商取引において、商品やサービスを販売・提供してから実際に代金が支払われるまでの期間を入金サイトといいます。
相手から入金されるまでの期間の長さは資金繰りにも大きく影響する部分ですので、もし長めに設定されている場合には途中で資金を調達することが必要になる可能性もあります。
そこで、取引先からの入金サイトや、自社が代金を支払うときの支払いサイトを決めるときには、何に注意しておけばよいのか確認しておきましょう。
目次
入金サイトが意味することとは
複数取引が行われる場合などは、その都度、代金を請求するのではなく、締め日にまとめて1か月分などまとめて請求することが一般的です。
そのため、いつからいつまでの取引の代金をいつまでに支払ってもらうのか、事前に企業間などで取り決めを行っておくことが必要です。
事前に定めた取引先の支払期日までの猶予期間が入金サイトとなりますので、発生した売掛金が支払われるまでの期間ということになります。
売上が発生してから入金されるまでの日数が重要に
たとえば、月末締め翌月末払いという取り決めを行っている場合、月の初めにあがった売上の代金は翌月末まで回収できなくなります。
最大で60日間、代金が支払われることを待つ必要が出てきますが、その間にも仕入れ代金や従業員に対する給料、その他固定費など経費の支払いは発生し続けるでしょう。そうなると手元の資金が不足し、何らかの方法で調達する必要性が出てきます。
場合によっては、売上が増えて帳簿上は黒字なのに、手元の資金不足に悩まされるといった事態にも発展してしまいます。
最悪の場合、黒字倒産という結果に至ってしまうこともあるので、入金サイトはできるだけ短く、反対に仕入れ先などに対する支払いサイトは長めに設定することが、資金繰りを良化させることに必要です。
入金サイトで黒字倒産してしまうのはなぜか
入金サイトとは、取引先に請求した売掛金の代金が実際に入金されるまでの期間です。資金繰りが悪化していると感じるなら、この入金サイトが長期化されていないか確認してみましょう。
仮に取引先から売掛金を回収できるまでの期間が30日という入金サイトで、反対に仕入れ先に支払うまでの期間が45日という支払いサイトの場合、回収したお金で仕入れ代金を支払うことが可能となります。
しかし、この例とは反対に、入金サイトが45日、支払いサイトが30日だとしたら、売掛金を回収するよりも前に支払いが発生することになり、手元の資金が不足すれば資金ショートしてしまうリスクが高まります。
このような結果に至らないためには、入金サイトはなるべく早めに、支払いサイトは遅めを心掛けた期日の設定が必要となるでしょう。
希望するサイトではルールを設定できないケース
自社だけの都合で入金サイトや支払いサイトを決めることができれば何も問題はないでしょう。しかし、業種によっては業界特有の慣習なども関係することがあるため、交渉次第で希望するサイトや期日を設定できるというわけでもありません。
その例が建設業などで、よくみられるのが支払方法を現金と手形が併用されるケースなどです。手形の場合、振出日から支払期日までの期間は3か月から6か月と長期に渡るため、実際に現金化されるまでかなり時間がかかります。
また、依頼を受けた建築物などが完成されるまで代金の支払いがなされないことがほとんどのため、規模の大きな工事になるほど発生した売掛金の回収までの資金調達に苦労することも多々みられます。
支払いサイトを遅らせたい場合は?
入金サイトは早めに、支払いサイトは遅めにすることが資金繰り改善に必要だとしたら、どのように支払いサイトを遅らせればよいのでしょう。
仕入れ先に支払いサイトを延期してもらえるように交渉することもできるでしょうが、応じてもらえるとも限りません。
そもそも企業間取引などで採用されている請求書の支払いサイトは、月末締め翌月末払いであることが一般的といえます。この場合、請求書の発行日を基準とする翌月末払いとなるので、たとえば4月分として末に締めた請求が仕入れ先から届いた場合、5月末までに支払いを済ませなければなりません。
請求書発行日ではなく到着日を基準に考える方法
そこで、社内ルールでは相手から請求書が到着した日を基準とした翌月末払いにすると取り決めてはどうでしょう。4月分の請求書は5月上旬に届くことになるので。到着日を基準とした翌月末払いなら6月末までに支払いを行えばよいことになります。
もし取引先からの入金サイトが2か月などで設定されている場合でも、支払いサイトと合わせることができれば資金不足に頭を悩ませることもないでしょう。
ただ、実際には入金サイトと支払いサイトの取り決めは、取引先などの協力があってこそ実現できるものです。自社ルールなどを変更するに至り、支払いサイトなども変える場合には、事前に仕入れ先などに交渉しておくことが望ましいでしょう。
入金サイトを短くする方法
仮に支払いサイトは先に述べたような方法で長めに設定できたとしても、入金サイトは取引先が入金するかが大きく関係するため、いくら取り決めを行っても必ず守られるとも限りません。
しかし、売掛金が回収できない状態が続けば、資金繰りは悪化する一方で、場合によっては資金ショートしてしまい倒産という結果に至ってしまいます。
そこで、入金サイトを早期化させるためにファクタリングを資金調達の方法として活用することを検討しましょう。
誰にも迷惑かけずに入金サイトを早期化できる
ファクタリングとは、保有する売掛金などの売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらい、売掛金が入金される期日より前に現金として支払ってもらう方法です。
もし、売掛先が倒産してしまい、ファクタリング会社に買い取ってもらった売掛債権が回収できなくなったとしても、その責任を負う必要はありません。
経済産業省も推奨している手法
借り入れを行うわけではなく、あくまでも売掛金の売買という形での資金調達の方法ですので、短期間で資金を調達可能としますし、利用するにあたっての審査で重視されるのも利用する企業ではなく売掛先です。
経済産業省も積極的に売掛債権を中小企業の資金調達に活用することを推奨していますので、安心して利用できる方法といえます。
貸し倒れリスクの低減にも繋がる
発生した売掛金が期日を過ぎても支払われなかったら…。このようなリスクはどの企業などでも抱えていますが、少しでも回避したいものです。
しかし、ファクタリングを利用して先に現金化してしまえば、万一回収できなかったときに抱える貸し倒れリスクの低減にも繋がります。
売掛金の取り立てにかける時間や労力を削減できる
さらに、利用する会社とファクタリング会社、それに売掛先との間で契約を結ぶ3社間ファクタリングを利用することで、入金期日には売掛先からファクタリング会社に直接、売掛代金が支払われることになります。
売掛金の取り立てを行うための時間と労力を割く必要がなくなるので、本業に専念しやすくなることもメリットといえるでしょう。
ファクタリングには売掛金の期限を伝えることも大事
ファクタリングを提供している会社は、いつまでに売掛金が入るのか知りたいと思っています。これを知らないと、いつになったら返済されるのかわからないので、計画を作れないのです。ファクタリングは、最初の時点で、返済までの計画がだいたい作られるようになります。この計画に沿って返済をしなければ、最終的に借りている会社に対して一括の返済を求められてしまいます。
売掛金の期限は、先に伝えたほうがいいでしょう。この企業からはこの日までに入る予定で、返済はこの日までならできるということを伝えておけば、ファクタリングの会社もわかった上で計画を作ってくれます。後は売掛金がしっかり入るように、連絡を入れておくだけです。債権譲渡の契約となりますので、相手企業にもそのことは伝えられるようになり、ファクタリングの契約についてはわかるようにしています。
期限を伝えていない場合、相手企業も何のことかわかりづらくなりますし、突然返済が生じているなどの連絡を受けるようになって、取引企業に対しての信頼性というものが影響してきます。手続きを行う場合は、とにかく問題がないように調整しながら、期限を先に伝えるようにします。ある程度早く返済できるだろうと思われているような売掛金は、ファクタリングでも優遇されることが多いです。
まとめ
商品やサービスを販売する取引相手である売掛先と、材料や製品を仕入れるときの取引先である買掛先、どちらとも入金サイトと支払いサイトをいつにするか事前に決めた上で取引を行うことになります。
しかし、この2つのサイトがどのように設定されるのかによって、自社の資金繰りは大きく変わってくることになるでしょう。
資金繰りが悪化して、途中でいろいろな資金調達の方法を模索しなければならなくなる事態を避けるには、入金サイトは短く、支払いサイトは長く設定できるように最初の取り決めが肝心です。
もし入金サイトが長く設定されている売掛金に頭を悩ませているのなら、ファクタリングなどサイトを早期化できる手法で資金調達することで、手元の資金は潤いますし資金繰りも改善させることが可能となりますので検討してみましょう。
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