売掛金を支払わない取引先が抱える債務は買掛金!この違いとは?

2020/10/05
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売掛金は売掛債権の種類の1つですが、そもそも何でありなぜ目に見えないのに資産として計上されるのか、債務と何が違うのかなど疑問を感じる方もいることでしょう。

そこで債権や債務の違い、そして売掛金と未収金との違いや買掛金はいつ発生するかなど、事業を営む上で知っておきたいことをご説明します。

 

売掛金は売掛債権の種類の1つ

売掛金(英語:accounts receivable)とは信用取引(掛取引)により、商品やサービスを販売・提供したものの、その代金を受け取っていない状態で発生します。

そのため売上に対する代金を受け取る権利として扱われ、売上債権や売掛債権に含まれます。

売掛債権には売掛金の他にも受取手形がありますが、手形支払いではない場合には売掛金という勘定科目を使い会計処理します。

 

信用取引(掛取引)で債権だけでなく債務も発生する

信用取引や掛取引はビジネスにおける取引で用いられる言葉であり、わかりやすくいえば「ツケ」や「後払い」と同じです。

日本の商取引、特に企業間における取引では、前払いや現金決済などは一般的に行われていません。ほとんどが一定期間分をまとめて請求し、後日支払ってもらう後払いの信用取引(掛取引)で契約する形です。

そのため商品やサービスを販売・提供し、その代金が入金されるまで1~2か月という誤差が発生します。

入金されるまでの期間中、すでに計上された売上分の代金を受け取る権利こそが売掛債権であり、売掛金です。そして商品やサービスを販売・提供された側は、その代金を期日に支払わなければならないという債務を抱えることとなります。

 

なぜ企業間は信用取引(掛取引)がメインなのか

商品やサービスを販売・提供したタイミングで、現金で決済すれば売掛金は発生しません。現金決済であれば後日、本当に取引先から売上代金が入金されるのか心配することもありませんし、取引先も先に訪れる期日まで債務を抱える必要はなくなります。

しかし度重なる企業間の取引で、その都度現金でのやり取りは非常に手間がかかります。

お金を扱うたびに受取金額やつり銭など、ミスがないか確認することが必要となりますし、帳簿にも「借方:現金 貸方:売上」と仕訳をたてた分を転記することになってしまいます。

時間や手間、ミスを防ぐのなら、1か月分をまとめて請求し入金してもらったほうが効率的といえます。

掛取引であれば一旦「借方:売掛金 貸方:売上」という仕訳をたて、後日売上代金が入金されたときに「借方:現金 貸方:売掛金」という仕訳で売掛金を消せばよいだけです。

そのため企業間の取引では、現金決済ではなく掛取引が主流となっています。

 

売掛金と未収金(未収入金)の違いとは?

お金をまだ受け取っていないことをあらわす勘定科目には、他にも未収金(未収入金)があります。

確かに未収金も代金を受け取る権利ではありますが、売掛金は営業取引により発生する債権であるのに対し、未収金は営業外の取引で発生します。

たとえば土地や建物などの不動産・有価証券・備品などの資産を、営業活動ではない取引で売ったときなどに発生する債権です。財務諸表上、正式には未収入金という勘定科目で扱います。

 

債権と債務の違い

売掛債権は債権のうちの1つですが、そもそも債権とは特定の相手に一定の給付や行為を請求する権利です。

そして債務とは、特定の相手に一定の給付や行為を提供する義務であることを意味します。

債権は権利、そして債務は義務ですので、たとえば金銭の貸し借りでお金を貸した側は債権者となり借りた側は債務者となります。お金を借りれば返す義務があり、貸した側は返してほしいと請求する権利があると考えるとわかりやすいでしょう。

 

債務になるのは売掛金ではなく「買掛金」

売上代金を受け取る・請求する権利が売掛金ですが、反対に商品などを取引で購入したときや仕入れたときには、後日代金を支払う債務を抱えます。この債務は手形による購入でなければ、買掛金という勘定科目で会計処理を行います。

他にもお金を支払わなければならないけれど、まだ支払っていない状態で用いる勘定科目には未払金があります。

未払金は商品以外のもの、たとえば土地や建物などの不動産や有価証券などを購入したものの、まだ支払っておらず後で支払わなければならない状態で処理する時に使う勘定科目です。

 

売掛金を支払ってもらず取引先が債務を抱えたままなのはなぜ?

本来、売掛金は取引先との間で決めた期日に入金があったと同時に消える勘定科目です。適切に回収できているか、売掛金の回転率などを計算し確認することも必要となります。

しかし期日に入金がなく、取引先が債務を抱えた状態のままである理由として考えられるのは、主に次のようなケースでしょう。

 

支払日を忘れていた・または認識ミス

取引先が抱えている買掛金を支払うだけのお金は保有しているものの、単に代金を支払う日を勘違いしていた、または忘れていたということが考えられます。

または既に支払いが完了していると思い込んでいるというミスも可能性として考えられるため、まずは取引先に連絡し入金がまだされていないことを伝えましょう。

 

債務を支払うだけのお金がない

単に支払いを忘れていたうっかりミスであれば、悪意が見られないため連絡一本ですぐに解決するでしょう。

しかし取引先の手元にお金がなく、支払い義務のある債務をたくさん抱えているため支払いができない場合は問題です。

金銭的な余裕がなく、意図的に支払いせず放置しているという場合、他の支払いが優先され後回しにされている可能性が高いといえます。

あまりに支払いが長期化するケースでは法的措置も必要になる場合があるため、できる限り早く回収できるよう入金の約束を取り付けるようにしましょう。

 

商品やサービスに不満を抱えている

商品やサービスに満足できず、不満を抱えている場合にはお金を支払う必要はないと考え、未払い状態を続ける可能性もあります。

もし覚えのないミスや不具合などでクレームをつけ、支払わないと一点張りの言い訳をするようであれば、弁護士など法律の専門家に相談したほうがよいでしょう。

 

売掛金を未回収のまま放置しないこと

発生している売掛金は、取引先にとっては買掛金という支払い義務のある債務であることがポイントです。

そのため、いくら相手が債務として認識していたとしても、支払わないのなら回収する方法はないとあきらめてしまわないようにしてください。

いくら売上が伸び利益も増えていたとしても、その代金が手元に入らなければ資金繰りは悪化します。自社が抱える買掛金の支払いができなくなれば、取引先の未入金が原因で資金ショートする可能性も否定できません。

また、請求せずに放置していれば、支払いは後回しにしても問題ないと捉えられますます回収が遅れます。

さらに売掛金は一律5年という時効もあるため(民法改正の2020年4月より前に発生した債権はさらに短縮される可能性あり)、督促や差押、裁判など法的な措置も検討しなければならなくなる可能性も出てくると認識しておくべきです。

銀行など、外部からも管理能力の低い会社と判断され、マイナスの評価を受けてしまう可能性もあります。担保を差し入れれば融資は受けられると安易に考えず、早めの回収を心掛けましょう。

 

まとめ

売掛金は回収しなければお金にならないため、決算書上は流動資産として計上されるものの、その中に回収不能な不良債権が含まれていればプラスを大きく見せることになります。

将来銀行から融資を受け、設備投資や事業拡大を検討している場合、この見た目の数字と実情とのズレを指摘され審査に不利にはたらくこともあると留意しておきましょう。

そして売掛金は代金を請求できる債権という権利であるのに対し、買掛金は代金を支払わなければならない債務という義務です。

売掛金の回収をスムーズに行うことができなければ、債務である買掛金の支払いもできなくなり、資金ショートしてしまうことになると十分に留意しておくようにしてください。

なおこのような場合において取引先から回収する売掛金と、取引先に対する債務(買掛金)が同時に発生しているのなら、2つを相殺できないか交渉してみましょう。支払い義務までの期間や契約内容にもよりますが、可能な場合もあります。

また、売掛金をファクタリング会社に譲渡し、入金期日までの期間を短期化させ、前倒しで現金化させるファクタリングなども活用可能です。

いずれにしても事業を続け健全経営を実践する上では、支払いに充てる手元のお金を枯渇させない資金繰りを意識するようにしてください。

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