黒字倒産はなぜ起きる?赤字なのに潰れない企業もある理由とは

2021/06/21
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会社が倒産してしまうのは赤字続きだったからと考えがちですが、実際には黒字でも倒産してしまうこともあるのはなぜなのでしょう。

黒字倒産は利益を生む出すことができているのに倒産してしまうことですが、赤字でも事業を継続できている企業があるのになぜ?と考えてしまうものです。

そこで、なぜ利益が出ていて黒字なのに倒産してしまうのか、その一方で赤字経営なのに事業を継続できている理由についてご説明します。

 

会社が「倒産」するとはどのような状態のことか

損益計算書で黒字だと安心していると、突然、会社が倒産してしまうこともあるので注意が必要です。

黒字倒産を避けるためにも、まずは会社が「倒産」するとはどのような状態のことか知っておきましょう。

「倒産」という言葉は正式な法律用語ではなく、1952年から東京商工リサーチが開始した「全国倒産動向」により知られるようになりました。

そして1964年11月の衆議院商工委員会での質疑応答が、中小企業の抱える問題について東京商工リサーチの倒産データに基づき行われてたことで「倒産」という言葉が普及したと考えられています。

「倒産」とは、

企業が債務の支払不能に陥った状態や、経済活動を続けることが困難になった状態

です。

企業が経済的に行き詰まったことで支払能力を失い、事業を存続させることが不可能になってしまうことといえます。

さらに「法的倒産」と「私的倒産」の2つに分けることができ、

「法的倒産」は再建型の「会社更生法」と「民事再生法」と清算型の「破産」と「特別清算」の4つに分類されます。

 

なぜ会社は「倒産」するのか

会社経営では、利益を獲得することを目指し本業活動を続けます。

しかし新型コロナウイルス感染拡大の影響などで売上が低迷し、利益が獲得できず損失を計上しなければならなくなることもあるでしょう。

たとえば原材料の価格高騰・受注単価を上げられない・為替変動に株価の乱高下など、赤字に転落する要因はいろいろあります。

何が原因だとしても、企業の体力を超え損失が計上され続けてしまえば、いずれ存続が不可能となり「倒産」という状況に陥ることになってしまいます。

 

会社が倒産しまうまでの背景

黒字と赤字、どちらの場合でも会社が倒産してしまうその背景には次のようなことが関係していることがあります。

 

  • ・会社が急成長しているため、間に合わずサービス低下が発生してしまう
  • ・売上やサービスが1つに偏っている
  • ・ビジネスモデルが現在と合わないことで少しずつ売上が低迷する
  • ・設備投資や新規事業などを目的に、多額の資金を投入している

 

「黒字倒産」が起きる理由

「黒字倒産」とは、

利益が計上されているのに手元の資金が枯渇したことを理由に「倒産」してしまうこと

です。

「勘定合って銭足らず」という言葉がありますが、これは黒字倒産を表現したものであり、手元のキャッシュフローが尽きてしまった状態といえます。

キャッシュフロー経営ではなく、どんぶり勘定で正常といえない管理業務を続けていると、黒字倒産が起きやすいといわれています。

他にも、本来であれば期日に入金されるはずだった売掛金が何らかの理由で回収できず、資金がショートしてしまう場合もあります。

 

黒字倒産が起こる背景

黒字なのに倒産してしまうのは、会計上の収入と支出が、実際の現金の入出金と一致していないからです。

仕入を増やし、売上を多く計上できても、売上代金が入金されるよりも前に仕入代金の支払いが先です。

仮に売上代金が入金されるのが2か月先で、仕入れ代金は1か月先という場合、先に支払いに充てる資金を準備できなければ資金は枯渇します。

しかし会計上は、同一会計期間に仕入・売上が発生していれば、赤字販売でない限り黒字になります。

他にも大量に商品を仕入れ多く在庫を保有している場合、会計上は支出として計上されないので赤字にはなりませんが、仕入代金は支払う必要があるため手元に現金がなければ黒字倒産という状態です。

そのため黒字倒産が起こる背景には、主な次の2つが関係していると考えられます。

 

売掛金管理の甘さ

黒字倒産は、売掛金管理が甘いと起きやすいといえます。

先に述べたとおり、売掛金の入金と買掛金の出金がズレてしまうことが関係しますが、ズレのタイミングを理解しておかなければ売掛金だけを多く抱え現金は入らない状態が続くことになります。

黒字倒産させないためには、いつ支払いが発生するのか、そして適切に売掛金管理を行いいつ入金があるのか把握しておくことが必要です。

 

不適切な在庫管理

在庫管理が徹底されていない場合も黒字倒産は起きやすくなります。

どのくらい商品を仕入れなければならないか、その量を把握しておかなければ在庫が過剰に増えてしまうこととなるでしょう。

在庫が足らず販売機会を逃すことは避けたいものですが、管理が適切にできていなければ過剰在庫となり、黒字倒産を招く原因になってしまいます。

 

赤字なのに倒産しないのはなぜか

黒字なのに倒産する一方で、赤字なのに倒産しない企業もあります。

その理由は、

 

  • ・現金に換えたり担保にできたりなど、活用できる資産を多く保有している
  • ・赤字でも増資が可能

 

といったことが関係します。

赤字でも、手元の資金を増やすことができる手段があれば倒産しないということですが、赤字経営が長く続けばいずれは倒産してしまうこととなるでしょう。

 

黒字倒産を防ぐにはどうすればよいか

ではどうすれば黒字倒産を防ぐことができるか、そのためには自社のキャッシュフローを正確に把握し、手元の現金が不足しない経営を行うことが必要です。

キャッシュフローを正確に把握には、次のことを実践するようにしましょう。

 

評価指標を確認する

黒字倒産を回避するため次の財務諸表から評価指標を確認しましょう。財務諸表とは、経営活動の財務上の結果を報告する目的で作る計算書です。

黒字倒産を防ぐためには、貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書の3つを確認していきます。

 

貸借対照表

黒字倒産を回避するために確認する評価指標のうち、バランスシートと呼ばれるのが貸借対照表です。

ある期間における会社の資金調達方法、調達した資金の保有・運用方法を示しており、経営状況を客観的に把握できます。

それにより、経営のリスクや課題を発見でき、改善につなげることが可能です。

一般的には4半期や半期ごとに作成されますが、毎月作成する会社もあります。

貸借対照表からは、

 

  • ・保有する資産
  • ・返さなければならない負債
  • ・保有する返済義務のない純資産総(資産から負債を引いた残り)

 

などの情報を読み取ることが可能です。

財務状態だけでなく、経営の健全性や倒産リスクなどを把握できるため、正しく読み取れば黒字倒産を避けることにつながります。

 

損益計算書

損益計算書は、ある一定期間の収益と費用をまとめた財務諸表であり、収益・費用・利益の3つの要素から構成されます。

会社が何にお金を使い、どれくらいの利益を得たのか把握できる財務諸表であり、利益が本業と本業以外のどちらから得たものかも知ることができます。

変動費と固定費を分けて考えることで、黒字と赤字の境界線を示す「損益分岐点」も確認でき、黒字倒産回避につなげる資料として活用できます。

 

キャッシュフロー計算書

黒字倒産を回避するためには、キャッシュフロー計算書から現金の増減とその理由を把握しましょう。

キャッシュフロー計算書は現金の流れをあらわしており、どのように現金が出入りしたのか把握できます。

また、損益計算書と違って現金の出入りを把握できるため、将来入る予定の利益は含まれてしません。

キャッシュフロー計算書では、次の3つのキャッシュフローを確認できます。

  • 営業キャッシュフロー…本業で得た利益をあらわし、1年間の収入と支出の差額で利益を確認できます。プラスであれば本業が順調であり、マイナスが続く場合には今後の経営に注意が必要な状態です。
  • 投資キャッシュフロー…固定資産・株・債券などを取得・売却したときの現金の流れをあらわし、プラスの場合は手元にキャッシュがあるよい状態といえます。ただ、設備投資などでマイナスになっているときには、事業促進から必要なケースもあるため、必ずしも悪い状態とはいいきれません。
  • 財務キャッシュフロー…銀行や株主から資金調達したときのお金の動きをあらわし、不足する資金をどのように補ったのか確認できます。銀行融資などでお金を借り資金を調達した場合にはプラスとなり、借入金を返済したときや自社株を購入したときにはマイナスになります。

 

適切な資金繰りを心掛ける

黒字倒産を回避するためには、手元の資金を枯渇させないための資金繰りを適切に行うことが欠かせません。

そのためには次のことを実践するようにしましょう。

 

資金繰り表を作成した上での管理

黒字倒産を回避するためには、まず資金繰りを適切に管理するため「資金繰り表」を作成しましょう。

キャッシュフロー計算書では、これまでのお金の流出入など過去の実績は確認できますが、将来的な予測まではできません。

そこで、3~半年、または1年先までの現金の流出入の予測を記載した資金繰り表を作成します。

それにより、いつどの売掛金が入金されるのか、支払いはいつ行うことが必要か把握できます。

将来を見据えた計画を立てず、どんぶり勘定でその場しのぎの資金繰りでは、予測外の支出などに対応できずあっという間に資金繰りが悪化してしまいます。

将来も踏まえた日々の経営と、資金繰りの管理を適切に行うことが重要です。

 

在庫管理をする

黒字倒産を回避するためには、適切に在庫管理を行い過剰在庫にならないようにすることが必要です。

売上原価のみを費用として計上し売上にならなかった在庫は資産として計上しなければなりませんが、過剰在庫があれば資産は増加し、実際は赤字でも黒字の状態を示すこととなります。

しかし適切に在庫管理を行うことで、最低限の在庫に抑えることができます。

 

不要な資産は保有しない

会社が急成長しているときや業績が好調なときには、売上をさらに増やそうと資産を増やし運用しようとすることもあります。

確かに資産運用は悪いことではありませんが、リスクを把握していなければ黒字倒産を起こしやすくなってしまいますので注意してください。

黒字倒産を防ぐには、資産を増やすときにそのリスクを把握し、運用方法を明確にしておくことや無駄な資産まで保有しないことが必要です。

 

不良債権を発生させない

取引先の経営状況が悪化し、発生している売掛金が回収できなくなれば、自社の資金は不足してしまいます。

回収が難しくなった債権を不良債権といいますが、この不良債権も資産として計上されたままでは、表向きは黒字でも実は倒産寸前という状況を作ってしまうでしょう。

中小企業の場合、資金体力が大きくないため、不良債権を多く抱えたままでは倒産リスクを高めてしまうと留意しておくべきです。

 

入出金のタイミングに注意する

売上代金が入金されるタイミングと、仕入れ代金を支払うタイミングには、少なくても1か月程度はズレが生じます。

どのタイミングでどのくらい現金が入金され、いつ仕入れ代金を支払うのか把握しておくことが重要です。

また、このズレをできるだけ短くすることで資金繰りは改善しやすくなります。

ズレを短くするためには、売掛金の回収をできるだけ早め、支払いのタイミングをできるだけ遅くすることが必要です。

ただ、実際には取引先に交渉することは容易ではないため、売掛金の回収を早めてもらえないときにはファクタリングなど活用するとよいでしょう。

ファクタリングは売掛金を専門業者に売却し、入金予定の期日よりも先に現金化させるサービスのことです。

もしズレを短期化させたいときには、ファクタリングなどを活用する方法もあることを知っておくとよいでしょう。

 

まとめ

利益が出ていて黒字なのに、倒産してしまう会社があることを不思議に感じることもあるでしょう。

なぜ黒字倒産が起きてしまうか、その理由を把握しておき事前に防ぐためには資金を徹底して管理するようにしてください。

会社は赤字を理由に倒産することはありませんが、赤字経営がずっと続けばいずれ倒産リスクを高めます。

それも踏まえて、資金繰りを適切に行い、会社の資金が枯渇しない経営と管理を心掛けるようにしてください。

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