなど行わない以上、支払い債務をなくすことはできないとされます。

返済できなくても返済そのものが不可能な状態とは判断されず、返済することを忘れているのか遅れている状態だと捉えられることになるのです。

時間がかかっても返済できる可能性があるため、原則として不完全履行は認められないと理解しておきましょう。

 

金銭債務を減らすことができる法的手続き

借金の返済義務はなくなりませんが、仮に消費者金融などノンバンクからの借金が増えすぎてしまい、生活できる状況でないほど借金に苦しんでいる場合などは法的手続きを行うことで債務負担を軽くしたり、借金をなくすことができます。

借金苦で自殺してしまう方がいるほど、多重債務は心身を追い詰めることになりますので、もしそのような状況で苦しんでいるのなら一刻も早く脱却するための債務整理を検討してください。

主な債務整理の方法は次のとおりです。

 

●任意整理

債権者と交渉し、利息をカットしたり長期分割弁済に変更するなど、和解を進めて支払いを楽にする方法です。

 

●個人再生

債務者が裁判所に申し立てを行うことで、借金を減額してもらった上に3~5年の分割で支払いを行い、残った債務を免除してもらうことができるという手続きで、住宅だけは残したいという場合でも利用可能です。

 

●自己破産

裁判所に破産申立書を提出し、免責許可を得て借金をゼロにする最終手段です。現在所有している資産と将来得る収入などから債務を完済させることができないと判断された場合に利用できます。

 

まとめ

取引を行う上で、債務不履行という状況が発生すれば、思いもよらない損害を被ることになるかもしれません。取引先が債務不履行により取引を進めることができなくなることもあれば、反対に自分が契約を守ることができなくなる可能性もあるということです。

このような場合、双方で話し合いを行い誠実に対処することが求められますが、一方的に話し合いに応じず債務不履行という状況のまま放置した場合などは、法的な手続きで対応することになるでしょう。

ただ、法的手続きを行っても債務のすべてを回収できるとも限りませんし、回収まで費用や時間がかかってしまいますので、契約する取引先は信頼できる相手か見極めていくことが重要となるでしょう。

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