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売掛金の与信管理で重要なこととは?不良債権を抱えないために!

資金繰り2019/04/04

日本の商取引では、商品やサービスを販売・提供したときにその代金を徴収するのではなく、ある程度一定期間をまとめて請求し、後に支払ってもらう掛け取引が慣習化されています。

先に売上が発生し、回収できていない代金は売掛金として一旦計上されることとなります。この売掛金が入金されるまでの期間が長くなったり、もし回収できない事態に陥れば、その間に発生する仕入れ代や材料代、経費などの支払いができなくなってしまうでしょう。

その結果、不良債権化した売掛金を抱えた企業は、資金繰りが悪化するだけでなく、場合によっては資金ショートして倒産してしまいます。

そこで、掛け取引において重視されるのが売掛金の与信管理です。売掛金として回収できていない資産を保有する以上、定期的な与信管理が必要となりますが、何をおこなえばよいのかなどご説明します。

 

売掛金を保有することは信用リスクを抱えること

売掛金を保有する上では、売掛先の経営状況が悪化したり、倒産してしまうことで売掛債権が回収できなくなり、損失を抱えることになる信用リスクに注意が必要です。

特に1つの売掛先に依存しすぎてしまうと、売掛先の倒産に続き自社も事業が継続できなくなる連鎖倒産に至りやすくなってしまいます。

売掛金が回収できなくても、それまでの支払いは待ってくれません。支払いができなければ倒産してしまいますので、そのようなことが起こらないために、売掛先の与信管理が重要といえます。

 

与信管理はどのように行えばよいか

売掛先がどのくらいの確率で倒産する可能性があるのかなどを踏まえた上で、売掛金の残高を常に把握しておくことが重要です。

もし売掛先が倒産すれば、売掛金の残高は回収の見込みを失った不良債権として残ってしまいます。

そもそも与信とは、商取引で取引相手に信用を供与することですので、掛け取引で売掛先から商品やサービスの代金を回収するまでは、信用を与えていることとなり与信という言葉であらわすことができます。

信用を与える間に保有することになる売掛金を管理することが与信管理であり、売掛先の倒産リスクに応じて取引可否や取引の規模を検討していくことを行います。

 

売掛金残高の上限はどのように設定するか

経営や財務の状況も良好で、比較的安全な売掛先だと判断できる場合には、売掛金の残高の上限として許容できる信用枠拡大します。

反対に経営状況が悪化しており、比較的倒産リスクの高い売掛先と判断できる場合には、売掛金の残高の上限を下げ、信用枠を縮小させることになるでしょう。

この売掛金の残高の上限は、ずっと同じではなく定期的な見直しを行います。見直しのためには、売掛先の経営や財務状況など、情報を入手し続けることも必要です。

 

売掛金の与信管理の実務的な流れ

与信管理を行う場合、今後、取引を始めようとしている企業に対しての与信調査与信審査を実施することからはじめましょう。

結果に応じて、契約するかしないかを決め、もし取引を行うのなら、その金額はいくらまでにするのか、支払いサイトなど具体的な内容を決定していきます。

売掛金の金額は大きくなればなるほど、さらに回収までの期間は長ければ長いほど、抱える貸し倒れリスクは高くなってしまいます。

継続して取引を続けていれば、売掛先の状況も変わってくるはずなので、与信枠や与信限度額は定期的な見直しを行うことも忘れないようにしてください。

 

1.取引を行おうとする企業の与信審査を行う

営業担当者が企業と商談を行い、取引を行う旨の申し込みを獲得したとします。しかし、申し込みがあったからすぐに契約するのではなく、営業担当者が直接得た情報や、管理部門が間接的に収集した情報などを踏まえ、さらにこれから取引を行おうとする企業に対するヒアリングや書類徴求などで審査を行っていくことが求められます。

外部の調査機関なども利用することで、より真実味のある情報を収集することができるでしょう。これらの情報から、取引を行おうとする企業の経営状況などを分析していきます。

 

●定量分析

決算書の数値を読み取りながら、現在の経営や財務の状況を分析していきます。ただ、直近の決算書を入手したくても、取引の内容や金額によって入手できない場合多々あるはずです。このような場合、外部の調査機関や公開情報などを活用して確認するとスムーズに確認できます。

 

●定性分析

単純に数値であらわせない部分の分析です。経営者の能力や資質、経営姿勢、業界や顧客・従業員からの評価や評判などがその例で、商取引の一連の流れにも問題がないかを確認していきます。

 

2.与信限度額と取引条件を決定する

与信限度額とは、取引を行う金額と売掛金の上限金額のことです。過剰なリスクを抱えなくてもよい金額や期間で設定していきます。

営業担当者から与信限度額や取引における条件が申請され、取引可否を含め決裁していく流れになりますが、信用度ごとに対象となる企業をグループ分けするとより管理が容易になるでしょう。

 

3.契約条件の交渉と契約の締結

決定した与信限度額や取引条件を基準に、営業担当者から取引を行おうとする企業に対して交渉を進めていきます。双方が条件に合意できれば、契約が締結されます。

 

4.支払い期日どおりに決済されているか

取引が開始され、商品やサービスが販売・提供された後は、発生した売掛金が期日どおりに支払われているかを管理していきます。

売掛先から追加で取引の申し込みがあった場合には、すでに発生している売掛金の支払い期日が到来する前に、新しい取引が発生することになる点を踏まえて発生する売掛金が与信限度額を超えないか確認するようにしましょう。

 

5.売掛先のモニタリングを行う

売掛先の経営や財務の状況は、先にも述べたとおり契約当初と変わらず継続するわけではありません。

今より良好となる場合もあれば、悪化する場合もあります。もし売掛金が回収されるまでに何かトラブルが生じた場合や、売掛金は無事に回収できていても経営状態が悪化している場合には、信用情報を収集して与信限度額の見直しを行うことが必要です。

 

6.要注意先とされる売掛先の管理を集中して行う

期日が到来しているのに売掛金が回収できなかったり、明らかに経営状態が悪化していると判断できる売掛先については、集中的に管理を実施していきましょう。

取引条件の見直しや対策を立てながら対応が必要です。万一、売掛先が倒産してしまった場合に抱える損害を少しでも抑えることができるように、早期回収と保全に努めていくことが求められます。

 

まとめ

与信管理で大切なのは、与信限度額や取引条件の決定、契約締結などだけでなく、その先に訪れる期日に売掛金の回収がしっかりできているか確認することです。

新しく契約を締結した企業が決まると、営業担当者や次の商談に意識が向いてしまいますし、審査を行う部門でも次の案件の決裁に注目してしまいがちです。

しかし、すでに取引を行い、契約を結んでいる企業に対しても、油断することなくしっかり与信管理を行い、無事に売掛金が回収できているか確認する作業が必要です。常に情報を多方面から収集し、定期な見直しも行いながら管理を継続していきましょう。

万一、売掛金の回収に遅れが発生した場合には、どのように請求や督促を行うのかも決めておき、不良債権を出さない対策を講じておくことも必要です。未回収の売掛金が放置されないように、適切な与信管理を心掛けてください。

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