自転車操業からはもう卒業!資金繰り改善方法まとめ

2017/12/13
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ご自身で事業を興したり新規事業を始めたりするとき、誰もがこの先の将来性や希望を感じているもの。しかしそのような高揚感は一時的なもので、いずれは最初の期待と現状のギャップに直面せざるを得なくなります。そのなかでも資金繰りの悩みは事業者をもっとも悩ませるものであり、対策が難しい問題でもあります。

「売り上げが思うように上がらない」
「売り上げが上がっても利益につながらない」
「黒字をキープしているけれど、取引先や顧客からの支払いが遅れるために回収がスムーズに進まなくなっている」
「未払いの処理に追われて次に必要な出資にリソースを充てられない」

など、資金繰りにおける悩みは尽きません。なかには事業者側に原因があるトラブルではなくても、結果的に巻き込まれる形で大きな損失を被ることもあります。このような状態が続いていれば順調な経営と事業の存続は難しくなり、まさに「自転車操業」のループにはまってしまいます。

そこで今回は資金繰りの悩みとその改善点についてお話ししていきますので、ぜひご自身の事業にご活用ください。自転車操業状態から脱出するには、資金繰りの改善を検討することをおすすめします。できるだけ早めにご自身の資金状況を確認して改善点を実行しないと、最悪の場合倒産せざるを得ない状況になってしまうからです。

「軽度の資金トラブルのはずが、事業そのものを破綻させてしまった」などという結末を迎えないためにも、ぜひ今回の記事をお役立てください。

1. 事業者であれば高確率で資金繰りの悩みに直面する

資金不足や苦しい状況など、資金の悩みは事業者であれば避けて通りたいものですが、事業を展開する以上はそれすら難しいのが現状です。これにはさまざまな理由があります。

1.1.計画通りに事業が進むとは限らない

事業を始めるとき、多くの方が計画書や売り上げ目標などを作成し、運営していくなかでの見積もりや予想を立てることでしょう。しかし、実際に売り上げや経営が計画書や目標通りに進むわけではなく、特に初心者の方は厳しい現実が待っているケースが多いです。

・思い通りに売り上げが上がらない
・数件の受注すらままならない
・売り上げが上がっても利益がない

など、経営上の問題は数えきれないほどあります。確実な売り上げを保ったうえで利益も得ることは、ある程度の経営センスと経営経験がなければ難しいもの。事業者の多くは長い間の試行錯誤を繰り返して経営基盤を整えていくこととなりますが、その間に資金が枯渇するケースもあります。

また、仮に経営が順調に進んでいても潤沢な資金獲得が約束されるわけではありません。例えば現状維持の状態から大量受注を受け、以前よりもはるかに収益性の高い結果が予測されたとします。もちろん事業者側としてはこのうえないチャンスに挑戦したいものですが、それだけの受注に対する仕入れ費用を用意できず、発注できないというケースもあり得ないわけではありません。そこで資金繰りの悩みが発生することから、事業としてのステップアップが思わぬトラブルを引き起こす可能性もあります。

さらに経営的な問題以外にも、

・取引先が倒産した
・取引先の支払いが遅れている
・取扱商品を値下げする必要性を感じた
・不良品を回収することになった
・地震や火事などの災害で店舗やオフィスが大きな損害を受けた
・従業員が退職した

など、外的な要因によって資金繰りの問題が生じることもあります。これらの問題はご自身で予防できないので、常に資金状況を把握して損害にも対処できるような体制を整えておく必要があります。

ご自身の事業を暗転させる要因はいくらでもあります。だからこそ、地道で堅実な経営と危機管理能力が求められるのです。

1.2.事業者が陥りがちな落とし穴「黒字倒産」

資金繰りの悩みが発生する原因として「赤字」を思い浮かべる方が多いものですが、実は黒字経営でも資金が枯渇するケースがあります。俗にいう「黒字倒産」には十分に気をつけましょう。

黒字倒産とは、経営状態としては売り上げと支出のバランスが良くて黒字を保っているものの、取引先や顧客からの支払いが遅れたために資金が足りなくなることを指します。基本的にビジネスにおいては「後払い制」が採用されており、受注側が先に仕入れ値や費用の負担をしてサービス提供をおこない、その後発注側がそれに対する料金を支払います。

この関係がスムーズに進んでいれば問題ありませんが、時に発注側の支払いが遅れたりタイムラグが生じたりして入金タイミングが悪くなるケースもあります。その結果、受注を受けた側は資金不足が続き、結果的に厳しい状態に陥ってしまうのです。それが原因で倒産する事業者も少なくないので、この問題には十分に注意して取り組む必要があります。

取引先とのトラブルでご自身の事業を傾かせるのは非常に不本意なことなので、取引先の選び方には慎重になりましょう。入金サイクルや支払いタイミングを必ず確認し、数回以上にわたって入金遅れを繰り返す取引先とは早めに関係を切ることが理想的です。

このように、事業を運営していくなかでは何が起こるかがわかりません。そのため、常にトラブルやリスクを想定したうえでの資金繰りと経営が、何よりも大事なポイントになります。

2. 危険度強!資金問題を放置すると起こるリスク

資金繰りが悪くなったときには早めの対応が必要です。「まだまだ大丈夫だから」「それほど深刻ではないから」と放置していると、後で思わぬトラブルがあらわれます。特に下記のようなトラブルが生じるケースが非常に多いので、リスク回避のためにも必ず確認しておきましょう。

2.1.従業員に給与が支払えなくなる

資金不足によってもっとも困ることと言えば、従業員に給与を支払えなくなることです。多くの事業の資金において、人件費が占める割合は非常に大きいので、いつでも十分な費用を用意している必要があります。基本的に給与の振り込みは振込日の3営業日前までの銀行手続きが必要になるので、時間的な余裕をもっていなければなりません。

そんなときに取引先による未払いや経営難などのトラブルが生じると、従業員への給与支払いが遅れてしまいます。従業員としても仕事をした分の対価が支払われないことに不満を持ち、モチベーションを失って退職することもあるでしょう。また、従業員の存在なしに事業は成り立たないので、そのせいで事業を倒産しなければならなくなるかもしれません。

「いつも一緒に働いてくれているから、給与支払いの遅れも我慢してくれるはず」などという身内感覚は、従業員には通用しません。せっかくの事業を破綻させることがないよう、常に給与分の資金を確保しておくべきです。

2.2.取引先との関係が悪くなる

取引先への支払いが必要となる場合、1回の遅れであれば許容範囲で済みますが、何度も遅れるのであれば相手からの信用を失うことは避けられません。支払いが遅れると取引先の事業にダメージを与えるので、今後一切の取引を断られる可能性もあります。また、同じような被害者を出さないためにほかの事業者にも情報が回り、周囲に悪評を振りまいてしまうなどの危険性も高くなります。

事業をスムーズに進めていくには取引先との信頼関係が不可欠です。理由が何であれ、2回以上支払いの遅れが生じると関係が悪くなるので、給与支払いの遅れと同時に必ず避けておきたいものです。

2.3.銀行からの信用を失う

仮に銀行から融資を受けている場合でも、当面の資金が枯渇すると返済が難しくなります。「数日程度の遅れなら大丈夫だ」との考えのもと、返済を遅らせる事業者も少なくありませんが、銀行はそのような事業者に対しての信頼を一気に落とし、次の融資を断るかもしくは返済条件を厳しくするという対応をとります。なお、一カ月以上支払いが遅れる場合、政府系などによる融資は高確率で受けられなくなるので気をつけましょう。

最悪の場合には取引自体を断られるケースもあります。

2.4.ビジネスチャンスを逃す

事業は度重なるチャンスを活かしてこそ無事に存続するものですが、手元の資金が足りないとそのチャンスに挑戦することすらできなくなります。その状態が続くと現状維持か退行するのみで、事業としての成長は見られません。

このように、資金繰りのトラブルは事業者にとってさまざまなリスクをもたらします。だからこそ、早めの対応と改善策の実施が大切です。

3.資金繰りの悩みから脱出するには、まずは資金繰り表の作成を

ここからは、資金繰りの悩みからの改善方法についてお話ししていきます。

3.1.資金繰り表による現状把握は必須ポイント

資金繰りを改善するには、まずは現状把握が必要です。そこで資金繰り表の作成が役立ち、利益や支出のタイミングなどを明らかにしてくれます。資金計画が無事に進んでいるか調べるためにも重要なポイントになりますので、ここで必ず資金繰り表を用意してください。

資金繰り表には「月次資金繰り表」「日繰り表」などがあります。この2つは資金繰り改善において大きな助けとなるので、必ず入手しましょう。

・月ごとの収支と資金状況を確認できる「月次資金繰り表」
月ごとの資金が確認できる月次資金繰り表は、資金繰り表のなかでももっとも一般的なものです。インターネットや金融機関のホームページからダウンロードして使うこともできるので、ぜひ活用してみましょう。

・日ごとの資金状況を確認できる「日繰り表」
経営者にとって月次資金繰り表の作成と確認は必須ポイントですが、資金状況が厳しい場合、それだけでは不十分です。日ごとの資金状況の把握ができる日繰り表を必ず用意しましょう。

毎日の資金の移動を視覚的に確認することにより、増えるタイミングと減るタイミングがわかります。同時に支出をするうえで適切なタイミングも見えるようになるので、そのような意味でも日繰り表は何かと便利です。

両方ともインターネット上で簡単にダウンロードできます。最初は雛形通りに使い、慣れてきたらご自身の事業にカスタマイズしていくことをおすすめします。

3.2.資金繰り表からチェックしておきたいポイント

資金繰り表を用意できたら、「営業収支がプラスになっているか」「預金残高がプラスになっているか」「設備投資に不必要な費用をかけていないか」をチェックしましょう。これにより、ご自身の事業がどのような状態になるのかが明らかになります。

特に預金残高に問題が見られた場合には、なるべく早めの対応が大事です。預金残高のトラブルは基本的に想定外の出費や取引先による支払い遅れによって起こりうるものですが、これらの要因からの解決を待っていては事業に影響し、時に融資や出資などを検討せざるを得なくなります。どちらにしても時間がかかるので、時間的余裕を持った状況把握が不可欠です。

資金繰りの悩みを解消するには、まず目の前の状況を見るべきです。資金繰り表を用意して、現状把握を試していきましょう。

4.融資や出資、つなぎ融資などで、資金繰り問題を改善

資金繰り表から何らかの問題が見られた場合、融資や出資、つなぎ融資などで回避する方法があります。取引先からの入金や経営の好転を待っていては遅すぎる場合には、このような方法が役立ってくれることでしょう。それぞれを詳しくご説明します。

4.1.銀行からの融資を利用する

銀行や信用金庫、組織により融資を受け、当面の運転資金に活かす方法です。融資側への返済が義務付けられ、2パーセントの金利が付きます。また、融資を受けるには事業計画書の提出が求められ、審査を通過する必要があります。

事前準備が非常に煩雑となる方法ですが、その分経営権の保持などができるので、成功性が高い事業には適している資金調達法だと言えます。

4.2.株式を発行して出資を受ける

融資以外による資金調達法として、出資があります。こちらでは株式を発行し、それによる利益を出資側に支払う形式となっています。仮に事業が失敗しても返済する必要はありませんが、その代わりに株主の地位を20パーセント与えることになります。

金銭的援助を受けられるうえに経営的な協力も得られる出資は事業者にとってメリットが多く、資金調達法としては融資と並ぶメジャーな方法です。

4.3.一時的な資金不足改善に役立つ「つなぎ融資」

「それほど多額・長期的な資金援助は必要ないけれど、一時的な資金不足で悩んでいる」という場合には、「つなぎ融資」の利用が役立ちます。

臨時の穴埋めとして機能するつなぎ融資は、長期的な融資よりも審査が通りやすいとされています。取引先の支払い遅れや突然のトラブルで一時的に資金が不足する場合には、ぜひ利用してみるといいでしょう。

資金繰り問題からの改善案としては、以上の3つがメジャーです。ご自身の状況から適切な方法を選び、事業再建に役立てましょう。

 

事業を展開していくうえで、資金の悩みは容易に避けられるものではありません。だからこそ、できる限りの予防策と現状把握、トラブルに対しての対応策が何よりも大事になります。

また、資金繰りの悩みは表面的にピンチに見えるかもしれませんが、同時にご自身の事業を客観的に分析して再建していくためのチャンスでもあるのです。この機会に資金繰り問題を見直し、よりスムーズな経営に役立てていきましょう。

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