なぜ中小企業庁は売掛債権を資金調達に利用する推奨をしているのか

2019/08/27
Share on FacebookShare on Google+Tweet about this on Twitter

経済産業省中小企業庁では、中小企業が今よりもさらに、不動産を担保とした融資を資金調達することに依存することのないよう、売掛債権が活用されることを推奨しています。

ただ、企業が成長する段階において、抱える課題を解決するためには金融機関からの借り入れは避けられないと考える中小企業も多く、借入金の有無に関係なく出資(増資)による資金調達は1%にとどまっている状況です。

最近ではクラウドファンディングやベンチャーキャピタルや、補助金や助成金など、中小企業が活用できる資金調達も増えてはいますが、まだまだ円滑に資金が調達できる環境にあるとはいい難いでしょう。

 

中小企業を取り巻く経済環境

日本の景気は全体でみれば回復傾向にあるとされているものの、資金繰りが改善され以前よりも資金調達がスムーズになったと感じる中小企業はわずかです。

大企業に比べて厳しい状態にあるなど、企業の規模業種によって違いが見られるのは、好況不況に関係なく恒常的に存在する格差といえるでしょう。

 

中小企業が大企業よりも資金繰りが厳しくなる理由

ではなぜ、中小企業の資金繰りは大企業よりも厳しい状態にあるのでしょう。中小企業と大企業の資金調達の構造を比べた場合、中小企業ではその約半数借入金が占めるのに対し、大企業は自己資本の割合が高めであることが特徴です。

また、中小企業よりも大企業のほうが、社債が占める割合も大きめであるといえます。さらに大企業は資金調達の手段として多様な方法を活用しているのに、中小企業は借入金に多くを依存しているなど、株式や社債の発行などは利用しにくい状況です。

必要な資金を貸し出してくれる間接金融からの資金調達に頼るしかない中小企業と、お金を出資してくれる投資家などから資金を調達する直接金融が可能な大企業。資金の調達先が大きく異なる点が、中小企業の資金調達の厳しさに繋がっていると考えられます。

 

利益を期待されなければ出資を受けることは難しい

直接金融では不特定多数の投資家が資金を提供してくれることになりますが、投資家は投資を行う目的は配当や利子、値上がり益に対する期待です。利益が出ると期待されなければ、まず出資は難しいでしょう。

 

専門の人材を雇用する余裕もない

企業財務情報を開示する上で作成する必要のある資料や、株式公開する上での専門的な知識を保有し、実際にそれらを実施できるような専門的な知識を持った人材も必要となります。

しかし中小企業が、本来の業務とは別で、資金調達における専属の人材を雇用する余裕はないため、直接金融による資金調達が可能となるのはごく一部の企業に限られるといえるでしょう。

 

だんだんと環境は整備されつつあるものの…

近年では、マザーズなど新興市場も創設されてきたため、ベンチャー企業などが資金を調達する環境もだんだんと整備されてきたといえます。

しかし、直接金融を活用して資金調達できる中小企業はやはりごく一部であり、銀行などからの融資に頼るしかない状況にあると考えられるでしょう。

 

中小企業は間接金融からの資金調達もままならない状況

仮に直接金融からの資金調達が難しいとしても、銀行から融資を受けるといった間接金融で資金を調達できるのなら特に問題は生じないはずです。しかし、実際には銀行は中小企業に対する融資は円滑に行われているとはいい難い状況で、間接金融による資金調達もままならないといえるでしょう。

その原因となっているのは、銀行など貸し手においての規模の経済が働くからです。銀行融資を例にすると、融資金額が大きいほうが融資を実行する上で発生する様々な経費単価は低くなります。

10 億円を融資する上で発生する審査などにかかる費用と、1,000万円の融資で必要となる審査にかかる費用はそれほど差がありません。

そのため、同じ費用や経費が発生するのなら、貸し付ける金額が大きい方が費用単価を下げることができると考えられるわけです。しかし、中小企業が銀行から融資を受ける金額は大企業ほど大きくありませんので、融資金額が大きな大企業のほうが優先されるという形になります。

 

情報の非対称性の問題

大企業の場合、企業情報が広く開示されていることから、銀行など融資を行う金融機関も融資の可否を判断しやすい状況です。会計監査も会社法上、義務付けられているので財務状況を把握することも比較的容易であるといえます。

それに対して中小企業の場合、中には財務データを整備していない企業もあるなど、財務状況を把握することが難しい環境にあります。企業の状態が不透明であり、抱えるリスクが高いとみなされてしまえば、どうしても融資を実行する上で一歩踏みとどまってしまいがちになるでしょう。

 

担保の問題

情報の非対称性が強く、借り手となる中小企業の情報が十分に入手できない状況です。この場合、将来的な事業動向は透明ではないとみなされてしまうため、融資を実行する上で抱えるリスクを補てんできる保険のようなものを求められます。

その役割を担うのが担保ですが、中小企業が銀行などから融資を受ける場合、担保として差し入れるのは主に不動産です。

しかし、中小企業の中には不動産など価値のある資産を所有していない企業も少なくないため、担保がないのでお金を借りることができないという状況に陥ります。

仮に不動産を所有していても、だんだんと低迷する地価により、価値が高いとみなされず希望する資金の調達に至らないケースも少なくありません。

 

個人保証の問題

最後に中小企業が銀行から融資を受ける場合、個人保証の問題も発生します。法人として融資を受ける場合でも、代表者や代表者の親族等が連帯保証人となる個人保証を求められることがほとんどです。

しかし、中小企業が返済に行き詰ると、借り入れ分の返済を行うのは連帯保証人となった代表者などです。

企業経営を続けることができず倒産すれば個人保証が実行されます。代表者などが所有している不動産や預金などの資産は返済に充てられることとなり、結局、連鎖的に代表者なども自己破産することになってしまうでしょう。

再起できればよいものの、生活基盤そのものに悪影響を及ぼす可能性もあるため、代表者などが担保や保証により責任を負うことは円滑な資金調達の阻害要因になっていると考えられます。

 

実際に融資を受けることができたとしても…

規模の経済や情報の非対称性に加え、このような担保・保証の問題など、中小企業に立ちふさがる壁は大きく、スムーズな借り入れに至れない状況となっています。

仮に銀行から融資を受けることができた場合でも、高い利率が設定されるなど、条件が厳しくなることは避けられないはずです。

 

これ以上倒産する企業を増やさないために!

中小企業は銀行からの融資に資金調達先を頼るしかない状況であるのに、スムーズな調達に至っておらず、倒産してしまう企業が後を絶ちません。

そのため、円滑に資金を調達できるようにするためにも、不動産担保や個人保証に過度に依存しない資金調達の方法が拡大されることが求められるのです。

これらのことが、経済産業省中小企業庁が売掛債権を資金調達に活用するように勧めている理由といえます。

実際、中小企業はとても多くの売掛債権を保有していますが、それが資金調達に活かされているとは言えない状況です。

不動産を担保とした融資に依存せず、保有する売掛債権などを使った資金調達がメジャーになれば、円滑な資金調達が可能となることでしょう。

ファクタリングも売掛債権を活用する資金調達の方法の1つですので、もし資金を調達する方法に迷ったら検討してみることをおすすめします。

Share on FacebookShare on Google+Tweet about this on Twitter