新型コロナウイルス感染拡大の影響により、手元の現金不足で税金が払えない状況になると、延滞税などがかかり余計な出費が増えてしまいます。
ただ、国税など税金を期限内に払えない理由があるときには、税務署に申請することで猶予を認めてもらえることもあります。
そこで、新型コロナウイルスの影響などで収入が減り、税金が払えない状況にあるときに利用できる猶予制度についてご説明します。
目次
国税など税金が期限内に払えないときの猶予制度
国税の納付が期限までにできないなど、税金が払えなかったときには納付までの日数に応じた延滞税が加算されてしまいます。
もしも税務署から督促状などが届いているのに、納付しなかった場合には財産を差押えられてしまう可能性も考えられます。
ただ、国税の納付が困難な理由があるときには、税務署に申請することで財産の売却(換価)や差押えを回避し、納税を猶予してもらえることもあるため相談してみることをオススメします。
猶予が認められると、猶予期間中に発生する延滞税も一部または全部が免除されます。
財産の売却(換価)の猶予が認められるケース
税金が払えないことを理由に、保有する財産を売却し現金化して、支払いに充てなければならなくなると事業継続も厳しくなってしまいます。
ただ、次の要件のすべてに該当するときには、原則1年以内の期間となるものの、換価の猶予が認められることもあるため確認しておきましょう。
- 国税を一時に納付すると、事業継続や生活維持を困難にすると認められること
- 納税について誠実な意思があると認められること
- 換価の猶予を受けようとする国税以外の国税は滞納していないこと
- 納付しなければならない国税の納期限から6か月以内に申請書を提出していること
- 原則、担保を提供できること
納税の猶予が認められるケース
税金が払えないときでも、次のすべての要件に該当するときには、原則1年以内の期間に限り納税を猶予してもらえることがあります。
1.次のいずれかに該当する事実があること
- ・財産が災害を受けたまたは盗難にあった
- ・納税者や家族が病気にかかったまたは負傷した
- ・事業を廃業したまたは休業した
- ・事業が著しい損失を受けた
- ・上記のいずれかに類する事実があった
- ・本来の期限から1年以上経過後、修正申告などで納付しなければならない税額が確定した
2.猶予に該当する事実に基づいて、納付しなければならない国税を一時に納付することが困難と認められること
3.申請書が提出されていること(修正申告で納税額が確定している場合は納期限までの提出)
4.原則、担保を提供できること
猶予してもらうときに必要な書類
換価の猶予も納税の猶予も、所轄の税務署長に対し次の書類を提出することが必要です。
- ・換価の猶予申請書または納税の猶予申請書
- ・財産収支状況書(猶予してもらう金額が100万円を超えるときには、財産目録・収支の明細書が必要)
- ・担保提供に関する書類(実印の押印と印鑑証明書が必要なケースあり)
- ・納税猶予の場合には、災害の事実を証する書類
猶予金額分の担保が不要になるケース
猶予申請は、猶予してもらう金額相当分の担保を提供することが必要とされています。
ただし、次のいずれかに該当するときには担保を提供しなくても猶予を認めてもらうことができます。
- ・猶予してもらう金額が100万円以下
- ・猶予してもらう期間が3か月以内
- ・担保提供できる財産がないなど事情があるとき
猶予を受けることができる期間
猶予期間は1年の範囲で、保有する財産や収支などに応じ、早く完納できると認められる期間となります。
猶予してもらった場合、原則、猶予期間中の各月に分割し納めなければなりません。
猶予期間内に完納できないときでも、やむを得ない理由があることが認められれば、最長2年以内の範囲で延長してもらえることもあります。
ただし当初の猶予期間が終わるよりも前に所轄の税務署に申請することが必要なので、はやめに税務署の徴収担当に相談するようにしてください。
新型コロナの影響で税金が払えないときは?
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、資金繰りが悪化し期限まで税金全額を払えないこともあるでしょう。
この場合にも、税務署に申請することで原則、1年間納付を猶予してもらい延滞税も軽減または免除されることがあります。
なお、令和3年の延滞税の軽減は、年8.8%を年1.0%まで引き下げるという内容です。
国も新型コロナウイルス感染症の影響で一時に税金が払えないといった事情のある方に対し、置かれた状況に配慮しながら柔軟に対応することとしています。
申請や審査も簡素化されているため、早めに相談したほうがよいでしょう。
新型コロナで収入が大幅に減少し税金が払えないときは?
新型コロナウイルス感染症で緊急事態宣言が発出され、外出自粛や営業時間の短縮により、収入が減少した事業者も少なくありません。
このように緊急事態宣言による収入減少で、一時に税金を払えないという場合でも、次のいずれの要件も満たすことで最大1年間は分割納付が認められます。
- 国税を一時に納付することで事業継続または生活維持が困難になるおそれがあると認められること
- 納税に誠実な意思があると認められること
- 猶予してもらう国税以外の国税は滞納していないこと
- 納付しなければならない国税の納期限から6か月以内に申請書が提出されていること
既に税金が払えない状態で滞納しているときや、滞納して6か月を超えていても、税務署長の職権で換価の猶予を受けることができる場合もあります。
また、収入減少で事業に著しい損失が発生しているときは、納税猶予を認めてもらえることがあり、延滞税も軽減される可能性があるため相談してみましょう。
新型コロナで著しい損失や売上減少が発生し税金が払えないとき
新型コロナウイルス感染症の影響により、仕事のキャンセルが相次いでしまったことで、著しい損失が発生してしまい税金が払えないこともあるでしょう。
著しい売上減少や損失発生などを理由に、税金を一時に払えないという場合には、最大1年間の分割納付を受けることができます。
納税猶予が認められれば延滞税が軽減されますし、納税猶予を受けることができなくても換価の猶予は認められることがあるため、早めの相談が望ましいといえるでしょう。
税金が払えないときの換価の猶予や納税の猶予を相談する先
税金が払えず、換価の猶予や納税の猶予を認めてほしいときには、所轄の税務署の徴収担当に相談してみましょう。
なお、不明な点や猶予に関する一般的な質問などは、国税局猶予相談センターで相談を受け付けています。
そして国税庁のリーフレットには、
「新型コロナウイルスの影響により国税の納付が困難な方へ猶予制度があります」
など猶予制度について紹介しています。
他にも、
なども税金が払えない状態で悩んでいるとき、猶予制度を利用できないか確認する際の参考となります。
まとめ
従来までであればスムーズに税金を納めることはできていたはずなのに、新型コロナウイルス感染拡大の影響で払えない状態となった事業者も少なくありません。
しかし滞納したまま何の連絡もせず放置していると、財産の換価や差押えの対象となってしまう可能性が高いため、猶予制度など利用できないかはやめに相談してみることをオススメします。
また、税金を滞納していては融資を受けることは難しいですが、売掛金を売却し現金化するファクタリングなら利用できます。
すぐにお金が必要という場合や、納税資金が足らないというときでも利用できますので、併せて検討してはいかがでしょう。
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