利益が多く黒字決算でも倒産する可能性はゼロではない理由とは?

2019/12/04
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資金調達できず手元の資金が不足してしまい、事業を継続することができなくなれば企業であれば倒産したことになります。

 

倒産するということは、モノやサービスが売れず赤字経営で利益も出なかったのだろうと思うかもしれませんが、たとえ決算書が黒字で十分な利益が出ている場合でも、実は会社が倒産してしまうこともあります。

 

このような黒字倒産を引き起こさないためにも、なぜ黒字なのに倒産することがあるのか、その要因を確認しておきましょう。

 

赤字=倒産ではない?

企業経営において、まずはモノやサービスをとにかくたくさん売り、売上を向上させて利益を出すことが最優先と思うかもしれません。

 

確かに利益を出し続けることは大切なことですが、いくら利益が出ていて黒字だとしても、資金繰りが上手くいかず会社の資金が枯渇すれば倒産します。

 

そもそも倒産する状態とは、支払いや返済に充てる手元の資金に不足が生じたことで事業を続けることができなくなったことです。

 

手形決済ができず銀行の取引を停止されたり、会社更生手続きどを開始するといった場合も倒産したことになりますので、経営が破綻したという意味で捉えてよいでしょう。

 

そしてこの倒産する理由は赤字だからということに限りません。

 

黒字と赤字の意味

損益計算書上で利益が出てプラスの状態なら黒字、反対に損失が出てマイナスが表示されていれば赤字となります。それぞれ次のような状況の場合、黒字、または赤字になることが多いようです。

 

損益計算書が黒字となるケース

黒字となるのは、収入が支出を上回り剰余が発生している、売上が多く上がり利益が出ているなど、いわゆる儲かっている状態の場合です。

 

損益計算書が赤字を示すケース

支出が収入を上回り欠損が生じている、損失が発生しているなど、反対に儲かっていない状態の場合です。

 

会社が行う決算とはなぜ必要?

決算は、その年度における利益や損失がどのくらい発生したのかについて総計算するために行います。

 

その年度が黒字なら黒字決算、反対に赤字であれば赤字決算だといわれますが、営業担当者などは売上や利益を増やし、支出を抑えることを求められるため、常に黒字でなければならないと考えてしまうのです。

 

その営業担当者が起業すると、法人を設立して新たに事業を始めた場合、まずは売上を上げて決算を黒字でむかえることができれば問題ないだろうと考えてしまいがちですが、赤字でも倒産しない場合がある反面、黒字でも倒産するリスクを把握しておくべきといえます。

 

事業を続けていれば、材料などの仕入れにかかった費用以外にも、家賃や人件費、借入金の返済、税金、その他さまざま経費の支払いが常に発生します。

 

これらの支払いをできなくなった状態が倒産であるため、仮に赤字だとしても手元に資金があり、支払いを続けることができれば会社は倒産しません。

 

黒字なのに倒産してしまう黒字倒産とは?

損益計算書上は利益が出ていて黒字なのに、倒産してしまうということはなぜ起きてしまうのでしょう。そもそも利益が出ているのなら、手元にも資金が十分にあるものでは?と思うかもしれません。

 

そこで、赤字でも倒産しないケースについて考えてみましょう。

 

赤字でも倒産しないケース

たとえば売上が100で仕入れが200、手元の資金が300ある会社では、収入から支出を差し引けば100の赤字になるので倒産するのでは?と思うかもしれません。

 

ただ、売上分を回収するよりも先に仕入れ分の支払いが発生するので、仕入れ200に対する支払いを手元の資金で補うことができます。

 

では仮に売上が300で仕入れが200、預金が100の会社の場合はどうでしょう。収入と預金を足した金額は上記とかわらない400であり、収入から支出を差し引けば100の黒字となるので倒産しないと思うかもしれません。

 

しかし、売上300が入るよりも前に仕入の200に対する支払いを行うことになるので、100しかない手元の資金では支払いはできません。そうなると、本来は黒字なのに期日通りに支払いができないことを理由に、会社は倒産するのです。

 

黒字倒産の原因

この黒字倒産が起きてしまうのは手元の資金が足らなくなるからですが、そもそも根本的な要因に利益と資金繰りに差が生じることを理解していないことが挙げられます。

 

損益計算書では期末までの1年間の売上高や費用から利益が表示されますが、ここでは実際のお金の流れにおける時間差が考慮されていないのです。

 

たとえば商品を販売すると売上に計上されますが、掛け取引が慣習化されているため、請求書を発送して実際に代金を受け取るのは1か月後や2か月後です。

 

その間、未入金状態の代金は売掛金として処理されることになりますが、損益計算書では売上として計上されるため、多く商品を販売すれば売上も上がり、利益も発生することとなるでしょう。

 

しかしその代金はまだ回収できていないという状態で、販売した商品の仕入れ代金の支払いが先行することとなり、資金繰りが悪化して黒字でも倒産するといった可能性が高くなるわけです。

 

重要なのは手元の資金を把握しておくこと

損益計算書の利益ばかり確認し、実際に手元に資金がどのくらいあるのか把握していなければ、資金不足であわてることとなります。

 

損益計算書上の利益と手元の資金は必ずしも一致するわけではないということを理解し、必ず手元の資金を把握しておくことが黒字倒産を防ぐ上でまず重要です。

 

減価償却も要因に

そして、減価償却という会計上のルールも、損益計算書上の利益と手元の資金に差を発生させる要因の1つです。

 

たとえば建物や土地、機械や設備、車両などを購入した場合、一括で経費として計上するのではなく、一旦は資産として計上します。

 

その後、それぞれの資産ごとに決められている耐用年数と償却方法に従い、毎年減価償却を行って少しずつ経費として計上する処理が必要です。

 

このときに用いられる勘定科目が減価償却費ですが、出費を伴わない経費を何年にもわたり計上することが可能となるため節税効果に有効です。

 

しかし出費を伴わないということは、損益計算書と手元の資金にギャップを生むこととなるので、その点も理解しておく必要があります。

 

黒字倒産に陥りやすい企業経営

日本の商取引は掛けによる取引が慣習化しているため、その取り決めが自社にとって不利な条件である場合、キャッシュフローを悪化させ黒字倒産のリスクを高めます。

 

仕入れの支払い期日が早めに設定されていたり、売上の入金が何か月も先という条件は見直しが必要になるかもしれません。

 

さらに設備投資に大きな費用を投じている場合、先にも述べたとおり減価償却により経費が複数の年度において分散されることで、見た目は利益が出ていても手元の資金が不足しやすくなります。

 

資金繰りを疎かにしていることは危険ですが、特に事業が順調に成長している段階で、事業を拡大しようと積極的に投資を行ったり、人員を増やすといった場面では注意が必要であると認識しておきましょう。

 

黒字倒産を防ぐために確認しておきたい評価指標

決算書は、損益計算書PL、賃借対照表BS、キャッシュフロー計算書CFの3つに分かれていますが、黒字倒産を防ぐためにもそれぞれの特徴を抑えておくことが重要です。

 

損益計算書(PL)

売上高、販売及び一般管理費(販管費)などの費用がどのくらいかを表し、売上総利益、営業利益、経常利益、税引前利益、当期利益などの利益を把握することができるので、会社の営業成績表といえます。

 

賃借対照表(BS)

期末のプラスの資産とマイナスの資産である負債、そして資産から負債を差し引いた純資産である資本を表示しますので、その年度の財政状況を知ることができます。

 

キャッシュフロー計算書(CF)

その年度の営業活動、投資活動、財務活動の3つにおいてのお金の流れを知ることができます。現金の残高を常に把握することにより黒字倒産を免れることができますので、注視しておきたい部分です。

 

決算書を読み解く上で必要な指標

決算書を構成するそれぞれの表が示すことは何か理解できたら、次はそれらを読み解いて会社が現在どのような状況にあるか把握しておきましょう。その際に参考となる次の経営分析指標は次のとおりです。

 

自己資本比率

自己資本比率(%)=純資産÷総資産×100

という計算式により算出できますが、返済不要の自己資本が資本調達の何割かを示します。そのため、比率が高いほど自らの力だけで事業を継続しているか知ることができるといえるでしょう。

 

中小企業の自己資本比率は15%程度が平均のようですが、倒産リスクを低減させ優良企業と認められるためにも40%超を目指しましょう

 

自由資金比率

自由資金比率(%)=フリーキャッシュフロー÷自己資本増加額×100

という計算式で算出できますが、キャッシュフロー計算書を用いた指標であり、営業キャッシュフローと投資キャッシュフローを合計した営業活動で得るキャッシュを自己資本増加額で割って計算します。

 

割合が高いほど稼いだ利益がキャッシュになりやすいことを示しており、目安は40%以上ですが資金繰りが優秀と認められるためには70%超を目指しましょう

 

当座比率

当座比率(%)=当座資産÷流動負債×100

という計算式で算出できますが、貸借対照表を用いた指標です。

 

流動資産の中でも現金、預金、売掛金など現金化しやすい当座資産をピックアップし、短期的な負債に対する支払い能力を測る上の指標として用いられます。

 

支払い能力を知る指標として流動比率もありますが、この場合棚卸資産が含まれてしまいます。棚卸資産は販売されて代金が回収されるまで支払い能力のない資産のため、すぐに支払いに充てることができる現預金や売掛金などを分子に計算することから、より正しく厳密な支払い能力を知ることができるでしょう。

 

流動負債を支払った後の資金が100%を超える割合となるため、健全とされる目安は130~240%であるといえます。

 

黒字倒産を防ぐためにはキャッシュフロー経営が重要

順調に成長しているからといって安心できませんので、黒字倒産しないためにも決算書や経営分析指標を活用し、常にキャッシュを最大化するキャッシュフロー経営を実現させましょう。

 

黒字倒産を防ぐためにはキャッシュフローに注視することが必要ですが、損益計算書の利益ではなくキャッシュフロー計算書を重視した経営を行うことが求められます。

 

キャッシュフロー計算書は、営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローに分かれていますがそれぞれが示す内容は次のとおりです。

 

営業キャッシュフロー

会社が本業で得たキャッシュの量を示すのが営業キャッシュフローですので、プラスで多いほどよいとされます。

 

営業キャッシュフローを改善させるためには支払いをできるだけ遅くすることと、そして入金はできる限り早めることが必要となります。

 

買掛金や未払金の支払までの期間を長くし、売掛金は早めに回収すること、さらに現金払いや当月払いといった売り方を行うことが改善策として挙げられます。

 

投資キャッシュフロー

投資活動によって発生したきゃあ週の増減を示しますので、事業を維持する上で必要な資金といえます。

 

投資キャッシュフローを改善させるためには、使用していない無駄な固定資産や有価証券などの処分も必要であると理解することが必要です。

 

財務キャッシュフロー

借入金とその返済など、営業や投資活動を維持するために調達された資金とその返済に充てた資金を示します。

 

財務キャッシュフローを改善させるために必要なこととは、金利の高い借入金は早めに返済し、安定的な資金調達方法に切り替えることです。

 

赤字でも資金繰りが成功すれば倒産は回避できる!

たとえ赤字だとしても、期日通りに支払いができれば会社は倒産しません。そのため、資金が不足している場合には資金を調達して支払いなどに充てることが必要ですが、重要なのは資金調達の方法です。

 

現状に適した方法で行わなければ、一時的な資金調達に留まり、またすぐに資金繰りは悪化し倒産の危機に追い込まれます。

 

資金調達する方法はいろいろありますが、銀行やノンバンクから融資を受けることがよいのか、それとも資産を売却して資金化させるべきなのか、現状と照らし合わせながら検討するようにしてください。

 

まとめ

赤字でも倒産せず事業を継続できている企業がある中で、売上は順調で利益も出ており、事業拡大も夢ではないと考えられるような企業でも倒産してしまう場合があるということです。

 

特に影響するのは掛け取引により発生する売掛金の存在で、売上代金が予定していた期日通りに入金されなかったたり、取引先が倒産してしまい未回収の代金が貸し倒れとなったり、また、売上が増え仕入れも増やしたらその支払いが先行し不足が生じたなど、売掛金にまつわる様々なことが影響します。

 

せっかく売上が上がり利益が多く出たとしても、倒産してしまえば事業を続けることはできなくなりますので、黒字倒産を防ぐためにも手元の資金は枯渇させないことが重要です。常日頃から手元の資金の出入りは常に確認し、どのくらい資金が残っているのか把握しておくようにしてください。

 

もちろん、事業を営む上で利益を継続して生み続け、儲けを出すことは大切なことですが、そればかりにとらわれ過ぎてしまうと資金不足でたちまちショートするリスクが高まります。

 

企業経営において、資金繰りはどのくらいのウエイトを占める重要性を持つものなのか、あらためて認識しておきたいところです。

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