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法人と個人事業主それぞれの税務申告の流れを徹底解説!

資金繰り2021/10/11

法人の所得に対し課税されるのが法人税ですが、会計上の利益と税法上の所得の考え方の違いを理解し、税務上の調整項目を加えながら算出した税額を申告することが必要です。

そして個人事業主は、毎年の税務申告として確定申告を行うことが必要となります。

そこで、法人と個人事業主、それぞれの税務申告はどのような流れで行うのかご説明します。

 

法人の税務申告の主な流れ

法人決算を行う目的は、

  • ・税務申告・納税
  • ・株主に対する報告
  • ・経営の分析と改善に活かす

といった3つが挙げられます。

税務申告と納税は期末日から2か月以内までに行う必要がある点に注意してください。

そして法人決算で税務申告するときには、

  1. 今年度の取引の記帳
  2. 決算整理事項の確認
  3. 決算書の作成
  4. 申告書作成・提出・納税

という流れになりますので、段階ごとにご説明します。

 

1今年度の取引の記帳

まずは今年度分の記帳を完成させることが必要です。

  • ・銀行口座の通帳履歴(ネットバンキングの利用明細)
  • ・領収書
  • ・請求書

などの書類や情報から、記帳ミスやぬかりがないか確認してください。

 

2決算整理事項の確認

決算整理事項として、主に次の項目を確認し作業を進めていく必要があります。

なお、決算整理事項を知りたいなら、日本税理士会連合会の「中小企業の会計に関する指針の適用に関するチェックリスト」を参考にするとよいでしょう。

 

資産・負債

  • ・現金や銀行口座などの残高
  • ・売掛金・買掛金の残高
  • ・借入金・貸付金
  • ・受取手形・支払手形
  • ・固定資産・在庫の棚卸

 

決算仕訳

  • ・固定資産の減価償却の仕訳…固定資産台帳の入力内容から計上する
  • ・売上原価を確定させる…在庫棚卸の入力内容から確定させる
  • ・為替換算項目を処理する
  • ・経過勘定を確認する
  • ・貸倒れリスクの高い債権を確認し、貸倒引当金を計算する

 

税金の計算

  • ・消費税の計算…消費税申告書の作成から確定させる
  • ・法人税の計算

 

3決算書の作成

以下のとおり、法人決算で必要となる書類を作成していきます。なお、実務上の流れとしては、法人税申告書と平行しながら計算書類を作成していくこととなります。

必要書類は会社法に定めがあり、たとえば株式会社であればそれぞれの事業年度の計算書類・事業報告・附属明細書の作成が必要です。

  • ・貸借対照表 (B/S)…決算日の財政状態をあらわす書類
  • ・損益計算書 (P/L)…会計期間での経営成績をあらわす書類
  • ・株主資本等変動計算書 (S/S)…会計期間の純資産項目の変動をあらわす書類
  • ・個別注記表…財産・損益の状況を示す注記情報を記した書類
  • ・計算書類に係る附属明細書…計算書類を補足する重要な事項・有形固定資産及び無形固定資産の明細・引当金の明細・販売費および一般管理費の明細・その他の重要な事項など記載した書類
  • ・事業報告書…事業内容・株式状況・従業員の状況など事業に係る報告書類
  • ・事業報告に係る附属明細書…事業報告を補足する重要事項を記載した書類

 

株主資本等変動計算書 (S/S)とは?

貸借対照表 (B/S)や損益計算書 (P/L)などはよく耳にすることがあっても、株主資本等変動計算書 (S/S)とはどのような書類なのだろう?と思わず首をかしげる経営者もいることでしょう。

株主資本等変動計算書とは英語表記にすると「Statements of Shareholders’ Equity」となり、その頭文字を取って「(S/S)」と呼ぶこともあります。

貸借対照表の純資産に分類される資本金や余剰金などの勘定について、一定期間の増減など変動を表示する書類です。
純資産勘定がどのような理由でどのくらい変動したのかをあらわします。

資本金や剰余金の他、評価・換算差額など株主に関連する純資産の変動を示すため、株主に対しその帰属する資本の動きを報告する上でも必要となります。

純資産の動きは貸借対照表を見ればわかるのでは?と思う方もいるでしょうが、貸借対照表では年度末など一定のタイミングの残高が表示されます。

そして損益計算書はその年度など、一定期間における利益を確認できます。

株主資本等変動計算書の場合には、一定期間の純資産の動きと理由を確認できるため、貸借対照表や損益計算書とは異なる書類と認識しておきましょう。

また、変動事由ごとに残高の変化を説明することも点も株主資本等変動計算書の特徴といえます。

 

4申告書作成・提出・納税

法人が税務申告するとき、主に次の税金を納めることになりますので、それぞれの申告書作成が必要です。

  • ・法人税…納期限は期末日より2か月以内
  • ・消費税(消費税免税事業者は申告不要)…納期限は期末日より2か月以内
  • ・法人事業税…都道府県ごとの納期限に従う(東京都は期末日より2か月以内)
  • ・法人住民税…都道府県ごとの納期限に従う(東京都は期末日より2か月以内)

確定申告と同時に税金の納付も必要となります。 詳細は上述の各税金のヘルプページをご確認ください。

 

個人事業主の税務申告の流れ

確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間の売上から1年分の経費を差し引いき、それに対してかかる税金を計算・申告する手続です。

個人事業主の税務申告は確定申告で行いますが、これまでサラリーマンだった方が独立した場合、初めての申告でいろいろ不安もあることでしょう。また、年に1度の手続のため、毎年行っていても慣れないという方もいます。

確定申告は、段取り良く手続を進めていくことがコツですが、主な流れは以下の通りとなります。

  1. 必要書類の準備
  2. 帳簿の整理
  3. 確定申告書の作成
  4. 確定申告書の提出・納税

それぞれ詳しくご説明します。

 

1必要書類の準備

確定申告で必要となる書類や環境は、

  • ・確定申告書
  • ・収支内訳書/青色申告決算書

の2つです。

国税庁のウェブサイトから書式のダウンロードが可能となっているだけでなく、税務署や確定申告会場などでも紙媒体の書類を入手できます。

なお、国税庁のウェブサイトには「確定申告書等作成コーナー」があるため、必要項目を入力していけばどちらも作成が可能です。

他にも確定申告では、

  • ・印鑑
  • ・マイナンバーカード
  • ・口座情報(税金を還付してもらうとき)
  • ・帳簿類・領収書・レシート(提出は不要)
  • ・社会保険料・生命保険料・地震保険料・寄附金なの控除証明書(添付が必要)

などを準備しておく必要があります。

また1月1日~12月31日に支払った医療費が10万円を超えている場合には、医療費控除の明細書を提出することにより、医療費控除が適用されます。

医療控除の明細書も国税庁のウェブサイトからダウンロードして使用することが可能です。

 

2帳簿の整理

確定申告書を作成するために、売上・仕入・経費・借入れなどお金の流れを記録した帳簿を整理しましょう。

どの事業者でも毎日の取引を帳簿へ記帳し、その証明となる領収書など関連書類を一定期間保存しなければなりません。

確定申告書だけでなく、収支内訳書なども帳簿にもとづいて作成しなければならないため、
請求書・領収書・受領書・カード明細などの内容をもれなく記していきましょう。

記帳方式は白色申告と青色申告のどちらかによって異なりますが、白色申告は単式簿記、青色申告では複式簿記が必要です。

青色申告でも最大65万円の特別控除ではなく、10万円の特別控除を選択するのなら、現金主義など単式簿記による記帳で問題ありません。

 

3確定申告書の作成

帳簿や必要書類から提出しなければならない書類の作成を行いますが、インターネットで利用できる「やよいの青色申告 オンライン」の「かんたん取引入力」など利用すると日々の家計簿をつけている感覚で入力でき、詳しい簿記の知識がなくても記帳が可能です。

そして「スマート取引取込」を利用することで、口座やクレジットカードなどの情報も自動的に取り込むことができます。

ミスなく記帳できるのであれば、手書きと手計算で作成してもよいでしょう。

ただ、転記ミスや計算が複雑な部分などで手間や時間がかかることは否めないため、ソフトによる帳簿付けのほうが安心です。

税理士に依頼することもできますが、別途報酬が発生するため簡単な取引であれば自分で手続したほうがよいでしょう。

なお、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」から、画面の案内どおりに入力していくことで確定申告書の作成も可能です。

 

4確定申告書の提出・納税

確定申告書・収支内訳書/青色申告決算書を作成できたら、必要な添付書類を税務署に提出します。

提出する方法は、

  • ・税務署に直接持参する
  • ・e-Taxを利用する
  • ・郵送する
  • ・税務署の時間外収集箱に投函する

の4つです。

なお、最大65万円の青色申告特別控除を受けることを希望して青色申告するときには、e-Taxによる申告または電子帳簿保存が必要となりますので注意しましょう。

仮に税務署に持参した場合や郵送で提出したときには、特別控除額は最大55万円になります。

そして確定申告書を提出した後は税金を納めることが必要です。

所得税は3月15日、消費税は3月31日が納付期限となっていますので、遅れず納税するようにしてください。

所得税の納付は、

  • ・ダイレクト納付…e-Taxで操作し口座から振替で納める
  • ・インターネットバンキングを使って納付する…e-Taxによる確定申告の際に利用可能
  • ・クレジットカードで納付する…専用ウェブサイト「国税クレジットカードお支払サイト」からクレジットカード決済で納める
  • ・コンビニ納付…コンビニエンスストアでQRコードまたはバーコードにより納める
  • ・振替納付…納税者名義の口座から引き落としで納める

などの方法があります。

なお口座から引き落としにより納めるときには、その年ごとに国税庁が発表する日が期限です。確定申告は4月20日前後が納期限として指定されることが多く、期限までに引き落としができなければ法定納期限翌日から延滞税がかかるため注意してください。

 

確定申告書の提出が遅れたらどうなる?

確定申告書の提出が遅れてしまい、期限後に申告した形になった場合には、無申告加算税または延滞税の対象となる可能性があるため注意しましょう。

無申告加算税は、申告漏れの税額に5~20%、延滞税は期限までに遅れた日数や納付できなかった金額に応じて加算されます。

税務署から通告されるよりも前に自主的に期限後申告した場合には5%加算されるだけで済むため、忘れていたときにもできるだけ早めに申告したほうがよいでしょう。

ただ、納税額がない場合であれば、期限後に遅れて申告しても特にペナルティーが科せられることはありません。

還付金がある場合にも、申告年翌年1月1日から5年間申告可能とされていますので、この期間内であればたとえ遅れたとしても手続すれば問題ないといえるでしょう。

 

青色申告のときは遅れないように特に注意

個人事業主で青色申告の承認を受けている方は、期限内申告なら青色申告特別控除最大65万円が適用されても、期限から遅れれば10万円の控除に減ってしまいます。

さらに2年連続で期限内申告ができなかったときには承認自体が取り消しになるため、遅れないように手続を済ませるようにしてください。

 

確定申告書に計算ミスがあった場合は?

提出した確定申告書の中に計算ミスがあり、間違った申告をしていたときには修正申告または更正の請求が必要です。

本来納めなければならない税額より少なく申告していたときには修正申告が必要となり、追徴税も納めなければなりません。

追徴税は、差額に対し5~15%課税される過少申告加算税と、遅れた日数や税額によって変わる延滞税の2つです。

反対に多く税金を申告していたときには更正の請求が必要となり、払いすぎた税金を返してもらうことができます。

この場合、法定申告期限から5年以内に手続することが必要です。

これらの手続きは3月15日の申告期限後に行う手続ですが、期限前にミスに気がつき内容を訂正したいときには、訂正申告で手続できます。

税金を少なく申告していた場合でも、訂正申告なら追徴税もかからないため、気がついたときには早めに手続しましょう。

 

まとめ

法人と個人事業主、どちらも対象となる年度の所得に対してかかる税金の申告が必要です。

税務申告の流れは、法人なら法人税、個人事業主なら所得税などどちらの税金かによって異なります。

ただ一般的な流れは同じで、いずれも期限内に申告・納税が必要です。遅れれば余計な税金を支払うことが必要となり、本来なら適用されたはずの控除なども受けることができなくなるため必ず遅れず手続するようにしましょう。

なお、税務申告は税理士など専門家に依頼することもできますが、それほど複雑な内容でなければインターネットを使って簡単にできるため自分で行ったほうがコストもかかりません。

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