借り入れやローンの場面で登場する「返済」と「弁済」の違いとは

2019/06/06
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お金銭や物など、何かを返すことを返済、または弁済といいますが、どちらも似た意味の言葉として使われています。ただ、実際にこれらの言葉に違いがあることをご存知ですか?

普段は返済という言葉を何気なく使っていて、あまり弁済という言葉を使うことはないかもしれません。そこで、返済と弁済、これらの言葉の違いをご説明します。

 

返済と弁済の意味は似ているけれど…

返済と弁済の言葉の意味は、どちらも「返す」という意味は共通していますが、主な違いは次の2点です。

  • ・「弁済」は法律用語であること
  • ・返す部分が「一部」なのか「全部」か

「返済」はお金や物を返す言葉として会話の中など使われるのに対し、「弁済」は法律にも定めのある用語です。

また、借りたお金や物のうち、一部でも返せば「返済」、すべて返すと「弁済」となる点にも違いがあるといえるでしょう。

 

返済とは

借りたお金や物を相手に返すことを「返済」といいます。債務者(借りた者)が債務の趣旨に基づいて債権者(貸した者)に対し、お金や物の引き渡しにより債権(借金など)を消滅させること、または消滅させることを目指すことです。

そのため、全部返さずその一部を返した場合でも使われる言葉であり、仮に借りたお金をすべて返せば「完済」という言葉が使われます。

また、返済という言葉として、

  • ・約定返済(ローンを利用する上で契約により返済すること)
  • ・繰上返済(契約で取り決めた返済とは別に、まとまったお金を一度に返済して借入残高を減らしていくこと)

などがあります。

 

弁済とは

「弁済」も返済と同じように、借りたお金や物を相手に返すことですが、法律用語としてその意味は定義付けされています。

法律では、「債務者、または第三者が債務の内容である給付を実現し、債権を消滅させること」とされています。

債権・債務を消滅させる方法には、相殺・更改・免除・混同などがあり、その方法の1つとして定義付けられている言葉です。

また、弁済という言葉が使われる用語は次のとおりです。それぞれ法律で定められている言葉のため、その内容を理解しておきましょう。

 

代位弁済

債務者以外の第三者、または共同債務者のうちのいずれかが債権者に対し債務を弁済することです。債務者が返済不能となったとき、債務を保証する者が債務者に代わって返済を肩代わりし、債権が弁済者に移ります。

 

代物弁済

債権者の承諾を得た上で、本来の債務を返す代わりに、別のもので弁済することです。たとえばお金を借りていて、本当なら金銭で支払う必要があるのに、不動産などを代わりに引き渡す場合などが該当します。

 

第三者弁済

本来の債務者ではない別の者が代わって弁済することです。先に述べた代位弁済も広域には第三者弁済に含まれるともいえます。

ただ、ローンなどで利用する保証会社などは利害関係のある第三者であるため、法的に無条件で求償権が与えられた上で代位することが認められる「法定代位」とされます。

その一方、保証人ではない家族や親族などが債務者の意思に反し、勝手に借りたお金を返そうとするとき、弁済による代位はできないとされています。

なぜなら家族や親族は利害関係者ではないので、この場合には、債権者の承諾と債務者の同意を得た上で弁済を行って代位すること任意代位が認められます。

 

「弁済」のほうが細かい規定がある言葉

普段の会話で使用される「返済」という言葉と違って、「弁済」は民法により定めのある言葉であり、法律用語のため詳しくその要件や内容などが規定されています。

これからお金を借りて資金を調達しようとする場合、契約の中でこの「弁済」という言葉が頻繁に出てくることになるので、正しい要件や内容を把握しておくようにしましょう。

 

弁済の提供の要件

弁済の要件については、「民法493条」で定められています。

  • ・債務の本旨に従ってなされること
  • ・現実の提供または口頭の提供がなされること(現実の提供とは、債務に従い現実に提供すること、口頭の提供とは、弁済の準備を行い受け取ってもらえるように催告すること)

 

弁済の内容

弁済の内容は「民法483条」に規定されています。弁済は、借りたものを返すこと、または売買契約による支払いとそれに伴う引き渡しを実行することです。

 

弁済する場所

弁済する場所は「民法484条」に規定されています。場所については、相手に引き渡す物が何かによって異なります。

 

特定物の場合

不動産など特定の物を引き渡そうとする場合には、当然ですがその不動産のある場所で行われます。

 

その他の場合

特定物は、引き渡そうとする物が存在する場所が決まっていますが、お金などはどこで返すこともできます。そのため、特定物以外の引き渡しについては、契約で定められている場合にはその契約に従う形となります。

ただ、債務者が債権者のところまで届けに行く「持参債務の原則」が一般的です。もし契約に取り決めがされていない場合には、これに従うようにしましょう。

 

弁済する時期

いつ弁済するかは契約の際に取り決めていることがほとんどですが、細かい時期などは次のとおり「民法412条」に定めがあります。

  • ・期限が設けられているならその期限
  • ・期限は確実に到来するけれどいつか決まっていない場合は、債務者がその期限の到来を知ったとき
  • ・期限に定めがない場合は請求を受けたとき

 

弁済が遅延しているとみなされるタイミング

いつが期限は知っていれば、その期限を過ぎれば遅延という扱いになることは理解できます。しかし、期限がいつかはっきりわからないときや、定めがないときはいつを過ぎれば遅延という扱いになるのでしょう。

この場合、確実に期限は到来するけれどそれがいつか決まっていないなら、債務者が期限の到来を知ったときからとなり、期限に定めがない場合は請求を受けたときからと判断できます。

 

弁済の効果

普段、1つの言葉として使う「返済」とは違って、「弁済」は法律用語であり、いろいろな取り決めなどがあってややこしいと思うかもしれません。

ただ、弁済の意味を正しく理解しておくことは大切ですし、弁済することで次のような効果を得られます。

 

●債務不履行により発生する損害賠償や違約金など支払う必要はなくなる

弁済することで債務を消滅させることができるので、遅延した際に発生する利息などは支払う必要はなくなります。

 

●相手方の「同時履行の抗弁権」を奪うことができる

「同時履行の抗弁権」とは、当事者同士がお互いに債務を負う形となる「双務契約」において、相手方が債務を提供するまで自分の債務も履行することを拒否できる権利のことです。

 

弁済の提供

弁済したくても勝手に返すことはできないので、相手の協力が必要です。相手に協力を求めることを「弁済の提供」といいます。弁済させるためには、相手の協力を得て要件を満たすことが必要ということです。

 

弁済と似た言葉の種類

他にも次のとおり返済や弁済に似た言葉があるので、間違わないようにそれぞれの意味を理解しておきましょう。

 

  • ・履行(法律用語として使用される言葉で、決めたことや言ったことを約束し、実行すること)
  • ・清算(貸し借りを整理・差し引きなどして結末を付けること)
  • ・弁償(他人に与えた損害に対し補うこと)
  • ・賠償(ほかに与えた損害をつぐない補うこと)
  • ・補償(損害を埋め合わせるため金銭で補うこと)

 

まとめ

普段、1つの言葉として使う「返済」とは違って、「弁済」は法律用語であり、いろいろな取り決めなどがあってややこしいと思うかもしれません。

ただ、弁済の意味を正しく理解しておくことは大切ですし、弁済することで得られる効果などもあります。

特に資金調達に借り入れやローンを利用する場合には、契約を締結する前にどのような弁済方法になっているかなど確認しておきましょう。

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