仕事量が増えたことを理由に顧問になってくれる税理士を探すときには、法人決算や確定申告など依頼でき、日常の税務処理など気軽に相談できることが理想的です。
しかし資格を保有しているのならどの税理士でもそれほど違いはないだろうと、できるだけ費用が安い専門家を探すのでは、後々失敗してしまう可能性もあります。
そこで、税務処理や法人決算などを依頼できる顧問税理士に巡り合うためには、どのように探すことがベストなのかその方法についてご説明します。
目次
税理士を探すときには得意・不得意な分野に注意
税理士の資格があればどの専門家もすべても税務に精通していると考えがちですが、けっしてそうではなく得意・不得意分野があります。
たとえば法人税に詳しく決算申告業務は得意だとしても、事業承継の相談までできるとも限らず、税金にもいろいろな種類があるため税理士も得意とする分野が異なると認識しておくべきです。
税理士の3つタイプ
税理士は大きく分けると、
- ・低価格で必要最低限のサービスを提供する税理士
- ・外部CFOのような立場でサービスを提供する税理士
- ・一定の業務や業種に特化しサービスを提供する税理士
の3つのタイプに分けることができます。
低価格で必要最低限のサービスを提供する税理士
必要最低限のサービスとは、
- ・日々の会計処理
- ・税務相談
- ・申告業務
などです。
これら業務のみ提供することで、低価格によるサービスを実現します。
年商規模5,000万円以下の会社や、とくに事業に大きな変化がないときには、どの税理士に相談してもアドバイスしてもらえる内容はそれほど差がないため、必要最低限のサービスだけ税理士を頼り低価格で受けてもらうとよいでしょう。
ただし顧問料が月額1万円以下など格安の場合、税理士に相談にのってもらえなかったり連絡がなかったりといった問題が起きることもあるため、十分に依頼する専門家を見極める必要があります。
外部CFOのような立場でサービスを提供する税理士
定期的に面談を実施し、これから経営者が何をやりたいのか踏まえ、様々な相談に応じてくれる税理士もいます。
- ・想定されるリスク
- ・資金繰り
- ・節税対策
など、外部CFO(最高財務責任者)の視点で顧問として相談に乗ってもらえることがメリットです。
特に事業規模が大きくなれば節税対策を実行するタイミングにより、納める税金の額が変わってくることもあります。
- ・年商が億単位の会社
- ・新しく始めたい事業がある
- ・事業を拡大したい
など、様々なリスクが想定されるときには財務・税務面からサポートしてもらえる税理士を頼ったほうがよいといえます。
一定の業務や業種に特化しサービスを提供する税理士
相続を専門とする税理士や、医療・不動産・飲食など、一定の業務や業種に特化してサービスを提供する税理士もいます。
抱える悩みが日々の会計処理や期間ごとの税務処理などではなく、たとえば相続や事業承継などであれば、分野ごとに特化した税理士を頼ったほうがよいでしょう。
また、医療専門・不動産専門・飲食専門など、税理士が専門とする業界であれば特化してサービスを提供する税理士を頼ることもできます。
ただ、専門と謳っているに実はそれほど詳しくなかったというケースも少なからず存在するため、やはり税理士の見極めは重要です。
にせ税理士には注意!
税理士資格を保有していないのに、税理士を名乗りサービスを請け負うにせ税理士も存在するため注意しましょう。
国税庁でも公式サイトでにせ税理士には騙されないように注意喚起しているほどです。
会計処理の代行や節税のアドバイス、申告書作成を行うのが税理士の業務であり、そのためのサービスを提供するための資格ともいえます。
にせ税理士に申告書を作成してもらっても、税理士の署名や捺印はつかないため、一定の対価を支払っても税金の専門家に作成してもらったという事実にはなりません。
そして万一税務調査が入ったときにも、税理士資格がないためにせ税理士が税務調査に立ち会うこともできず、経営者だけで対応しなければならなくなります。
料金が安すぎる場合にはにせ税理士である可能性も否定できないため、コストだけで顧問契約を結ぶ税理士を決めてしまわないようにしましょう。
税理士を探す4つの方法とそれぞれのメリット・デメリット
自社のニーズに適切に対応してくれる税理士を探すためには、
- ・近場で探す
- ・ネットで探す
- ・紹介してもらう
- ・紹介会社を利用する
という4つの方法があります。
それぞれのメリットとデメリットを理解した上で、どの方法で税理士を探すか決めましょう。
近場で探す
会社や経営者の自宅などにある税理士事務所に相談し、顧問税理士になってもらうという方法です。
近場であれば、
- ・すぐに税理士事務所を訪問することができる
- ・税理士や担当の職員に来てもらうことも頼みやすい
- ・税理士探しにかかる時間やコストを短縮させることが可能
などがメリットです。
ただ、距離よりも自社の要望に応えてもらえかを重視しなければならないため、
- ・対応しているサービス
- ・得意な分野
- ・毎月の顧問料
などは、実際に会って確認した上で決めるようにしてください。
また、1つの税理士事務所だけを訪問し即契約してしまうと、他の事務所の料金や相場を知らず税理士を選ぶことになってしまいますので注意しましょう。
ネットで探す
地元の税理士やインターネットで検索すれば探すことができます。
メリットとして挙げられるのは、
- ・誰を頼ることなく自分で探すことができる
- ・ネット上で事務所の概要や強みなど知ることができる
- ・かかる費用なども確認しやすい
ことです。
ただし、
- ・掲載されている情報がどこまで正確かコンタクトを取ってみなければわからない
- ・親身になって相談に応じてもらえる専門家か人間性までは確認できない
と留意しておくべきでしょう。
紹介してもらう
知人や取引先などに税理士がいるのなら、紹介してもらえばどのような税理士か事前に知った上で依頼することができます。
商工会や銀行などにも声をかければ税理士を紹介してもらえるでしょうし、資金調達を専門とする業者なども紹介してくれます。
- ・税理士を探す時間を省くことができる
- ・紹介なので料金の交渉がしやすい
- ・事情を理解してくれているなど本音で話しやすい
といったメリットがあります。
ただしデメリットとして、
- ・自社にとっても良い税理士とは限らない
- ・気に入らない税理士だった場合でも他の税理士へ切り替えがしにくくなる
といったことも留意しておいたほうがよいでしょう。
紹介会社を利用する
税理士を紹介する専門の会社を利用すると、自社にぴったりの税理士を探しやすいでしょう。
メリットとしては、
- ・多くの税理士から要望に合う専門家を見つけてもらえる
- ・税理士選びのプロの客観的な視点をもって探してもらえる
- ・料金交渉や依頼を断るときにも対応してもらえる
といったことが挙げられます。
反対にデメリットとしては、
- ・どこまで信頼できるか不安が残る
- ・紹介会社も複数ありどこを頼るべき使ってみないとわからない
などが挙げられるといえるでしょう。
まとめ
良い税理士を探すためには、
- 自社にとって良い税理士の条件を出しておく
- どのようなタイプの税理士なのか把握しておく
- どのような税理士に依頼したいか明確化する
- 最初から一人に絞らず複数の税理士から選ぶ
などが必要です。
会社によって規模や業種は異なるため、仮に知人から紹介してもらったとしても、自社の要望に合う税理士とは限りません。
また、近隣の税理士に依頼してもいつでもすぐ相談に応じてもらえると限らないため、距離ではなく要望に応えてもらえるかを重視したほうがよいといえるでしょう。
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