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実践する資金調達の方法によってメリットとデメリットは大きく異なる

資金繰り2019/01/21

新事業を開始するときや設備投資するときには資金を調達することが必要となりますし、事業を営む上で常に運転資金は必要です。

資金調達の方法として考えられるのは、「負債を増やす」「資本を増やす」「既存資産を現金化する」という3つですが、それぞれのメリットとデメリットをよく理解した上で、どの方法を用いて資金を調達するのか決めるようにしましょう。

 

負債を増やして資金を調達する

 

負債を増やすということは、期限付きで金融機関より融資を受け、定められた利息と元本の返済を行うことが必要です。

メリットとしては、少ない資金でも投資効果により収益性を高めるレバレッジ効果が期待できる点です。

1,000万円しか資力がない場合、検討できる設備投資はその範囲内ですが、さらに500万円融資を受けることで、1,500万円まで投資できるようになります。

仮に、設備投資に800万円かけたときに得ることができる利益が300万円、1,300万円の設備投資なら450万円の利益を得ることができるとすれば、融資を受けて投資したほうが利益は大きくなるのです。

自己資金だけでは叶わない投資を、融資を受けることで実行させ、高い収益を得ることができること、つまり、自己資本に対する利益率が高まることがレバレッジ効果です。

ただし、融資の方法によっては、不動産などの担保、連帯保証人などが必要になることもありますし、たとえ業績に伸び悩んだとしても期日には返済していくことになる点は理解が必要といえます。

様々な金融機関のうち、どこから融資を受けるのか、利用する商品によって特徴や、メリット・デメリットは異なりますので、内容を確認しておきましょう。

 

銀行からの融資

信用保証協会をはさまず、銀行や信用金庫から直接融資を受けるプロパー融資の場合、創業後してまもない企業などでは借入れが難しいと考えられます。

銀行が直接融資を行うため、返済実績がない場合は信用上の懸念から融資を実行しない傾向が高くなるからです。

融資返済実績のない企業の場合、後述する信用保証協会などが保証会社となる融資を利用することになりますが、審査は銀行と信用保証会社の両方で行われます。

 

●銀行からの融資のメリット

  1. 大手銀行メガバンクであれば支店数が多いので利便性が高い
  2. 融資実行金額を高く設定できる
  3. 会社の信頼度が向上する

●銀行からの融資のデメリット

  1. 創業当初やまもない企業では利用することが難しい
  2. 金利を負担する必要がある

 

信用金庫からの融資

信用金庫は、一定地域の中小商工業者や勤労者のための金融機関とされています。そのため、銀行よりも融資のハードルは若干低めで、地元の信用金庫ごとに融資条件など異なります。

ただし、銀行のプロパー融資同様に、こちらも決算書を何期か終えた後で検討することが望ましく、創業して間もない場合は信用保証協会を挟む制度融資を利用したほうが有効です。

 

●信用金庫からの融資のメリット

  1. 顧客やビジネスパートナーなどの紹介や、経営に役立つ情報なども提供してもらえる
  2. 会社の信頼度が上がる

●信用金庫からの融資のデメリット

  1. 創業当初やまもない企業では利用することが難しい
  2. 金利を負担する必要がある

 

信用保証協会を利用する制度融資

信用保証協会が保証をおこなう制度融資なら、創業当初のスタートアップとして、また、創業して間もない企業でも資金調達が有効です。

銀行や信用金庫など、民間の金融機関が行う融資に対する信用保証を信用保証協会が行いますので、担保や保証人など必要とせずに融資を受けやすくなります

また、自治体によっては利息や保証料を負担してくれる場合もあるのもメリットといえるでしょう。

ただしデメリットとして、申請を行ってから融資が決定されるまで1か月など一定期間が必要であり、金利とは別に信用保証協会に対する保証料が発生する点が挙げられます。

 

日本政策金融公庫(国民生活金融公庫)からの融資

日本政策金融公庫(国民生活金融公庫)では、様々な融資制度が設けられています。

そのうち中小企業事業では、長期事業資金の融資も行われていますが、融資対象となる業種や事業規模が規定されていますので、確認しておくとよいでしょう。

国民生活事業でも、普通貸付の融資制度があります。業種を問わず事業を営む方を対象とした融資制度ですが、担保や保証人を付けずに融資が行われる新創業融資制度は、税務申告を2期終えていない創業して間もない方を対象としています。創業してまもない企業で、銀行など返済実績がない場合でも利用できる点がメリットです。

申請から融資決定までの期間が早く、2週間から1か月程度で融資が実行されますし、企業の信用力も高まるでしょう。

新創業融資制度でなくても担保を不要とする融資、担保を提供する融資、また、経営者の保証を不要とする融資などいくつかの制度に分かれています。

ただし、担保や経営者の保証を不要とする融資の場合、担保や保証を設定する場合よりも、適用される利率は高くなる点がデメリットといえるでしょう。

 

商工会議所のマル経融資

全国の商工会議所が行う融資制度で、金利水準が低いこと、担保など必要ないことがメリットです。

ただし、利用するには創業して1年以上など、実績が必要になるため注意しましょう。信用保証協会の制度融資や、日本政策金融公庫などで資金調達後、マル経融資で借り換えをする企業などもあります。

 

ノンバンクなどのビジネスローン

中小企業や個人事業主に向けて行う事業性の無担保ローンのことで、ノンバンクだけでなく、大手銀行や地方銀行でもビジネスローンは実施されています。

このうち、ノンバンクのビジネスローンは他の金融機関よりも金利が高い設定になっており、借入期間も短期になります。

ただし、一時的に運転資金が必要という場合のつなぎ融資や、いずれは低金利や長期融資に借り換えることを視野に入れて利用する場合などは、融資のハードルが低い分、有効な資金調達方法となる場合もあります。

 

資本を増やして資金を調達する

資本を増やすということは、株式を発行するということですが、最大のメリットとして、調達した資金の返済義務がないことが挙げられます。

1株1万円の株式を株主が購入し、その後、その価値が千円にまで下がったとしても、企業は何の責任も負いません。

株式を発行する場合、どのくらいの株を誰に対して発行するのか決めることが必要ですが、株式にも種類がありますので確認しておきましょう。

 

普通株式

普通株式の場合、1つの株式に与えられる権利は原則として平等です。そのため、株主が保有する株式の持ち分が高ければ、会社の経営権は強くなります。投資家や投資する企業の保有する株式数によっては、会社の経営権を取り上げられる可能性があることは理解しておきましょう。

種類株式

普通株式とは別に、権利の内容が異なる種類株式も発行できます。種類株式にも種類があり、9種類ある権利について内容の異なる株式を発行することが可能です。そのうち、配当を他の株式よりも優越的な地位として認める優先株式などであれば、より多く配当金を配分する代わりに経営権が生じないという設計も可能です。

普通株式であれば資金を調達しやすくなりますが、買収や合併のリスクが高くなるので注意が必要です。

種類株式であれば、資金調達はしにくくなる可能性がありますが、買収や合併のリスクは抑えることができます。

投資家が買収や合併をしかけてくる可能性が高いベンチャーキャピタルファンドなどであれば種類株式、そのようなリスクのない投資家であれば普通株式の発行といった、万一のリスクを回避できる株式設計が必要となります。

 

保有する資産を現金化して資金を調達する

すでに保有する資産を売却して現金に換金し、資金として調達する方法です。

土地や建物などの不動産、価値が低下した株などの投資有価証券など、稼働することなく、しかも収益を生まない資産などがある場合、現金化することで資金を圧迫することを回避できます。

一時的な資金に充てることができ、健全な企業経営へと軌道に導くことができる可能性が高まります。

ただし、手早く資金を可能とする点はメリットとして挙げられますが、価値のある資産を保有していない場合には実現できない方法です。また、不動産など流動性の低い資産の場合、売れるまで時間がかかる可能性もあります。

 

債権の流動化で資金を調達する方法

現金化できるものは、資産だけでなく債権なども該当します。

売掛債権や手形債権、リース債権といった、回収に至るまでの期間があいている債権を売り、現金化することで資金繰りが改善されます。

近年では売掛債権を売却して資金を調達する方法としてファクタリングが活用されています。

ファクタリングとは、売掛金など、まだ決済が終わっておらず、売掛先から入金される予定の債権を売却し現金化する方法です。売却する相手はファクタリング専門の業者となりますが、対象となる債権にも種類がありますので確認しておきましょう。

 

●売掛債権

商品やサービスを販売・提供するなど、営業取引から発生する未収入金のうち、1年以内に現預金での回収が見込まれるものを売掛金といいます。

売掛金の支払いサイトが長い場合、資金繰りを悪化させる大きな要因となります。

この売掛金の支払いを請求することができる権利である売掛債権を売却することで、早期に売掛金を現金化することができます。

 

●運送料債権

運送業の場合、物品の運送を委託する業者、そして運送業者の間において請負契約が締結されます。

契約内容は運送を終了させるところまでですが、業務にかかった運送料は後払いであることが一般的なので、運送料債権が発生することになります。

運送業者は運送を委託した業者に対してかかった運送料の請求が可能ですが、この運送料債権を売却して現金化することにより資金調達が可能です。

 

●工事請負代金債権

建設業者は建築物の施工を行い、発注者から工事請負代金を受け取ることができますが、この発注者に対する代金の請求権工事請負代金債権です。工事にかかる請負代金の支払いサイトが長期に渡りやすい建設業者にとって、ファクタリングは有効な資金調達の方法といえるでしょう。

 

●診療報酬債権

医療機関で行われる保険診療の際に、医療行為などの対価として計算される報酬診療報酬です。

診療報酬は、健康保険や国民健康保険などの公的医療保険から支払われる分と、患者が一部自己負担する分で構成されます。

このうち、公的医療保険から負担される金額については、社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会などの審査支払機関に請求することになります。

審査支払機関へ行う請求は、1か月分まとめて翌月10日までに行うことになりますので、実際に入金されるまでは2か月後程度のタイムラグが生じます。この公的医療保険から支払われる診療報酬について、請求を行う権利診療報酬債権です。

 

ファクタリングの特徴とメリット・デメリット

ファクタリングとは、売掛債権をファクタリング専門業者に譲渡し、その代金を現金で受け取る資金調達方法です。

ファクタリングを利用する企業ではなく、売掛先の信用性が重視されるため、銀行融資などで審査に不安を感じる企業でも利用しやすいことが特徴です。

また、融資ではないため返済義務は生じませんし、売掛先企業が万一倒産してしまったとしても、何の責任を負う必要もありません。

 

●ファクタリングのメリット

  1. 売掛金などを早期で資金に換えることができるため、キャッシュフローの改善を図りやすい
  2. 売掛金などのオフバランス化やバランスシートのスリム化を図りやすい
  3. 返済義務は生じない
  4. 売掛先企業が倒産して回収困難な状況に陥った場合でも、譲渡代金は請求されない

 

●ファクタリングのデメリット

  1. 2社間ファクタリングの場合、依頼するファクタリング専門業者によって発生する手数料が高めになる傾向がみられる
  2. 3社間ファクタリングの場合、売掛先に売掛債権を譲渡する事実が通知される
  3. 依頼するファクタリング専門業者や買取額によっては、債権譲渡登記が必要となる
  4. 受け取ることができる資金はあくまでも売掛金額の範囲内である

 

まとめ

資金調達を行う方法には、「負債を増やす」「資本を増やす」「既存の資産を現金化する」という3つの方法があり、それぞれ特徴や、メリット、デメリットが異なります。

企業の経営状況や資金調達の目的などによって、利用する方法は違ってくるでしょう。

まずは、現状を見直し、どの方法が最も適切な資金調達の方法か、しっかり検討した上で決めるようにしてください。

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