起業したいと希望する方にとって、国や自治体の支援などがあればよりスムーズに創業できるようになります。
創業で必要な資金や事業内容の計画など、考えなければならないことは多岐に渡りますが、自治体の創業支援制度など有効活用しましょう。
銀行から融資を受けたり補助制度を利用したりなど、資金調達の支援も自治体では行っています。
そこで、東京都を例に、自治体が行う創業支援の制度について解説していきます。
目次
自治体が創業支援に力を入れている理由
それぞれの自治体が起業家支援に力を入れ、創業に向けた応援をしているのには色々な理由があります。
まず、企業の誘致がもっとも経済効果が高いことが挙げられるでしょう。
企業が設立されればその会社で雇用が生まれ、地域雇用促進につながります。
さらに企業が地元に根付くことで、競合など新たな企業が次々に生まれることとなり、地方創生の基盤をつくることができるでしょう。
創業支援などでV字回復が可能になった自治体もあるため、他の自治体でも地方創生に向けた創業支援に力を入れています。
自治体の創業支援を活用するメリット
創業支援は自治体だけでなく国も行っていますが、自治体だからこそメリットがある制度もあります。
起業家に対する融資制度では、多くの自治体で低金利・無担保・無保証・全期間利率固定で創業資金融資の利子相当額の一部または全額を補助する制度を整備しています。
融資制度以外の支援でも、起業塾やセミナーの開催、個別相談などを行っていることが多いといえるでしょう。
それぞれの地方の現状・特性・課題など理解できている自治体だからこそ、その地方で起業するときに有効といえるアドバイスや支援を行ってくれると考えられます。
地域密着型のビジネスで創業したいと考えているのなら、自治体の個別相談などをまずは利用してみることもオススメできます。
そして東京都では、起業家に対する支援制度を設けており、創業に向けたバックアップをしています。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、とても今創業することは考えられないという起業家もいるでしょうが、ピンチはチャンスととらえて創業支援制度を有効活用してみてはいかがでしょう。
以下、自治体の中でも東京都が準備している創業を支援する制度について解説していきます。
東京都「女性・若者・シニア創業サポート事業」
東京都の「女性・若者・シニア創業サポート事業」とは、東京都内で地域に根ざし創業を目指す方を支援するために創設されました。
東京都内の女性・若者・シニア創業者であれば原則対象となる制度なので、有効活用することをオススメします。
支援対象となる要件
サポート事業の支援対象となるのは次の方です。
- 女性・若者(39歳以下)・シニア(55歳以上)で創業を計画している方や、創業後5年未満の代表者(個人で創業し同一事業を法人化した方で、個人での創業日から5年未満の方も含む)
- 個人事業主と、株式会社・合同会社・一般社団法人・NPO法人などの法人など
- 東京都内に本店または主たる事業所を置く創業事業
- 地域の需要や雇用を支える事業
その上で次の要件を満たすことが必要となるます。
- ・創業規模は中小企業者の範囲であり、大企業が実質に経営を支配していないこと
- ・公序良俗に問題のある事業や風俗営業などではないこと
- ・現在・将来に渡り暴力団など反社会的勢力に該当しないこと
- ・法令などによる租税の未申告・滞納がないこと
なお、本事業の取り扱いは令和16年3月までで、融資実行は令和6年3月までとされています。複数金融機関から本事業の融資を受けることは不可とされていますので注意してください。
支援の内容
東京都の「女性・若者・シニア創業サポート事業」では、主に次のような支援が行われます。
- ・信用金庫・信用組合とアドバイザーが連携した創業の支援
- セミナー受講・個別相談
- 融資相談
- 事業計画アドバイス
- 融資申込
- 融資審査
- 融資実行
- 経営サポート
- ・アドバイザーのセミナーによるサポート(事業計画書作成や業種別のものなど)
- ・地域アドバイザーによる個別相談(原則3回まで無料・女性、ソーシャルビジネスを行う場合は5回を上限とする)
- ・面談形式による事業計画へのアドバイス(無料)
- ・信用金庫・信用組合が負担を押さえた融資を実行(固定年利1%以内の低金利と無担保)
- ・融資実行日から最大5年間のサポート(アドバイザーによる経営アドバイス・税理士による決算書作成アドバイスなど。ただし無料回数はそれぞれ限りあり)
- ・東京都中小企業振興公社が実施する創業助成事業の申請要件を満たすことが可能
融資条件
- 融資限度額 1,500万円(運転資金のみ750万円)
- 利率(年) 1%以内(固定金利)
- 返済期間 10年以内(据置期間3年以内)
- 担保 無担保
- 保証人 法人:代表者個人または不要 個人事業主:不要
取扱金融機関により、金額・利率・返済期間など異なりますが、上記の範囲以内で設定されます。
本事業と取扱金融機関独自の融資を利用するときには、表面記載の融資条件と異なる場合があるため確認しましょう。
資金の使いみち
本事業で融資を受け資金を調達した場合には、
- ・新しく事業を開始するため
- ・新たな事業開始後に必要になる設備資金・運転資金
などが使い道となります。
事業内容に関する問い合わせ先
NPO法人コミュニティビジネスサポートセンター
所在:〒101-0054 東京都千代田区神田錦町3-21 ちよだプラットフォームスクウエアA-205
電話番号:03-5939-9503
受付時間:月曜日~金曜日 9:00~17:00
東京都中小企業振興公社「創業助成金」
東京都内での開業率を向上させるため、東京都の創業モデルとなる中小企業者に対し、創業初期に必要な経費の一部を助成する制度です。
東京都内で創業予定のある個人や、創業後5年未満の中小企業者で、一定の要件を満たす場合に対象となる制度です。
たとえば、
- ・「TOKYO創業ステーションの事業計画書策定支援修了者」
- ・「東京都制度融資(創業)利用者」
- ・「都内の公的創業支援施設入居者」
といった要件を満たすことが必要となります。
助成条件
- 助成対象期間:交付決定日から6か月以上2年以下
- 助成限度額:上限額300万円・下限額100万円
- 助成率:助成対象と認められる経費の2/3以内
- 助成対象経費:賃借料・広告費・器具備品購入費・産業財産権出願・導入費・専門家指導費・従業員人件費
なお、令和3年度(第2回創業助成事業)の申請受付は終了しています。
次回は第3回目があると考えられるため、新しい情報を収集し続けるようにしましょう。
問い合わせ先は以下のとおりです。
(公財)東京都中小企業振興公社 事業戦略部 創業支援課 創業助成担当
電話番号:03-5220-1142
受付時間:月曜日~金曜日 10:00~17:00(土日祝日・水曜夜間は受付不可)
まとめ
起業家や創業を目指す方にとって、資金や経営方針など抱える悩みはいろいろですが、自治体が行う支援制度を有効活用することをオススメします。
国なども創業支援制度は準備していますが、地域の事情など把握している自治体だからこそできる支援もあります。
創業の支援を行うことは、雇用を生むことであり、地域雇用や地方創生の活性化につながるメリットが自治体にもあるといえます。
地域を盛り上げるためにも、設けられた創業支援制度など有効活用し、新型コロナウイルスなど有事にも負けない事業を立ち上げてみてはいかがでしょう。
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