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借金苦で自己破産を選択した場合のデメリットとは?

事業資金2019/06/03

借金に借金を重ね、返済が追いつかなくなってしまい自己破産を選択せざるを得ない状況に追い込まれたとしたら…。

今後、どのような状態になってしまうのか、発生するデメリットなどが気になるところです。
そこで、もし自己破産という手続きに至った場合、どのようなデメリットがあるのか、その後の影響などについてご説明します。

 

そもそも自己破産とはどのような手続きか

自己破産とは、破産申立書を裁判所に提出し、免責許可を取得して借金を免除してもらう手続きのことです。ただ、自己破産の手続きは誰でも選択できるわけではなく、現在保有している資産や今後の収入などを合わせても、借金が完済に至らないと判断された場合利用できる制度です。

この支払い不能の状態かどうかは、資産の状況や収入、抱える負債の金額などを総合的にみて判断することとなります。借金でどうしようもなくなった方に対する最後の救済制度ともいえるでしょう。

 

自己破産を行うメリットとデメリット

自己破産で借金が免除されれば、その後の返済義務はなくなりますし、手続きを開始した時点で貸金業者などからの取り立てもストップします。給料の差し押さえなど、強制執行されることもなくなる上に、自己破産ではすべての財産を失うわけではなく、ある程度の財産は手元に残すことも可能です。

ただその一方で、自己破産により財産は没収されますし、自己破産の事実は信用情報機関に記載される状態となります。いわゆるブラックリストに載った状態となるため、新規での借り入れは5~10年間はできなくなると理解しておきましょう。

さらに住所や氏名が官報という国発行の機関紙に掲載されてしまうので、官報を閲覧した方には自己破産した事実をしられてしまうこととなるでしょう。

また、免責決定を受けるまでは一部、就くことができる職業に制限がかかる面もデメリットです。

 

自己破産すると家族に迷惑がかかる?

自己破産と耳にすると、この世の終わりといった印象を抱く方もいるようです。たとえば自分が自己破産してしまうことで自分に対する取りたてがなくなる代わりに、家族に請求されるのでは…と心配される方もいます。

しかし、家族が連帯保証人になっていない限り、家族がその借金を負担する義務はありませんし、請求も行われません。

さらに自己破産の手続きを行えば、戸籍謄本にその事実が記載されてしまうと思っている方もいるようですが、戸籍に記載されることはありません

先に述べたように官報には自己破産を行った方の氏名や住所が掲載されます。官報とは一般国民に知らせる事項を編集した国の公告文書です。ただ、官報を購読するのは弁護士や司法書士、行政書士など法律関係の士業の方や、銀行などの金融関係者、不動産業を営む方などごく一部に限られます。

 

その他自己破産に対する間違った認識

 

自己破産すると選挙権を失うのではないか?という認識もあるようですが、現在、18歳以上の日本国民なら誰でも選挙に参加し、投票する権利を与えられます。

ただ、自己破産で選挙権を失うことはなく、選らばれる立場となるため立候補することもできます

また、賃貸住宅を借りることができなくなると考えられている場合があるようですが、自己破産が理由で借りれなくなるわけではありません。ただ、保証会社からの保証を得る必要がある場合には、選択する保証会社によって審査が通らない場合はあるかもしれないと理解しておきましょう。

他にも海外旅行に行けなくなるといった誤認もあるようですが、実際、パスポートには自己破産の情報は記載されません

ただ、手続きを進めている段階において、所在地を離れるなら許可を得なければならないことから、その期間に海外旅行に行くことは難しくなると考えられます。

 

本当の自己破産のデメリット

自己破産に対する間違った認識が多い中、本来のデメリットにはどのようなことが挙げられるのか知っておくようにしましょう。

自己破産で支払い義務が免除される免責が認められると、それまでの借金から解放されることになります。メリットが大きい分、当然、デメリットもあります。どのようなデメリットがあるのかは先に述べた通りですが、さらに詳しくご説明します。

 

新規での借り入れはできない

新規の融資だけでなく、クレジットカードなども利用できなくなります。その理由は信用情報機関に自己破産の情報が記載されて、削除されるまで5~10年程度はかかるからです。

銀行やノンバンク、カード会社などに借り入れやクレジットカード発行の申し込みを行えば、申込者の情報と信用情報機関の情報を照合することになります。

そのとき、自己破産を示す事実が記載されていることで、新たに借り入れはできなくなりますしカードの発行はされません。

 

一部就くことができる職業に制限がかかる

自己破産の手続きが開始され、免責許可が決定するまでの間は、次の職業に就くことができないとされています。

  • ・弁護士、司法書士、行政書士、公認会計士、税理士などの士業
  • ・古物商、質屋
  • ・生命保険外交員
  • ・宅地建物取引主任者
  • ・警備員

一時的に資格制限により登録が取り消されるものの、免責許可が決まれば復権により資格制限が解除される流れです。

行うことができなくなる業務の範囲などが出てくるので、この点は十分注意しておく必要があるでしょう。

 

財産は没収される

自己破産の際、所有している不動産や預貯金などがある場合には、資産は没収されます

たとえば99万円を超える現金、20万円を超える預貯金、ローン残高が2倍に満たない評価額の場合の不動産、見込み額が160万円を超える退職金、解約返戻金が20万円を超える保険契約などですが、資産としてみなされるかは裁判所によって違いがあるようです。

 

●すべての財産を没収されるわけではない

自己破産の手続きを行っても、衣食住のために必要な最低限の財産は没収する必要のある資産とみなされませんので、そのまま残すことが可能です。

 

もう自己破産したほうがよいのか…判断の目安

借金が増えてとてもじゃないけれど完済できない…。でも今が自己破産を選択するタイミングなのだろうか?そのように悩んだとき、何を基準に自己破産するべきか判断すればよいのでしょう。

 

高額な資産を没収されることで仕事や生活ができなくなる場合

自己破産では高額な資産は没収の対象となるので、自宅や自動車などを所有し、自己破産したことでそれらの資産を失い、生活に大きな影響が支障をきたすと考えられる場合は避けた方がよいかもしれません。たとえば車を使う仕事を行っている場合や、日々家族を車で送迎している場合、引っ越しなどの影響が考えられる場合などです。

この場合には、自己破産同様に裁判所を介して行う個人再生を選択肢にくわえてみましょう。自己破産ではないので借金はなくなりませんが、高額な資産は残したまま借金を減額させることに繋がります。

 

返済期間を延長すれば完済できる場合

現在の返済はかなり厳しい状態でも、返済期間を数年に延ばせば完済できる可能性があるという場合には、個人再生、または任意整理を選択する方法もあります。

任意整理は、貸金業者との交渉により、借金の額全体を減らしてもらったり、月々の返済額を少なくしてもらい、返済負担を軽減させる方法です。

また、2010年以前に貸金業者から借り入れを行っていた場合には、多く払い過ぎていた利息を返還してもらう過払い金請求が可能となる場合もあります。過払い金請求により、対象となる貸金業者からの借金がなくなるケースや、お金が戻ってくるケースもあるので、こちらも合わせて検討してみましょう。

 

●過払い金とは

貸金業者に支払い過ぎていた利息のことで、以前は民事上、無効であるにもかかわらず刑事罰は科せられないグレーゾーン金利が存在しました。

多くの貸金業者はこのグレーゾーン金利を利用し、利息制限法の上限を超える利息違法に取り続けていたのです。

利息制限法が改正される2010年以前に貸金業者から借り入れを行っていた場合には、グレーゾーン金利により過払い金が発生しているかもしれません。

 

財産がほとんどなく返済のめどが立たないなら

没収される資産がない場合や、仮に資産を没収されても仕事や生活に大きく影響しないと考えられる場合、借金返済の目処がまったく立たないという場合には、自己破産を選択したほうがよいといえます。

 

自己破産の申立て手順と知っておくべき注意点

やはり自己破産しかない!そう思ったとき、たとえば弁護士などに自己破産の申し立てを行いたいことを相談し、実際に手続きが開始されてから免責が確定するまでの流れは次のとおりです。

 

  1. 弁護士に自己破産手続きの相談・依頼を行い、弁護士が依頼を受任する
  2. 弁護士から債権者に受任通知が発送される(この時点で貸金業者など債権者からの取り立てはストップする)
  3. 破産手続きと免責の申し立てを行うため、裁判所に必要書類をそろえて手続きを行う
  4. 申し立てを行って約1か月経って行う破産手続きに関して、裁判官と面談する
  5. 手続きを行うべきだと判断されれば破産手続き開始が決定し、同時廃止または管財、いずれかの手続きに分かれる
  6. 管財の場合には財産をどのように分配するか決める破産管財人が選任され、必要書類など提出。さらに手続きが開始されて2~3か月後には債権者会議が行われ、免責するべきか検討される。同時廃止の場合には、破産手続き開始決定通知書が送付され、手続き完了の約2か月後に免責の面談が行われる
  7. 免責が決定した場合には免責決定書が送付され、その約2週間後に免責確定となり、自己破産が完了する

 

このように、自己破産においての免責手続きには二通りあることに注意しましょう。

同時廃止は資産を所有していない方の手続きであり、不動産や自動車、預貯金などある程度の資産がある方は、その財産も借金の返済に充てることになるため管財での手続きが行われます。

なお、ギャンブルなどにより借金を抱えている免責不許可事由に該当する方も管財での手続きとなります。

 

免責許可とは

借金の支払い義務が免除されること免責といいますが、対象となる借金を消す手続き免責許可です。

許可がおりるまでは数か月かかる場合もあること、税金などの債権は免除されないこと、免責の効果は自己破産の申し立てを行った方にのみ及ぶので、保証人はその義務を免除されないことは理解しておきましょう。

また、許可がおりることで借金はなくなる流れですが、なぜ借金が増えたのか、その原因が免責不許可事由に該当する場合には認められない可能性もあります。

 

●免責が認められない免責不許可事由とは

借金が免除されない免責不許可事由とは、次のような場合が挙げられます。

  • ・資産を隠し持っていた場合
  • ・ギャンブルや浪費などで作った借金による免責を希望する場合
  • ・借金の金額を正しく申告していなかった場合
  • ・免責の申し立てを行う前7年以内にすでに免責を受けていた場合
  • ・破産管財人を妨害するなど、財産の引き渡しの拒否する場合
  • ・一部の債権者にだけ返済を続けていた場合

 

自己破産により借金は免除されると知っていても、たとえばお世話になった方からの借金だけは返済したいという理由などで、特定の債権者に対してのみ弁済を行うといった行為は免責不許可事由に該当することとなります。

さらに、大きな借金を背負った原因が、ギャンブルや浪費などである場合も免責不許可事由とされています。

借金の金額や所有する財産などは、正しく申告しなければ免責を認めてもらえなくなるので注意してください。

 

●免責される借金に含まれない債権

たとえ免責が認められたとしても、次のような債権は返済義務を免れない点にも注意が必要です。

  • ・税金
  • ・養育費、婚姻費用
  • ・故意や過失、不法行為による損害賠償
  • ・故意に隠していた借金
  • ・罰金

など

なお、免責不許可事由があっても、その程度が重くないと裁判官が判断した場合には裁量で免責を認めてくれることもあるようです。

 

まとめ

自己破産をすれば借金の返済義務を免れることになり、新たなスタートを切ることができるかもしれません。ただ、一部の職種に制限がかかったり、免責が認められても税金などの返済負担は残ったり、また、手続きを弁護士に依頼する場合には報酬を支払うことが必要となります。

お金がないから自己破産をしたいのに、弁護士などに依頼するお金がなければどうにもなりません。

この場合、弁護士費用を立て替えてくれる法テラスを経由したり、分割払いを可能とする弁護士事務所を探すといった方法もあるので検討してみるとよいでしょう。

ただ、一番よいのは自己破産に至る前に、資金繰りを改善させておくことといえます。

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