建設業界での売掛金は資金繰り悪化の要素に!特有の事情と会計処理について

2020/01/27
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住宅家屋や公共施設、道路などのインフラ整備など、建設業は日本が発展する上で欠かすことのできない存在です。

その建設業を営む建設業者の資金繰りが悪化しやすい原因として挙げられるのが売掛金の存在で、入金まで時間がかかることで資金調達を必要とすることが多い状況といえます。

建設業者が資金調達することを考える場合、これまでは銀行融資が基本とされていましたが、近年では多く保有している売掛金を使った方法も注目されています。

そこで、建設業を営む建設業者が売掛金で資金繰りが悪化しやすい背景や、その売掛金を使い資金調達を可能とする方法について解説していきます。

 

建設業者の売掛金は長期保有になりがち

どの業種でも正しく会計処理を行うことが必要ですが、建設業界で用いられる会計基準勘定科目は一般的なものと違い特殊です。

建設業は、工事を受注してから依頼された建築物を完成させ納品するまでの期間が長期に渡りがちです。受注した工事の売上代金は完成後に支払われることになるため、その間は売掛金を抱えることになります。

規模の大きな建設工事の場合、建築物完成までの期間が数か月や年単位に及ぶこともありますが、売掛金が入金されるまでの間にも資材の仕入れ・外注費・人件費など様々な費用が発生します。

 

建築物を完成させた後で売上計上は難しい?

一般会計で仕事を受注し、売上として計上するタイミングは納品完了後に代金を受け取ったときです。しかしこの流れをそのまま建設業の会計処理で行ってしまうと、仕事を受注してから売上計上までの期間が年単位に及ぶこともあります。

このような場合、売上計上までの期間にかかった費用に対しての利益を正しく把握できなくなってしまうため、建設業では期間損益計算を行うことになっています。

 

建設業が行う会計の期間損益計算

期間損益計算とは、まだ工事が完成できていない途中段階の場合でも、決算日に売上計上して利益を算出する工事進行基準による方法です。

この工事進行基準に対し、工事完成後に売上計上して利益を算出する工事完成基準という考え方もあります。

先の工事進行基準による会計処理が認められるのは、工事の成果の確実性が認められるときです。工事を行ったことによる収益と原価の総額、決算日での工事の進捗度について見積もることができるケースのみです。

これらの要件を満たすことができない場合は工事完成基準による計算を行うこととなります。

建設業界では他の業種にはない工事契約に関する会計基準があり、状況などにより適した基準を用いることができることが特徴である上に、会計処理において使用する勘定科目や仕訳にも違いがあります。

 

建設業界では完成工事未収入金で処理

建設業界で行う会計処理の中で、特有の勘定科目が存在する点にも注目です。まず損益計算書には、完成工事高・完成工事原価・完成工事総利益という一般的な業種にはない勘定科目が存在します。

これらの勘定科目は、

  • ・完成工事高=売上高
  • ・完成工事原価=売上原価
  • ・完成工事総利益=売上総利益

という意味ですが、用いる会計基準により考え方は異なります。

仮に工事完成基準による場合の完成工事高とは、工事をすべて完成させ引き渡しも完了した金額を示しますが、工事進行基準ではすべての工程で期中に完成した工事部分のみの金額をあらわしますので注意してください。

貸借対照表でも建設業会計にのみ登場する、完成工事未収入金・工事未払金・未成工事支出金・未成工事受入金という勘定科目があります。

それぞれ、

  • ・完成工事未収入金=売掛金(当期に完成した工事のうち回収は翌期の代金)
  • ・工事未払金=買掛金(当期に発生している費用のうち支払いは翌期の代金)
  • ・未成工事支出金=仕掛品(当期に発生している費用に対応した工事完成品を翌期に引き渡す場合)
  • ・未成工事受入金=前受金(当期に手付金や中間金を受け取っているものの、完成品引き渡しは翌期)

という意味の勘定科目です。

未成工事支出金を用いる会計処理を例に挙げて説明すると、たとえば発生した費用を損益計算書にそのまま計上した場合、売上計上は翌期になるので売上と費用が対応していない状態になってしまいます。

この状況を防ぐため、未成工事支出金で一旦は資産勘定に計上しておき、翌期に売上計上するタイミングで費用に振り替える処理を行う流れです。

正しい建設業界特有の会計処理を理解することで、利益率や保有する資金の量を把握できるようになり、経営体質を改善させることにもつながるのでしっかり理解しておきましょう。

 

保有する売掛金を使った資金調達が主流に?

先に述べたとおり、建設業界では売掛金を長く保有することになるため、回収までの期間における資金繰りは悪化しやすい状況です。

建設業者の資金調達の方法は銀行融資が一般的ですが、銀行からの借り入れができなければノンバンクなどの融資に頼るなど、負債を増やす方法による資金の調達が主流でした。

現在でも多くの建設業者が借り入れに資金調達に頼っている状況ではありますが、最近では売掛金を用いた資金調達の方法であるファクタリングが注目されるようになりました。

 

ファクタリングは決算書に不安要素を与えない

建設業者が銀行融資で資金調達する場合、会社の状況を把握するため決算書の提出を求められることになります。

決算書の貸借対照表では資産と負債を示しますが、会社にどのくらいの現金や預金があるのか、不動産・設備・車両などの保有状況を把握できます。それに加え、現在どのくらい借金があるのかも知ることが可能です。

損益計算書では、会計年度内で費用がどのくらいかかり、利益を発生させることができたかを知ることができます。

銀行はお金を貸し付ける上で、将来的に今後どのくらいの利益が見込め、いざというときに売却して返済に充てる資産はあるのかなど様々な視点で決算書の数値を確認します。

発生している利益に見合わない既存の借入金がある場合、追加でお金を貸し付けることは返済不能となる状況を作ることになると考え、審査が通らなくなるのです。

また、売掛金の金額が大きい場合、その中に回収できないまま保有している不良債権が含まれているのでは?と疑われることになります。

売掛金は早めに回収できることが望ましいため、その点も踏まえて決算書における会計上の見た目は、想像以上に大切なものであると理解しておきましょう。

このような状況で資金調達を検討したい場合、決算書にマイナス要素を与えない有効な方法としてファクタリングが用いられています。

 

負債を増やさず売掛金を減少させて資金調達が可能

ファクタリングとは、会社が保有する売掛金をファクタリング会社に売却し、予定していた入金期日よりも前に売上代金を現金化する方法です。

ファクタリングを利用したときの会計処理は、ファクタリング会社に対して支払った手数料分を費用として計上でき、さらに売掛金を減少させることが可能です。

そのため負債を増やすわけでもなく、貸借対照表の印象を悪化させずに資金調達ができます。

 

売掛金現金化による資金調達が有効なシーンとは?

建設業における工事の受発注取引は、工事が完成されることを約束し、建築物が完成した後に引き渡されることで業務が完了する請負契約が基本です。建築物が完成した後で、その完成物と引き換えに代金が支払われます。

そのため代金が入金されるまでに発生する資材の仕入れや人件費などにかかる費用はすべて、工事を受注した業者が一旦立て替える形となります。

しかし数千万円や数億円規模となる大規模の工事にかかる材料の仕入れや人件費などの費用を、すべて先に立て替えることは簡単なことではありません。

その中で、自社が下請けとして受注した工事を外注で依頼するのなら、外注先にかかる費用の一部を前金として支払うことになります。

当然自社も元請けから前金を支払ってもらっている状態ですが、受け取った前金をそのまま孫請けとなる外注先に支払うことになれば、結局材料仕入れ代金や人件費などは自社で立て替え払いすることになるのです。

このような場合、ファクタリングで将来受け取る予定の売掛金を現金化できれば、銀行融資に頼ることなく資金調達が可能となります。

 

建設業界は多重下請構造で資金繰りが悪化しやすい!

元請けから下請けとして受注した工事を、さらに次の下請けである孫請け業者に依頼し、孫請け業者も次のひ孫請け業者に依頼するという流れは建設業界では当たり前に行われています。

しかしこの多重下請構造により、元請けから遠い存在となる孫請けやひ孫請けの建設業者に支払われる代金は少なくなり、支払いまでの期間も長期化しがちです。

売上代金が入金されていない状態で経営を続けるために、手元の資金を枯渇させない資金繰りが重要となります。

このような場合にファクタリングを有効活用するべきといえますが、実際、ファクタリング会社も建設業者からのファクタリング依頼は快く引き受けることが多いようです。

 

ファクタリング会社が建設業と契約したい理由

建設業者が保有する売掛金は金額が大きいこと、そして金額の大きさに比例して建設業者の売掛先が大手など安定した企業であることが多いからです。

さらに一般財団法人建設業振興基金によるファクタリング契約保証事業により、ファクタリングで現金化した売掛先が倒産してしまった場合でも、売掛金相当分の金銭が保証されるようになっています。

ファクタリングは将来受け取る予定の売掛金を現金化するサービスなので、売掛金を買い取ったファクタリング会社は後に売掛先から支払われる代金を回収することになります。

しかしファクタリングで売掛金が現金化された後で、回収までの期間に売掛先が倒産してしまうと、回収できるはずの売掛金は未回収のまま貸し倒れとなります。

手形割引などであれば、振出人が不渡りになったときには割り引いた手形を利用者に買い戻してもらうことになります。しかしファクタリングでは貸し倒れリスクはファクタリング会社が背負う形で契約が結ばれるため、売掛先の倒産はそのまま損失につながってしまいます。

ただ、保証事業によりファクタリング会社は安心・安全に建設業者と契約を結ぶことができるため、建設業者からのファクタリング依頼は歓迎されやすい傾向にあります。

 

売掛金が手形支払いの場合はさらに回収まで長期化することに

建設業は取引の単価が高く、元請けや下請けなど立場は異なっても高額な契約になることに変わりはありません。

そして元請けから下請け、下請けから孫請けなどラインが複雑であるため、下請けの建設業者は元請けから売掛金の支払いを手形で受け取ることも少なくない状況です。

売掛金の回収期日までも長期に渡りがちなのに、支払いを手形でされてしまうとさらに手形の支払期日までお金を回収できなくなります。

手形割引で受取手形を現金化させることもできますが、先に述べたとおり手形割引は貸し倒れリスクを抱えた状態で資金調達することになりので、不渡りが発生したときに連鎖倒産してしまう危険性も出てきます。

このような場合、リスクをファクタリング会社に移転した状態で資金調達が可能となるファクタリングなら、安心して手元のお金を増やすことが可能です。

 

まとめ

たとえば新しく工事案件を受注したいけれど、材料仕入れや人件費に先払いの費用が掛かってしまう場合、仕事を引き受けることができなくなる可能性があります。

案件の規模が大きいほど、せっかくのビジネスチャンスを逃すこととなってしまいますが、このようなときに売掛金がもう少し早く回収できれば…と考えてしまうものでしょう。

建設業界における売掛金は、回収までの期間が長期に及びやすいため、入金されるまでの間に資金が不足してしまう問題はめずらしいことではありません。

このような場合、ファクタリングを利用することで保有する売掛金を現金化し、工事にかかる先払いの費用の支払いに充てることができます。

銀行でも短期借入を行う方法も選択できる場合もあるでしょうが、申し込みから審査を経て融資が実行されるまで一定期間がかかります。急いで資金が必要という場面で銀行からの借り入れは適していませんが、ファクタリングなら早ければ即日現金化も可能となることが特徴です。

もし建設業者の方で入金までの期間が長い売掛金を保有しており、早く資金を調達しなければならないと悩んでいるのなら、大切なビジネスチャンスを逃す前にファクタリングを有効活用してみてはいかがでしょう。

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