資金繰りは繁忙期こそ悪化する?その理由と改善させる方法とは

2021/04/19
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資金繰りはたと経営が順調でも悪化してしまう可能性があるため、繁忙期で売上が伸びているからといって安心できません。そもそも資金繰り悪化してしまう理由には、繁忙期なども関係しています。

売上が上がる繁忙期と資金繰り悪化には関係性がないように見えて実は大きな関係があるため、その理由と問題の解消方法について解説していきます。

 

資金繰りが悪化する状態とは

資金繰りが悪化してしまうのは、売上が低迷し事業がうまくいっていないからと考えがちです。

しかし繁忙期で売上が向上していても資金繰りは悪化することがあり、黒字倒産という言葉からもわかるとおり、売上の伸びと手元の資金は一致しません

資金繰りの悪化とは、手元のお金の流れが途絶えてしまうことであり、事業者間の取引であれば売掛金の回収が関係してきます。

繁忙期で帳簿上は売上や利益がどんどん伸びていても、その代金である売掛金の回収ができなければ手元の現金は増えません

回収が遅れてしまったり未入金が発生したりという状況では、手元の現金は不足してしまい、最終的には運転資金が枯渇してしまうでしょう。

 

資金不足となり資金繰りが悪化するその理由

資金繰りが悪化してしまう理由はいろいろありますが、主に次のようなことが原因として考えられます。

 

売上減少によるもの

商品やサービスなどが売れず、売上が伸びていなければ入金も少なくなるため、収入自体が減ってしまいます。また、好調に見えても競合他社と競って値引きしてしまい、利益率が落ちている場合にも注意が必要です。

資金繰り悪化を防ぐためには売上向上のための営業努力も大切といえます。

 

急激な売上の増加

繁忙期などで売上が大きく増えるとき、事業拡大などで多額の先行投資が必要になると資金繰りは悪化しやすくなります。

設備資金・仕入れコスト・人件費などで資金調達の必要があるものの、無理が生じていれば資金難に陥りやすくなると考えられるでしょう。

また、年末の繁忙期には年末倒産という言葉があるほど、倒産する企業が増加する傾向も見られます。その理由として考えられるのは次のとおりです。

 

取引量の増加

年末はクリスマスや年末年始の商戦で、取引量が一時的に増えます。資金に余裕のない中小企業などの場合、普段から経営者からの貸付けなどでやりくりするケースもあるようですが、繁忙期には別の資金調達方法を検討しなければ資金不足に陥りやすくなります。

 

年末特有の支払い

従業員に対する賞与や年末調整の還付金法人税・消費税などの仮払いなど年末特有といえる支払いは資金繰りを悪化させる要因となります。

 

金融機関が多忙になる

年末は金融機関も忙しくなるため、閑散期であれば急な融資の申し込みでもスムーズに対応してもらえても、繁忙期であるため必要なタイミングに資金が準備できない可能性があります。もし銀行融資を検討しているのなら、特に年末はできるだけ余裕を持って申し込みをしておくことが必要です。

 

売掛金の回収遅れ

順調に売上は伸びていた場合でも、売上代金として発生している売掛金の回収がスムーズでなければ、手元の現金は不足してしまいます。

損益計算書だけ見れば売上も伸び、利益も出ていて業績も好調なので、売掛金ばかりが増え手元のお金は増えていないことに気がつかないことも少なくありません。

しかし手元のお金が増えない状態が続けば、いずれは黒字倒産してしまうことになるため、発生している売掛金は適切に回収するための徹底した管理が必要です。

 

過剰に在庫を抱えすぎる

在庫を抱えているということは、支払いだけが増え収入は増えていないことを意味します。

仮に売れない不良在庫を多く抱えていると、仕入れ・人件費・管理費など支出ばかり増やすこととなり、資金繰りは悪化してしまいます。

 

返済額の増大

過剰に銀行融資などに頼りすぎてしまい、借入金が返済可能額を超えたときには資金繰りは厳しいものとなります。

「減価償却費+税引き後純利益」を超過した年間の返済額では資金繰りに悪影響を及ぼすと認識しておいてください。

 

繁忙期で黒字でも安心せず適切な資金管理を

黒字だとしても手元の資金は不足することがあるため、特に成長段階の会社や繁忙期などは取引量や取引金額が増えるため、売上と同時に仕入れ金額も増えることを理解しておきましょう。

売掛金や買掛金などが発生する掛取引では、売掛金の回収前に買掛金の支払いが必要となり、資金繰りは悪化しやすくなります。

さらに損益計算書では売れ残りの在庫に対する支出は計上されず、過剰に在庫を抱えれば資金の滞留を招くと留意しておいてください。

資金不足を改善させていくために、まずはどのくらい足らないのか、正確な数字を算出しましょう。

おおまかに必要な額を出して資金を調達しようとする経営者もいますが、必要な金額の大きさやそのタイミングなどで、選択する資金調達の方法は変わってきます。

どのくらいの資金が足らないか計算する場合には、

翌月不足する資金=次月の売掛金入金合計額-毎月の固定経費合計額-次月の買掛金支払額

で算出しましょう。

 

資金繰り悪化に有効な対策

資金繰りが悪化してしまったと感じたときには、少しでも早め対策を取ることが必要です。

具体的には次のような対策を検討しましょう。

 

赤字事業の縮小・撤退

複数の事業を行っている企業であれば、赤字になっている事業を縮小または撤退し、全体の資金繰りを健全化させていくことを優先しましょう。

 

入金サイトは早く支払いサイトは遅く設定

売掛金の回収はできるだけ早く、反対に買掛金の支払いはできるだけ遅く設定したほうが資金繰りは楽です。新規の取引先と契約するときには、できる限り自社に有利な取引条件を提示したほうがよいといえます。

また、すでに契約済の取引先にも、取引量や取引金額など互いにメリットがある条件でサイトの見直しを交渉してみましょう。

 

余剰在庫は処分

過剰な在庫は資金繰りに悪影響のため、売れ残りなどは早めに処分したほうがよいといえます。また、企業の体力がないのであれば、在庫を不要とするビジネスモデルを構築することも必要となります。

 

銀行にリスケジュールを相談する

借入金の返済負担が重くなっている場合には、銀行など金融機関にリスケジュールの相談も検討が必要です。リスケジュールとは、返済金額など借入金の返済条件を変更することですが、企業の信用を損なうため新規の借入れはできなくなります。

リスケジュールは避けたいという場合には、他の金融機関で借り換えるといった方法もありますが、返済条件が厳しくなるようであれば避けたほうがよいでしょう。

 

不足する資金は調達

資金繰りが悪化している場合、足らない資金を調達することが必要です。資金調達する方法はいろいろありますが、中小企業が活用しているのは主に次のような方法です。

 

銀行融資

中小企業の資金調達方法として最もメジャーといえるのが銀行融資です。

ただし銀行融資は審査が厳しいため、中小企業の場合には担保として差し入れることができる不動産などを保有していなければ難しいケースもあります。経営者の連帯保証なども求められることとなるでしょう。

また、経営状態が悪化した理由で資金が不足していても、銀行は積極的に資金を貸し付けようとはしません。

コロナ禍で中小企業に対する支援なども行われていますが、融資を受けることができない可能性もあり、融資を受けることができたとしても希望金額に満たない場合もあります。

さらに審査にも時間がかかるため、急な資金ニーズには対応できない方法と留意しておくべきでしょう。

 

公的融資制度

政府系金融機関や自治体などの行う公的融資制度であれば、中小企業も資金調達しやすいといえます。

金利も低めに設定されている上に、資金の貸し付けにも積極的に相談に応じてもらえます

審査も銀行融資より緩めなのでメリットは大きいですが、財務状況や経営の見通しなどでは厳しい判断がされます。

また、自治体・金融機関・信用保証協会など関係する機関ごとに審査が実施されるため、実行まで時間がかかることもデメリットです。

 

日本政策金融公庫からの融資

コロナ禍で資金繰りが悪化している中小企業の場合、政府系金融機関の日本政策金融公庫の資金繰り対策を検討するとよいでしょう。

実質無利子となるコロナ特別貸付や既往債務の借換、新型コロナ特例リスケジュールなども資金繰り支援策として用意されています。

もともと日本政策金融公庫は中小企業向けに融資制度を多く準備しており、金利も低めに設定されていて無担保・無保証でまとまった資金の貸し付けにも積極的です。

ただしすぐに融資が実行されるわけではないことと、制度によっては一定割合の自己資金が必要となるため、手元にお金がまったくない状態では利用できませんので注意しましょう。

 

ビジネスローンの利用

銀行融資などで資金調達できない中小企業向けに用意されたビジネスローンであれば、ハードルの低い審査のため借りやすいといえます。

原則、無担保・無保証という点もメリットで、業績悪化で赤字決算に陥っている場合でも審査に応じてもらえます。

ただし融資限度額の上限が低めであるため、必要な資金の調達には至らない可能性があることと、金利が高めなので繰り返しの利用は余計資金繰りを悪化させてしまう点は注意してください。

 

ファクタリングで資金調達

ファクタリングは保有する売掛債権をファクタリング会社に売却し、現金化させて資金調達する方法です。

銀行融資やビジネスローンなどは起業したばかりの会社では資金調達が難しいといえますが、ファクタリングは融資を受ける方法ではなく売掛金の売買なので、決算を迎えていない1期目の企業でも申し込みが可能となっています。

また、お金を借りるときのような審査基準ではなく、売掛先の信用力を重視した審査が行われることも特徴です。

銀行融資の申し込みをしたものの、審査に通らなかったという場合にはファクタリングで資金調達するとよいといえます。

 

繁忙期の資金繰り悪化を乗り切るために

繁忙期には資金繰りが悪化しやすくなってしまいますが、その理由は売上向上により支払いは増えているものの、売上代金は売掛金のままだからです。

悪化している資金繰りを改善させるためには、銀行融資などで資金調達するよりも、将来入金される予定の売掛金を早めに支払ってもらうほうが借金を増やすこともありません

ただし取引先に自社の都合だけで売掛金を早く入金してほしいと交渉しても、応じてもらえるとは限りませんし、資金繰りが悪化している危ない会社なのでは…余計な不安を抱かせることになります。

このような場合、売掛金を前倒しで現金化させるファクタリングを活用すれば、取引先にも余計な不安を与えることなく資金調達が可能です。

一般的なファクタリングは買戻し請求がないため、売掛金売却後に取引先が倒産してしまったとしても、その責任を負う必要はありません。

また、ファクタリングは貸借対照表から資金を切り離すオフバランス化が可能なので、資金繰り改善にも有効な手段として活用されています。

経営面で抱える課題に対処できる方法なので、経営の健全化・安定化のために積極的に活用してみるとよいでしょう。

 

 

まとめ

手元に必要な運転資金が足らなくなれば資金ショートという状態となり、事業を続けることができなくなる可能性が高まります。もし資金繰りが悪化していると感じれば、その原因をすぐに特定し、改善していくことが必要です。

繁忙期でも資金が不足してしまう理由として考えられるのは、売上増加により売掛金も増えること、そして仕入れも増えるため買掛金や在庫数も増えていくことです。

業績が拡大すれば必要な資金も増えることとなり、売掛金の回収がスムーズにできなければ資金不足に陥ってしまいます。

季節的な要因で売上に大きな変動がある企業などは、閑散期には売上減少で収支のバランスが崩れて資金不足になりがちです。反対に繁忙期には仕入れや人材確保に資金が必要となるため、やはり資金が枯渇しやすくなるといえるでしょう。

安定して売上を伸ばしていくには、資金繰りを日ごろから意識した経営を行うことが必要です。いつお金が入金されるのか、支払いのタイミングなどを把握した上で、不足する資金の調達計画を立てていくようにしてください。

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