資金調達というと、「融資」を思い浮かべる方が圧倒的に多いと思います。たしかに資金調達の根本は有しであることは間違いないかもしれません。しかしその他の方法もあるので検討すべきなのです。
今回は資金調達の一つの方法である「増資」における、メリットとデメリットについて徹底解説します。どのような特徴が増資にはあるのでしょうか。
まずは増資とはどういったものであるかを簡単に解説します。
目次
増資とは何だ?
・自己資金を増やすこと
増資とは「資本金を増やす」と書きます。その名のとおりに増資とは資本金を増やす行為のことを指し、要は自己資金を増やすのです。
融資については借入金です。借金をすることになり、のちのち返済をしていかなければなりません。利息も付加した上で返済を実行していかなければならないわけです。
一方で増資については、投資家に資金を提供して貰う代わりに株式を発行します。見返りとして株式を発行しているので、返済金は発生しません。
・なぜ資本金を増やすのか?
資本金は自己資金を指していることは述べました。自己資金額が多い会社と少ない会社であれば、会社としての体力はもちろん自己資金額が大きいほうがあることになります。
更に増資については会社として自由に利用できる資金が多くなることを意味しています。新規事業の立ち上げなど様々な目的で利用できるわけです。要は使い勝手の良い資金を集められる、といった目的でも増資が行われるわけです。
増資にはどんなメリットがあるのか?
①会社の信用力を高められる
②返済の必要がない
③会社の支援者が増える
【①会社の信用力について】
資本金の額が増えれば「信頼できる会社」といった評価がもらえるようになります。
以下の企業のうちどちらのほうが信用できるでしょうか?
・資本金が300万円の会社
・資本金が1億円の会社
もちろん資本金が1億円の会社の方が信用できる、ということになります。世間一般からも資本金額が高い会社のほうが評価を受ける傾向にあるわけです。
そもそも資本金額が大きいということは「経営母体が強い」と見られます。ビジネスの世界では調子の良いときもあれば調子の悪い時もあります。利益が出ていることもあれば利益が出ていないこともあるのです。
問題は利益が出ていないときです。経営母体が弱ければ、すぐに倒産しまうかもしれません。取引先として信用できない、と判断されてしまう恐れもあります。しかし資本金額が大きく経営母体が強いと判断される場合には、ちょっとしたビジネスのつまづきでも揺らぐことはありません。自己資金が豊富にあるので、利益が出ていなかったとしても耐えられるわけです。
よって増資によって資本金額を高められれば、取引先として信用されることになります。
【②返済金が発生しない】
一般的な資金調達である融資に関しては、基本的には借り入れを行った翌月から返済をしていかなければなりません。借り入れを行った直後から一定の返済能力が求められることになるのです。会社から一定の資金が定期的に出ていくことになり、根本的な経営改善ができなければ融資を受けたこと自体が会社にとってのマイナスになってしまうかもしれないわけです。
しかも融資に関しては借りたお金をそのまま返済すればよいのではありません。借りたお金に利息がついてくるわけです。借りたお金よりもより高額の返済をしなければなりません。金利によってはさらに大きな負担になってしまうわけです。
増資による資金調達に関しては返済金が発生しません。そもそも増資を受けた時に対価として株式を渡しています。株式を渡すことによって見返りは提供しているので、毎月返済金を支払う必要はないのです。資金調達を行ったあとに、一定の資金が会社から出続けることはありません。
資金を確保し続けられるのも増資による資金調達の大きなメリットです。
【③会社の支援者について】
出資してくれるということは自社を支援してくれている、ということになります。要は株主になるので、株主は株式の価値が高まれば利益が出ることになるわけです。会社が大きくなってくれるように様々な提案を行ってくれることもあるのです。
会社を気にかけてくれる人が多くなる、というのも一つのメリットになります。利益をシェアする人が増えることにつながるので、会社として成長するチャンスが増えることになります。
増資にはどんなデメリットがあるのか?
①配当金を払わなければならないことも
②税金が増える可能性あり
③経営者のパワーをダウンさせることになる可能性あり
④発行した株式の価格の算定が難しい
【①株式の配当金について】
絶対に払わなければならないものではありません。しかし株主としても配当金は欲しいと考えています。よって支払わなければならない状況になってしまうことも珍しくありません。
株式の配当金に関しては、基本的に会社に利益が出た時に株主側から求められることが多くなっています。利益が出ていない時には、利益が出ていないことを理由に配当金を出さないこともできるので、それほど大きなデメリットとは言えないかもしれません。
ただしいつまで経っても配当金が出せないような状況が続くと、株主としても株式を持っている旨味がありません。株主から株の買い戻しの要求をされてしまう可能性もあるので注意して対応しなければならないのです。
【②増資によって資本金が増えると納税額がアップする可能性あり】
資本金の額によって納税額に差が出てきます。
まず資本金が1,000万円以下の場合は会社を設立して2年までは消費税の免税措置が受けられます。しかしその2年以内に増資をおこなって資本金を1,000万円超にしてしまうと、免税措置が受けられなくなります。消費税を支払わなければなりません。
もう一つ注目すべきなのが資本金1億円です。資本金が1億円を超えてしまうと赤字でも支払わなければならない固定の税金額が増えてしまうのです。会社の負担が大きくなるので、資本金額を増資によってどこまで増やすのか、ということは前もって考えておかなければなりません。無計画な増資は会社としての破綻を招くことにもなりかねないのです。
【③経営者の力がダウンする可能性あり】
増資を行うと株式比率に変化が現れます。経営者以外の株主の比率が増えることで、経営権が脅かされる可能性が少なからず出てきてしまうのです。特に持ち株割合が50%を切ってしまうと、思ったような経営ができなくなるかもしれません。
増資をする場合には。必ず持ち株割合にも注意してください。特に大規模な増資を行う場合には、経営者にも株式を発行するような形にしなければ、持ち株割合が維持できない可能性もあります。
ワンマン経営を望んでいる経営者も多いと思います。しかし増資を行うことで経営に口を出される機会も増えます。事業の方向性が自分の思い通りにならない、ということが出てくる可能性があるのも増資のデメリットなのです。
【④株式の価格の算定にはコストがかかる】
株式を発行して増資を行うわけですが、株価の設定は勝手にはできません。そもそも適切な価格でなければ出資者が出てこない可能性もあるわけです。
そこで株価の算定に関しては専門家に依頼することになります。専門家に依頼するので一定のコストが発生するのです。コストは数十万円から100万円を超えてしまうこともあります。増資には初期費用がかかる、ということも覚えておかなければなりません。
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