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損益計算書を使った財務分析の方法とは?用いる指標と計算式

資金繰り2022/01/26

損益計算書や貸借対照表などを参考に、企業の現状や問題点を把握することを「財務分析」といいます。

企業の現状や問題点を損益計算書や貸借対照表から把握する財務分析により、改善点の洗い出しや経営戦略を立てるときにも役立ちます。

そこで、損益計算書や貸借対照表を使った財務分析の方法や、用いる指標や計算式について解説していきます。

財務分析で用いる貸借対照表と損益計算書があらわすこと

「財務分析」の目的は、経営成績を分析して他社と比較することなどですが、「貸借対照表」と「損益計算書」が必要です。

そこでまずは、財務分析で必要となる貸借対照表と損益計算書は何をあらわしているのか説明していきます。

貸借対照表

「貸借対照表」とは、企業の財政状態を明確にするための書類で、一定期間の資産・負債・純資産の金額を把握することができます。

「資産」とは、現金・普通預金・売掛金・土地・建物など保有する財産です。

「負債」とは、買掛金・借入金など第三者に対する支払義務を指しています。

「純資産」とは、資産と負債の差を意味し、保有する自己資本を意味します。

損益計算書

「損益計算書」とは、一会計期間の収益と費用の金額をあらわします。

「収益」とは会社の収入で、「費用」とは会社の支出であり、収益と費用との差が利益として表示されます。

財務分析の目的

財務分析を行う目的は、企業の現状や問題点を把握し、それに基づいた意思決定のためです。

主に次の5つの目的により分類されます。

  • ・収益性分析
  • ・安全性分析
  • ・生産性分析
  • ・効率性分析
  • ・成長性分析

それぞれ説明していきます。

収益性分析

「収益性分析」企業の稼ぐ能力を示すために行いますが、代表的な指標として次の3つが挙げられます。

総資本経常利益率

「経常利益」とは、企業の通常の業務で得た利益ですが、本業の利益以外の家賃収入なども含まれます。

そして「総資本経常利益率」とは、総資本に対する経常利益の割合を示す指標で、企業の経常的活動による業績状態をあらわします。株主や銀行などから集めたすべての資本でどのくらいの利益を稼ぐことができたかという指標といえます。

総資本経常利益率=経常利益÷総資本×100%

株主資本(自己資本)経常利益率

「株主資本経常利益率」は、総資本に対する経常利益の割合を示す指標であり、企業の経常的活動での業績状態を示します。主に株主から集めた資金(自己資本)でどのくらいの利益を稼ぐことができたかあらわします。

株主資本経常利益率=経常利益÷自己資本×100%

経営資本営業利益率

「経営資本営業利益率」は、本来の営業活動に投下される経営資本と、本来の営業活動で生み出される営業利益の比率を示します。会社の本業に特化した収益性をあらわす指標であり、本来の営業活動による資本からどのくらいの本業の利益を稼いだかを示す指標といえます。

企業が本業で稼いだ利益「営業利益」といいますが、粗利益(売上総利益)から販売・営業にかかるコストを差し引いて計算します。

経営資本営業利益率=営業利益÷経営資本×100%

なお、「資本」は建設仮勘定・遊休資産・投資その他繰延資産など除きます。

売上高営業利益率

売上高営業利益率とは、売上高に対する営業利益の割合を示す指標であり、どのくらいが売上高の中で営業利益として残るか意味する本業の業績といえます。

売上高営業利益率=営業利益÷売上高×100%

損益分岐点売上高

損益分岐点売上高とは、「損」と「益」の分岐点となる売上高であり、プラスマイナスゼロになる売上といえます。

費用を収益でカバーできる売上高といえ、損益分岐点以降は利益が出ると判断できます。

損益分岐点売上高=固定費÷{(売上高−変動費)÷売上高}

安全性分析

「安全性分析」とは、企業の支払能力を示す指標であるため、倒産リスクの評価につながります。

短期と長期に分けて分析していきますが、それぞれ次のような指標を用いります。

短期的な財政安全性分析

短期での財政安全性分析を評価するときの指標として用いるのは次の2つで、どちらも企業の短期的な支払い能力を分析するために使います。

  1. 流動比率=流動資産÷流動負債×100%
  2. 当座比率 =当座資産÷流動負債×100%

長期的な財政安全性分析

長期で財政安全性分析を評価するときの指標は次の2つです。

①負債比率(自己資本でどのくらい負債を支払うことができるか示す指標)

負債比率=他人資本(負債)÷自己資本×100%

②固定比率(固定資産が自己資本で賄うことができているか示す指標)

固定比率=固定資産÷自己資本×100%

生産性分析

「生産性分析」では、投入した経営資源に対し得た付加価値を図ります。

「付加価値」とは、労働や設備などに付加した価値であり、それを数値化したものが、「付加価値額」です。

付加価値を得るための人件費や賃貸料など、営業利益に経費を足して価値を算出します。

付加価値額=経常利益+人件費+金融費用+賃借料+租税公課

労働者一人あたりが生み出した付加価値に対する指標は次の2つです。

労働分配率

「労働分配率」とは、会社の付加価値に対する人件費の割合です。

労働分配率=売上総利益÷人件費×100%

付加価値労働生産性

「付加価値労働生産性」は、労働者一人あたりが生み出した付加価値です。

付加価値労働生産性=付加価値額÷平均従業員数

効率性分析

「効率性分析」は、資本などを投下することで効率的に売上や利益を生み出すことができているか示す指標です。

主な指標として、次の2つが挙げられます。

売上債権回転率

「売上債権回転率」とは、売掛金や受取手形など現金化されていない売上債権が効率的に現金化されているか判断するための指標です。

売上債権回転率=売上高÷平均売上債権

総資本回転率

「総資本回転率」とは、総資産でどのくらい効率的に売上を得ることができたかを示します。

総資本回転率=売上高÷総資本

成長性分析

「成長性分析」では、一定期間の成長度合いを示す指標であり、1年間でどのくらい成長できたか分析するために用いります。

売上高・利益・総資本に注目した指標は次のとおりです。

売上高成長率

1年間で増えた「売上高」の伸び率を示す指標です。

売上高成長率=(当期売上高-前期売上高)÷前期売上高×100

経常利益成長率

前期から当期にかけた「経常利益」の成長割合であり、たとえば1年間で増えた経常利益を確認するために用いります。

経常利益成長率=(当期経常利益-前期経常利益)÷前期経常利益×100

総資本成長率

総資本金額が前期との比較でどのくらい増えているか示す指標です。

総資本成長率=(当期の総資本の金額-前期の総資本の金額)÷前期の総資本の金額×100

まとめ

企業がビジネスにおいて重要な経営判断をするときや、第三者に経営状況を説明する上でも、財務分析は重要です。

損益計算書や貸借対照表を使った財務分析での指標は、具体的に何%なら経営が良好と決めることはできません。

過年度の財務分析指標や同業他社と比較することで、自社の現状・強み・弱みを発見することができます。

財務分析は財務諸表数値を使った手法ですが、会計以外のデータや過年度数値の延長線上でない将来予測なども含め、総合的な判断をすることが大切となります。

まずは必要な指標を使って会社の現状を把握し、問題部分の洗い出しと改善を実践していきましょう。

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