新型コロナウイルスの影響を受けたことにより、存亡の危機に追い込まれ廃業や倒産という結果に至ってしまう事業者が多発しています。
2020年6月24日時点での新型コロナウイルス関連倒産は全国で281という件数であり、業種別の上位は飲食店やホテル・旅館が多いものの、アパレル・雑貨小売店や食品製造・食品卸なども増えつつあるようです。
それに加え、新型コロナウイルスの影響で解雇や雇い止めなども起きており、企業が倒産してしまうことだけにとどまらない問題となっています。
そこで、新型コロナウイルスの影響を受けた業種の現状や、今後倒産に至らないためにどうすればよいのかお伝えしていきます。
目次
ホテル・旅館は新型コロナの影響を直に受けている
新型コロナウイルスの感染拡大により、業績悪化が続き事業停止など倒産してしまった事業者に多いのがホテル・旅館などです。次いでアパレル・雑貨小売店や食品製造・食品卸という順番ですが、やはりホテル・旅館などへの影響は大きいといえるでしょう。
各都道府県の温泉やリゾート地と呼ばれる観光地でホテルや旅館を経営している事業者などは、緊急事態宣言の発令や県外移動の制限など自粛ムードが続いたことで営業活動を停止することとなり、業績改善は不透明な状態となっています。
中国など海外からの団体ツアー客からキャンセルが相次ぎ、先行きに見通しが立たなくなったことでこのまま事業を続けることはできないと断念した旅館などもあるようです。
国内からの多くの利用者があった大手のホテルや旅館などでも、外出自粛が追い打ちをかけたことで資金繰りが限界に達し、倒産に至ってしまった会社が増えたとされています。
飲食店の倒産は過去最多に
居酒屋・和洋中料理・喫茶店・バーなど飲食店を経営している事業者の倒産件数も増えています。
もともと飲食店経営は他業界よりも新規参入しやすいため、時代のトレンドや人々の嗜好などにより業績が左右されやすいことが特徴です。そのため生き残ることが厳しいと言われていただけに、新型コロナウイルスの影響を大きく受けてしまったことで存亡の危機に追い込まれてしまったといえるでしょう。
緊急事態宣言が発令されたことにより営業自粛に至った飲食店は全国に相次ぎましたが、営業は制限されていても家賃や人件費など固定費は発生し続けます。
その費用をどのように負担すればよいのか頭を抱える事業者も増え、協力金や給付金など国や自治体からの支給はあるものの、十分といえる金額ではないと資金不足に陥る事業者も少なくありませんでした。
緊急事態宣言が解除され、2020年6月19日からは県外への移動自粛も解除となったことで安心できたのも束の間。東京都ではバーやナイトクラブなど夜の街が発生源となった新型コロナ感染者数が増え、期待していたほど客足は伸びず売上も増えない状況となっているようです。
緊急事態宣言が明ければ…と補償金などでつなぎ耐えていた事業者も、このままでは事業を継続できないと倒産を意識せざるを得ない状況といえます。
テレワークなどで対応する企業が増えたことで、平日のランチや仕事帰りの飲み会も減少するなど、外食回数が減ったことが飲食店の倒産件数を増やす要因になっていると考えられるでしょう。
2020年の飲食店の新型コロナウイルス関連倒産(法的整理および事業停止)は、このままではさらに連鎖し1千件を超えることとなっても不思議ではないといえる状況です。
休廃業や解散など新型コロナで倒産が増える?
飲食店を経営している事業者は、個人が家族で経営しているケースや、1店舗だけを経営するといった形が多いといえます。
企業が事業に行き詰まったときとは違い、飲食店が法的整理をしようとすると、その準備や申し立てにかかる費用だけで残りの財産が消えてしまう可能性があります。
また、法人とは違って債権者数が少ないため、当事者同士で調整しやすいことから法的手続きは行わずに事業を終了させるケースもあるといえるでしょう。
水面下で廃業に至る飲食店が増えるとも考えられるので、データとして公表されている倒産件数には含まれない休廃業や解散なども新型コロナウイルスにより増加すると考えておくべきです。
パチンコ店の営業も新型コロナで厳しい状況に
新型コロナウイルス感染拡大により、営業休止を長期間に渡り余儀なくされることとなったパチンコ店なども倒産や閉店に追い込まれる状況となっています。
全国でパチンコ店営業は再開となりましたが、2020年1月から5月までの間で倒産したパチンコ業者は12件あり、前年と比べると2倍に増えています。
実際、パチンコ業界団体の情報によると全国では100近いパチンコ業者が閉店・倒産という状況に追い込まれているとしています。
前年比50~60%ほど売上減少となった店が多い中、東京や首都圏などのパチンコ店は店舗を借りて営業しているケースがほとんどなのでより負担が重いようです。
規模が大きいとその分、家賃や人件費、リース代などの負担も重く月1千万円程度の経費がかかることもあるとしています。
東京都から休業協力金を受け取っても月経費の10分の1程度にしかならず、資金不足に倒産に追い込まれる店も増えている状況のようです。
そして国民1人につき10万円が支給される特別定額給付金の支払いも遅れるなど、一定程度パチンコ店に流れてくるだろうと期待していたお金の支給遅延も影響しています。
いずれ多忙な状況に戻るだろうと、従業員やアルバイトなどを解雇せずに耐えていたのに、10万円給付が進まず利用客も増えないという期待外れの状態のようです。
各都道府県では今だ自粛ムードが続いているので、耐え切れなかった倒産予備軍のパチンコ業者が次々に閉店に追い込まれる可能性も考えられます。
自動車製造業の資金繰りサポートで倒産を防ぐ新たな仕組み
新型コロナウイルス感染拡大により、経営が悪化した部品メーカーの資金繰りをサポートする仕組みを2020年6月23日に創設したのが日本自動車工業会です。
1社1億円を原則として総額20億円の融資保証を実施し、迅速に資金を調達できるようにしているようです。
自動車需要は世界的に落ち込んでいる状況ですが、業界を挙げて中小・零細企業を支えようとする取り組みとし、製造業に欠かすことのできない技術や人材を維持することを目指すとしています。
新型コロナウイルスによる自動車部品関連の倒産は、2020年4月以降で3件となっています。そもそも業績が厳しかった企業が倒産してしまったようですが、新型コロナウイルスの影響が追い打ちをかけたといえるため、今後もコロナ禍による影響で倒産する企業は増えると予想されます。
そこで緊急性が高いと判断した日本自動車工業会は、検討していたファンド活用から方針転換したという形です。
日本自動車工業会や日本自動車部品工業会など、自動車4団体の会員企業が対象となる仕組みですが、会員外への拡大も検討するとしています。
国内工場で生産調整が続く中で、中小企業は今ギリギリの状態で踏ん張っているからこそ、必要な仕組みといえるでしょう。
まとめ
新型コロナウイルスの影響を受けて、倒産してしまう事業者は今後も増えると考えられます。様々な業種に影響が及ぶと考えられるため、倒産してしまわないための事前の対策が必要となるでしょう。
企業は赤字経営でも手元の資金が底をつかなければ倒産しませんが、黒字経営だとしても手元のお金が枯渇すれば倒産してしまいます。
大切なのは必要な資金を確保し続けることなので、売上や利益だけに着目するのではなく、手元に資金がどのくらい残っているのか把握しておくようにしてください。
また、入金予定の売掛金なども遅れないように回収し、資金繰りを悪化させない適切な管理も併せて行うようにしましょう。
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