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労務管理は難しい?主な仕事内容と担当に向いている人の特徴

資金繰り2022/02/07

人事の仕事といえば「労務管理」ですが、1つの業務だけではなく幅広い職種が含まれてるため、難しいといわれています。

労務管理を任せるにはその難しい業務を担当してもらうためにも、保有する能力や適性などの見極めが重要です。

そこで、事務の中でも難しいといわれている労務管理の主な仕事内容と、担当に向いている人の特徴などについて解説していきます。

人事・労務の最近の動向

2019年4月、高度プロフェッショナル制度が施行され、多様な働き方を支援するための「働き方改革」が進められるようになりました。

様々な業界や業種、企業などでも「働き方改革」に対する取り組みを進めていく動きが活発化していますが、労務管理においても意識を高めることが必要です。

たとえば長時間労働を見直しすることや、新型コロナウイルス感染拡大の影響によるテレワークの推進産休・育休制度時短勤務等関連制度を充実させるといった対応が求められています。

近年では障がいを抱える方や女性の積極雇用に退職者再雇用などの対応も求められていますが、いずれにしても人材育成や組織づくり重視しつつ、経営戦略を理解した現場の課題を抽出・解決が必要とされる傾向にあるといえます。

どちらも難しい?「労務」と「人事」の違い

そもそも労務管理は「人事」の仕事の1つといえますが、厳密には「人事」と「労務」は同じではありません。

ただ、規模の大きな企業でなければ、人事労務担当者は同じ方が担当することが多いといえるでしょう。

人事と労務の特徴と違いは次のとおりです。

  • ・人事…人材の採用・育成・評価・異動・昇進・転勤などに関連する業務を主に担当し、企業の評価が高まるように慎重に人を選ぶ業務を担当します。
  • ・労務…労働環境・福利厚生管理などが主な業務で、従業員が働きやすい環境を作るための業務を担当します。

人事は人材の雇用や育成に関する仕事がメインとなり、採用活動・社内研修・配属先決定など社員確保・育成・異動などが主な業務です。

人材の適性を見極め不平等にならない采配を行いつつ、組織を活性化させていく配置などを検討します。

これに対し労務管理では、経理が担当する業務に近い内容が多く、給与計算・社会保険料手続なども担当することになります。入退社手続や労務トラブルなどに対応することもありますが、主にデータを取り扱う仕事が多いといえるでしょう。

人事も労務も従業員の人生に関わる職務であり責任が重大な難しい仕事といえるため、担当者の人選は十分な見極めは重要といえるでしょう。

労務管理で必要な7つの業務

労務管理では、社会保険や雇用保険などの手続以外にも、労務に関連する複雑なトラブルの相談を受けることや解決への取り組みなども担当します。

具体的には次の7つの業務を担当することとなるでしょう。

  • ・入社・退職手続
  • ・福利厚生業務
  • ・勤怠管理
  • ・給与計算
  • ・社会保険手続
  • ・安全衛生管理
  • ・労務トラブル相談

それぞれどのような業務か説明します。

入社・退職手続

従業員が入社するときだけでなく、退社するときにも雇用保険や社会保険など様々な手続が必要になります。

また、会社ごとに独自の福利厚生を導入しているケースでは、手続の量や幅は広がることとなるでしょう。

労務管理では、従業員ごとの保険適用などを行い、働く環境を整備していくことが必要です。

福利厚生業務

福利厚生を充実させることで、従業員の満足度や仕事に対するモチベーションを高めることができます。

ただ、福利厚生を充実させるほど労務管理の仕事も増えていくといえますが、たとえば社宅・家賃補助・残業食事代などの支給については給与計算の際に手続するなどです。

外部の福利厚生サービスを利用するときにも、従業員の要望などヒアリングし、自社に適した制度か検討するといった作業も必要になります。

勤怠管理

勤怠管理とは、従業員の出欠確認・遅刻早退・残業時間の管理・有給取得の管理などです。

すべて従業員の給与に関係するため、正確に把握し管理していくことが必要になります。

出欠確認や残業時間の計算などの方法は会社により異なるでしょうが、就業規則や賃金規定に沿った形式で行うことが必要です。

給与計算

従業員に支払う給与を計算することも労務管理で重要な業務ですが、ミスがあれば会社に対する信用にかかわることになります。

給与計算ソフトなどを使用することが多いでしょうが、そもそも入力ミスがあれば間違った賃金を支払うことになってしまうため、正確に作業することが必要です。

さらに扶養家族がいる従業員の場合、その人数によって源泉徴収税金額も変わるため、変更があったときには忘れず伝えてもらうことも必要になります。

他にも寡婦(夫)であるか、障がいの有無などでも税額は変わるため、毎年社員の状況を確認し給与計算に反映させるようにしましょう。

1年間で支払った給与と賞与において、徴収した源泉徴収税額と実際の所得税額を調整し、正しい税額を納めるための年末調整も労務管理で行う仕事の1つです。

年末調整は難しいと感じる方も多いため、必要であれば顧問の税理士に依頼するといった対応も必要となるでしょう。

社会保険手続

労務管理で行う社会保険手続とは、健康保険・年金・雇用保険・労災保険などの加入・脱退手続です。

従業員のうち40歳以上の方は介護保険への加入も必要となりますが、手続が遅れれば手元に健康保険証が届くまで時間がかかってしまいます。

退職した後で従業員が失業保険の手続を進めることができなくなるなど様々な問題が発生してしまうため、正確に漏れや抜けのないよう行うことが大切です。

なお、健康保険料と厚生年金保険料は定期的に見直しされているため、計算や提出書類の作成なども必要になります。

安全衛生管理

会社で働く従業員が健康な状態で働くことのできる環境を整備することや、対策を検討し実践することも労務管理の仕事です。

労働災害が起きてしまえば、被害を受けた従業員から損害賠償請求される可能性もあります。

そのような状況を作らないためにも、労災を防ぐ仕組みづくりや万一発生してしまったときの対応、健康診断の実施やストレスチェックなども定期的に実施することが必要です。

なお、従業員に年1度の健康診断を受けてもらうことは義務化されているため、速やかにそれぞれの制度に沿った健康診断の案内と受診手続が求められます。

さらに安全で快適な職場環境を整備するには、労働安全衛生法に基づいた安全衛生管理が必要です。

健康診断の結果をもとに、医師から意見を聞いて従業員に通知することや、必要に応じて保険指導を行うなど従業員の健康を守る業務も行うようにします。

産業医と面談可能となる体制の整備なども、労務管理で行う業務と認識しておくべきでしょう。

労務トラブル相談

労働基準法に基づき労働時間を厳守していた場合でも、部下の立場である授業員が上司からサービス残業を強要されていることや、恫喝や暴力といったハラスメントなどが起きていないとも限りません。

上司の命令に逆うことができず、ストレスを溜めれば生命にかかわる事故が起きる可能性もあるため、労務管理では労務トラブルの相談窓口としての役割も担当します。

相談された内容次第で、上司にヒアリングを実施し他の部署への異動や、就業規則に基づく罰則を与えるといったことも必要です。

労務管理を担当する上であるとよい資格

労務管理は難しい仕事のため、を誰に任せるべきか担当者を選ぶときには保有している資格にも注目しましょう。

保有していると労務管理を任せやすい人材と判断しやすいのは主に次の資格です。

  • ・労務管理士
  • ・社会保険労務士

それぞれどのような資格か説明します。

労務管理士

労務管理士とは、企業の労務管理の中でも従業員に関する仕事を任される専門家であり、労働基準法や労務管理に関する専門的知識を習得して適正な職場環境を構築することのできる人材育成を目的とした民間資格です。

労務管理士の資格を保有している人材であれば、従業員の採用から退職までの一連の労務に関する業務を把握しているため、安心して業務を任せることができます。

人手不足で労務管理を担当する人材を育成することが難しい場合でも、労務管理士を保有している方であればスムーズに業務を進めることができるでしょう。

社会保険労務士

社会保険労務士とは、社会保険や労働関連の法律の専門家であり、人事や労務管理を行います。

社会保険労務士法に基づく国家資格であるため、企業が成長するために必要な「カネ・モノ・ヒト」のうち、「ヒト」に関する専門家といえます。

会社に代わり労働関連法令・社会保障法令に基づいた書類を作成することや、労務管理・社会保険に関する相談にも対応することのできる職種なので、社会保険労務士資格を保有する人材であればより安心して労務管理を任せることができます。

難しい労務管理を行う担当者に求められる4つのこと

労務管理を任せる人材選びでは、保有する資格だけでなく適性も注目したほうがよいでしょう。

主に労務管理担当者に求められることは次の4つです。

  • ・地道に正確に作業できること
  • ・守秘義務とセキュリティ意識の高さ
  • ・コミュニケーション能力の高さ
  • ・法律への学習意欲の高さ

この4つをクリアできる人材であれば、難しい労務管理もしっかり担当してもらえるといえますが、それぞれどのような内容か説明していきます。

地道に正確に作業できること

労務管理で担当する業務は、いずれも地道で正確に行う作業ばかりです。

たとえば給与計算などは働いた時間や適用される控除などを従業員ごとに把握する必要があり、給与計算ソフトに入力するときにもミスなく漏れなく進めなければなりません。

少しの計算ミスや見落としなどで支給する賃金が変わるため、間違いがあれば従業員からの信頼は失われてしまい、会社の評価を落とすことになります。

たとえ単純な作業であっても、地道にコツコツと、正確に行うことができる人材でなければ労務管理は任せることができないといえるでしょう。

守秘義務とセキュリティ意識の高さ

労務管理で扱う情報は従業員などの個人情報がメインとなります。

従業員の給与額だけでなく、家族構成や障がいの有無などプライベートな情報なども多く扱うことになることを理解し、本人以外に漏らさないことが必要です。

仮に情報漏洩が起きれば、従業員同士に関係が悪化してしまったり精神的な苦痛を与えたりといった可能性もあります。

さらに個人情報の扱いがずさんであることを理由に、従業員から訴えられてしまうリスクも高くなるでしょう。

労務管理を担当する方には、守秘義務を守る口のかたさと、高い情報セキュリティ意識が必要です。

コミュニケーション能力の高さ

労務管理の仕事は、担当者が事務作業を黙々とこなすイメージがあるかもしれませんが、実際には他部署と連携することも求められます。

事務作業以外にも、たとえば労務トラブル相談窓口としての役割も担うため、コミュニケーション能力が求められるといえるでしょう。

状況を整理し、わかりやすくまとめて責任の所在を明確にしていく能力が必要です。

発生しているトラブルの内容を審査しつつ、誰に対し注意をするべきか、処分を与えることが必要なのかなど決めなければなりません。

臨機応変に状況に応じた対応ができる判断能力などもなければ務まらないといえるでしょう。

そしてトラブルに見舞われた従業員の相談相手として、思いやりを持ち相手の気持ちを汲み取りながら、トラブル解決に向けて動くことのできる行動力も必要になります。

法律への学習意欲の高さ

労務管理で行う業務は、いずれも法律に関連する仕事ばかりです。

そのため労働基準法など基本的な法律はもちろんのこと、改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)など社会情勢変化に伴う法改正を踏まえながら把握しておくべき法律の理解も求められます。

給与計算などにおいても、税金や社会保険に関連する法律について知っておかなければ、正しい手続ができません。

労務管理の業務に関連する法律は多岐に渡るため、法律について学習することが苦痛に感じない学習意欲の高い方のほうが向いている仕事といえるでしょう。

まとめ

労務管理は事務の中でも難しい仕事といわれており、誰でも担当者として任せることはできません。

そのため適した人材を厳選することが必要ですが、何を重視するべきか把握しておき、経営戦略を理解した問題解決につながる職場環境整備に貢献できる人材選びを行うようにしましょう。

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