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ファイナンスに必要な基礎知識|企業分析・経営戦略で重要な指標となる理由

資金繰り2022/01/07

経営・事業の戦略を立てるときに定性的観点で考えるのなら、定量的な判断の軸となるのが「ファイナンス」といえるため、その基礎知識を学んでおくべきです。

経済学での「コーポレートファイナンス」とは、経営や事業の戦略において資金面のサポートで必要となる知識体系を意味しているため、その基礎を把握しておいたほうがよいでしょう。

そこで「ファイナンス」とは何を意味するのか、なぜ企業分析や経営戦略で重要な指標となるのか、その基礎知識について解説していきます。

ファイナンスの2つの原則

企業会計では、一定期間の活動の結果を「損益計算書」が示し、資金の調達や運用の状態の結果を「貸借対照表」が示します。

そして「ファイナンス」では、これらの時間軸をまたぐことが特徴です。

貸借対照表と損益計算書は、どちらも会計原則にのっとり記されており、お金の実態の動きではありません。

そのため、お金の出入りの実態を把握するためには、未来の評価を含めた「ファイナンス」という分野で見ていくことが必要です。

通常の企業会計では、

  • ・利益
  • ・簿価

の2つが重視されます。

しかし「ファイナンス」で従う原則は、主に次の2つです。

  • ・キャッシュフロー
  • ・時価

ファイナンスで従う原則1つ目は「キャッシュフロー」

企業会計で重視される「利益」に対し、ファイナンスでは「キャッシュフロー」を原則とします。

利益は経営者がつくるものともいえますが、キャッシュフローは実際のお金の動きという事実です。

企業や投資活動などによるお金の動きの実態からに評価を行うことができることがキャッシュフローの基本といえます。

ファイナンスで従う原則2つ目は「時価」

企業会計では「簿価」で考えるのに対し、ファイナンスでは「時価」が軸となります。

利益ではなく実際のお金の動きで考えていくことから、事業や投資活動を正味の価値で判断していきます。

貸借対照表には簿価で記載されますが、ファイナンスではすべて時価で考えることになるため、貸借対照表の「資本」に代わって「時価総額」を用います。

さらに事業用資産と金融資産である「資産」の代わりに、事業価値と金融資産といった「企業価値」を使うことが特徴です。

負債も時価を基本としますが、簿価と時価に差がないことが多いことや、正確な時価を求めることが難しいため簿価を用いることが多いといえます。

ファイナンスの基礎で重要なのはキャッシュフローの時間価値とリスク

ファイナンスの基礎で重要なのが、

  • ・フリーキャッシュフロー
  • ・時間価値
  • ・リスク

という3つの概念です。

それぞれ説明していきます。

フリーキャッシュフロー

ファイナンスで企業や株主の価値を求めるときには、原則としてまず「フリーキャッシュフロー」を考えます。

「フリーキャッシュフロー」自由に処分できるお金ですが、どのくらい生み出せるかによって会社や事業の価値が決まるという考え方です。

時間価値・リスク

将来獲得できる「フリーキャッシュフロー」を現在価値に時間軸を合わせ議論していくのがファイナンスの考え方です。さらに将来のキャッシュフローを現在価値に変換するときには「リスク」を踏まえて検討します。

会計とファイナンスの違いとは

「会計」と「ファイナンス」はワンセットで扱われることも少なくありませんが、そもそも次のような違いがあるため、基礎知識として理解しておきましょう。

「会計」の意味とは

商品やサービスを販売・提供することで得た売上から、売上を生み出すため支払った費用を差し引いた利益を扱うこと「会計」といい、「過去」に得た利益を扱います。

会計には、

  • 管理会計
  • 財務会計

の2種類があります。

「管理会計」では、企業内部の業務管理と意思決定を補助し、「財務会計」では外部の利害関係者に経営の成績を報告することを目的とします。

「ファイナンス」の意味とは

先にも述べたことを踏まえると、「ファイナンス」とは、企業がどのように資金調達しどのように運用するべきか考えるための経営学分野の1つといえます。

ビジネスパーソンの中には、巨額の資金が動く取引で相手を説得・納得させ、具体的な行動に促すための技術と考える方もいるようです。

いずれにしてもファイナンスでは、「キャッシュ」を扱うこととなり、将来生み出すキャッシュフローで考えていきます。

会計での時間軸は過去と現在ですが、ファイナンスでは将来を見ており、さらに会計の目的は現状把握や外部報告であるのに対し、ファイナンスでは企業(ビジネス)価値を最大化させることが目的です。

企業価値の最大化で経営者が行う次の3つの意思決定に役立つことがファイナンスといえるでしょう。

投資の意思決定

投資するべきか迷っている事業や企業の価値を判断する材料となります。

資金調達に関する意思決定

投資に必要な資金をどこからどのように調達すればよいかを検討する材料となります。

資金調達の方法にも融資や出資などいろいろありますが、どの方法を選べば企業価値を効率的に高めることができるか決定します。

株主に対する分配に関する意思決定

得た利益は株主に分配するべきか、それとも再投資に用いるべきか決定する材料となります。

「ファイナンス」を用いた分析とその重要性

「会計」は過去や現在を分析するための指標となります。会計を用いた分析も重要ですが、「将来」どのようにビジネス展開するべきか、立てるべき戦略を考えるときには「ファイナンス」を用いた分析が欠かせません。

会計における基礎的な知識を習得し、過去と現在を把握できるようにしておくことは当然必要ですが、その基礎知識を土台に未来を考慮するためのファイナンスの知識も必要ということです。

日本では「会計」という概念は馴染みがありますが、「ファイナンス」に関しては近年やっと重要性に気が付き始めた段階で、周知されているとはいえません。

管理者や経営者の中には財務諸表は読めない方もいるなど、いまだに大雑把でリスクの高い会計認識の方もいます。

将来的なキャッシュを生み出すことができる能力「企業価値」と考えた場合、管理会計や財務諸表で示された目先の利益だけで企業判断することや安心することは危険です。

投資や財務判断など、今と未来のバランスを取るためにも、ファイナンスによる分析や判断が必要である時代が来たといえるでしょう。

ファイナンスを理解できない、その基礎となる会計もよくわからない状態では、企業が重要な局面に面したときに有効な対応はできなくなります。

グローバル化が進んでいる中、日本の中小企業も緊急感を持ちながら、ファイナンスについての理解を深め海外企業と足並みをそろえる努力が必要といえるでしょう。

まとめ

だんだんと意識されつつある「ファイナンス」ですが、そもそも「会計」とは考え方や目線が異なります。

目的・重要概念・時間軸の3つの違いを理解し、企業価値を最大化することがファイナンスの目的であり基礎となると認識しておきましょう。

その上で、重要な局面に面したとき、ファイナンスを有効な判断材料にできるような日ごろの分析が必要です。

企業会計だけでは把握できない未来のキャッシュフローを扱うことこそがファイナンスであり、経営戦略を立てるときはもちろんのこと、現金の流れを知り資金不足に陥らないためにも重要なことと意識した経営が大切といえます。

実際のお金の出入りを把握できていなければ、資金ショートにより倒産するリスクも高まると理解し、ファイナンス経営の重要性を再度認識しておくようにしてください。

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