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損益計算書だけでは資金繰りを確認できない理由とは?

資金繰り2018/09/06

会社の業績を調べるためには損益計算書は極めて重要な書類となります。損益確認書をチェックすることで、会社としての利益を確認できるのです。利益が出ている会社なのか?どの程度の利益が出ているのか?といったことが明確に示されている書類なのです。

しかし損益計算書だけではわからないこともあります。それはキャッシュフローです。現金の出入り、というものに関しては損益計算書だけではチェックできません。

こちらではなぜ損益計算書だけでは資金繰りを確認できないのか、ということについて徹底解説します。損益計算書ばかりを重視してしまっている企業は必見です。

利益と収支は異なっているから

・キャッシュの収支・・・現金と預金の出入りを表したもの
・利益・・・発生した収益から費用を差し引いたもの

収支に関しては、要はキャッシュのみに注目したものとなっています。入金と出金を表したものとなっており、現在会社で保有しているキャッシュの状態を確認できるもの、となっているわけです。

一方で利益に関しては、収益から費用を差し引いたものです。要は、現金は関係ありません。

大前提として知っておいて欲しいのが、売上については売上が発生した時に計上するシステムになっている、という部分です。そもそも取引はその場で現金で行われるものでしょうか?仮に100%現金決済であった場合には、利益とキャッシュの収支は連動していることになるでしょう。しかし現状の企業間取引の多くはその場で現金決済をしていません。

企業間取引の多くは掛取引と呼ばれるものを実施しています。売掛金と買掛金を用いて取引を実施しているわけです。売上があると売掛金が発生したことになるのですが、その時点では入金していません。入金されることが約束されたに過ぎないのです。

売掛金による取引だけではなく約束手形による取引も実施されます。約束手形も売掛金と同様に、後々キャッシュが支払われることになるのでその場で現金を受け取ることにはなりません。

売上があったとしても即座に入金がされるわけではないからこそ、損益計算書だけでは資金繰りを確認できないわけです。売上があった、ということは利益としてはアップすることになります。しかし現実にはキャッシュが入ってきていません。よって売上がアップしていたとしても、資金繰りに反映されない、といったことが起こりうるわけです。

「黒字倒産」といった言葉を聞いたことがある方も多いのではありませんか?黒字倒産とは、利益は出ているのです。しかし会社にあるキャッシュの量が足りなくなり、結果として倒産してしまうことを指しています。

会社はいくら利益があったとしてもキャッシュがなければ存続できないのです。逆に赤字であったとしても企業はキャッシュがあれば存続できます。赤字分をキャッシュでカバーしていけるからです。

このように利益ばかりに目がいってしまうと、肝心のキャッシュを見逃してしまいます。利益に目を向けるのも良いですが、必ず資金繰りも確認しましょう。

売上金が必ず入金されてくるとは限らないから

・売上債権は貸し倒れが発生する可能性あり

売上があった時に売掛金や受取手形が発生することになります。それらの売上債権は、後に入金がされる、というものであり必ず回収できるものではありません。

例えば取引先が破綻してしまったらどうなるでしょうか?売上債権は回収できなくなってしまいます。仮に取引先に資産が全くない状態であれば、1円も回収ができない、といった事態になってしまうわけです。

売上があったものが必ず入金されるのであれば、売上が記載される損益計算書と資金繰りは連動してくるはずです。タイムラグは発生するものの、売上金が必ず全額入ってくるわけです。時間がかかったとしても売上金が必ず入ってくれば、損益計算書からも資金繰りをある程度はチェックできます。

しかし前述したように売上債権は期日に入金されることが約束されているだけです。その時まで取引先の業績が良いとは限りません。それまでに不渡りを出して破綻状態に陥っているかもしれません。

たとえばある取引先に1,000万円を売り上げたとします。1,000万円の売掛金が発生することになるわけですが、その1,000万円が回収できなくなったらどうなるでしょうか?予定していた1,000万円のキャッシュが入ってこなくなるわけです。企業として大ダメージを受けることは間違いありません。

売掛金には期日があり、その期日に合わせて1,000万円の利用方法を決めている企業もあるでしょう。しかし貸し倒れてしまえばその予定も全てが狂ってしまうわけです。

このように売上債権の回収というものは未確定な部分もあるからこそ、損益計算書だけでは資金繰りが確認できないわけです。資金繰りはまた別個の資料(資金繰り表など)を活用していかなければなりません。

売上債権の回収、といった面にも注目して資金繰りはチェックしていかなければならないわけです。

売上金は入金されるまでに時間が掛かるから

・売上発生から入金までは1カ月から2カ月かかる

基本的に売掛金取引であれば、キャッシュが入ってくるまでに売上発生から30日から60日程度はかかることになります。売上発生時に現金が入ってこない、ということも損益計算書から資金繰りを確認できない理由となっています。

売上に関しては、販売時に計上する、と決まっています。回収時に計上するわけではありません。

よって売上発生時であれば、利益が出ていることになっているかもしれませんが回収の内容によっては損失になっているかもしれないのです。回収がうまく行かなければ仕入れ代金をカバーできないかもしれません。そして何より現金が入ってきていないわけです。売上発生時に現金が入ってきていないので、損益計算書と資金繰りには差が生じてしまいます。

売掛金を受け取った場合ですが、入金されるまでは受け取ってから30日から60日程度もかかってしまいます。それだけの入金までのタイムラグが発生するのです。損益計算書と資金繰りが連動するためにはそれだけの時間がかかります。

その回収までの30日から60日の間にも新たな売上債権を受け取っているはずです。よって損益計算書と資金繰りが連動することは基本的にありません。ずっとズレが生じている状態になるわけです。このことを理解しなければ、会社の資金繰りをしっかりと把握することは難しいでしょう。

損益計算書の費用の発生時期にも注目

・費用の発生時期・・・仕入れた時点

損益計算書と資金繰りが大きく異なっているもう一つの理由に、費用の発生があります。

費用の発生については、費用が発生した時に計上されるのです。しかし費用については買掛金で対応することが多いでしょう。その場で現金で支払うわけではありません。よって費用として計上されているにもかかわらず、まだ会社にキャッシュが残っている、といった状態になっているわけです。

買掛金についても売掛金と同様に30日から60日後に対応することになります。支払いがそれだけ後ろ倒しになっているわけです。費用の発生時期と一緒ではないために、キャッシュは損益計算書の結果と大きく異なってしまいます。

もちろん費用を現金で支払っているケースもあるでしょう。その場合は費用・出金面では連動してくることになります。しかしほとんどの企業が買掛金を利用しているので、やはり損益計算書では資金繰りの把握は難しいのです。

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