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売掛金の残高が合わないときの原因とその処理方法

資金繰り2020/09/24

売掛金と取引先から入金された金額や残高が合わないとき、何が原因なのか探り修正することが必要です。

もし売掛金の残高が合っていない状態なのに、何も対応せずそのままにしていれば長期滞留になってしまうこともあるので早急に適切な処理を行いましょう。

そこで、なぜ売掛金の残高が合わないのか、どのように処理すればよいのかなど解説していきます。

 

売掛金とは?

売掛金とは商品販売やサービス提供など、営業取引で生まれる未収金の中で1年以内に回収予定の債権(売掛債権)を指しています。

日本の商習慣では企業間取引において、掛けによるツケ払いが一般化しているため、売掛金を発生させず取引を行うことは難しいといえるでしょう。

そのため毎月発生する売掛金を適切に管理し、万一残高が合わない場合には適切な処理で修正することが必要です。

 

売掛金の残高が合わない原因とは?

掛けによるツケ払いの取引は、会社同士がお互いに信用した上で成立します。将来の支払いを約束された取引なので、事前に取り決めた期日にはすでに計上されている売上代金が入金される前提となります。

しかし売掛金の残高が合わないときには、本来入金されるべき金額を受け取っていない、または計上にミスがあるなど様々な原因が考えられるでしょう。

その原因を確認して月次単位で処理していかなければ、決算のときに残高が合わず修正まで手間や時間がかかることになります。

問題なのは売掛金が長期に未回収まま残ってしまうことです。取引先が売掛金残高を間違って把握している場合でも、請求が遅くなれば入金されるまで確認などに時間がかかることになります。

たとえば売掛金が月末締翌月末払いされる約束であるのなら、前月の売掛金残高は当月末に入金されるはずです。前月の売掛金は消込みされることとなり、当月末の売掛金残高はその月に請求した代金分だけになるため、毎月必ず確認しましょう。

 

  • ・売上の計上漏れはないか
  • ・請求書の転記する金額にミスはないか
  • ・取引先の検収漏れではないか
  • ・売掛金が入金されたときの消込みにミスはないか
  • ・消費税の端数の処理にミスはないか
  • ・売掛金と売上外(立替金)などの入り繰りによるミスはないか
  • ・双方の締日が異なることで金額に差異が生じていないか

など確認するようにしてください。

 

もし売掛金残高が合わないときは?

売掛金(売掛債権)は販売代金を受け取る権利であるため、貸借対照表で流動資産として扱われることとなります。

似た勘定科目に未収入金がありますが、未収入金は営業活動以外の取引で発生した未収分なので分けて管理します。

売掛金の残高が合わないときには、会計上どのような処理を行えばよいのか、原因に応じて次の方法を参考に対処してください。

 

消費税の端数で残高が合わないとき

消費税の端数は売掛金が入金されたときに仮受消費税で相殺し処理を行います。

 

たとえば入金された金額のほうが少ないときには、

 

借方 預金       貸方 売掛金

   仮受消費税 

 

という仕訳処理を行います。

 

 

反対に入金のほうが多いときには、

 

借方 預金   貸方 売掛金

           仮受消費税

 

という仮受消費税をマイナスする処理方法を行います。

 

売掛金に売上外の債権(立替など)が入り繰りしているなら

 

立替金として処理しなければならない金額が売掛金に含まれているのなら、

 

借方 立替金   貸方 売掛金

 

という仕訳で売掛金を減らしましょう。

 

事務処理上のミスなどがあったときの処理方法

売上計上漏れなど、事務処理上のミスがあったときなどは仮受金として処理し、確認した後で売掛金に充当するといった対処を行うようにしてください。

 

その際の仕訳は、

 

借方 預金   貸方 仮受金

 

で先に仮受金で計上し、

 

取引先に確認した後で、

 

借方 仮受金   貸方 売掛金

 

という形で処理します。

 

残高の差異を出さないために

売掛金は適切な管理を行うことで、差異を発生させることはなくなります。そのために対策として次のことを実践するようにしましょう。

 

売上計上の基準を周知させておく

売掛金の残高が合わないのは、会社内で売上計上基準が十分に周知されていないからという場合もあります。

売上は実現主義の原則に基づき計上しますが、他にも建設業などでは出荷・納品・検収・引渡などを基準とする場合もあります。いずれにしても自社の基準を周知させておくことで、売上計上の漏れを防ぐことが可能です。

 

請求書の提出日と相手側の締日を把握しておく

決算の段階で売掛金の残高が合わないと修正まで時間や手間がかかりますので、それまでに修正しておきたいところです。

そのため、取引先の締日や回収条件を把握しておき、回収できる月を調整して予定を立てましょう。特に取引先が経営難に陥っており、本来回収できるはずの金額よりも少なく入金があった場合には、いつなら支払うことができるのか把握しておくことが必要です。

 

人的ミスはなくす

単なる転記ミスなど、事務処理において誤りがあれば売掛金の残高は合わなくなってしまいます。

その場合、

  • ・発生している差異の金額と同じ金額の伝票を探す(単純な処理漏れの場合)
  • ・発生している差異の金額を2で割り同じ金額の伝票を探す(二重に伝票を作成している場合の特定方法)
  • ・発生している差異の金額を9で割る(桁のミスや位の入れ替わりなどの場合は割り切れる)
  • ・同じ差額が発生している勘定科目を探す(両方の科目が記載されている伝票が原因の場合)

などを確認し修正するようにしてください。

 

適切な残高の管理方法

適切に事業活動が行われているか判断する材料として、売掛金(債権)の回収サイクル(売掛金回転期間)は重要な項目になります。

売掛金の回収管理がしっかりとできていれば資金繰りもスムーズとなるため、キャッシュ不足に悩まされることもなくなるはずです。そのため、「売掛金残高一覧表」と「売掛金年齢表」を使って適切な管理を行っていきましょう。

 

売掛金残高一覧表とは

売掛金残高一覧表とは、取引先ごとに前月の売掛金残高や当月発生した売掛金の金額、当月入金された金額や売掛金残高などを一覧で管理できる表です。

取引先ごとにどのくらい売掛金が発生しているか、残高はどのくらいか把握しておきましょう。

もし支払いが滞留している売掛金があるのなら、早めに回収することが必要です。

 

売掛金年齢表とは

滞留が発生している売掛金がある場合、長期的に未収状態が続けば貸し倒れとなる可能性があります。

回収できず、期日よりも入金が遅れている滞留債権や、1年を超えて未収状態が続いている長期未収入金は、いずれ回収不可能となり貸倒損失として計上しなければならなくなる可能性があります。

もし貸倒損失として計上する場合、そのタイミングを知る上でも売掛金年齢表は必要です。

取引先ごとの売掛金の未収入金残高について、売上日や入金期日を基準に月ごとなど一定期間に分けて管理を行います。

発生した売掛金がどのくらい経過しているのか把握できるため、滞留している売掛金を放置することを防ぐことができます。

取引先ごとに入金されるまでのサイトは異なるため、不良債権を発生させないためにも必ずチェックしておきましょう。

 

まとめ

売掛金の残高が合わないとき、どのように処理すればよいのか迷うこともあるでしょうが、まずはなぜ差異が生じているのかその原因を確認することが必要です。

そして入金と残高にズレが生じないように、毎月適切に売掛金を管理し、もし取引先の都合で入金されず残ったままの売掛金がある場合には早めに回収するようにしましょう。

滞留債権対となった売掛金を放置していれば、自社の資金繰りにも悪影響を及ぼすことになるため、適切な管理を行うことが大切です。

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