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消滅時効で売掛債権は回収できなくなる?入金が遅れたらすぐに請求を!

資金繰り2020/05/07

商取引で発生した売掛債権は期日に正しく入金されているでしょうか。期日を過ぎても売掛債権の入金がないものの、そのうち入金されるだろうと放置してれば消滅時効を迎えて請求できなくなってしまいます。

時効といえば犯罪などに使われる言葉では?と想像することでしょうが、新型コロナウイルス感染症の拡大により回収できていない売掛債権があるなら要注意です。

そこで、保有する売掛債権はいつ消滅時効により請求権を失ってしまうのか、その内容をご説明します。

 

請求権を失ってしまう消滅時効とは?

自社の商品やサービスを取引先に販売または提供したとき、すぐに代金を受け取らず後日請求して支払ってもらう契約になっていることがほとんどでしょう。

このような掛け売りによる代金は、売上を計上する際に売掛金として処理することとなります。売掛金はまだ代金を回収できていない資産であり、支払ってもらうように請求できる売掛債権という権利です。

発生した売掛金は、取引先との間でいつまでの分をいつ支払うか事前に決めているでしょうが、期日どおりに支払いが行われれば問題ありません。

しかし取引先に何らかの事情があり、期日になっても支払いがされなければ売掛債権は残ったままの状態となります。

このとき、取引先にすぐに売掛債権を支払ってほしいと連絡したものの、資金繰りが苦しいので少し待ってほしいとお願いされたとします。先延ばしにされる支払いに対し、何度か請求したもののやはり回収できず、あきらめて一定期間放置していたとしたら消滅時効により請求する権利を失ってしまうのです。

実際、取引先が得意先である場合や、得意先や知人などの紹介で契約した場合など、強く支払いを請求できない場合もあるでしょう。

しかし売掛金が支払われることのないまま長期間経過すれば、時効を主張されて売掛債権は消滅してしまうと留意しておくことが必要です。

取引先との契約書や発注書など、確かに代金が発生している証拠書類が残っていたとしても、相手は代金を支払うことを拒むことができるようになってしまいます。

 

時効で消滅すれば回収できなくなる

時効には、

  • ・消滅時効 一定期間行使されないため権利を消滅させる制度
  • ・取得時効 他人の所有物を占有していた場合に一定期間後所有を認める制度
  • ・公訴時効 刑事手続上の概念により犯罪後に一定期間を過ぎると公訴提起できなくなる制度

という種類があります。

売掛債権の時効は権利行使に関係するため消滅時効が適用されますが、消滅時効の主旨は売掛債権という請求権があるのに、請求などせず放置したことにより権利を認められなくなる制度です。

借金を返せなくなり夜逃げしてしまう方もいますが、これは債権者からの取り立てから逃げたいだけでなく、消滅時効を成立させたいと考えるからともいえます。

要件を満たした状態で一定期間経過することにより、債権者は借金返済を請求する権利を失い債務も消滅させることができるからです。

 

売掛債権が消滅時効を迎えるのはいつ?

売掛債権の消滅時効については、2020年4月1日に改正民法が施行されたことにより変化している点に注意しましょう。

現在保有している売掛債権が民法の改正される2020年4月1日以降に発生したのであれば原則5年で時効を迎え請求権は消滅してしまいます。

民法改正前に発生していた売掛債権については、商行為により生じた売掛金となるため商法により5年の消滅時効となります。

ただ、商法以外の法律(たとえば民法など)で5年より短い時効期間が定められている場合には、この期間より短い消滅時効となる点に注意が必要です。

民法が改正される前の旧民法では職業別の短期消滅時効を定めているため、業種により5年よりも短い下記の年数で消滅時効となることがあります。

  • ・3年で消滅時効となる債権 診療報酬や工事請負業者が有する工事代金債権など
  • ・2年で消滅時効となる債権 卸売業や小売業が保有する商品代金や製造や制作などによる代金などの債権
  • ・1年で消滅時効となる債権 飲食代・宿泊代などの代価または立替金などの債権

改正民法によりこの複雑な消滅時効の期間は原則5年に変更されていますが、改正民法以前の消滅時効については1年や2年でその期間を迎える債権もあるため注意が必要といえます。

 

時効が迫っているときは中断を

民法が改正される前の売掛金なのか改正民法による売掛金なのかにより消滅時効までの年数は異なりますが、どちらの場合でも保有する売掛債権が時効により消滅してしまう!という場合、次の手続きにより時効が進行することを中断させることができます。

 

未払の売掛債権の存在を認めてもらう

民法では債務者が債務を承認したときに時効が中断されるとされていますので、取引先にまだ支払っていない売掛金の存在を認めてもらい、残高確認書など作成してもらうことで時効の進行を止めることができます。

債務の承認は時効期間が満了していたとしても時効を中断できるので、承認により再度時効をやり直すことになります。

 

一部を弁済してもらうことで中断が可能に

取引先が未払い分についてたとえ1円でも支払いを行えば、未払いの売掛金があることを認めたことになるため時効を中断できます。

 

中断させるためにも未払分は請求する

入金されない売掛債権があっても、そのうち支払ってもらえるだろうと放置することは危険です。時効を中断させるためにはまず取引先に請求することが必要ですが、その方法は以下の通りです。

 

催告書類の提出

裁判など大きな問題になる前に、取引先に対し売掛債権の支払いをしてもらえるよう内容証明郵便を使って催促を行う方法です。

内容証明郵便が取引先に届いた日から6か月間は時効の中断が可能ですが、催告は正式な時効中断の手続きではなく、これまで経過した時効をリセットさせることはできません

6か月という一定期間のみ時効を延長する時効完成猶予措置の対象となる手続きであり、その後相手から何もアクションがなければまた時効が進行してしまうため、訴訟などを検討することとなるでしょう。

 

民事訴訟による訴状の提出

取引先に対し民事訴訟を行う方法ですが、訴状が提出された時点で時効を中断させることができます。

 

支払催促

簡易裁判所に契約書や債務確認書など証拠品を持参した上で申し立てを行い、取引先に支払いを督促してもらい回収する方法です。

 

調停申し立て

裁判所に民事調停を申し立て、一般市民から選出された調停委員会で当事者の言い分を聴いてもらい、中立的な立場で売掛金回収に向けた和解による解決を図る方法です。

 

仮差し押さえ・仮処分

訴訟や支払催促などで裁判所から強制執行の許可を出してもらえれば、取引先の財産を差し押さえ回収できるようになり時効は中断します。

ただし差し押さえが可能になったからといっても、取引先の全財産を一括で差し押さえることができるわけではありません。

判決前に預金などを拘束することになれば、当然相手側にも配慮が必要となるので、差し押さえを希望する約3割程度の担保金を準備しなければならなくなると認識しておきましょう。

 

売掛債権を手遅れにならないよう回収するなら

発生している売掛金が不良債権化し、貸倒損失となることは避けたいものですが、入金が遅れた段階ですぐに行動を起こすことが大切です。

まずは電話でなぜ入金されていないか確認を取り、請求書が届いていない場合や紛失などの場合は再度請求書を発行・送付しましょう。

請求してもまだ売掛債権の回収に至らないという場合には、直接取引先を訪問し状況などを確認します。

相手に支払う意思があるのなら、公正証書を作成してもらっておけば万一支払いがされなかったとき、裁判せずにそのまま強制執行可能となるため安心です。

 

売掛債権が未回収となるリスクを防ぐためにも

仮に売掛債権の時効を迎えたとしても、相手から内容証明郵便で時効援用通知書が送付され時効が完成し、時効の制度を利用する意思を伝えられる(時効の援用)ことがなければ成立しません。

ただし法律上、時効援用の方法の定めはないため、口頭で告げられたとしても時効の援用により時効は成立してしまいます。

とはいっても、売掛金が未払いのまま回収できなくなり、時効を迎え権利が消滅することなどそれほどないはず…と安易に考えることは危険です。

それなら時効を気にする必要がないように、できれば前受金などで代金を受け取っておきたいところでしょうが、一般的な商取引では売掛金を発生させてしまいます。

中小企業は売掛債権を多く保有しているのにも関わらず、適切な売掛金管理が行われておらず発生・回収などについて把握できていないケースも見られます。

そもそも売掛金はすでに発生している売上の代金ですので、いくら売上があがり利益が向上していてもその代金が未回収のままでは何の意味もありません。

最悪黒字のまま倒産してしまうリスクを拡大させるだけですので、時効により請求する権利を失う前に未回収の売掛債権は必ず入金してもらうようにしましょう。

売掛金は適切に管理を行わなければ最終的に大きな損失を生む可能性がある債権ですが、未回収リスクを回避するためにファクタリングを活用することもできます。

 

消滅リスク回避に使えるファクタリングとは?

新型コロナウイルス感染症の影響で、取引先から売掛金を支払ってもらえず手元のお金が不足している事業者もいることでしょう。

厳しい状況がわかるだけに強く請求できないものの、自社もこのままでは資金繰りが悪化してしまうため早めに売掛債権を回収しなければ…と頭を抱える経営者も少なくありません。

取引先から売掛金が入金されない状態になる前に、先に期日を早めてもらえばよかったと後悔する経営者もいるようです。

しかし取引先と一度決めた契約内容を、そう簡単に変更することは容易ではありません。

このような場合、ファクタリングを活用することで取引先から入金される期日よりも先に、売掛債権を現金化させることができます。

信頼性の高い取引先の売掛金だから、期日に間違いなく入金されるだろう…と信じてはいるものの、いつ収束するかわからずさらに二次的な感染症拡大の恐れも考えられるためリスク回避はしておきたいところです。

ファクタリングなら、保有する売掛債権をファクタリング会社に売却することで、期日よりも前に現金化させることができます。

 

まとめ

売掛債権が時効で消滅し、本来なら受け取っていたはずの代金が回収できなくなる事態に陥らないように、入金遅れのある売掛金は早めに請求するようにしてください。自社の買掛金がどのくらいあり、支払いに充てるべき金額なども事前に把握しておくべきです。

取引先から資金繰りが悪化していることを理由に先延ばしにしてほしいとお願いされることもあるでしょうが、それに応じて支払いを待ち続けていれば消滅時効を理由に支払いを拒まれることもあると留意しておくべきです。

新型コロナウイルス感染症により、厳しい経営状況にある企業は少なくありませんが、資金不足や未回収リスクを解決できるファクタリングなどもうまく活用してピンチを乗り切ることも検討してみましょう。

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