中小企業の資金繰りは以前、厳しい状況のままとされています。ただ、資金を上手く調達し続けなければ、事業を継続できなくなり倒産に至る可能性も出てきます。
資金を人の身体でたとえるとまさに血液ともいえる存在ですが、この厳しい状況の中、比較的資金を容易に調達するためには戦略が重要です。
そこで、どのような戦略で資金を調達すればよいのか、その方法や内容をご説明します。
目次
なぜ中小企業の資金繰りは悪化しやすいのか
近年の中小企業の資金繰りの状況を知る上で、一般的に思い浮かべることが多い国内の都市銀行や地方銀行、信用金庫においては中小企業に対する貸出金が気になるところです。
日本の商取引は掛けによる取引が慣習化されているため、売上や仕入は発生した時点で計上されても、売上代金が回収できるまで期間があいてしまいます。
そうなると先に仕入代金を支払うこととなり、入出金のタイミングにズレが生じるのです。
ただ、近年では中小企業の資金繰りが好転している傾向が見られるため、この入出金のギャップが少し解消されてきているとも判断できます。
それでも近年では好転の傾向がみられる
中小企業の資金繰りが少しですが好転している傾向がある背景として考えられるのは、銀行側の業況判断が改善されつつあることが挙げられます。
東北地方などの業況判断は著しく改善されているようですが、これは復興需要が影響しているとも考えられるでしょう。
ただ、年末などは賞与や越年資金など一時的に季節的な資金の需要が高まるタイミングもあるため注意が必要になります。
ファクタリングの利用が大きく貢献している可能性
さらに、近年では中小企業で多く利用されている資金調達の方法として、ファクタリングが活用されるようになりました。
ファクタリングは、企業が保有する売掛金を期日よりも前に現金化させる方法です。入出金のズレを埋めるために適した資金調達の手法であり、経済産業省も中小企業は売掛債権を資金調達の手法として活用するべきと推奨していることも手伝い、年々利用が増えている状況です。
中小企業が戦略として取り入れたい資金調達の方法
売掛金の回収と買掛金の支払い、この2つの管理をしっかり行うことが資金繰りを悪化させない上で重要となりますが、資金不足に陥る前に資金を上手く調達していくことが求められます。
一般的に、企業が必要とする運転資金は、「売上債権+棚卸し資産-買入債務」で算出することができます。
ここで必要となる資金を調達する方法として挙げることができるのは、
- ・融資による資金を調達するデットファイナンス
- ・新株を発行し資金を調達するエクイティファイナンス
- ・保有する資産を利用して資金を調達するアセットファイナンス
の3つです。
最もオーソドックスで知名度が高いのは、銀行やノンバンクから融資を受けて必要資金の借り入れを行うデットファイナンスですが、銀行融資などは審査が厳しいため中小企業の場合はスムーズに資金の調達に至らないことも少なくありません。
新株発行により資金を調達するエクエティファイナンスもメジャーといえる方法でないことで、資金調達の戦略として注目したいのはアセットファインナンスといえるでしょう。
アセットファイナンスの中でも注目したい手法
アセットファイナンスにも種類があり、
- ・所有する物件を貸し手に売って物件のリースを受ける方法であるセール・アンド・リースバック
- ・売掛債権をファクタリング会社に売って先に資金化するファクタリング
- ・在庫や生産設備、売掛債権などを担保に借り入れを行う動産担保融資
などが挙げられます。
動産担保融資が最も多く利用されている資金調達の方法ですが、そのきっかけとなったのは2005年10月に「動産譲渡登記制度」が施行となったことです。登記制度の利用により、企業が担保として差し入れた動産について、公的な文書で金融機関が主張できるようにりました。
ただこちらもあくまでも融資という形なので、借りた物は返さなければならないという点は認識しておきましょう。
急いで資金を調達するときの戦略とは
中小企業の場合、緊急時に資金が必要というタイミングも多々あります。そのような場合に対応できる方法として、セーフティネット保証や借換保証が挙げられるでしょう。
セーフティネット保証
セーフティネット保証では、従来の信用保証枠とは別枠により、無担保保証なら8,000万円、普通保証なら2億円の融資を受けることができます。
対象となるのは全部で8つ、連鎖倒産防止や業況悪化している業種などです。ただ、資金を何に使うのか、借りたことによる効果と、どのように借りたお金を返していくのか返済財源の捻出方法を明確にし、金融機関に申し込む必要があります。
そのため、セーフティネットという最悪の事態から保護する仕組みとされた名称であっても、返済見込みが認められる事業者でなければ融資は実行されず、困っている方を融資で積極的に助けようとするものではないと認識できます。
借換保証
現在すでに借り入れている複数の保証付き融資を一本化し、新しい大口の保証付き融資へ借り換える方法です。
仮に100万円、200万円、300万円という3つで合計600万円の借入金残高があったとします。これらの返済額は毎月、20万円、30万円、50万円だった場合、100万円を毎月返済資金に充てなければなりません。
そこで、新たに400万円を追加した1,000万円を借入金残高とし、1,000万円に対して20万円ずつ返済する形にするといった方法です。
新たに資金を調達できますし、毎月返済資金として充てる金額も引き下げることができるメリットがあります。ただ、負債を増やす方法でもあるため、慎重な判断が必要となるでしょう。
条件変更(リスケジュール)による返済の見直しは適切か
また、銀行などに返済条件を変更してもらうリスケジュールを申請する行為は、資金繰りを改善させる上で有効なのか気になる方もいるでしょう。
結論からいえば、業績などが悪化したことで返済が苦しくなった場合、期日を変更してもらう、または返済額を減額してもらうといったことは必要です。
銀行なども企業が倒産し、貸した資金がまったく戻ってこなくなるよりは、申請されたリスケジュールに対応したほうがよいと考えるはずなので、ある程度は積極的に対応してもらえるでしょう。
中小企業も銀行に返済条件の変更を申し入れるケースは少なくありません。ただ、銀行で行う企業の格付けの位置は低下するため、その後の融資に悪影響を及ぼすことは覚悟の上で実行することが必要です。
戦略として取り入れたいアセットファイナンスの1つ「ファクタリング」
もし資金を何とかしなければならないという場面で、すでに銀行にリスケジュールを申請していたり、債務超過などで融資に派頼れない状況の場合、先にも述べたアセットファイナンスによる資金調達を検討しましょう。
中でもファクタリングは、負債を増やさず返済負担も負うことなく、保有する売掛金という資産を売却して資金を調達する方法です。本来、受け取る予定の資金を前倒しさせる方法なので、誰に迷惑を掛けることなく利用できることもメリットといえるでしょう。
まとめ
本来なら資金繰りが悪化するはずではなかったのに…という場合もあるでしょうが、事業を営んでいればよいときもあれば悪いときもあります。
ファクタリングは中小企業でも利用が増えつつある方法なので、資金調達の戦略を考えるのなら、このような融資に頼らない方法を取り入れることを検討していくことをおすすめします。
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