個人事業主が人を雇用したときに発生する外注費の扱いについて

2019/04/05
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法人ではなく、個人として事業を営んでいる個人事業主の方が必要とする事業資金は、たとえば材料など仕入れ代金を支払うためだったり、外注費や給与などの支払いだったりと様々です。

どの支払いでも、共通していることは事業を存続させるために必要な支払いであることですが、いざ資金を調達したくても信用力が低いとみなされることが多いため銀行融資なども容易ではありません。

ただ、人に働いてもらったことに対して支払う費用である外注費と給与(人件費)については、どちらで支払うかによって税金なども異なります。

 

目次

人にかかる費用は給与より外注費のほうが得?

外注費として支払う場合、従業員に対する給与などのように源泉徴収義務がありません。さらに、本則課税で消費税計算を採用している場合には、消費税額も抑えることが可能です。社会保険料も加入義務が生じないので、労使折半となる保険料を負担することもないでしょう。

給与よりも外注費として支払ったほうが、いろいろメリットは大きいと思うかもしれませんが、どちらで支払うのか自由に決めることはできません。

契約内容だけでなく、どのような状況で業務が行われているのか、実態に基づいてどちらで支払うのか決めることが必要です。

 

給与なのに外注費として支払っていた場合

もし、給与よりもメリットが高いからという理由で外注費として支払っていたけれど、後の税務調査で外注費ではなく給与に該当すると指摘され、承認する場合には次のような項目に影響を及ぼします。

 

源泉所得税の徴収漏れという扱いに

外注費ではなく給与と判断された支払い分の源泉所得税は徴収漏れという扱いになりますので、追徴課税されることになります。

 

仕入消費税控除は否認される

外注費なら仕入消費税がかかりますが、給与の場合は不課税の扱いとなるため、控除されていた仕入消費税分は追徴課税額になってしまいます。

 

延滞税や加算税の課税対象に

過少申告加算税、不納付加算税、延滞税などが課税されることになります。

 

外注費と給与、どちらで支払うべきか判断する方法

外注費として支払うのか、それとも給与として処理するべきか、実は税務調査でも争点となることが多くみられますが、その理由は明確な区分がなされていないからです。

交わした契約書ではなく、業務の実態が外注費に該当するのかを総合的に判断するとき、判断ミスが生じやすいといえます。

そこで、国税庁が公表している次の判断基準を参考にするようにしてください。

 

①【他人が代替して業務を遂行すること又は役務を提供することが認められるかどうか。】

対象となる方にしかできない業務を拘束された状態で行っているのなら、従業員と判断できるので給与として支払う必要があります。

 

②【報酬の支払者から作業時間を指定される、報酬が時間を単位として計算されるなど時間的な拘束(業務の性質上当然に存在する拘束を除く。)を受けるかどうか。】

成果物に対して報酬が支払われるなら外注費と判断できますが、労働時間に対して報酬を支払うのなら給与として支払うことになります。

 

③【作業の具体的な内容や方法について報酬の支払者から指揮監督(業務の性質上当然に存在する指揮監督を除く。)を受けるかどうか。】

自己責任で裁量を持ち業務を行っているのなら外注費ですが、指示を受けて作業を行っているのなら給与と判断できます。

 

④【まだ引渡しを了しない完成品が不可抗力のため滅失するなどした場合において、自らの権利として既に遂行した業務又は提供した役務に係る報酬の支払を請求できるかどうか。】

成果物が引き渡された後にそれに対する報酬が請求されるという形なら外注費ですが、労働時間を基準に報酬を支払うのであれば給与として支払うことになります。

 

⑤【材料又は用具等(くぎ材等の軽微な材料や伝道の手持ち工具程度の用具等を除く。)を報酬の支払者から供与されているかどうか。】

発生する経費について、業務を担う方が負担していれば外注費、材料や使用する用具は準備した上で業務を行ってもらうならば給与として支払います。

 

個人間の取引でも契約書は交わしておくことが大切

たとえば知人や友人などに外注で働いてもらう場合など、気心知れた仲なので堅苦しい契約は抜きで業務を依頼してもよいだろうと思うかもしれません。

しかし、仕事として請け負ってもらう以上、納期や報酬などが関係するため、未然にトラブルを防ぐためにも契約書はしっかり交わしておくことが大切です。

 

個人事業主が事業を継続するために必要なこと

個人事業主が事業を営んでいれば、様々な支払いが発生します。先に述べたように、仕入れ代金や外注費、給与、その他、税金など、月によって発生するものもあれば、毎月必ず発生する固定費など、遅れることなく支払っていくことが必要です。

もし手元の資金が不足し、支払いができなくなってしまえば、資金はショートしてしまうので、法人なら倒産、個人なら破産手続を行うことになります。

 

個人事業主の自己破産は一般的な手続きより厳格

個人事業主や自営業者の方が破産手続を行う場合、個人の自己破産として扱われるものの、事業を営んでいたという側面もあるため、事業者の個人より財産や法律などが複雑に関係してしまいます。そのため、法人などに準じた厳格な手続が進められていくと理解しておきましょう。

破産すれば、生活に必要とされる一定の財産以外は処分することとなり、個人の自己破産となるため債務の支払義務が免除されるかという免責も問題です。免責が問題になるということは、個人事業主・自営業者が自己破産する場合、免責不許可事由が存在するか、非免責債権なども関係することになります。

事業資産などの処分や、雇用・労働関係の処理、その他契約関係の処理など、一般的なる個人の自己破産のときとは違った問題が発生すると理解しておくべきでしょう。

 

自己破産後も個人事業主なら事業継続は可能?

法人が倒産した場合、会社として事業を継続することはできませんが、個人事業主が自己破産した場合は、法的には事業を継続することは可能です。

しかし、実質的には自己破産の手続きを行えば、生活に必要な一定の財産以外は失うこととなるため、事業をどのように継続するのかが問題となります。仮に銀行やノンバンクなどから融資を受けようとしても、自己破産した方はお金を借りることもできません。

法的には可能であったとしても、実際には自己破産したのに、そのまま事業を継続することは現実的ではないといえます。

新たな事業を営む場合も同様に、信用情報機関に事故情報として登録されてしまうため、しばらくは借り入れができず、資金調達に苦しい状況の中で始めなければならなくなります。

 

まとめ

個人事業主や自営業者の方は、毎月発生する支払いが滞らないようにしっかり資金繰りを管理することが大切です。特に、人を雇用したときに発生する給与や外注費、材料費など、どれも事業を継続する上で遅れることなく支払わなければならないものばかりです。

支払いが遅れれば、相手との信頼関係を崩すこととなり、その後の事業継続に悪い影響が及ぶとも考えられます。また、資金がショートして自己破産するに至った場合、個人事業主は法人の破産手続に準じた厳格・詳細な調査が行われることになると理解しておくべきです。

自己破産などの状況に陥らないためにも、もし資金調達の方法に困ったら、保有する売掛金を売却して現金化するファクタリングを検討してみましょう。個人事業主の場合、銀行からの借り入れが難しい傾向が高いですが、ファクタリングの場合、信用力の高い売掛金を保有していれば利用できます。

合理的に資金を調達できる手法ですので、自己破産など最悪の事態に至る前に検討してみることをおすすめします。

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