売掛金を適切に管理し回収漏れを防ぐことができる帳簿とは?

2020/02/06
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商品などを販売して売上は計上されているのに、まだ上がった売上の代金を受け取っていない場合に発生するのが売掛金です。

売掛金は帳簿などで適切に管理しなければ、未回収のままの状態で保有し続けることになってしまいます。

売掛金を取引先ごとに記載していく帳簿を売掛帳といいますが、個人事業主が確定申告を行うときには作成が義務付けられている帳簿でもあります。

補助簿の1つである売掛帳ですが、中小企業などでも作成義務の有無に関係なく売掛金を管理する帳簿として活用できますので、記帳方法や作成方法などを徹底解説していきます。

 

売掛金を管理できる帳簿「売掛帳」とは

売掛帳は、本来会計処理を行う上でメインとなる仕訳帳や総勘定元帳に加え、別途必要とされる補助簿の1つです。

取引先ごとの売掛金の発生から回収まで記録していき、どのくらい残りがあるのか管理するための帳簿です。

掛け取引により商品を販売したときには、その代金を受け取るのは1か月や2か月先になってしまいます。

しかし売掛金を回収するまでの間が空いてしまうことで、どの取引先といつ取引を行った売掛金が回収できていないのか記録しておかなければわからなくなってしまうでしょう。

このような売掛金の管理を確実に行うために、用いる帳簿が売掛帳です。

 

確定申告でも売掛帳という帳簿が必要

個人事業主は毎年の所得とそれに対する税金を確定申告により申告・納税しますが、売掛帳はこの確定申告での保管帳簿として作成が義務付けられているものの1つでもあります。

確定申告には控除額の適用がない代わりに、記帳方法は簡易簿記でよいとされています。これが青色申告になると、控除が適用される代わりに記帳方法が複雑な複式簿記で行う必要が出てきます。

ただ、白色申告でも青色申告でも、現金出納帳・預金出納帳・売掛帳・買掛帳などの補助的な帳簿の作成と保管が必要とされています。また、白色と青色どちらを選択するかによりますが、帳簿類や領収書などは5~7年の保存が必要とされていますので紛失しないように保管しておきましょう。

 

売掛帳の記帳方法

いずれにしても作成が必要となる売掛帳ですが、個人事業主の確定申告において必須となる以前に、売掛金の残高を取引先ごとに管理する上で役立つものです。

そのため、しっかり日々の取引を記帳し、売掛金の発生・回収・残高にについて管理を行うためにも活用するようにしましょう。

発生した売上代金を確実に回収していくために、仕訳帳・総勘定元帳・売掛帳の順に記帳していきます。

 

売掛帳の作成方法

経理の経験が浅い方などは、売掛帳の作り方がわからないかたもいることでしょう。

売掛帳は個々の売掛先ごとにどの商品を販売したのか記帳していきますが、複数の売掛先の売掛金を同時に把握することにはむいていません。この場合、それぞれの売掛先の売上・入金・売掛金残高を一覧で記載した売掛金一覧表を作成しておきましょう。

コクヨや日本ノートなどから販売されている売上帳でも売掛帳として代用できますが、そもそも売上帳は現金売上なども含めてすべての売上を記入する帳簿です。

売掛帳は、売上のうち現金取引ではない掛け取引分の売上を記帳する帳簿なので、ルーズリーフ式で別途ファイル様式などで作成するとよいでしょう。

手書きでは付け方や作り方がわからなくなるので入力方式のほうがよい場合には、インターネットなどでエクセルのテンプレートなどをダウンロードして作成することもできますし、弥生会計などのシステムやソフトを使えば簡単に作成できます。

 

売掛帳に記帳するタイミング

売掛帳はいつ取引内容を記入すればよいのか、書き方がわからない方もいるでしょう。

一般的に売掛帳に取引内容を記帳するタイミングは売上が計上されるときです。

納品したときなのか請求書を発行したときなのか、報酬が確定したときなのかそれぞれですが、一度ルールを設定したら途中で変更しないようにしてください。

発生したときの仕訳は、

借方:売掛金   貸方:売上

となります。

仕訳分を仕訳帳から転記し、売掛帳の取引先ページの摘要欄に取引内容、売上金額として発生した取引金額(売上高)を記入します。

 

反対に売掛金を回収したときには、

借方:現金   貸方:売掛金

という仕訳で発生していた売掛金を消すことになります。

 

仮に普通預金に売上代金が入金されたものの、振込手数料分が差し引かれた残高が振込された場合には、

借方:普通預金    貸方:売掛金

   支払手数料

という仕訳になります。

取引先から振込による入金があった日に上記の仕訳を行い、仕訳帳から転記を行います。

売掛帳の取引先ページに入金のあった日付・摘要などを記入し、相手勘定科目が複数であれば諸口と記入します。回収金額には消えた売掛金分を記入するので、普通預金に入金された金額ではなく、手数料分を含めた金額を記入するようにしてください。

 

売掛金の帳簿管理はやはり必要?

掛け取引により発生する売掛金。現金取引なら売掛帳などの帳簿は不要となるので、手間がかかると考えてしまいがちです。

しかし、すべての取引を現金により行えば、事務処理はもっと複雑になります。

すべてを現金決済で取引するのなら、商品を販売するごとに納品書を発行し、取引先によっては請求書も都度発行してほしいと要望を受ける可能性があります。その上で納品と引き換えに売上代金を受け取り、つり銭が必要であれば準備しておくことも必要となるでしょう。

さらに受け取った売上代金の入金処理を行い、現金出納帳の残高と手元の小口現金の残高に誤差が発生していないか確認しなければなりません。仮に1円でも残高が合わなければ、なぜズレが生じているのか取引をさかのぼりながら発行した書類などの記載ミスなどすべて確認することになります。

非常に大きくなるこれらの手間を省くためにも、ある一定期間内の取引はまとめて請求する形(=掛け取引)にすることで、事務手続きが煩雑化してしまうことを防ぐことができます。

ただし掛けで取引を行うのなら、発生している売掛金の金額を帳簿などで適切に管理することが重要です。仮に取引先に請求書を届けることができなかったり金額にミスがあったりすれば、一気に信用を失ってしまうでしょう。

このような事態を防ぐためにも、取引先ごとに発生している売掛金を適切に管理することは重要といえます。

 

忘れず売掛金一覧表の作成を

売掛帳は取引先ごとに、どの商品をいつ販売し、その代金をいつ回収できているか把握できる帳簿です。

その売掛帳とは別に、先に述べたとおり複数の取引先を一覧で概観できる売掛金一覧表も作成しておくとよいでしょう。

 

売上発生と入金のズレは仕方がないもの?

小売業や美容業などであれば、商品を販売またはサービスの提供と引き換えに、その代金を顧客から受け取ることになります。売上の発生と現金の入金が同時に発生する取引であることが特徴です。

しかし一般の商取引は掛けによるものなので、代金の受け取りは販売・提供よりも遅れることとなりますので、売上は先なのに入金は後で発生します。

事業年度末に発生した売上分は、翌期に回収することになるので、代金は翌期に受け取るのに売上だけは今期に計上されてしまい利益を増やすということです。

利益を抑えて税金を節税したいという場合とても迷惑な話だと感じてしまうものですが、商慣習上、代金は後払いとすることが一般的です。

 

売上代金が入金されなくても支払いは発生するもの

売上代金が期日に取引先から入金されず、売掛金として残ったままの状態になると資金繰りは悪化します。売上代金を回収できなくても、売上に対する仕入れ代金や人件費、その他経費の支払いは行わなければなりません。しかし売掛金として残ったままでは、支払いに充てるお金が不足してしまうので、何らかの方法で資金を調達することが必要です。

スムーズに資金調達に至れば問題ないでしょうが、銀行などが急な資金需要に対応してくれるとも言い切れませんし、長く残ったままの売掛金などは不良債権化しているものと判断される可能性もあります。

そうなると銀行融資の審査では不利になるため、いずれにしても売掛金を残したままの状態は好ましいことではないといえます。そもそも売掛金にも時効があり(現在は原則5年)放置しておくと回収できなくなってしまう点にも注意が必要です。

このような事態を防ぐためにも、適切に売掛金を管理できる売掛帳を作成し、回収漏れを防ぐようにしてください。

 

まとめ

日本の商取引において現金取引のみの扱いというケースはほとんどなく、売上発生後の1か月または2か月先にその代金が入金されることが多いといえます。

このような場合、先に売上は計上することになり、未回収の代金は売掛金という勘定科目で処理を行います。

しかし代金が回収されていない状態が続くため、いつどの取引先との商取引で売掛金が発生し、どの売掛金を回収できているのか把握しておかなければなりません。

その売掛金管理を正しく行うために用いられる帳簿が売掛帳であり、個人事業主の確定申告においても作成が必須とされているものです。

売掛金の回収漏れや未回収のまま貸し倒れとなり、手元の資金がマイナスになるリスクを防ぐためにも、適切に売掛金管理を行うことができる売掛帳を作成するようにしましょう。

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